フィギュアスケートワールド(世界選手権)の男子フリーを観戦した!
今は「四回転時代」と呼ばれているごとく、参加した14名以上の選手が
四回転のジャンプを決めて、プログラムに入れ込んでいた。
まさに、昨年のように「飛ぶか or 飛ばないか」というスタンスから、
「飛んで当たり前で、その先の構成が問題だ」という前提になってきていた。
31日のフリーは、レベルの高い最終滑走者グループだったので、
胸がドキドキ・ワクワクで、日付変更線を越えて、満喫させてもらった。
民放局でリアルタイムにライブ放送とは、本当にありがたい。
日本人男子は、歴代初となる三つの表彰台のうち、二人が台に乗った。
高橋大輔選手が二位(銀メダル)、羽生結弦選手が三位(銅メダル)!
素晴らしいことだと、心から思う。
フィギュアスケート競技というものは、本当に最後まで観ないと語れない。
ジャンプの優雅さ、プログラムの完成度、スケーターの表現する世界観、
スケーティングの技術力の高さ、立ち位置につくまでの時間までもが・・・
すべて競技者の世界となって、アッピール時間となるからだ。
会場のファンはとても正直だし、採点よりも現場で “伝わったもの” が
何よりも一番となるために、その観客の反応もまた 非常に興味深い。
そういう意味では、羽生選手の「意気込み」や「みなぎる闘志」というものは、
若さゆえの純粋な勢いがあって、テレビ観戦でも引き込まれるものがあった。
会場も沸いていたし、画面からも彼の気力と想いが、ひしひしと伝わってきた。
リンクに深々と一礼する行為は、日本人としての礼儀と感謝の念があって、
観ている側にも、“日本人の精神性の素晴らしさ” を思い起こさせてくれる。
最近、羽生選手が自然と手を合わせる行為が増えたりしたのは、おそらく
気持ちの変化があったのではないかと、勝手に想像したりもするが・・・
真摯な姿勢は、羽生選手の本質的な心根を見た気がした。
彼は、本当に 「日本の宝」 だと思う。
今年は、フランス・ニースでの開催で、ジュベール選手・他の母国勢が
注目を集めたと思うし、個人的に「ジュベールの輝き」には、久しぶりに
感動的なものさえも覚えた(最近は、少し悔いが残る演技が多かったから)。
年齢的にも、27歳でありながら「まだまだぁ~」という彼の意気込みが、
すごく新鮮で、心があらわれる清々しさだった。
また、SPのブレジナのプログラムの進化の凄さには、正直、驚いた。
最初に観た時の印象とは、全く違うものとなっていたからだ。
「こんなにも変わるのだ」という・・・顕著な例を見せてもらった。
銀メダルの高橋選手は、これまでと違うフリーの「ブルース」で勝負して、
“強い気持ち” や “体力に裏打ちされた気迫” だけでは表わせられない
色香のような “大人の魅力” をふりまきながら、「ブルース」の音楽性を
ふんだんに 解釈を変えて 表現した。
振付や構成も変えてきていた。
進化したというよりも、余裕のある貫禄を感じられた演技だったと思う。
しっかりと成長を遂げる高橋選手は、さすがだ。
現況、やっぱり、揺るぐことのない「日本王者」である。
SPでは、コンポでお手付きをするも、後半のステップは最高だったし、
来シーズンに、彼が挑戦するプログラムが 楽しみになってきた・・・。
SPは、世界王者:パトリック・チャン選手が一位を死守するも、
内容的には僅差で、本当に今日のフリーでは大逆転もあるほどの結果だった。
だから余計に楽しみだったのだが、やはり混戦を極めたハイレベルな大会。
最初からずっと集中して観戦していたら、ぐったりと疲れてしまった・・・。
個人的には、ガチンスキー選手の演技が観たかったなぁ。 ちょいと残念。
SPで、かなり体型が変わっていて、筋肉なのか・・太ったのか・・・練習不足か・・・
とにかく総合的にキレがなく、それをフリーで確かめたかったのだが・・・。
しかし、この時期に、いつも感じることだが・・・
スケーターがプログラムを決めた時点で、ほとんど半分近くは決まるのが
フィギュアスケートの競技であるような気がする。
内容や構成もさることながら、個性にあっているか、本人がずっと心を込めて
滑り込めるのかどうか、プロがモチベーションの一つに挙げられるのだと思う。
その人にあっていると、違和感のある間合いでも、なんとなく受け入れられ、
流れの一つのように感じてしまうような振付もあるし・・・。
最終的に氷の上に立った競技者の演技が、どんなに一生懸命に遣り遂げても、
バランスのとれた「心に残るプログラム」があってこその記憶だ。
今日のように、ノーミスで素晴らしく滑っても、採点がとれる構成でないと
結果に反映されないようになっている。 加点をもらっても、程度がある。
だから、基礎構成点は、とても重要なのだ・・・。
何度も書くようだが、フィギュアスケートの採点方法は、分かりづらく、
得点基準となる方法が変わったりするため、複雑なものとなっている。
実際、克明に(細やかな)チェックをしていないジャッジも多いと思う。
しかし、観衆も貪欲なもので、華があったり、常に新しいチャレンジをしたり、
進歩した成長が見られるスケーターは、応援したくなるが・・・・・
そうではないスケーターは、どうしても(正直に言うと)飽きられる。
魅力を感じないのだ。
観衆のイメージを超えてこその「トップレベルスケーター」ではないかと思う。
人を引き付けられないスケーターは、競技生活にかかわらず、アイスショーにも
呼んでもらえないだろう。
ジャッジの技術的な評価は競技だからこそ絶対ではあるが、競技を離れれば、
また違った価値観と評価基準でスケーターを見ることになるだろう。
私としては、双方の要素を兼ね備えているスケーターに惹かれる。
男子フリーは、自己ベスト更新の連続だったが・・・記録としては・・・
12年3月31日は、ペアにおいて、日本初の快挙が達成された日でもある。
高橋・トラン組が銅メダルを獲得したのだ。
華奢な高橋成美選手と、マービン・トラン選手のバランスのよい演技。
流れがあって、息があってきたと感じた。
キスアンドクライでの喜びようが、とても愛しかった(笑)。
史上初の記録が塗り替えられていく日本フィギュアスケート界が
今の私には、とても頼もしく思える。
マジで、ソチ(五輪)が楽しみになってきたぞぉ・・・。
結果がついてきた人もそうでない人も、そして、
これから勝負する人もお疲れさまです。
明日の女子も混戦が予想されていて、目が離せない・・・デス。
※鈴木明子選手の銅メダル、おめでとうございます。