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私の日常臨床 Vol,71

2024-04-12 08:07:28 | Weblog

ここの所やたら忙しく、更新するのを忘れていた。
今回は症例を提示しよう。

症例は40代の女性。詰め物がとれたことと、かみ合わせの違和感が主訴。
所見は左下7のインレー脱離で、同歯は2次カリエスがみられた。問診により
4年ほど前にこの歯に修復処置を行ったが、しばらくして左側顎関節部に
捻髪音が起こるようになり、また前歯部も上下間にスペースができ、
麺類や薄いものを噛み切れなくなったとのこと。

診査・診察においては、咬合が安定していない感じが見受けられ、
開閉口運動も動作しずらい様相であった。
そこで当院が考える診断をもとに、
本症例ではスプリント療法は行う必要はないと判断し(矯正も必要ない)
修復物が脱離してしまう原因も含めた
当院で通法に行っている咬合調整手技を同日にすべきと判断して行った。
調整後、顎の運動は直後からスムーズになり、主訴の一つであった
咬合違和感もほぼほぼなくなったとのことであった。
この状態から経過観察を行い、症状の緩解と安定していることを確認後、
顎生理機能が安定する咬合を得るため、他の修復物の2次カリエスの処置を
行いながらの咬合治療により2つの主訴の改善も行った。
全ての内容が、保険診療処置で対応できた(対応するべき)事例である。
術前術後の写真を提示する

この様な事例、主訴のかみ合わせの違和感に関して治療をする場合
スプリント治療はまず時間の浪費に過ぎず、ましてや理想の咬合と称し
前歯部のスペースに対して矯正治療を考えるとするなら、その思考と診断に問題がある。
初診時の口腔内所見からブラキシズムやクレンチングが
誘発される状態の所見であることは容易に分かる。
これが理解できていると一番初めに行うことことが何であり、
それをどう行うかで症状は即時改善されることが多い。
審美的にいかにきれいに見せるか、といった2次的なことより
歯科医療の本質にこだわるこの様な処置は、精緻な洞察が要求される。



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