『ランナーもマスクを』 世界初演。(世界初演、は、大袈裟だが、まあ許していただこう)
『ランナーもマスクを』は、十年ぶりに復刊した戯曲雑誌〈せりふの時代〉のために書き下ろしたものである。上演のあてもなく戯曲を書いたことはあまりないのだが、こんなコロナの季節に、暢気な、人を食ったものを書いてみた。
昨年春、杉並区・神田川沿いの、幅がそう広くもない遊歩道のフェンスに、「ランナーもマスクを」という張り紙が、幾つもつけられていた。なかなか凝っていて、男女それぞれのランナーを描いたものもあり、かなりの数が張られていた。民間のどなたかが自発的になさったことである。
その張り紙の隣に、お役所によって「張り紙は禁じられているので剥がすように」という、「お知らせ」がかけられていた。
禁じてはいるが、決して剥がさないのである。ひょっとしたら所轄の担当者も、「ランナーもマスクを」という趣旨には賛同していて、法律上、やむなく「お知らせ」をつけていたのであろうか。
しばらく公認放置状態にあったこの張り紙は、「お知らせ」で予告されていたように、4月末日までに外された。既にほとんどのウォーキング組やランナーたちは、マスクをしていた。
たまに遊歩道に出る私も、吉祥寺で何週間も「閉店セール」を続けていた靴屋で、あたらしいランニングシューズを買った。
以上が、この戯曲の背景である。
このたび、思いがけず上演できることになった。髙山植物園さんに、感謝である。
上演情報
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8月 14、15日 上田・犀の角
髙山植物園 presents 〈HAKOとタカヒロ〉企画 『はしるふたり』
大島葉子と大西孝洋が三つの役を演じます。
復刊した「せりふの時代」に掲載された拙作『ランナーもマスクを』、初演となります。
トリプルビル – 3作品連続上演 –
「私の自転車」 作・清水弥生
「月曜日に看護師は恋をする」 作・髙山さなえ
「ランナーもマスクを」 作・坂手洋二
[ 公演日程 ]
於:犀の角
日程:8月14日(土)16:30 / 19:30
8月15日(日)14:00
[ 料金 ]
前売 2000円
当日 2500円
U-25 1500円
予約先 tkymshokubutsuen@gmail.com
(観劇日時・お名前・ご連絡先(携帯番号)・人数、をご記入の上メールをお送り下さい)
http://sainotsuno.org/event/takayamashokubutsuen_hashiruhutari/
「せりふの時代 2021」、まだお持ちでない方は、存続できるよう、ぜひご購入ください。(税込1,650円 小学館 ISBN 978-4-86184-102-6)