招き猫マークである。
私が一年間だけいた大学演劇部の先輩というかOBだったSさんが、プリンストン大学の街中にあるパブリック図書館に向かう途上の地面で見つけたという、直径2センチほどのシールの写真。
PRINCETON CONSIGNMENT というのは、古着屋・古道具屋の類のお店の名前らしい。
このシールを、通りがかったSさんが、アスファルトの地面にあるのをたまたま発見し、面白く思って、写真をFBに載せた。それを見た私が、何しろ招き猫発祥の地・豪徳寺近くに事務所があるということもあって、興味津々となった(なにしろ豪徳寺じゅう、招き猫のマスコット的なお土産を売っている)。
Sさんが言うには、小さな子が貼っつけたのか、たまたま風にのって、Forrest Gump の羽根のように、ここまで来て、貼っついた。それをこうして面白がる私たちがいるというこの「へめぐり」そのものが、確かに、面白い。
Sさんはずっと海外で働いているのだ。ずいぶんお目にかかっていない。
ドイツの友人が大阪でレストランを開いたとき、招き猫を贈ったのだが、あれはどうやら毎年リニューアルしないといけないという説もあるらしい。いや、きっと商売上手の招き猫販売商戦なのであろう。
招き猫は、日本オリジナルなのだろうか。実は中国にもそういう伝承があったりして、みたいなことはないか。
ともあれ、この写真、もとのシールは二センチなのだという。プリンストンの古着屋・古道具屋がなぜこの商標を選んだのか知る由もないが、いろいろと想像が膨らむ。
この招き猫が面白いのは、尻尾が見えるところだ。
Sさんの劇団に一度だけ客演で出たことがある。三七年前のことだ。劇場は、もう今はない、渋谷のプルチネラというカフェ風の場所だった。その翌年、その渋谷の西武劇場(現PARCO劇場)で演出助手をすることになるのだった。なんだか大昔のことを、思い出していた。
仕事で頭の中がぱんぱんなので、そういうとりとめもない思い出が、かえってぐるぐる意識の周辺を巡っていたりする。