Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

『くじらと見た夢』伊丹AI・HALL公演、本日開幕。

2017-12-15 | Weblog
燐光群『くじらと見た夢』伊丹AI・HALL公演、本日開幕。

三日間のみの公演です。関西近郊の皆さま。お見逃しなく。

どうやらこの劇場の大きさをこんなにフルに使う公演は珍しい、というお話です。

舞台美術にびっくりするのは間違いありません。というか、自分たちでも呆れています。

そして今日は、沖縄から辺野古の米軍新基地建設に対する抗議船の船長さんも来てくださるので、ドキドキしています。


写真は、名古屋公演の場当たり。撮影・姫田蘭。

今回、姫田さんが心配するくらい平気でもろもろの写真を見せてしまっているのは、知っていたって絶対にびっくりさせる自信があるからです。


続いて、岡山公演をいたします。

そちらの情報も御覧ください。

………

ふたつの海。
クジラのいる海、いない海。
でも忘れちゃいけない。
海はひとつ。
必ずどこかで繋がってる。

燐光群創立35周年記念公演 VOL.1
────────────
燐光群『くじらと見た夢』
作・演出○坂手洋二
http://rinkogun.com/
────────────

国際的な捕鯨問題と日本社会の現状をリアルに描く、鯨捕りに携わる家族たちの「伝承」と「共存」の物語。

佐々木梅治 Benjamin Beardsley 円城寺あや 南谷朝子
中山マリ 鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋
杉山英之 東谷英人 武山尚史 山村秀勝 樋尾麻衣子
宗像祥子 田中結佳 秋定史枝 橘麦 中瀬良衣


【伊丹公演】
12月15日(金)19:00
12月16日(土)14:00/19:00
12月17日(日)14:00
AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
伊丹市伊丹2-4-1
JR伊丹駅西へ徒歩1分
阪急伊丹駅東へ徒歩約10分

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Itami.html

全席指定 一般前売料金3500円
大学・専門学校生/U-25(25歳以下) ¥2,500 高校生以下 ¥1,500
もございます。※当日受付にて証明書を提示いただきますようお願いいたします。

【岡山公演】
12月19日(火)19:00
岡山市立市民文化ホール
岡山市中区小橋町1-1-30
路面東山行「小橋」下車徒歩1分

全席自由席 18:00より整理券を発行します。
客席開場前にロビーで整理券の番号順にお並び頂き、18:30よりその順にご入場頂きます。

一般前売 2,700円  当日3,000円 
大学生以下 1,500円  ※当日受付にて証明書を提示いただきますようお願いいたします。

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Okayama.html


……………………………………


新作『くじらと見た夢』、パンフレットに掲載したご挨拶文です。

沖縄でのイルカ(ヒートゥー、ピトゥ)漁は、伝統的なものとして知られているが、戦後の一時期、名護西岸で本格的な捕鯨をしていたことを、最近になって本格的に調べた。十五年近くにわたって、年間数十頭のザトウクジラを捕っていたのだ。昭和二十六年、「戦後初めての捕鯨」と思しき漁にも参加した、八三歳で現役を誇るイルカ撃ち漁師の一家にも、詳しく話を聞いた。

名護東岸、島の反対側に位置する海では、米軍基地キャンプ・シュワブに、普天間基地代替施設としての空港建設が強行されようとしている。この劇の上演が始まる週、大浦湾を埋め立てる石材の、海上輸送による大量投入が始まった。

イルカ漁の豊かな歴史を抱く平和な名護漁港と、米軍基地に占拠された辺野古。同じ名護市なのに、海の風景は、西岸と東岸で、まったく違うのだ。

昨冬、かつて『くじらの墓標』を書くため訪れた捕鯨村・鮎川を、震災後には初めて、再訪した。津波の猛威を受けた町並みはすっかりなくなってしまったが、捕鯨は変わらず続けられていた。

『南洋くじら部隊』の舞台、レンバダ島の捕鯨村ラマレラを、久しぶりに訪れた。電気も電話も貨幣経済もなかった暮らしは近代化の洗礼を浴び、変わってしまった。それでも漁師たちはクジラを捕り続けている。

