世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

ポテトの墓

2006年01月10日 | Weblog
胃(食道)の様子がおかしいので、会社帰りに病院へ行った。

受付の女性に
「先日、会社付近であなたのお姿を見受けました。
何か考え込んでいらしたらしく、私のことを気付かれなかったご様子でしたが。」
と言われた。

彼女が言うには、会社の別棟の建物に向かう私を見たとのこと。
きっと書類か書類箱を持って、ボケ~っと歩行していたに違いない。

さすが、地域のふれあいが息づいた町…。
東京郊外だっていうのに。

昨年九月に、初めてこの病院を訪れた時
「一人は一社を代表する」かもしれない…と危惧していた通りである。

病状は、相変わらず逆流性食道炎。

暫く薬が無くても我慢できる日々が続いていたのだが、
正月から、鳩尾に熱湯をかけられるような胸焼けと、不快なげっぷが続いていた。

「あのう、これって完治するんですか?」
と不安顔で質問する私。

オッサン医者は
「正しい食生活とイライラしない安静な生活が大切だよ。
あとは薬をちゃんとを飲み続けていれば治る筈だよ」
と言った。

正しい食生活とイライラしない安静な生活…

それができていたら、私はこんな痛みには襲われていないわい!

…アニメ版「火垂の墓」のワンシーンが頭を過ぎる。
明らかに栄養失調の節子の容態を診て、「滋養を付けることだな」とだけ言い放った医者。
「滋養かて、どこにあるんですか!」
妹を抱き上げ、叫ぶ兄・清太。

しかし、ここは「一人は一社を代表する」地域社会内。
同じ会社の誰がお世話になっているか分からない。
受付の女性の視線も怖い。
清太になりたい気持ちを抑え、物分りの良いイイコちゃんを演じるのが得策だろう。

大好きなマックフライポテトも
ミスドも
ケンタッキーも
カップラーメンも
九月からずっと私は我慢している。

いい加減、食べたい…。
食べてみたいんである。

ストロカインともタケプロンとも違う、
まして胃カメラではなく、
ジャンクフードに部類される食品をそろそろ口にしたい…。

「なんでホタル、すぐ死んでしまうん?」
自ら掘った墓に蛍を埋めながら兄に訊く節子。

その切ないやるせなさと、我が「食生活の煩悩」とでは深刻さの比重に差があるが、
「なんでポテト、食べられないん?」
と涙ぐみたい、そんな夜である。


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