最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

4歳、交通事故で脳挫傷、働けないから死ぬまで賠償金を払い続けろは過剰要求

2020-07-24 19:24:06 | 日記
平成30(受)1856  損害賠償請求事件
令和2年7月9日  最高裁判所第一小法廷  判決  棄却  札幌高等裁判所

マスコミでは報道されなかったようです。

(1) 当時4歳の子供が道路を路を横断していたところ,上告人Y1が運転する大型貨物自動車に衝突される交通 事故に遭った。本件事故における過失割合は,上告 人Y1が8割であり,被上告人側が2割である。
(2) 本件事故により脳挫傷,びまん性軸索損傷等の傷害を負い,そ の後,高次脳機能障害の後遺障害が残った。本件後遺障害は,自動車損害賠償保障法施行令別表第2第3級3号に該当するもので あり,被上告人は,これにより労働能力を全部喪失した。
(3) 本件後遺障害による逸失利益として,その就労 可能期間の始期である18歳になる月の翌月からその終期である67歳になる月ま での間に取得すべき収入額を,その間の各月に,定期金により支払うことを求めて いる。


この書き方からすると、横断歩道がなく子供が車道に飛び出した可能性がありますね。

(1) 同一の事故により生じた同一の身体傷害を理由とする不法行為に基づく損 害賠償債務は1個であり,その損害は不法行為の時に発生するものと解される(最 高裁昭和43年(オ)第943号同48年4月5日第一小法廷判決・民集27巻3 号419頁,最高裁昭和55年(オ)第1113号同58年9月6日第三小法廷判 決・民集37巻7号901頁等参照)。したがって,被害者が事故によって身体傷 害を受け,その後に後遺障害が残った場合において,労働能力の全部又は一部の喪 失により将来において取得すべき利益を喪失したという損害についても,不法行為 の時に発生したものとして,その額を算定した上,一時金による賠償を命ずること ができる。・・・不法行為に基づく損害賠償制度は,被害者に生じた現実の損害を金銭的 に評価し,加害者にこれを賠償させることにより,被害者が被った不利益を補塡し て,不法行為がなかったときの状態に回復させることを目的とするものであり,ま た,損害の公平な分担を図ることをその理念とするところである。

不法行為というと意図的にやったように印象を持つ人もいますが、過失も不法行為に入ります。

結論1
交通事故の被害者が事故に起因する後遺障害による逸失利益につ いて定期金による賠償を求めている場合において,上記目的及び理念に照らして相 当と認められるときは,同逸失利益は,定期金による賠償の対象となるものと解さ れる。
(2) 交通事故の被害者が事故に起因する後遺障害による逸失利益について一時金による賠償を求める場合における同逸失利益の額の算定に当たっては,その 後に被害者が死亡したとしても,交通事故の時点で,その死亡の原因となる具体的 事由が存在し,近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情 がない限り,同死亡の事実は就労可能期間の算定上考慮すべきものではないと解す るのが相当である(最高裁平成5年(オ)第527号同8年4月25日第一小法廷 判決・民集50巻5号1221頁,最高裁平成5年(オ)第1958号同8年5月 31日第二小法廷判決・民集50巻6号1323頁参照)。

結論2
上記後遺障害による逸失利益につき定期金による賠償を命ずるに当 たっては,交通事故の時点で,被害者が死亡する原因となる具体的事由が存在し, 近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がない限り,就 労可能期間の終期より前の被害者の死亡時を定期金による賠償の終期とすることを 要しないと解するのが相当である。
・・・
上記後遺障害による逸失利益につき定期金による賠償を命ずるに当 たっては,交通事故の時点で,被害者が死亡する原因となる具体的事由が存在し, 近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がない限り,就労可能期間の終期より前の被害者の死亡時を定期金による賠償の終期とすることを 要しないと解するのが相当である。


それはそうですね。確かに、80過ぎでタクシーの運転手はいます。労働能力については個体差があります。定年延長で67歳としたのは合理性があります。それと同時に、最初から働こうともしないのもいます。これはどう扱いますかね。これも個体差です。
被害者家族からすればその気持ちはわかりますよ。幼い子供が轢かれて、脳挫傷ですから頭蓋骨も割れたでしょう。親が死んだ後に子供はどう暮らしていけばいいのか、せめて入院費用ぐらいはとはと考えるのは分かりますが、それと同時に加害者側も考えなければなりません。
これは殺人ではなく、親の管理が悪くちょろちょろと道路に飛び出したんだしと思うのもわかります。

いずれにせよ、期限は区切って賠償する必要はあるでしょう。

本件事故当時4歳の幼児で,高次脳機能障害という本件後遺障害のため労働能力を全部喪失したというのであり,同逸失利益は将来の長期間にわたり逐次現実化するものであるといえる。これらの事情等を総合考慮すると,本件後遺障害による逸失利益を定期金による賠償の対象とすることは,上記損害賠償制度の目的及び理念に照らして相当と認められるというべきである。

要するに、死ぬまで金を払い続けろというのは無茶な要求と判断したわけです。

裁判官小池裕の補足意見は
1 被害者の死亡によってその後の期間について後遺障害等の変動可能性がなくなったことは,損害額の算定の基礎に関わる事情に著しい変更が生じたものと解することができるから,支払義務者は,民訴法117条を適用又は類推適用して,上記死亡後に,就労可能期間の終期までの期間に係る定期金による賠償について,判決の変更を求める訴えの提起時における現在価値に引き直した一時金による賠償に変更する訴えを提起するという方法も検討に値するように思われ,この方法によって,継続的な定期金による賠償の支払義務の解消を図ることが可能ではないかと考える。

分かりにくいかと思いますので、補足します。一時金による賠償は、将来にわたって支払われる金額をインフレ率を含めて計算したのと解釈されるから、そんなに差はないはずだというようです。

2 不法行為に基づく損害賠償制度の目的及び理念に照らし,定期金による賠償制度の趣旨,手続規定である判決の変更を求める訴えの提起の要件との関連性等を考慮して検討すべきものであると考えられ,定期金による賠償に伴う債権管理等の負担,損害賠償額の等価性を保つための擬制的手法である中間利息控除に関する利害を考慮要素として重視することは相当ではないように思われる。

なんか言いたかっただけのような・・・

裁判官全員一致の意見
裁判長裁判官 小池 裕
裁判官 池上政幸
裁判官 木澤克之
裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也

今回の件は、当然でしょうね。車の所有者であった会社に対する賠償請求ですが、約一人分の給料を死ぬまで払えという要求ですよね。同情はしますが、過失相殺があるとはいえ、さすがに無理な要求で妥当の結果ではないでしょうか。