そして、映画『ザ・コーブ』等によってイルカ漁が国際的な非難を浴びた和歌山・太地に、初めて行った。捕鯨反対運動は沈静化していたが、それとは無関係に、人々は未来を見つめていた。午後から夕方にかけて漁協の退職者たちが集う溜まり場で、九〇歳の元クジラ捕りに話を聞いた。かくしゃくとして、見たところ七十過ぎにしか見えない元気な人で、全世界を股にかけた捕鯨最盛期の話は、圧巻だった。

名護の八三歳、太地の九〇歳との出会いは、収穫だった。

まだだ。
まだ間に合う。
戦争・戦後の時代と、今を生きる人たちを繋ぐ、海の物語を描くことができる。そう思った。捕鯨に携わる家族たちの「伝承」と「共存」の物語が、くっきりと浮上してきた。

これほどさまざまな場所を取材し、あらゆる人々に会ったことはない。四半世紀のあいだ抱えてきた「クジラ」というテーマと、逃れようもなく関わってきた沖縄のことが、このように出会う、宿命。

おそらく今までで一番多く溢れる情報を相手に、井上ひさしさんがよく言っておられた「小説はどんなに長く書いても許されるが、戯曲はどうしても二時間半に収めなければならない」という困難が、立ち塞がった。

しんどい作業に共に立ち向かう仲間たちに、支えられた。そのありがたさ、豊かさに、これほど感謝し、教わった現場も、ない。

クジラを捕ることと演劇を作るという営為は、やはりどこか似ている。

(『くじらと見た夢』当日パンフレットより)
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今週末は伊丹公演。『くじらと見た夢』。

2017-12-14 | Weblog
燐光群「くじらと見た夢」、名古屋公演を終え、本隊は、伊丹に入っております。

あす15日(金)から17日(日)まで、AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)での公演です。
私たちは毎年、師走は、伊丹なのです。

なんせ、関西はくじらを食べてきた土地柄。

そして、劇中に登場するイルカを捕るための「パチンコ」は、兵庫の業者が開発し、沖縄の名護に持ち込んだものです。
その会社はなんと四半世紀以上前に「クジラの解体ショー」を盛んにやっていたと言います。
びっくりです。

お見逃しなく。


写真は、秋定史枝。

関西出身です。旅に出る前の稽古のとき、いつになく楽しそうでした。
劇団という場所はときに、自分の仕事に出会ったという手応えがあると、すべてが報われる気がします。

撮影・姫田蘭。


続いて来週、岡山公演もいたします。

そちらの情報も御覧ください。

………

ふたつの海。
クジラのいる海、いない海。
でも忘れちゃいけない。
海はひとつ。
必ずどこかで繋がってる。

燐光群創立35周年記念公演 VOL.1
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燐光群『くじらと見た夢』
作・演出○坂手洋二
http://rinkogun.com/
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国際的な捕鯨問題と日本社会の現状をリアルに描く、鯨捕りに携わる家族たちの「伝承」と「共存」の物語。

佐々木梅治 Benjamin Beardsley 円城寺あや 南谷朝子
中山マリ 鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋
杉山英之 東谷英人 武山尚史 山村秀勝 樋尾麻衣子
宗像祥子 田中結佳 秋定史枝 橘麦 中瀬良衣


【伊丹公演】
12月15日(金)19:00
12月16日(土)14:00/19:00
12月17日(日)14:00
AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
伊丹市伊丹2-4-1
JR伊丹駅西へ徒歩1分
阪急伊丹駅東へ徒歩約10分

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Itami.html

全席指定 一般前売料金3500円
大学・専門学校生/U-25(25歳以下) ¥2,500 高校生以下 ¥1,500
もございます。※当日受付にて証明書を提示いただきますようお願いいたします。

【岡山公演】
12月19日(火)19:00
岡山市立市民文化ホール
岡山市中区小橋町1-1-30
路面東山行「小橋」下車徒歩1分

全席自由席 18:00より整理券を発行します。
客席開場前にロビーで整理券の番号順にお並び頂き、18:30よりその順にご入場頂きます。

一般前売 2,700円  当日3,000円 
大学生以下 1,500円  ※当日受付にて証明書を提示いただきますようお願いいたします。

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Okayama.html


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新作『くじらと見た夢』、パンフレットに掲載したご挨拶文です。

