小関越え
2013年5月21日(火)
以前から歩いてみたかった「小関越え」に、思い立ってチャレンジしました。
「小関越え」とは京都山科から滋賀大津の往還道で、都が奈良や明日香にあった時代に、
七道の一つである北陸道のルートでもありました。都が京都に遷って「平安京」と呼ばれていた
時代であっても、このルートは東海道・東山道と分岐して使われていた官道です。
阪急河原町→京阪三条(11.00)→蹴上→日向大神宮(11.30~12.15)→
山科疏水沿い(12.40~14.20)→一燈園→山科小関越え道(14.35)→
大津小関越え出口(15.25)→長等公園(15.40~16.00)→長安寺(16.10)
蝉丸神社上社(16.20)→逢坂関跡(16.30)→蝉丸神社分社(16.40)→京阪大谷駅(16.50)
以上、当日の歩行ルート。
三条大橋西詰めに立つ「弥次喜多像」。十返舎一九の「東海道中膝栗毛」に描かれる人物像。
東海道は江戸日本橋と京都三条大橋までの区間、約500キロを普通は二週間ほどで歩きます。
蹴上浄水場です。こんもりとなっているのはツツジ。見頃の頃は素晴らしいです。
ここから反対側の疏水の方に上がって「日向大神宮」まで。中世に伊勢参拝が盛んになった頃に
創建されたとのことですから、古刹ではありません。伊勢神宮を模して内宮・外宮があります。
画像は一の鳥居、内宮、天の岩戸です。岩戸は自然石を人為的にくり抜いたものでしょう。
いったん三条通りにもどり山科方面に向かって歩きます。この辺りは江戸時代は東海道・
中山道、北陸道のルートです。旅人の往来は盛んでした。日岡峠には秀吉時代にはすでに
「車石」が敷かれていました。「車石」とは荷物を積んだ牛車や馬車が通行しやすいように
道路に埋設した石のことです。大津、三条間には5万個ほどの石が使われていたそうです。
下の画像は「車石」の碑。
「御陵=みささぎ」から北上して山科疏水に出ました。疏水べりを一燈園まで。
疏水についての由緒は割愛します。疏水も周りの木々の濃い緑色を写して流れていました。
それまでにで会った花々。テイカカズラ、ユキノシタ、セッカツメクサ、シャガ、クサフジなどです。
下の画像は一燈園。ここは自由律俳句の尾崎放哉も関係するのですが、ただし放哉が一時期
寄宿していたのは京都市左京区にあった旧の一燈園。ここは予約がないと拝観不可ですからパス。
一燈園からはいよいよ「小関越え」をたどります。民家の中の道、それから山中の中の道になります。
勾配のややきつい部分も少しあります。ですが一燈園から二キロほどで幹線道路に出ます。
もっと古道らしい道だと思っていましたし、長さもある程度あると期待していたのですが短いものでした。
広い舗装路は予期していなかったので拍子抜けしました。大津側への勾配のきつさはありますが、
大津側の「小関越え」入口近くまではパイパスの支線として作られた道路です。
標識が分かりやすいのは良いと思いました。ただ分岐地点にもう二か所ほど欲しいものでした。
画像は小関越え道・案内板・小関峠の地蔵堂・舗装道路・峠道のオドリコソウ。
こんな舗装路は却って足を痛めるなーと思いながら、大津側の「小関峠道」の入口の石碑まで。
この辺りは数年前に二度ほど歩き回っていた所で、記憶はもちろんあります。
ここから南に進路を取り「長等公園」まで。以前に寄ろうと思っていた「三橋節子記念館」には、
今回も心を残しながら寄りませんでした。長良公園で休憩して、16時頃に国道に向けて出発。
画像の道を山側に歩いて国道一号線にでます。国道と合流してすぐに「長安寺」。残念ながら予約がないと
拝観できません。ここは「関寺」跡とも言います。
更級日記に描かれている丈六の仏像もここのものですが、現在は風化、磨滅しているのでしょう。
長安寺の次に「蝉丸神社上社」です。自由拝観ですが見る物はほぼありません。
蝉丸神社からは「逢坂の関」跡まで。ここでは関公園が作られていて、清少納言、三条右大臣、蝉丸の
歌碑が建立されています。画像は蝉丸のだけ撮りました。
夜をこめて鳥の空音ははかるともよに逢坂の関はゆるさじ (清少納言 百人一首62番)
名にし負わば逢坂山のさねかづら人に知られでくるよしもがな (三条右大臣 百人一首25番」
これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関 (蝉丸 百人一首 10番)
長安寺、蝉丸神社上社、関跡石碑、蝉丸歌碑です。
整備されているこの公園から京都側に戻ります。時刻はすでに16時半。山科駅まで歩くのは
断念して、蝉丸神社分社を見てから京阪大谷駅で乗車。三条京阪下車してから阪急烏丸まで
歩いてから帰宅です。
蝉丸神社は近くに三か所あるのですが、「関の蝉丸神社」には寄りませんでした。ここは
「関の清水」として歌によく詠われた清水があり、また、芸能の神様にもなっています。
下は当日に歩いた距離と歩数。写真を撮りもってですから距離は少ないと思います。
また機会を作って三橋節子記念館や関の蝉丸神社を歩いてみたいものです。