2013年夏点描
惑乱の花にむつれる春過ぎて卯の花咲けば夏迫りくる
花は根に還りて終わる春送り余韻の中を入道の雲
睡蓮の咲ける汀にうずくまり花の盗人人目も盗む
小関越え古代の道も今の世は舗装をされて車行き交う
湖の夜を彩り噴水は見上げる人の眼を引き連れて
巡り行く鉾の屋根にて汗を拭く人の一年あしたからまた
露玉をまろき葉の上とどめおき約束のまま咲け蓮の花
真夜中に身をのけぞらせ脱皮する神々しいまでの蝉の翅色
宇治川の夜の水面をゆく舟は女鵜匠の手綱も冴えて
闇の中燃えて浮き立つ大の字に二親偲び手を合わせおり