初夏の京都府立植物園
狂いの季節
01 この年も逢わむと思う桜花蕾を見ればそぞろ浮かれて
02 ゆっくりと開きなさいと乞い願う急ぎに急ぐ花の繚乱
03 ねぶりから覚めたるごとし花びらは咲くことにのみひととせ込めて
04 いつよりか重ねる年の降るごとに花の命は心占めおり
05 花を見て淫して明かす春の日に狂いは生まれあふれて漏れる
06 囚われて捉えて添わす花ゆえに身の果てまでも我が物にして
07 空の色桜の色を混ぜ集め春告げ風はやはらかに過ぐ
08 西東盛りの花を共に見る亡き父母連れて同行四人
09 尽くさざる孝養思う花の日の偲ぶる思い千々に乱れて
10 散り急ぐ定めはやがて身に深く沈んで積りまたの世想う
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