日本ペンクラブが本日出した声明 「安倍晋三氏の国葬について、まずは当面延期が望ましい」には、違和感がある。
いや、はっきり、間違っていると思う。
「延期」じゃないだろう。「中止」以外は許すべきではないだろう。
「国葬」そのものに対して意見がないのが、ダメ。政教分離についての判断がないのが、ダメ。何かを断定しなくてもいいが、前提を認めたようになるのは、間違っていると思う。
「閣議決定」について、はっきり否定していないのが、ダメ。唐突感じゃないでしょう。ここは明瞭に、この国の、国会否定であり、憲法違反です。
「活動に大きな疑義が提起されている特定の宗教団体との関係」「様々な未解決の問題」について、明言していないのが、ダメ。これも断言しなくてもいいが、「疑惑」「未解決」が解決に向かっていないことについて、現論人として意見を提示できているのか。
また、「国会議員のみなさんへ」、では、ないはず。表現に関わる全国民と関係している問題だ。
自由闊達で多様な意見を、持っているなら、どんどん出そうよ。
私もペンクラブの一員として、言わせていただく。
日本ペンクラブの「ミャンマーにおける表現の自由、ならびに日本のジャーナリスト、久保田徹氏の即時釈放を強く求める。」という声明は、必要だったが、今日の、こんな中途半端な、容認に繋がるようにもとられかねない声明は、必要だったのか?
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国会開会の日に国会議員のみなさんへ
政府が閣議決定で実施を予定している国葬は、いわば故人のお別れ会です。そうであれば、拙速に行うことなく、活動に大きな疑義が提起されている特定の宗教団体との関係も含め、様々な未解決の問題が解決した後で、国会で議論を経たうえ議決し、心を込めて故人を偲ぶのがよいのではないでしょうか。
先例においても手続き上の問題が国会の場で指摘されていた、閣議決定による国葬を強行することは、あまりにも唐突感が否めず、当該政治家を権威化することにつながります。それは、本来あるべき政治家としての政策検証すらも行いづらくする効果を生むことでしょう。現役政治家としていまだ評価が定まっていないなかで、自由闊達で多様な意見を押しとどめるようなことを時の政権が行うことは、自由で民主的な社会としてふさわしくありません。
2022年8月3日
日本ペンクラブ
会長 桐野夏生
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