沖縄でのイルカ(ヒートゥー、ピトゥ)漁は、伝統的なものとして知られているが、戦後の一時期、名護西岸で本格的な捕鯨をしていたことを、最近になって本格的に調べた。十五年近くにわたって、年間数十頭のザトウクジラを捕っていたのだ。昭和二十六年、「戦後初めての捕鯨」と思しき漁にも参加した、八三歳で現役を誇るイルカ撃ち漁師の一家にも、詳しく話を聞いた。

名護東岸、島の反対側に位置する海では、米軍基地キャンプ・シュワブに、普天間基地代替施設としての空港建設が強行されようとしている。この劇の上演が始まる週、大浦湾を埋め立てる石材の、海上輸送による大量投入が始まった。

イルカ漁の豊かな歴史を抱く平和な名護漁港と、米軍基地に占拠された辺野古。同じ名護市なのに、海の風景は、西岸と東岸で、まったく違うのだ。

昨冬、かつて『くじらの墓標』を書くため訪れた捕鯨村・鮎川を、震災後には初めて、再訪した。津波の猛威を受けた町並みはすっかりなくなってしまったが、捕鯨は変わらず続けられていた。

『南洋くじら部隊』の舞台、レンバダ島の捕鯨村ラマレラを、久しぶりに訪れた。電気も電話も貨幣経済もなかった暮らしは近代化の洗礼を浴び、変わってしまった。それでも漁師たちはクジラを捕り続けている。

そして、映画『ザ・コーブ』等によってイルカ漁が国際的な非難を浴びた和歌山・太地に、初めて行った。捕鯨反対運動は沈静化していたが、それとは無関係に、人々は未来を見つめていた。午後から夕方にかけて漁協の退職者たちが集う溜まり場で、九〇歳の元クジラ捕りに話を聞いた。かくしゃくとして、見たところ七十過ぎにしか見えない元気な人で、全世界を股にかけた捕鯨最盛期の話は、圧巻だった。

名護の八三歳、太地の九〇歳との出会いは、収穫だった。

まだだ。
まだ間に合う。
戦争・戦後の時代と、今を生きる人たちを繋ぐ、海の物語を描くことができる。そう思った。捕鯨に携わる家族たちの「伝承」と「共存」の物語が、くっきりと浮上してきた。

これほどさまざまな場所を取材し、あらゆる人々に会ったことはない。四半世紀のあいだ抱えてきた「クジラ」というテーマと、逃れようもなく関わってきた沖縄のことが、このように出会う、宿命。

おそらく今までで一番多く溢れる情報を相手に、井上ひさしさんがよく言っておられた「小説はどんなに長く書いても許されるが、戯曲はどうしても二時間半に収めなければならない」という困難が、立ち塞がった。

しんどい作業に共に立ち向かう仲間たちに、支えられた。そのありがたさ、豊かさに、これほど感謝し、教わった現場も、ない。

クジラを捕ることと演劇を作るという営為は、やはりどこか似ている。

(『くじらと見た夢』当日パンフレットより)
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名古屋公演開幕。

2017-12-13 | Weblog
燐光群「くじらと見た夢」、名古屋公演の幕が開きました。といっても、本日7時でもう千秋楽になってしまいますが。

名古屋近郊の皆さま。お見逃しなく。


午前三時半に出発して日帰りで来てくれた姫田蘭さんが、場当たりやゲネプロの写真を撮ってくれました。

左から、東谷英人、山村秀勝、私。



続いて、伊丹・岡山公演をいたします。

そちらの情報も御覧ください。

………

ふたつの海。
クジラのいる海、いない海。
でも忘れちゃいけない。
海はひとつ。
必ずどこかで繋がってる。

燐光群創立35周年記念公演 VOL.1
────────────
燐光群『くじらと見た夢』
作・演出○坂手洋二
http://rinkogun.com/
────────────

国際的な捕鯨問題と日本社会の現状をリアルに描く、鯨捕りに携わる家族たちの「伝承」と「共存」の物語。

佐々木梅治 Benjamin Beardsley 円城寺あや 南谷朝子
中山マリ 鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋
杉山英之 東谷英人 武山尚史 山村秀勝 樋尾麻衣子
宗像祥子 田中結佳 秋定史枝 橘麦 中瀬良衣

【名古屋公演】
12月12日(火)19:00
12月13日(水)19:00
愛知県芸術劇場小ホール
名古屋市東区東桜1-13-2 愛知芸術文化センター地下1階
地下鉄東山線または名城線「栄」駅下車、徒歩3分
名鉄瀬戸線「栄町」駅下車、徒歩2分
※いずれもオアシス21から地下連絡通路または2F連絡橋経由

