最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

トンデモ判決:画像のリツイート制限

2020-07-31 17:15:12 | 日記
平成30(受)1412  発信者情報開示請求事件
令和2年7月21日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却  知的財産高等裁判所

1 著作権法19条1項の「著作物の公衆への提供若しくは提示」は,同法21条から27条までに規定する権利に係る著作物の利用によることを要しない
2 SNSにおける他人の著作物である写真の画像を含む投稿により,同画像が,著作者名の表示が切除された形で同投稿に係るウェブページの閲覧者の端末に表示された場合に,当該表示画像をクリックすれば元の画像を見ることができるとしても,同投稿をした者が著作者名を表示したことにはならないとされた事例
3 SNSにおける他人の著作物である写真の画像を含む投稿をした者が,プロバイダ責任制限法4条1項の「侵害情報の発信者」に該当し,「侵害情報の流通によって」氏名表示権を侵害したものとされた事例


産経ビズの報道です。
自らが撮影したスズランの写真の左上に「転載厳禁」、左下に著作権を示す「(c)」マークと名前を記し、自身のウェブサイトに掲載した。この画像がツイッターに無断転載され、さらにリツイートされた。
男性側は最初の投稿者とともに、リツイートした利用者の情報も開示するよう米ツイッター社に請求。無断転載はツイッター社も著作権(公衆送信権)侵害を争わず、最初の投稿者の情報開示は2審で確定した。・・・・
侵害の理由は、投稿が並ぶツイッターのタイムラインで投稿画像の上下が自動的にトリミング(切り取り)され、男性の名前が見えなくなるからだ。だが、これは最初の投稿も同じ。そもそもツイッターのシステム上、画像は横長の枠に合わせて部分表示される仕様で、利用者の意図とは無関係にトリミングされる。
 ツイッター社側は画像をクリックすれば名前を含む元画像が表示されるとも主張したが、判決では、元画像があるのはタイムラインと別のページに過ぎないと一蹴した。戸倉三郎裁判官は判決の補足意見で「他人の著作物を投稿する際には必要な配慮」と戒めたが、ネット上では判決に対し「リツイートまで責任負うのはきつい」「もう二度とリツイート自体できない」などと批判が相次いだ。


Business Insiderの報道です。
(1) 自身が撮影し、クレジットを付けてサイトに掲載した写真を無許可でTwitterのプロフィール画像に設定したTwitterユーザー
(2) 1の画像をコピーしてツイートしたユーザー
(3) 2のツイートをRTしたユーザー
(1)・(2)のユーザーは写真家の公衆送信権を侵害しており、2審(知財高裁判決)でも争いのない「事実」として認定された。
問題となったのは(3)の「ツイートをRTしたユーザー」についての訴えだ。
2審の知財高裁はRTしたユーザーを「自動公衆送信の主体」とは認めず、幇助とも認定しなかった。
一方で(3)のツイートをRTしたユーザーは著作者人格権(同一性保持権、氏名表示権)を侵害したと認定。発信者情報の開示をTwitter社に命じた。


では、裁判所の事実認定を見ていきます。
(1) 被上告人は,写真家であり,本件写真の著作者である。
上告人は,ツイッターを運営する米国法人である。
(2) 被上告人は,平成21年,本件写真の隅に「©」マーク及び自己の氏名をアルファベット表記した文字等(以下「本件氏名表示部分」という。)を付加した画像(以下「本件写真画像」という。)を自己のウェブサイトに掲載した。


画像を見ましたが、縦長で左下の端っこに名前が出ています。Twitterの画像は横長に切り取られています。

1 著作権法19条1項の「著作物の公衆への提供若しくは提示」は,同法21条から27条までに規定する権利に係る著作物の利用によることを要しない
2 SNSにおける他人の著作物である写真の画像を含む投稿により,同画像が,著作者名の表示が切除された形で同投稿に係るウェブページの閲覧者の端末に表示された場合に,当該表示画像をクリックすれば元の画像を見ることができるとしても,同投稿をした者が著作者名を表示したことにはならないとされた事例
3 SNSにおける他人の著作物である写真の画像を含む投稿をした者が,プロバイダ責任制限法4条1項の「侵害情報の発信者」に該当し,「侵害情報の流通によって」氏名表示権を侵害したものとされた事例


