明日から後輩男女は販売応援に行く。
私と吉熊上司はお留守番の予定。
この時期、二人だけで過ごすのって初めてかもしれない。
三人兄弟の私は親を独占したあの感覚を思い出してしまう。
明日は天気が悪くなるらしい。
雪は・・・望めないよなあ。
暖冬だもの。
小学生のとき、クリスマス・イヴに風花が舞ったことがあった。
「ホワイトクリスマス~!!!」
とはしゃぎまくったことを思い出した。
白く舞うそれは庭の柿の木あたりで丸く円を描いていた。
あの当時、クリスマスはケーキを食べられるという一大イベントだった。
ケーキは母の手作り。クリームやイチゴでデコレーションするのが楽しかった。
食いしん坊バンザイ!の妹は生クリームをぺろぺろと舐めていた。
最初のうちは膨らまなかったケーキのスポンジも年を重ねるごとにふんわりとしてきた。
オーブンから漏れてくる甘い香りにテンションが上がった。
ツリーは80センチほどのもので、物心がついたときから存在していた。
枝葉に電飾や備え付けの飾りを子供たちでああだこうだと言い合って装着する。たまに喧嘩に発展し、母に怒られた。
雪の綿が足りなくなると、祖母から裁縫用の綿をもらって付けた。
円錐のかたちをした変な帽子を被り、クリスマスソングを大熱唱する我々子供。
残業か飲み会でいつも遅い父もこの日は19時ぐらいに帰宅。
ラザニア、ハンバーグの中に卵が入った料理、チキンバー、そしてケーキ。
「早く寝ないとサンタさん、来ないからね」
と母に就寝を促され、興奮する気持ちを抑えて夢の中へ。
翌朝、なぜか父の部屋に・・・サンタさんは物品を置いていっていた。
子供用ワープロ、オルゴール、まんがはじめて物語の分厚い本、など。
添えられたクリスマスカードには「Ms.RYOKO」と書かれた文言。
子供ながら、マジでサンタは存在するものだと確信していた。
冬休みなので、近所のけいこちゃん家に行き、サンタから贈呈された物を見せ合うのも恒例だった。
高校1年生のクリスマスは、両親、母方の祖父母、伯父伯母と従姉妹で鬼怒川温泉に行った。
宴会でおじいちゃんが「ジングルベ~ル、ジングルベ~ル・・・」とエンドレスに歌っていた。
食後、貸切の温泉で妹と泳いだ。大浴場でミスチルの「everybody goes~秩序のない現代にドロップキック」を熱唱しながら踊った。・・・狂っている。
いまだにあの歌を聴くと鬼怒川温泉を思い出す。
幸せだったなあ。
ここ数年、イヴやクリスマスは心療内科の待合室ですごしている。
処方箋がクリスマスプレゼント・・・?
まあ、それもそれでかまわないけど。
緑と赤のネオンを見ながら「緑と赤って、ぶっちゃけ、どん兵衛の色だよね?」とクールっぽさを装っていても、やっぱりこの時期は心が弾む。