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Nagoya.html

【伊丹公演】
12月15日(金)19:00
12月16日(土)14:00/19:00
12月17日(日)14:00
AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
伊丹市伊丹2-4-1
JR伊丹駅西へ徒歩1分
阪急伊丹駅東へ徒歩約10分

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Itami.html

全席指定 一般前売料金3500円
大学・専門学校生/U-25(25歳以下) ¥2,500 高校生以下 ¥1,500
もございます。※当日受付にて証明書を提示いただきますようお願いいたします。

【岡山公演】
12月19日(火)19:00
岡山市立市民文化ホール
岡山市中区小橋町1-1-30
路面東山行「小橋」下車徒歩1分

全席自由席 18:00より整理券を発行します。
客席開場前にロビーで整理券の番号順にお並び頂き、18:30よりその順にご入場頂きます。

一般前売 2,700円  当日3,000円 
大学生以下 1,500円  ※当日受付にて証明書を提示いただきますようお願いいたします。

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Okayama.html


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新作『くじらと見た夢』、パンフレットに掲載したご挨拶文です。

沖縄でのイルカ(ヒートゥー、ピトゥ)漁は、伝統的なものとして知られているが、戦後の一時期、名護西岸で本格的な捕鯨をしていたことを、最近になって本格的に調べた。十五年近くにわたって、年間数十頭のザトウクジラを捕っていたのだ。昭和二十六年、「戦後初めての捕鯨」と思しき漁にも参加した、八三歳で現役を誇るイルカ撃ち漁師の一家にも、詳しく話を聞いた。

名護東岸、島の反対側に位置する海では、米軍基地キャンプ・シュワブに、普天間基地代替施設としての空港建設が強行されようとしている。この劇の上演が始まる週、大浦湾を埋め立てる石材の、海上輸送による大量投入が始まった。

イルカ漁の豊かな歴史を抱く平和な名護漁港と、米軍基地に占拠された辺野古。同じ名護市なのに、海の風景は、西岸と東岸で、まったく違うのだ。

昨冬、かつて『くじらの墓標』を書くため訪れた捕鯨村・鮎川を、震災後には初めて、再訪した。津波の猛威を受けた町並みはすっかりなくなってしまったが、捕鯨は変わらず続けられていた。

『南洋くじら部隊』の舞台、レンバダ島の捕鯨村ラマレラを、久しぶりに訪れた。電気も電話も貨幣経済もなかった暮らしは近代化の洗礼を浴び、変わってしまった。それでも漁師たちはクジラを捕り続けている。

そして、映画『ザ・コーブ』等によってイルカ漁が国際的な非難を浴びた和歌山・太地に、初めて行った。捕鯨反対運動は沈静化していたが、それとは無関係に、人々は未来を見つめていた。午後から夕方にかけて漁協の退職者たちが集う溜まり場で、九〇歳の元クジラ捕りに話を聞いた。かくしゃくとして、見たところ七十過ぎにしか見えない元気な人で、全世界を股にかけた捕鯨最盛期の話は、圧巻だった。

名護の八三歳、太地の九〇歳との出会いは、収穫だった。

まだだ。
まだ間に合う。
戦争・戦後の時代と、今を生きる人たちを繋ぐ、海の物語を描くことができる。そう思った。捕鯨に携わる家族たちの「伝承」と「共存」の物語が、くっきりと浮上してきた。

これほどさまざまな場所を取材し、あらゆる人々に会ったことはない。四半世紀のあいだ抱えてきた「クジラ」というテーマと、逃れようもなく関わってきた沖縄のことが、このように出会う、宿命。

おそらく今までで一番多く溢れる情報を相手に、井上ひさしさんがよく言っておられた「小説はどんなに長く書いても許されるが、戯曲はどうしても二時間半に収めなければならない」という困難が、立ち塞がった。

しんどい作業に共に立ち向かう仲間たちに、支えられた。そのありがたさ、豊かさに、これほど感謝し、教わった現場も、ない。

クジラを捕ることと演劇を作るという営為は、やはりどこか似ている。

(『くじらと見た夢』当日パンフレットより)
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名古屋入り。

2017-12-11 | Weblog
『くじらと見た夢』は、いよいよ明日、名古屋公演。

名古屋公演は火曜日・水曜日の二日間!