産経ビズの報道です。
自らが撮影したスズランの写真の左上に「転載厳禁」、左下に著作権を示す「(c)」マークと名前を記し、自身のウェブサイトに掲載した。この画像がツイッターに無断転載され、さらにリツイートされた。
男性側は最初の投稿者とともに、リツイートした利用者の情報も開示するよう米ツイッター社に請求。無断転載はツイッター社も著作権(公衆送信権)侵害を争わず、最初の投稿者の情報開示は2審で確定した。・・・・
侵害の理由は、投稿が並ぶツイッターのタイムラインで投稿画像の上下が自動的にトリミング(切り取り)され、男性の名前が見えなくなるからだ。だが、これは最初の投稿も同じ。そもそもツイッターのシステム上、画像は横長の枠に合わせて部分表示される仕様で、利用者の意図とは無関係にトリミングされる。
 ツイッター社側は画像をクリックすれば名前を含む元画像が表示されるとも主張したが、判決では、元画像があるのはタイムラインと別のページに過ぎないと一蹴した。戸倉三郎裁判官は判決の補足意見で「他人の著作物を投稿する際には必要な配慮」と戒めたが、ネット上では判決に対し「リツイートまで責任負うのはきつい」「もう二度とリツイート自体できない」などと批判が相次いだ。


Business Insiderの報道です。
(1) 自身が撮影し、クレジットを付けてサイトに掲載した写真を無許可でTwitterのプロフィール画像に設定したTwitterユーザー
(2) 1の画像をコピーしてツイートしたユーザー
(3) 2のツイートをRTしたユーザー
(1)・(2)のユーザーは写真家の公衆送信権を侵害しており、2審(知財高裁判決)でも争いのない「事実」として認定された。
問題となったのは(3)の「ツイートをRTしたユーザー」についての訴えだ。
2審の知財高裁はRTしたユーザーを「自動公衆送信の主体」とは認めず、幇助とも認定しなかった。
一方で(3)のツイートをRTしたユーザーは著作者人格権(同一性保持権、氏名表示権)を侵害したと認定。発信者情報の開示をTwitter社に命じた。


では、裁判所の事実認定を見ていきます。
(1) 被上告人は,写真家であり,本件写真の著作者である。
上告人は,ツイッターを運営する米国法人である。
(2) 被上告人は,平成21年,本件写真の隅に「©」マーク及び自己の氏名をアルファベット表記した文字等(以下「本件氏名表示部分」という。)を付加した画像(以下「本件写真画像」という。)を自己のウェブサイトに掲載した。


画像を見ましたが、左端の端っこに名前が書いてあります。具体的なものは、Business Insiderの真ん中あたりに出ています。写真家として、写真の雰囲気を壊さない範囲でつけたのでしょう。

(3) 平成26年12月,原判決別紙アカウント目録記載「アカウント2」のツイッター上のアカウントにおいて,被上告人に無断で,本件写真画像を複製した画像の掲載を含むツイートが投稿された。

いわゆるコピペです。

(4) その後,原判決別紙アカウント目録記載「アカウント3~5」のツイッター上の各アカウント(以下「本件各アカウント」という。)において,それぞれ,上記(3)のツイートのリツイート(第三者のツイートを紹介ないし引用する,ツイッター上の再投稿)がされた。

リツイートですね。

本件においても,これにより,本件各表示画像は,上記(4)のとおりトリミングされた形で上記端末の画面上に表示され,本件氏名表示部分が表示されなくなったものである。

1 所論は,①本件各リツイート者は,本件各リツイートによって,著作権侵害となる著作物の利用をしていないから,著作権法19条1項の「著作物の公衆への提供若しくは提示」をしていないし,②本件各ウェブページを閲覧するユーザーは,本件各リツイート記事中の本件各表示画像をクリックすれば,本件氏名表示部分がある本件元画像を見ることができることから,本件各リツイート者は,本件写真につき「すでに著作者が表示しているところに従って著作者名を表示」(同条2項)しているといえるのに,本件各リツイートによる本件氏名表示権の侵害を認めた原審の判断には著作権法の解釈適用の誤りがあるというものである。

①リツイートした場合は、最初にツィートしたところに辿れるのだから著作権侵害じゃないでしょう。②クリックすれば大元の画像に行くし、そこで著作者の名前が出ているのだから問題ないよね。という反論のようです。

①著作権法19条1項は,文言上その適用を,同法21条から27条までに規定する権利に係る著作物の利用により著作物の公衆への提供又は提示をする場合に限定していない。また,同法19条1項は,著作者と著作物との結び付きに係る人格的利益を保護するものであると解されるが,その趣旨は,上記権利の侵害となる著作物の利用を伴うか否かにかかわらず妥当する。そうすると,同項の「著作物の公衆への提供若しくは提示」は,上記権利に係る著作物の利用によることを要しないと解するのが相当である。・・・・本件各リツイートによって,上記権利の侵害となる著作物の利用をしていなくても,本件各ウェブページを閲覧するユーザーの端末の画面上に著作物である本件各表示画像を表示したことは,著作権法19条1項の「著作物の公衆への・・・提示」に当たるということができる。

何か変ですよね。そもそも本やDVDからの転写ではなく、著作権者がHPに上げていたものでしょう?これは論点になるんですか?

