以前に乳児を議場に連れてきたことで厳重注意を受けた熊本市の緒方夕佳市議が、今度は同市議会の定例会で、「のど飴」を口に含んで質疑をしていたことで退席処分となった。彼女は議長に質問され「のどを痛めておりまして」と説明したが、「臨時休会」を提起する議員が続出。議会進行は約八時間止まって紛糾したという。
彼女が「咳がうるさい」などの指摘を受けていたのも本当だろうし、彼女が銘柄まで挙げて説明したように「龍角散のど飴」を「薬」として服用していたのであれば、「議会の品位」に関わる問題などであるはずもない。
この事件の、熊本市議会の差別性やいじめ体質は明らかだし、その問題点は多くの方のご指摘通りだ。他の国では咎められないという例もあった。
なめるのを、龍角散が発売している「飴をなめていることを悟られない」より小さなタブレット(写真)にしておけばよかったとか、議会の空気を読んでいたのであれば事前に飴の服用をことわっていればそのほうがよかったとかいう意見も、まあ、わからないではないが、それは些細な問題だ。
私はのど飴よりも「八時間」が気になる。
彼女は「市民からの請願」をめぐる質疑をしていたのである。それに対応しない議会に我慢できず体調をおして質疑したのである。議会は「議会の品位」よりも、議会本来の業務として、その請願の内容をこそ検討すべきではないのか。
緒方市議に謝罪を書かせる暇があったら、彼女の「市民からの請願をめぐる質疑」を誰かに代読させたっていいから、とんとん先にすすめて、その内容について話しあうべきだったはずである。議員たちの誰かが「もうのど飴の話に時間かけるのやめようよ」となぜ言い出さないのか。進行を担うべき議長はいったい何をしていたのか。
ところが彼らは、ふだんなら午前中に終わるはずの議会を、八時間にわたって紛糾させた、というのである。
八時間、である。
暇なのか。
市会議員の多くが「専任」ではなくほとんど別な本業を持った人が選ばれている国もある。
熊本の市会議員たちは、明らかに暇である。こんな無駄なことに予定外の時間をさけるくらいには、のんびりしている。
この件は、そういう意味でも、日本の市議会、区議会の成り立ち自体が、問われているのではないかと思う。