いずれも開演は夜7時です。

会場は、愛知県芸術劇場。


いつもよりも舞台が大きいので、会場によっては、客席が通常よりも狭くなっていることがあります。早めのお申し込みをお薦めいたします。

名古屋では、仕込んでみてびっくりの大迫力。実際に見て、驚いていただきたい。



写真・姫田蘭。

左から、武山尚史、中瀬良衣、東谷英人。

なんせ、小劇場の範疇に収まらない、大きな舞台。そしてそれが、様々に変化する。


続いて、伊丹・岡山公演をいたします。

そちらの情報も御覧ください。

………

ふたつの海。
クジラのいる海、いない海。
でも忘れちゃいけない。
海はひとつ。
必ずどこかで繋がってる。

燐光群創立35周年記念公演 VOL.1
────────────
燐光群『くじらと見た夢』
作・演出○坂手洋二
http://rinkogun.com/
────────────

国際的な捕鯨問題と日本社会の現状をリアルに描く、鯨捕りに携わる家族たちの「伝承」と「共存」の物語。

佐々木梅治 Benjamin Beardsley 円城寺あや 南谷朝子
中山マリ 鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋
杉山英之 東谷英人 武山尚史 山村秀勝 樋尾麻衣子
宗像祥子 田中結佳 秋定史枝 橘麦 中瀬良衣

【名古屋公演】
12月12日(火)19:00
12月13日(水)19:00
愛知県芸術劇場小ホール
名古屋市東区東桜1-13-2 愛知芸術文化センター地下1階
地下鉄東山線または名城線「栄」駅下車、徒歩3分
名鉄瀬戸線「栄町」駅下車、徒歩2分
※いずれもオアシス21から地下連絡通路または2F連絡橋経由

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Nagoya.html

【伊丹公演】
12月15日(金)19:00
12月16日(土)14:00/19:00
12月17日(日)14:00
AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
伊丹市伊丹2-4-1
JR伊丹駅西へ徒歩1分
阪急伊丹駅東へ徒歩約10分

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Itami.html

全席指定 一般前売料金3500円
大学・専門学校生/U-25(25歳以下) ¥2,500 高校生以下 ¥1,500
もございます。※当日受付にて証明書を提示いただきますようお願いいたします。

【岡山公演】
12月19日(火)19:00
岡山市立市民文化ホール
岡山市中区小橋町1-1-30
路面東山行「小橋」下車徒歩1分

全席自由席 18:00より整理券を発行します。
客席開場前にロビーで整理券の番号順にお並び頂き、18:30よりその順にご入場頂きます。

一般前売 2,700円  当日3,000円 
大学生以下 1,500円  ※当日受付にて証明書を提示いただきますようお願いいたします。

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Okayama.html


……………………………………


新作『くじらと見た夢』、パンフレットに掲載したご挨拶文です。

沖縄でのイルカ(ヒートゥー、ピトゥ)漁は、伝統的なものとして知られているが、戦後の一時期、名護西岸で本格的な捕鯨をしていたことを、最近になって本格的に調べた。十五年近くにわたって、年間数十頭のザトウクジラを捕っていたのだ。昭和二十六年、「戦後初めての捕鯨」と思しき漁にも参加した、八三歳で現役を誇るイルカ撃ち漁師の一家にも、詳しく話を聞いた。

名護東岸、島の反対側に位置する海では、米軍基地キャンプ・シュワブに、普天間基地代替施設としての空港建設が強行されようとしている。この劇の上演が始まる週、大浦湾を埋め立てる石材の、海上輸送による大量投入が始まった。

イルカ漁の豊かな歴史を抱く平和な名護漁港と、米軍基地に占拠された辺野古。同じ名護市なのに、海の風景は、西岸と東岸で、まったく違うのだ。

昨冬、かつて『くじらの墓標』を書くため訪れた捕鯨村・鮎川を、震災後には初めて、再訪した。津波の猛威を受けた町並みはすっかりなくなってしまったが、捕鯨は変わらず続けられていた。

『南洋くじら部隊』の舞台、レンバダ島の捕鯨村ラマレラを、久しぶりに訪れた。電気も電話も貨幣経済もなかった暮らしは近代化の洗礼を浴び、変わってしまった。それでも漁師たちはクジラを捕り続けている。

