昨夜、庭にいた父が私と母を呼んだ。
「セミの羽化が始まっているよ。おいでよ~」
どりどり…?
懐中電灯で照らされた枝下を覗きこむと、なるほど、一匹のセミが羽化の真っ最中であった。
薄緑色の柔らかそうな体を時々「ブルブルッ」と震わせながら、殻から出ようと必死だった。
真っ黒な瞳がアイドル並みにくりくりとしていて大変可愛い。
セミの様子が気になり、その後、一時間ごとにセミの観察をした。
弱々しかった羽は刻一刻と茶色の逞しいそれに変化をし、殻から少しずつ離れていく肢体も先程より幾分大きくなっていた。
セミは数年の間、土の中にいて、羽化をして成虫になったら一週間かそこらで死んでしまう。
だから子供の頃、虫取に行ってセミを取っても逃がしてやるようにと教わった。
…命が短いからという理由で。
今朝、セミはいなかった。
脱け殻だけが残っていた。
今ごろ、初めての空をあの羽で精一杯飛んでいることだろう。
「セミの羽化が始まっているよ。おいでよ~」
どりどり…?
懐中電灯で照らされた枝下を覗きこむと、なるほど、一匹のセミが羽化の真っ最中であった。
薄緑色の柔らかそうな体を時々「ブルブルッ」と震わせながら、殻から出ようと必死だった。
真っ黒な瞳がアイドル並みにくりくりとしていて大変可愛い。
セミの様子が気になり、その後、一時間ごとにセミの観察をした。
弱々しかった羽は刻一刻と茶色の逞しいそれに変化をし、殻から少しずつ離れていく肢体も先程より幾分大きくなっていた。
セミは数年の間、土の中にいて、羽化をして成虫になったら一週間かそこらで死んでしまう。
だから子供の頃、虫取に行ってセミを取っても逃がしてやるようにと教わった。
…命が短いからという理由で。
今朝、セミはいなかった。
脱け殻だけが残っていた。
今ごろ、初めての空をあの羽で精一杯飛んでいることだろう。