熊谷博子監督の新作『作兵衛さんと日本を掘る』。
2011年5月25日、筑豊炭田の元炭坑夫の描いた記録画と日記697点が、日本初のユネスコ世界記憶遺産になった。
作者の山本作兵衛さん(1892-1984)は、福岡県の筑豊炭田で、幼い頃から働いた。専門的な絵の教育は一度も受けていないという。「1964年の東京オリンピックの喧騒を遠くに感じていた労働者の見た風景は、 2020年、変わっているのだろうか?」と、映画は、提起する。
石炭から石油へというエネルギー革命で、国策により炭鉱が次々と消えていく。そして原子力発電へ。いつ崩れるかもしれない炭鉱での命がけの作業は、現在の原発労働、廃炉さえ叶わぬ「現状維持」のための被曝の現実に繋がる。
とても不思議な鑑賞体験。示唆に富む。
多くの場合は違和感を生むドローンの撮影を、「時差」を埋めるための装置として、機能させている。とにかく作り手の苦心が伝わってくる。
黒田京子(作曲・ピアノ)・喜多直毅(ヴァイオリン)による音楽が、素晴らしく、美しい。ヴァイオリンの旋律が、耳に残る。
来月末、ポレポレ東中野等で公開。
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※ 追加情報
で、私は、この映画の〈ゴットン・トーク!〉に出演することになりました。
5/31(金) 15:30の回上映後、熊谷博子監督と一緒です。
なんか、他の日のゲストが豪華すぎて、俺でいいのかい、と思ってしまうのだが。
俺の回でなくていいから、この映画は観てほしいよ。
作兵衛さんの絵も、音楽も、すごいよ。
この映画をつくろうと思った監督、かっこいいよ。
知らなかったことを知る喜びを、たっぷり味わえます。
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