平成31(行ヒ)40 求償権行使懈怠違法確認等請求及び共同訴訟参加事件
令和2年7月14日 最高裁判所第三小法廷 判決 その他 福岡高等裁判所
国又は公共団体の公権力の行使に当たる複数の公務員が,その職務を行うについて,共同して故意によって違法に加えた損害につき,国又は公共団体がこれを賠償した場合においては,当該公務員らは,国又は公共団体に対し,連帯して国家賠償法1条2項による求償債務を負う
NHKの報道です。
大分県の教員採用試験の汚職事件をめぐり、不合格とされた人たちへの賠償金を、県教育委員会の元幹部などに負担させるべきだと市民グループが訴えた裁判で、最高裁判所は元幹部に2680万円余りを支払わせるよう命じ、判決が確定しました。
平成20年に発覚した教員採用試験をめぐる汚職事件の後、大分県は点数の改ざんで不合格とされた人たちに、9000万円余りを賠償し、元幹部など事件の当事者から一部、弁済を受けましたが、大分市の市民グループは残りもすべて当事者に負担させるべきだと県を訴えました。
福岡高等裁判所が収賄の罪で有罪となった教育委員会の元幹部に955万円余りを支払わせるよう命じ、最高裁では自己破産するなどして、支払えないほかの元幹部2人と債務を分割したのが妥当かどうかが争われました。
いかにも教育委員会らしいグダグダな対処をしましたね。裏金で採用試験を操作するのは、教育委員会としての業務じゃないですよね。これは県は支払いを拒否して、全額こいつらに払わせるべきでした。教員上りは非常識な宇宙人が多いですが、あまりにも情けない。その上、公務員は公務員に甘い。公務員法の大幅な改正が必要だと常々思っています。
では、事実認定からしていきます。
1 教員採用試験において受験者の得点を操作するなどの不正を行い,大分県は,これにより不合格となった受験者らに対して損害賠償金を支払った。
ここからしておかしいですよね。何で県が慰謝料を払ったのか。
県の住民である上告人らが,被上告人を相手に,地方自治法242条の2第1項4号に基づく請求として,本件不正に関与したAらに対する求償権に基づく金員の支払を請求すること等を求める住民訴訟である。
そりゃこういう反応が出るのは当然です。
2(1)平成19年度採用に係る試験(以下「平成19年度試験」という。)が実施された当時,小・中学校教諭及び養護教諭の教員採用試験の事務は県教委の義務教育課人事班が担当し,その合否の決定は教育長が行っていた。県教委には,教育長を補佐し義務教育部門を統括する教育審議監が置かれていた。
(2) 当時教育審議監であったAは,特定の受験者を合格させてほしいなどの相当数の依頼を受け,当時人事班の主幹であったEに対し,これらの依頼に係る受験者の中からAが選定した者を合格させるよう指示した。
Aが,県内の市立小学校の教頭であったB及びその妻であり県内の市立小学校の教諭であったCから100万円の賄賂を収受し,上記依頼のほかにも相当数の同様の依頼を受け,Eに対し,これらの依頼に係る受験者の中からFが選定した者を合格させるよう指示した。
朝日新聞によると名前が出ています。
江藤参事はこの試験で、佐伯市立蒲江小学校長、浅利幾美被告(52)=贈賄罪で起訴=から長男と長女を合格させるよう頼まれ、現金など計400万円相当を受け取ったとして、収賄罪で起訴されている。長女と長男はともに合格し、今年4月から勤務している。
江藤参事の供述によると、1次と2次の合計は1千点満点で、合格ラインは約620点だった。1次試験の終了後、受験者全員の得点表を上層部に見せたところ、「合格ラインに入れろ」と約20人の名前に印を付けて得点表を返されたという。この中に浅利校長の長女の名前もあった。
裁判所の事実認定だとあっさり書いてありますが、かなりえげつない買収だったようですね。
(3) 県は,平成22年12月,和解に基づき,平成19年度試験において本来合格していたにもかかわらず本件不正により不合格とされた者のうち31名に対し,総額7095万円の損害賠償金を支払った。
また,平成20年度採用に係る大分県公立学校の教員採用試験においても,本件不正が行われたところ,県は,平成23年3月,和解に基づき,同試験において本来合格していたにもかかわらず本件不正により不合格とされた22名に対し,総額1950万円の損害賠償金を支払った。
(4) 県は,上記(3)の損害賠償金に関し,平成24年2月までに,県教委の幹部職員等から合計4842万4616円,県教委の教育委員有志等から500万円の各寄附を受けた。
火事見舞いじゃないんだからこんなことにカンパなんか出すなよと思いませんか?こういう感覚が公務員と教員の宇宙人的感覚です。
平成24年2月までに,B夫妻から44万4687円,Aから195万3633円の各支払を受けた。
