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12月ということで当時もクリスマス向けのニューアルバム・リリースとなったことだろう。だが、憂いのあるジャケット写真をはじめ、アルバムとしては地味な印象を受け、メリー・クリスマス!というきらびやかさとはちょっと違う気がする。前作がA HARD DAY’S NIGHTであり、映画の公開と連動していたのでなおさらだ。
レコード・コレクターズ増刊のTHE BEATLES MATERIALSによると、この時期すっかり多忙となった彼らは、ニューアルバムに向けたレコーディングを8月中旬から10月まで行っている。しかしその多忙さ故、全14曲中6曲がカバー曲で、オリジナル曲もどことなく暗い曲が多い、と解説されている。多忙すぎてじっくり曲を書く暇がなかったということか。その中で、EIGHT DAYS A WEEKのようなキャッチーなメロディを持つ曲や、個人的に大好きなNO REPLY、I’LL FOLLOW THE SUNが入っており、私としては充分お気に入りのアルバムである。ジャケ写真が私も行ったことのあるロンドンのハイドパークで撮影されたとのことで、親近感も沸く。
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さて、今月はもう一枚、15日にキャピトル盤BEATLES FOR SALEであるBEATLES ‘65がリリースとなる。こちらにはシングル・ヒットとなったI FEEL FINEが収録され、FOR SALEとは違ったインパクトのアルバムとなった。年明けの65年にトップ100以内に50週間留まり、6週目で300万枚も売り上げたそうだ。私の所有するこのアルバムはモノ盤で、ジャケ裏のRIAA横の番号が「3」と印字されているので比較的初期のものと思われる。
それでは年末の忙しい時期だが、この2枚を十二分に聞き込もう。