Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

選挙中もオリンピック中も、放射能は漏れ続ける

2014-02-14 | Weblog
安倍総理大臣は衆議院予算委員会で、高速増殖炉「もんじゅ」について、「さまざまなトラブルがあり、開発が順調に進んで来ていないことも事実だ。政府としても、反省すべき点はしっかりと反省しながら、今後対応していかなければならない」、核燃料サイクル政策に関連して「利用目的のないプルトニウムを持たないという原則を堅持しなければならない。今後とも、わが国は、核兵器非保有国でありながら原子力の平和利用を進める模範国として、プルトニウム利用の透明性の向上を図り、核不拡散などに貢献していく考えだ」と発言。
国の新たなエネルギー基本計画をはどうまとめるつもりだろう。
本音は原発を作りうる「正当な」プルトニウム保有国の仲間入りを果たし、その立場を維持できる体制を敷きたいということだろうが、今の日本の国際的不人気がそれを許さないだろう。

東京電力が、福一原発で働く作業員の待遇面など労働環境改善のために実施しているアンケートを、元請け企業を通じて回収しているらしいが、作業員たちの話では、下請け企業の中には、立場の弱い作業員たちの回答を提出前にチェックしたり、回答内容を指示したりするところもあるという。作業員からは「こんなやり方では実態は分からず、改善につながらない」という声が上がっているという。
目安箱(回収箱)を設置するような方式ではなく、会社を通して回収されるというから、ちゃんとした「現場の声」が届けられるとは思えない。
日当アップが現場に反映されているかどうかを確かめるアンケートも続けるというが、線量計の不正使用を目撃しても見なかったと書くよう指示された作業員もいるという現状では、本当のことがちゃんと反映されるとは思えない。

東電福1原発事故による放射線の影響を調べている福島県の「県民健康管理調査」の検討委員会によると、甲状腺がんと診断が「確定」した子どもは前回(昨年11月)の26人から7人増え33人になったという。「がんの疑い」は41人(前回は32人)にのぼる。
「確定」と「疑い」に加え、手術の結果「良性」と判明した1人を含む合わせて「発症75人」のうち24人について、原発事故が起きた平成23年3月11日から4カ月間の外部被曝線量も公表された。1ミリシーベルト未満が15人、1ミリシーベルト以上2ミリシーベルト未満が9人ということだ。
福島の小児甲状腺がんはベラルーシを超える世界最悪の状況になっているという情報が出回っている。チェルノブイリ原発事故後のベラルーシよりも、日本の福島の方が、比較出来ないほど悪いデータが出ているという。
きちんとマスコミで報道されていないのはなぜだろうか。

都知事選に出馬した田母神俊雄なる人物はテレビで、
「どんなものにもリスクはある。だけど「福島の原発周辺はたぶん放射能的に危なくない。動物はみんな元気に走り回っている。原発の上を飛んでいるカラスも落ちてこない。だけど危ないといって強制避難させている。放射能で障害を受けたり、亡くなったりした人はいない。強制避難でいっぱい亡くなっている。核のゴミでいっぱいになるとか、核の技術者に聞きました。柏崎刈羽の7基を23年間使って、総量は10メートルの立方でしかない。再処理すればもっと減る。もんじゅと六ケ所村の再処理施設を使って核のリサイクル循環型を目指してきた。それが止まってしまうことが恐ろしい。韓国も中国も使っているのに、日本だけ止めたってどうにもならない」と言ったそうだ。
感想もない。

東電福一原発で、海側敷地の汚染を調べる井戸から、一リットル当たり七万六〇〇〇ベクレルと、放出限度の五百倍を超える地下水としてはこれまでにない高い濃度の放射性セシウムが検出されたという。地下水ではこれまで、今回の百分の一ほどの濃度しか検出されていなかった。かねてから危険が指摘されていた、タービン建屋と、配管などを収める地下トンネル(トレンチ)の継ぎ目付近から、高濃度汚染水が漏えいしている可能性があるという。建屋から外部にダイレクトに漏れ出しているのだろう。
隠蔽体質の東電がここまで発表するのだから、実体はもっと悪いのかと考え始めると、眩暈がしてくる。

