京のまひるま
「暑うおます」異界の蹂躙挨拶は決まり言葉の京のまひるま
桂鴨焦熱地獄のただなかで流れも浅き京のまひるま
空青く入道の雲立ち昇りものみな焼ける京のまひるま
人の世のあわいにのぼる陽炎は逃げ水のごと京のまひるま
一掬の希望のようなもの探し影の路行く京のまひるま
約束の歩みを続けそれゆえに釜茹での刑京のまひるま
涼求め飲み込むアイス脳を焼き痛みに嘆く京のまひるま
脳焼けて混濁のまま人型を保ち続ける京のまひるま
六十路越えしょぼい翁の貌をして一人さまよう京のまひるま
送り火の頃にしなれば息つぎて秋を焦がれる京のまひるま