ナメとんのか!と思いませんか?この年なら少なくとも1000万ぐらいの貯金ぐらいあるでしょう。出しなさいよ。逃げ切るつもりだったのでしょうね。
結論
(1) 国又は公共団体の公権力の行使に当たる複数の公務員が,その職務を行うについて,共同して故意によって違法に他人に加えた損害につき,国又は公共団体がこれを賠償した場合においては,当該公務員らは,国又は公共団体に対し,連帯して国家賠償法1条2項による求償債務を負うものと解すべきである。
公務員が違法行為を知っててわざとやったことについても国家賠償なんですか?これは法の不備ですね。
(2) 本件において,Aは,F及びEと共同して故意に本件不正を行ったというのであり,これにより平成19年度試験において本来合格していたにもかかわらず不合格とされた受験者に損害を加えたものであるから,県に対し,連帯して求償債務を負うこととなる。そうすると,県は,Aに対し,2877万8376円の求償権を有していたこととなるから,同金額からAによる弁済額を控除した2682万4743円の支払を求めることができる。・・・Aに対して2682万4743円及びこれに対する平成25年4月17日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求することを求める限度で認容すべきである。
全員一致でした。当然ですね。
裁判官宇賀克也の補足意見
原審が国家賠償法1条1項の性質について代位責任説を採用し,そこから同条2項の規定に基づく求償権は実質的に不当利得的な性格を有するので分割債務を負うとしていることについて,補足的に意見を述べておきたい。・・・・本件においても,代位責任説を採用したからといって,そこから論理的に求償権の性格が実質的に不当利得的な性格を有することとなるものではなく,代位責任説を採っても自己責任説を採っても,本件の公務員らは,連帯して国家賠償法1条2項の規定に基づく求償債務を負うと考えられる。
ただ何か言いたかっただけみたいです。
裁判長裁判官 林 景一 当然
裁判官 戸倉三郎 当然
裁判官 宮崎裕子 当然
裁判官 宇賀克也 当然
裁判官 林 道晴 当然
公務員の公務に関する意図的な不法行為について、国家賠償は甘くいないですか?法がそうなっているとはいえ、心情的に納得いきません。
懲戒免職になったまではネットで見つかりましたが、刑事事件ではどうなったのか見つかりませんでした。民事事件としても、もっと締め上げていい案件だと思います。
令和2年7月14日 最高裁判所第三小法廷 判決 その他 福岡高等裁判所
国又は公共団体の公権力の行使に当たる複数の公務員が,その職務を行うについて,共同して故意によって違法に加えた損害につき,国又は公共団体がこれを賠償した場合においては,当該公務員らは,国又は公共団体に対し,連帯して国家賠償法1条2項による求償債務を負う
NHKの報道です。
大分県の教員採用試験の汚職事件をめぐり、不合格とされた人たちへの賠償金を、県教育委員会の元幹部などに負担させるべきだと市民グループが訴えた裁判で、最高裁判所は元幹部に2680万円余りを支払わせるよう命じ、判決が確定しました。
平成20年に発覚した教員採用試験をめぐる汚職事件の後、大分県は点数の改ざんで不合格とされた人たちに、9000万円余りを賠償し、元幹部など事件の当事者から一部、弁済を受けましたが、大分市の市民グループは残りもすべて当事者に負担させるべきだと県を訴えました。
福岡高等裁判所が収賄の罪で有罪となった教育委員会の元幹部に955万円余りを支払わせるよう命じ、最高裁では自己破産するなどして、支払えないほかの元幹部2人と債務を分割したのが妥当かどうかが争われました。
いかにも教育委員会らしいグダグダな対処をしましたね。裏金で採用試験を操作するのは、教育委員会としての業務じゃないですよね。これは県は支払いを拒否して、全額こいつらに払わせるべきでした。教員上りは非常識な宇宙人が多いですが、あまりにも情けない。その上、公務員は公務員に甘い。公務員法の大幅な改正が必要だと常々思っています。
では、事実認定からしていきます。
1 教員採用試験において受験者の得点を操作するなどの不正を行い,大分県は,これにより不合格となった受験者らに対して損害賠償金を支払った。
ここからしておかしいですよね。何で県が慰謝料を払ったのか。
県の住民である上告人らが,被上告人を相手に,地方自治法242条の2第1項4号に基づく請求として,本件不正に関与したAらに対する求償権に基づく金員の支払を請求すること等を求める住民訴訟である。
そりゃこういう反応が出るのは当然です。
2(1)平成19年度採用に係る試験(以下「平成19年度試験」という。)が実施された当時,小・中学校教諭及び養護教諭の教員採用試験の事務は県教委の義務教育課人事班が担当し,その合否の決定は教育長が行っていた。県教委には,教育長を補佐し義務教育部門を統括する教育審議監が置かれていた。
