もみじ
六十路行くひかり乏しき道すがら染まるもみじ葉気持さわがせ
達観のはてに動かず閲す日々もみじ便りに気持が逸る
見逃さぬ樹の無きほどに西東紅葉見たしと小春の日々を
四十の寺社に足跡付け回りもみじと共に我が秋終わる
ひととせの秋の終わりのもみじ葉は一年込めておのれを飾り
雪の日や熱射の日々を過ぎ越して私に届くもみじの豪奢
もみじ葉の華やぎ色に酔い痴れてもみじの綾を我が内に貯め
酔い痴れて呆けたままに眺めおり秋のもみじの夢幻の世界
赫や金ひらひら落ちて落魄の覚悟を強いるこの秋もまた
我もまた終わりに近し染めたしやもみじの色の人の豪奢を