東電福一原発4号機の使用済み核燃料プールは今、作業が順調に進んでいるのだろうか。放射能漏出により手におえない状況になっているのではないか。
「余震によって崩壊し、水漏れを起こして爆発すると、5時間後に東京は住めなくなる」と、よく言われるが、私たちは本当に危機感を感じているのだろうか。

東海村村長村上氏の講演によると、
「昨年3月の大震災で、東海村は震度6強で、5.4mの津波を受けました。原発の電源は断たれ、非常用電源3台のうち、1台が津波でダウン、原子炉内が高圧になり危険でしたのでベント(原子炉内の高圧ガスを抜く)を170回行いました。幸い海辺に6.1mの防護壁を1日半前に完成していました。70cmの差で津波を防ぐことができて2台の非常用電源が動き出しました。防護壁の完成がなかったら福島原発同様に爆発したでしょう。危機一髪でした。」
とのことである。
ベント170回!!
東海村は本当にやばかったのだ。
千葉や東京の放射線値は、東海村由来ではないかと考える人たちもいるが、関連は定かではない。

東電は、福島第一原発で去年8月、タンクから大量に漏れた高濃度の汚染水などに含まれるストロンチウムなどベータ線という放射線を出す放射性物質について、濃度が実際の10分の1の値で公表されていた可能性があると発表した。
本当にごまかし体質なのだ。

と、メモした数日後の今日、東電福1原発で、護岸から約60メートル内陸にある観測用井戸で、同日採取した地下水から1リットル当たり13万ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。もちろん井戸の地下水のセシウム濃度では過去最悪。
数日の間に、倍の数字に悪化している。
もう終わりはない。今、誰にも、この汚染の進行を止めることはできない。

自民党資源・エネルギー戦略調査会は、原発から出る「核のゴミ」の最終処分を議論する小委員会の初会合を開き、北海道東部や東北地方の太平洋側の一部など地層が安定している地域について、国内に最終処分に適した場所があるとした。
冷静に考えて、高レベル放射性廃棄物の処分地が地上に見つかるとは思えない。
アイデアもないのに探している振りをする。仮説を立てては変更する。おそらく、そうなる。
誤魔化し、隠そうとする、終わりのない堂々巡りが始まったのだ。

日本原燃は、核燃料サイクル施設の新規制基準に対応するため、使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)に導入した可搬型の放水砲と水を送る大型移送ポンプ車を報道機関に公開したという。大規模な火災やテロで放射性物質が建物外部に漏えいする重大事故への対応として、「建物上部から大量の水を散布すること」で、放射性物質の周辺環境への影響を抑えるのが目的だという。
放水砲は、一般的な消防車両約10台分に相当する1時間当たり約900立方メートルの放水が可能。高さ約40メートルまで水が届き、再処理工場の各建物(高さ約20~30メートル)の上から「水をかけることができる」という。昨年12月にも放水砲2台、大型移送ポンプ1台を再処理工場に配備している。5月までに放水砲と大型移送ポンプを各2台追加し、「対策を強める」という。
さすがにみんな福島のことは憶えているはずだ。この記事の内容を聞いて安心する人などいるだろうか。
目の前の行政的「新基準」対応の、超ローテクの付け焼き刃だ。
このような情報が、さも何ごとかのように、無感動に無関心に垂れ流されている現実。つくづく情けない。

2011年の秋に『たった一人の戦争』初演で、高レベル放射性廃棄物をどうするのかという問いを提出した。
その後どこからも新しい解決方法の提示は出て来ない。
映画「200000年後の安全」から少しも状況は動いていない。小泉が観て驚いたというのも遅すぎるが。
『たった一人の戦争』はドイツの劇場での翻訳上演が検討されている。
この件は世界の関心事。日本だけの問題ではないのだ。

選挙の間もオリンピックの最中も、放射能は漏れ続けている。
いま私は、直接原発に関係のない題材の仕事をしているが、自分の存在する場所の、周囲の空洞を震わせるかのように、その問題が響き続けていると、感じないときはない。

原発関係の備忘録をまとめていて、おそろしく消耗した。
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