最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

泉佐野市ふるさと納税1 事実確認

2020-07-11 14:43:19 | 日記
令和2(行ヒ)68  不指定取消請求事件
令和2年6月30日  最高裁判所第三小法廷  判決  破棄自判  大阪高等裁判所
ふるさと納税制度に係る平成31年総務省告示第179号2条3号のうち,平成31年法律第2号の施行前における寄附金の募集及び受領について定める部分は,地方税法37条の2第2項の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効である

やっと判決文が公開されました。
そもそも泉佐野市は人工島を作りたかったようですが、その集め方がえげつないということで批判の対象になってきました。そこで総務省は、泉佐野市のふるさと納税を対象外と決定しました。

日経新聞によると、争点は返礼品の割合を3割以下とするなどの規制基準を定めて対象自治体を指定する新制度を導入した際、過去の泉佐野市の返礼品の取り扱い状況に基づいて除外を決めたことが妥当かどうかが最大の争点だった。

産経新聞によると、
これに対し第3小法廷は、過去の募集態様を理由に新制度から除外するルールの策定まで総務相に委任されていることは、地方税法の規定などから明確に読み取れないと指摘。ルールのうち、改正法施行前の募集態様を理由に除外できるとした部分のみを違法で無効と判断した。一方で判決は、新制度移行の直前まで、アマゾンギフト券を贈る手法などで寄付募集をエスカレートさせた泉佐野市を「社会通念上、節度を欠いていたと評価されてもやむを得ない」とも指摘した。

私も立法趣旨から言ったら、外資系通販会社の商品券はないだろうと思います。その地域の産品を原則とすべきでこれだけでも、対象外になるのは当然だと思います。

ともあれ判決文を見ていきます。今回は21ページの対策に加え、補足意見があるので分割して掲載します。

事実認定から見ていきます。
1 ふるさと納税(通称)制度は、地方税法の一部改正によって成り立っている。
所得税の所得控除(所得税法78条1項)及び10%相当額の個人住民税の税額控除がされることに加えて,個人住民税の税額控除の金額に所定の上限額の範囲内で特例控除額の加算(以下「特例控除」という。)がされた。

要するに、住民登録がされている市町村に収めなければならない税金を、一部よその自治体に収めてもよいという制度です。

地方税法37条の2第1項,2項及314条の7第1項,2項。なお,市町村民税に係る地方税法314条の7に規定する内容は,道府県民税に係る同法37条の2

(2) 地方団体による返礼品の提供の状況等
イ 高い返礼品を提供する地方団体が多くの寄附金を集める事態が生じたこと等から,返礼品について,換金性の高いものや高額な又は返礼割合の高いものの送付を行わないようにすること等を求めるものであった。
ウ しかし,平成28年度には,返礼割合が3割を超える返礼品を提供する地方団体の数は,全体の64.7%に当たる1156に上った


これはどうなんでしょう。本来はふるさと寄付金であるべきで返礼品はナシにすべきなのでしょうが、それではなかなか制度がうまく回らないので返礼品を用意したということでしょう。しかし、3割超えたからどうのという基準も何をもってその基準を設定したか、その根拠がありません。えいやぁで決めたのでしょうけど。

総務省が平成29年3月頃に行った全国的連合組織(全国知事会,全国市長会及び全国町村会)や有識者等からの意見聴取においては,地方団体間での返礼品の提供競争が過熱していることへの懸念のほか,国において返礼品に係る一定の基準やルールを設けるべきであるとする意見等が示された。

これもどうなんですかね。そもそも有識者会議の有識者とはだれがどのような基準で選ぶのかの規準が公開されているわけでもなく、公聴会もなく事務方が勝手に選べるのですよ。こんなお手盛りの公聴会なんかまったく意味がありません。

エ このような状況を受けて,総務大臣は,地方団体に対する地方自治法245条の4第1項の技術的な助言として,平成29年4月1日付け通知(総税市第28号。以下「平成29年通知」という。)及び同30年4月1日付け通知を発した。平成29年通知は,返礼割合を3割以下とすることを求めるものである。

条文では「指示ができる」旨が書いてあるのにもかかわらず、「技術的助言」で済ませてますよね。その結果は

平成30年11月1日時点において,25地方団体(全体の1.4%)が3割を超える返礼割合の返礼品を提供し,73地方団体(同4.1%)が地場産品以外の返礼品を提供していた。

そりゃそうでしょう。ここでも疑問があります。そもそも返礼品の金額の計算方法が明示されていません。原価なのか、市場価格なのか、棚ずれ品、限定品の扱いはどうするのか、全くありません。これは明らかに行政の不作為ですね。企業でここまでグダグダの経営をやったら明らかに倒産します。
それ以前に、金額全て自治体の好きにやらせてもよかったのではないかと思います。こういう会計基準をどこに設定するのか、正直裏道はいくらでもありえるからです。そして、いくらにするのか文字自体も経営管理能力を育てるのに好き勝手やらせて、その分自治体への補助金を少なくしてそれこそ「自治」をさせる制度でもよかったのではないかと思います。

(3) 本件指定制度を導入する法改正の経緯
ア 返礼割合が3割超又は地場産品以外の返礼品を送付し制度の趣旨をゆがめているような地方団体に対する寄附金については,特例控除が行われないこととすること等が考えられるとの意見が取りまとめられた。
イ 平成30年12月14日に与党(自由民主党及び公明党)により取りまとめられた平成31年度税制改正大綱では,「過度な返礼品を送付し,制度の趣旨を歪めているような地方公共団体については,ふるさと納税の対象外にすることができるよう,制度の見直しを行う」との基本的な考え方と共に,総務大臣が「寄附金の募集を適正に実施する都道府県等」等の所定の基準に適合する地方団体を特例控除の対象として指定することとし,指定をした地方団体が基準に適合しなくなったと認める場合等には指定を取り消すことができることとするとの方針が示された。また,同月21日に閣議決定がされた平成31年度税制改正の大綱(以下「政府税制改正大綱」という。)においても,同様の方針が示された。


明らかに選挙対策ですね。大都市の票田からクレームが相次いだのでしょう。

ウ 過度な返礼品の送付を行っている地方団体に対するペナルティとして制度を設計することとなり,手続保障の面から課題が多いため,一定のルールの中で寄附金の募集を適正に行う地方団体を総務大臣が指定する方式により,特例控除の対象を限定することとする旨の記載がある。
オ 本件法律案は,上記のような審議を経て,平成31年3月27日,平成31年法律第2号(本件改正法)として成立した。本件改正法のうち,本件指定制度の導入等を内容とする地方税法37条の2及び314条の7の改正規定(以下「本件改正規定」という。)は,令和元年6月1日から施行された。


もうグダグダですわ。こうなるのは最初から分かっていたことだと思いませんか?わからなかったとするならば、どれだけアホが総務省にいたのか。行政と立法の怠慢ですね。

余りにも長いので、次回以降に続きます。