焦熱の日々
一人居の家も逃さず押し寄せる熱の繚乱部屋に満ち充ち
一人織る錦のひと日暮れなずみまた重ねたる時の衾を
待つこともなく言霊は消えて行く還ることなき日々のあけくれ
ちろちろとあるかなきかの燠の火は燃え盛りたる大の字をして
送り火に思いを託し祈りおり六十六度目の朱の夏往く
鳰の海鳥は見えねど億万の生まれしものの歴史孕んで
湖もまた炎熱地獄限りなく蒸気は昇る視界くもらせ
庭の面にポツリポツリと孔のあり短き命生きよと告げる
空蝉は蝉の命の置き土産梢の末の飾りとなりて
眼を醒まし夜毎の夢の懸け橋を空に探して小窓を開く
画像がないと寂しい気もするので、関係ない植物画像二枚と
蝉の写真を二枚です。