②本件各リツイート者が本件各リツイートによって本件リンク画像表示データを送信したことにより,本件各表示画像はトリミングされた形で表示されることになり本件氏名表示部分が表示されなくなったものである。

そもそもツィッターの仕様上、端っこが切れるんですよね。著作権者として、自分の名前が消されるのは腹立たしいです。この気持ちはわかりますが、だったら写真のど真ん中に名前を出したらいいじゃないですか。例えばGettyAfloみたいにすればいいだけの話で、売り物であるならばそのくらいの対処は必要です。大した手立てもしておらずに、コピペされたと怒るのはどうかと。プロならばそのくらいは準備しておくべきですよ。

(3) 以上によれば,本件各リツイート者は,本件各リツイートにより,本件氏名表示権を侵害したものというべきである。これと同旨の原審の判断は,正当として是認することができる。

敢えて言うならば、元の画像を切り貼りしたというレベルでの著作権侵害ですよね。しかし、それもどうなんですかね。画像の販売で実害があったのでしょうか?

以上によれば,本件各リツイートによる本件氏名表示権の侵害について,本件各リツイート者は,プロバイダ責任制限法4条1項の「侵害情報の発信者」に該当し,かつ,同項1号の「侵害情報の流通によって」被上告人の権利を侵害したものというべきである。

著作者人格権の保護やツイッター利用者の負担回避という観点はもとより,社会的に重要なインフラとなった情報流通サービスの提供者の社会的責務という観点からも,上告人において,ツイッター利用者に対する周知等の適切な対応をすることが期待される。

おいおい、Twitterってどんなもんか知ってる?アホか!のレベルですね。当然反対意見が出ます。

裁判官林景一の反対意見
本件氏名表示部分が表示されなくなったことから,本件各リツイート者による著作者人格権(同一性保持権及び氏名表示権)の侵害を認めた。しかし,本件改変及びこれによる本件氏名表示部分の不表示は,ツイッターのシステムの仕様(仕組み)によるものであって,こうした事態が生ずるような画像表示の仕方を決定したのは,上告人である。これに対し,本件各リツイート者は,本件元ツイートのリツイートをするに当たって,本件元ツイートに掲載された画像を削除したり,その表示の仕方を変更したりする余地はなかったものである。

訴える相手がおかしいんじゃないですか?と言っているのと同じです。リツイートした人ではなく、twitter社をまず訴えるべきです。

本件においては,元ツイート画像自体は,通常人には,これを拡散することが不適切であるとはみえないものであるから,一般のツイッター利用者の観点からは,わいせつ画像等とは趣を異にする問題であるといえる。多数意見や原審の判断に従えば,そのようなものであっても,ツイートの主題とは無縁の付随的な画像を含め,あらゆるツイート画像について,これをリツイートしようとする者は,その出所や著作者の同意等について逐一調査,確認しなければならないことになる。

裁判長裁判官 戸倉三郎  トンデモ
裁判官 林 景一  まとも
裁判官 宮崎裕子 トンデモ
裁判官 宇賀克也 トンデモ
裁判官 林 道晴 トンデモ

少なくともTwitterをやっている裁判官と言えば高裁のパンツ姿を晒した裁判官ぐらいで、こういうのを知らないのではないかと思います。諸外国でどうなっているのか調べなかったのでしょうか。

先ほどのBusiness Insiderの下の方に紀藤弁護士はこう述べています。
ITと著作権に詳しい紀藤正樹弁護士は、「日本の著作権法はとんでもなく遅れているということ」と率直な感想を述べる。
日本の著作権法では「著作権侵害をしたか、しないかしかない」(紀藤弁護士)。これは日本の著作権法に「フェアユース」の概念がないためだ。


おっしゃる通りで、写真のコピー無断使用されたくなければがっちりと著作権者の名前をど真ん中に入れるとか、論文ならばテキストベースではなく画像データにするとか、もう少し対策を取るべきで、そうでないものはもう少し緩くていいのではないかと思います。