モジズリ、ネジバナ
今年の入梅は昨年に比して実に3週間も遅い。暦の上での梅雨入りは毎年6月11日。
それよりも15日も遅い。雨を必要とする方々は、ずいぶんとやきもきしたことだろう。
この梅雨の頃に「ネジバナ」「モジズリ」と呼ばれる花が咲く。
図鑑などでは花期は4月から10月ともあるが、私が見たのは6.7月に限られていて、
梅雨時の花という印象が強い。
変わった花ではある。30センチほどの高さで一本で茎立ちして、
茎の上部が螺旋状にねじれている。その、ねじれた部分に花をつける。
ねじれのきついのもあれば、ほとんどねじれていないのもある。左巻き・右巻きと
自由に生育しているようにも見える。一定の限られた条件の中で個性の主張だ。
そういう「すなおさん」や「きつい方」を発見するのも、面白いと言えば面白い。
花も赤みの強いのから薄いピンク色と多様であり、白花もある。
唇弁は白色。この唇弁はラン科の特質でもあり、それがあることによって
ネジバナがラン科であることがわかる。
◎ 風がきて 文字摺草を かけのぼる (青柳 照葉)
◎ 雨男 ここにもゐたり 捩り花 (櫻井 博道)
◎ 陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに 乱れそめにしわれならなくに
(百人一首 河原左大臣)
河原の左大臣の歌にある「ネジバナ」は、この歌とは関係はない。
歌にある「しのぶもぢずり」は花ではなくて衣類のことであり、その染め方を言う。
「しのぶ」は福島県の信夫地方のこと。関係ないのだからここで引用する必然もない。
それなのに引用したのは、この花がなぜ「モジズリ」という名になったのかということが、
少しく引っかかったからである。
このところは珍しくどこにも出かけなかった。
いろいろとヤボ用もあったとはいえ、珍しいことだ。
おそらくは梅雨が明けるまでは、できたら、あちこち出歩かないでおとなしく
過ごすことだろう。だが、自由に、あくまでも自由にと思う。
ネジバナはこれまでに撮りためたものです。小さい花なので撮影は難しいです。
下に置いています。ワンドライブです。よろしかったら御覧願います。