(2) 当時教育審議監であったAは,特定の受験者を合格させてほしいなどの相当数の依頼を受け,当時人事班の主幹であったEに対し,これらの依頼に係る受験者の中からAが選定した者を合格させるよう指示した。
Aが,県内の市立小学校の教頭であったB及びその妻であり県内の市立小学校の教諭であったCから100万円の賄賂を収受し,上記依頼のほかにも相当数の同様の依頼を受け,Eに対し,これらの依頼に係る受験者の中からFが選定した者を合格させるよう指示した。
朝日新聞によると名前が出ています。
江藤参事はこの試験で、佐伯市立蒲江小学校長、浅利幾美被告(52)=贈賄罪で起訴=から長男と長女を合格させるよう頼まれ、現金など計400万円相当を受け取ったとして、収賄罪で起訴されている。長女と長男はともに合格し、今年4月から勤務している。
江藤参事の供述によると、1次と2次の合計は1千点満点で、合格ラインは約620点だった。1次試験の終了後、受験者全員の得点表を上層部に見せたところ、「合格ラインに入れろ」と約20人の名前に印を付けて得点表を返されたという。この中に浅利校長の長女の名前もあった。
裁判所の事実認定だとあっさり書いてありますが、かなりえげつない買収だったようですね。
(3) 県は,平成22年12月,和解に基づき,平成19年度試験において本来合格していたにもかかわらず本件不正により不合格とされた者のうち31名に対し,総額7095万円の損害賠償金を支払った。
また,平成20年度採用に係る大分県公立学校の教員採用試験においても,本件不正が行われたところ,県は,平成23年3月,和解に基づき,同試験において本来合格していたにもかかわらず本件不正により不合格とされた22名に対し,総額1950万円の損害賠償金を支払った。
(4) 県は,上記(3)の損害賠償金に関し,平成24年2月までに,県教委の幹部職員等から合計4842万4616円,県教委の教育委員有志等から500万円の各寄附を受けた。
火事見舞いじゃないんだからこんなことにカンパなんか出すなよと思いませんか?こういう感覚が公務員と教員の宇宙人的感覚です。
平成24年2月までに,B夫妻から44万4687円,Aから195万3633円の各支払を受けた。
ナメとんのか!と思いませんか?この年なら少なくとも1000万ぐらいの貯金ぐらいあるでしょう。出しなさいよ。逃げ切るつもりだったのでしょうね。
結論
(1) 国又は公共団体の公権力の行使に当たる複数の公務員が,その職務を行うについて,共同して故意によって違法に他人に加えた損害につき,国又は公共団体がこれを賠償した場合においては,当該公務員らは,国又は公共団体に対し,連帯して国家賠償法1条2項による求償債務を負うものと解すべきである。
公務員が違法行為を知っててわざとやったことについても国家賠償なんですか?これは法の不備ですね。
(2) 本件において,Aは,F及びEと共同して故意に本件不正を行ったというのであり,これにより平成19年度試験において本来合格していたにもかかわらず不合格とされた受験者に損害を加えたものであるから,県に対し,連帯して求償債務を負うこととなる。そうすると,県は,Aに対し,2877万8376円の求償権を有していたこととなるから,同金額からAによる弁済額を控除した2682万4743円の支払を求めることができる。・・・Aに対して2682万4743円及びこれに対する平成25年4月17日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求することを求める限度で認容すべきである。
全員一致でした。当然ですね。
裁判官宇賀克也の補足意見
原審が国家賠償法1条1項の性質について代位責任説を採用し,そこから同条2項の規定に基づく求償権は実質的に不当利得的な性格を有するので分割債務を負うとしていることについて,補足的に意見を述べておきたい。・・・・本件においても,代位責任説を採用したからといって,そこから論理的に求償権の性格が実質的に不当利得的な性格を有することとなるものではなく,代位責任説を採っても自己責任説を採っても,本件の公務員らは,連帯して国家賠償法1条2項の規定に基づく求償債務を負うと考えられる。
ただ何か言いたかっただけみたいです。
裁判長裁判官 林 景一 当然
裁判官 戸倉三郎 当然
裁判官 宮崎裕子 当然
裁判官 宇賀克也 当然
裁判官 林 道晴 当然
公務員の公務に関する意図的な不法行為について、国家賠償は甘くいないですか?法がそうなっているとはいえ、心情的に納得いきません。
懲戒免職になったまではネットで見つかりましたが、刑事事件ではどうなったのか見つかりませんでした。民事事件としても、もっと締め上げていい案件だと思います。