そして、映画『ザ・コーブ』等によってイルカ漁が国際的な非難を浴びた和歌山・太地に、初めて行った。捕鯨反対運動は沈静化していたが、それとは無関係に、人々は未来を見つめていた。午後から夕方にかけて漁協の退職者たちが集う溜まり場で、九〇歳の元クジラ捕りに話を聞いた。かくしゃくとして、見たところ七十過ぎにしか見えない元気な人で、全世界を股にかけた捕鯨最盛期の話は、圧巻だった。

名護の八三歳、太地の九〇歳との出会いは、収穫だった。

まだだ。
まだ間に合う。
戦争・戦後の時代と、今を生きる人たちを繋ぐ、海の物語を描くことができる。そう思った。捕鯨に携わる家族たちの「伝承」と「共存」の物語が、くっきりと浮上してきた。

これほどさまざまな場所を取材し、あらゆる人々に会ったことはない。四半世紀のあいだ抱えてきた「クジラ」というテーマと、逃れようもなく関わってきた沖縄のことが、このように出会う、宿命。

おそらく今までで一番多く溢れる情報を相手に、井上ひさしさんがよく言っておられた「小説はどんなに長く書いても許されるが、戯曲はどうしても二時間半に収めなければならない」という困難が、立ち塞がった。

しんどい作業に共に立ち向かう仲間たちに、支えられた。そのありがたさ、豊かさに、これほど感謝し、教わった現場も、ない。

クジラを捕ることと演劇を作るという営為は、やはりどこか似ている。

(『くじらと見た夢』当日パンフレットより)
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火曜日・水曜日は名古屋公演! 『くじらと見た夢』

2017-12-10 | Weblog
『くじらと見た夢』は、今週、いよいよ国内ツアーです。

火曜日・水曜日は名古屋公演!

いずれも開演は夜7時です。

会場は、愛知県芸術劇場。


続けて、伊丹・岡山公演をいたします。

積込みも終了。いよいよ明日名古屋入りです。

いつもよりも舞台が大きいので、会場によっては、客席が通常よりも狭くなっていることがあります。

とくに名古屋では、お客さんの驚く顔が目に浮かびます。

早めのお申し込みをお薦めいたします。


写真・姫田蘭。

写っているのは、鴨川てんし・中山マリ。

燐光群は、アングラ・小劇場の時代から現役を続けているベテランもいる劇団なのです。

………

ふたつの海。
クジラのいる海、いない海。
でも忘れちゃいけない。
海はひとつ。
必ずどこかで繋がってる。

燐光群創立35周年記念公演 VOL.1
────────────
燐光群『くじらと見た夢』
作・演出○坂手洋二
http://rinkogun.com/
────────────

国際的な捕鯨問題と日本社会の現状をリアルに描く、鯨捕りに携わる家族たちの「伝承」と「共存」の物語。

佐々木梅治 Benjamin Beardsley 円城寺あや 南谷朝子
中山マリ 鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋
杉山英之 東谷英人 武山尚史 山村秀勝 樋尾麻衣子
宗像祥子 田中結佳 秋定史枝 橘麦 中瀬良衣

【名古屋公演】
12月12日(火)19:00
12月13日(水)19:00
愛知県芸術劇場小ホール
名古屋市東区東桜1-13-2 愛知芸術文化センター地下1階
地下鉄東山線または名城線「栄」駅下車、徒歩3分
名鉄瀬戸線「栄町」駅下車、徒歩2分
※いずれもオアシス21から地下連絡通路または2F連絡橋経由

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Nagoya.html

【伊丹公演】
12月15日(金)19:00
12月16日(土)14:00/19:00
12月17日(日)14:00
AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
伊丹市伊丹2-4-1
JR伊丹駅西へ徒歩1分
阪急伊丹駅東へ徒歩約10分

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Itami.html

全席指定 一般前売料金3500円
大学・専門学校生/U-25(25歳以下) ¥2,500 高校生以下 ¥1,500
もございます。※当日受付にて証明書を提示いただきますようお願いいたします。

