どんなに冷たいといっても雪にならないのだからましだろうと思う。パソコン作業が終わらず。正午から稽古、夜は衣裳と美術の打合せ。十時も回ってから加藤ちかの強い要望で西原梨恵さんと三人で武蔵関の居酒屋Mへ。
最近唯一観た映画はケベックの『灼熱の魂』(監督・脚本/ドゥニ・ヴィルヌーヴ)だが、原作はレバノン出身のワジディ・ムアワッドの戯曲である。彼の『約束の血』四部作の第二部にあたる。完結編の第四部の『CIELS』は『屋根裏』に似ていると言われたのでパリ・オデオン座のスタジオで見たが、小さい小部屋を複数出すところが共通点(?)だったか。全方位を演技エリアにするという点で〈地下空港〉の昨年末の作品は少し似ていた。『灼熱の魂』も『CIELS』も社会的な素材ということになるのだろうが、メロドラマというか血縁に関わる因果話であることは共通している。いささか作り過ぎと思わざるを得ない面もある『灼熱の魂』だが、ファーストシーンの少年が何者であったかがわかるとき、一種の「普遍」というべき視点を獲得していることがわかる。映画としてよくできている。