『九月、東京の路上で』岡山・天神山文化プラザ公演終了。五十五年前に建てられた建築。県立図書館も中にあったのでよく通った。この吹き抜け三階分ある外壁彫刻も子供の頃から見ている。学習室で勉強すると言ってここに来るのだが、結局うろうろしていたものだ。
5年前ここで『屋根裏』をやったときは海外も含めて十五都市ツアーの一つだった慌ただしさで、会場の周囲を見てはいなかったと、振り返って思う。
全公演が終わって安堵しているが、ここでの公演で印象的だったのは、土曜日の夜の回、終演後ロビーにいた私に、「これを演劇にして下さってありがとう」と涙ぐんで話しかけて下さった年長の女性のお客様がおられたことだ。
統一地方選挙の無惨な結果に呆れながら、それでも一人一人の人間の中にあるはずの、社会の理不尽への怒り、正しいことが行われるべきだという意識を信じたい。