【岡山公演】
12月19日(火)19:00
岡山市立市民文化ホール
岡山市中区小橋町1-1-30
路面東山行「小橋」下車徒歩1分

全席自由席 18:00より整理券を発行します。
客席開場前にロビーで整理券の番号順にお並び頂き、18:30よりその順にご入場頂きます。

一般前売 2,700円  当日3,000円 
大学生以下 1,500円  ※当日受付にて証明書を提示いただきますようお願いいたします。

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Okayama.html


……………………………………


新作『くじらと見た夢』、パンフレットに掲載したご挨拶文です。

沖縄でのイルカ(ヒートゥー、ピトゥ)漁は、伝統的なものとして知られているが、戦後の一時期、名護西岸で本格的な捕鯨をしていたことを、最近になって本格的に調べた。十五年近くにわたって、年間数十頭のザトウクジラを捕っていたのだ。昭和二十六年、「戦後初めての捕鯨」と思しき漁にも参加した、八三歳で現役を誇るイルカ撃ち漁師の一家にも、詳しく話を聞いた。

名護東岸、島の反対側に位置する海では、米軍基地キャンプ・シュワブに、普天間基地代替施設としての空港建設が強行されようとしている。この劇の上演が始まる週、大浦湾を埋め立てる石材の、海上輸送による大量投入が始まった。

イルカ漁の豊かな歴史を抱く平和な名護漁港と、米軍基地に占拠された辺野古。同じ名護市なのに、海の風景は、西岸と東岸で、まったく違うのだ。

昨冬、かつて『くじらの墓標』を書くため訪れた捕鯨村・鮎川を、震災後には初めて、再訪した。津波の猛威を受けた町並みはすっかりなくなってしまったが、捕鯨は変わらず続けられていた。

『南洋くじら部隊』の舞台、レンバダ島の捕鯨村ラマレラを、久しぶりに訪れた。電気も電話も貨幣経済もなかった暮らしは近代化の洗礼を浴び、変わってしまった。それでも漁師たちはクジラを捕り続けている。

そして、映画『ザ・コーブ』等によってイルカ漁が国際的な非難を浴びた和歌山・太地に、初めて行った。捕鯨反対運動は沈静化していたが、それとは無関係に、人々は未来を見つめていた。午後から夕方にかけて漁協の退職者たちが集う溜まり場で、九〇歳の元クジラ捕りに話を聞いた。かくしゃくとして、見たところ七十過ぎにしか見えない元気な人で、全世界を股にかけた捕鯨最盛期の話は、圧巻だった。

名護の八三歳、太地の九〇歳との出会いは、収穫だった。

まだだ。
まだ間に合う。
戦争・戦後の時代と、今を生きる人たちを繋ぐ、海の物語を描くことができる。そう思った。捕鯨に携わる家族たちの「伝承」と「共存」の物語が、くっきりと浮上してきた。

これほどさまざまな場所を取材し、あらゆる人々に会ったことはない。四半世紀のあいだ抱えてきた「クジラ」というテーマと、逃れようもなく関わってきた沖縄のことが、このように出会う、宿命。

おそらく今までで一番多く溢れる情報を相手に、井上ひさしさんがよく言っておられた「小説はどんなに長く書いても許されるが、戯曲はどうしても二時間半に収めなければならない」という困難が、立ち塞がった。

しんどい作業に共に立ち向かう仲間たちに、支えられた。そのありがたさ、豊かさに、これほど感謝し、教わった現場も、ない。

クジラを捕ることと演劇を作るという営為は、やはりどこか似ている。

(『くじらと見た夢』当日パンフレットより)

(クジラの写真は、小島曠太郎氏による。今年、インドネシアのラマレラにて。)
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演劇について識るための「全集」としての「戯曲集」とは

2017-12-09 | Weblog
発売中の「週刊読書人」の「全集・講座・シリーズ」特集に、日本で刊行された戯曲集についてというお題をいただいて、エッセイを書いています。

編集部が「演劇について識るための「全集」としての「戯曲集」とは アラバール、シェイクスピア、別役実、斎藤憐……」という題名をつけてくれました。

自分の戯曲集についても終わり頃で触れています。わざとパンぼけの部分写真です。本文はぜひ「週刊読書人」実物でお読みください。


坂手洋二戯曲集、発売中です。

明日発売の琉球新報に『星の息子/推進派』の書評が出るそうです。


いま、風琴工房さんが、下北沢ザ・スズナリで、沖縄・高江についての新作『ちゅらと修羅』を上演しています。御覧になって、高江について関心を持たれた方は、ぜひ『星の息子』もお読みください。

風琴工房さんの劇は三上智恵監督の映画『標的の村』(2013)を観て構想されたということですが、『星の息子』は『標的の村』公開の前年に初演されたものです。
振り返ってみると、長いつきあいになったものです。


………………………………

【坂手洋二戯曲集】第一期 全7巻 14作品 刊行スタート!

