私個人が「サッカー」というものに、より深く接したのは、
ワールドカップ・フランス杯の時だった。
その次が、日韓杯の時だったと思う。
松田直樹氏の訃報は、あまりにも突然で、あまりにも衝撃的で、
なでしこジャパンの国民栄誉賞と(同時ぐらいに)聞いただけに、
対照的すぎて、ショックが大きかった。
若すぎる。
それに、昨年からの流れを考えると、
あまりにも波乱に満ちた幕切れだ。
私にとっての松田選手は、トルシエ・ジャパンの「フラット3」に
象徴される存在だったように思う。
皆に「フラット3って何?」と聞きながら、試合を観ていたのを
思い出すからだろう。
情熱にあふれ、男気にあふれ、サッカーが大好きだっただけに、
まず「何故に彼が・・・」という印象がする。
当初、熱中症という情報もあったが、そうとは思えない。
納得ができずに、父の主治医だった医師に、単刀直入に聞いたところ、
「まさに、ごく稀なことで・・・あれは宿命としか言いようがない」
彼は、一人の医者の立場として、そう言った。
そうか・・・。 宿命だったのか・・・。
人の生死の境目は、本当に微妙で、私には・・・理解不能だ。
ミスターマリノスと呼ばれた男さえもが、30歳を過ぎたら、
容赦なく切り捨てられていくプロの世界――。
それにしても、ドラマチックすぎる松田選手の人生!
複雑だ・・・。
今月は、お盆もあるが・・・、原爆慰霊日や、母をはじめ、
私を取り巻いていた多くの「愛すべき人たち」が、突然に逝った・・・
そういう「月」でもある。
8月の第一週目だけでも「数人の方の墓前に参りたい」と思うぐらい、
私にとっては大切な「命日」が続く。
実際、今日:8月4日も、わが師の命日である。
しかし、今月は不規則で忙しく、思うようにならないのが、もどかしい。
心で手を合わせ、心で墓前をイメージして、弔いの念を送る・・・。
何年過ぎても、八月は落ち着きがないように感じるのは、こういう
理由があるからーかもしれない。
過去に縛られるのは嫌なのに、実際はこうして囚われてもいる。
しかし、忘れたくない人ばかりのため、私の「鎮魂の気持ち」が、
尋常ではないし・・・、結局は、せわしなく、めぐりめぐる八月である。
お世話になった師や、交友した人や、私を心から愛してくれた人や・・・
決して忘れたくない「大事な人」ばかりの命日だ。
生涯、大切にしたい思い出ばかりである。