ベケット氏の『ゴドーを待ちながら』で「ゴドーさんは来ないよ」と告げに来る少年の存在についてはよく取り沙汰されるが、なかなかその実体は特定されるものではない。
『ブレスレス ゴミ袋を呼吸する夜の物語』前半ラストに出てくる「少女」は、雪を待ち、終末を待っている「パパ」に、「20世紀」が来ることを告げに来るのだが、最後には、「さよなら、20世紀の人」と、「パパ」に呼びかけて去ってしまう。
南谷朝子さんがこの「少女」を「GODかもしれない」と書かれていて、慧眼だと思った。「ゴドーさんは来ないよ」と告げに来る少年こそゴドーだ、という意見も、過去にあったかもしれない。
『ブレスレス ゴミ袋を呼吸する夜の物語』予定の20ステージのうち8ステージしか上演できなかったが、
溝畑藍さんの演ずる「少女」に、私もまた会いたいな、と思う。
写真・溝畑藍、大西孝洋。
撮影・姫田蘭。