★ 1冊に2作品収録
★ 各作品に作家自身による作品解説・創作ノート付き!

「「3.11後」を生きる私たちのための戯曲集」
 原発問題に対峙する2作品収録


坂手洋二戯曲集
バートルビーズ/たった一人の戦争

彩流社 四六判 / 392ページ / 並製
定価:2,200円 + 税
ISBN978-4-7791-2342-9 C0074
奥付の初版発行年月:2017年10月25日 / 書店発売日:2017年10月19日
http://www.sairyusha.co.jp/bd/isbn978-4-7791-2342-9.html


内容紹介

『バートルビーズ』(国際メルヴィル学会特別公演作品)
ハーマン・メルヴィルの作品『バートルビー』の主人公が、
現代、東日本大震災で被災した病院にいた!?
古典作品から抽出された情念が、
「3.11後」の生き方に重なる叙事詩。
(写真 加藤孝)

『たった一人の戦争』
放射性廃棄物処分のため設置された超深地層研究所。
見学する人々が惑う、繁栄の背後にある闇の歴史。
宇宙にしか逃げ場はないのか。
私たちは「帰り道」を見つけることができるのか。
(写真 古元道広)

………………………………

坂手洋二戯曲集
星の息子/推進派

坂手 洋二 著
彩流社 四六判 / 371ページ / 並製
定価:2,200円 + 税
ISBN978-4-7791-2343-6 C0074
奥付の初版発行年月:2017年11月25日 / 書店発売日:2017年11月08日
http://www.sairyusha.co.jp/bd/isbn978-4-7791-2343-6.html


内容紹介

『星の息子』
震災被災地から官邸前、そしてオスプレイ配備決定の沖縄へ。
ネット上に現れた亡き息子の名を騙る人物を探す母の旅。
米軍基地建設反対闘争の現場で、幻の再会が果たされる。

『推進派』
米軍普天間基地を「最低でも県外」に移設する政策が出された。
基地誘致で島興しを考えるサチノ島の「推進派」と「反対派」
の対立。そこに島への移住を求める震災被災者たちが現れる。

(写真 古元道広)

著者プロフィール
坂手 洋二
さかて・ようじ
1962年生まれ。劇作家、演出家。
劇団「燐光群」主宰。
1991年 『ブレスレス ゴミ袋を呼吸する夜の物語』
岸田國士戯曲賞、
2005年 『だるまさんがころんだ』鶴屋南北戯曲賞
……など受賞作品多数。

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『くじらと見た夢』いよいよ来週、 名古屋・伊丹。再来週は岡山公演。

2017-12-07 | Weblog
『くじらと見た夢』は今月、 名古屋・伊丹・岡山公演をいたします。

いよいよ来週、 名古屋・伊丹。再来週は岡山。

燐光群の創立35周年記念公演の第一弾として、11月、東京で幕をあけました。

名古屋・伊丹・岡山の皆様、ぜひご来場くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

いつもよりも舞台が大きいので、会場によっては、客席が通常よりも狭くなっていることがあります。

早めのお申し込みをお薦めいたします。


写真・姫田蘭。

写っているのは、宗像祥子。

………

ふたつの海。
クジラのいる海、いない海。
でも忘れちゃいけない。
海はひとつ。
必ずどこかで繋がってる。

燐光群創立35周年記念公演 VOL.1
────────────
燐光群『くじらと見た夢』
作・演出○坂手洋二
http://rinkogun.com/
────────────

国際的な捕鯨問題と日本社会の現状をリアルに描く、鯨捕りに携わる家族たちの「伝承」と「共存」の物語。

佐々木梅治 Benjamin Beardsley 円城寺あや 南谷朝子
中山マリ 鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋
杉山英之 東谷英人 武山尚史 山村秀勝 樋尾麻衣子
宗像祥子 田中結佳 秋定史枝 橘麦 中瀬良衣

【名古屋公演】
12月12日(火)19:00
12月13日(水)19:00
愛知県芸術劇場小ホール
名古屋市東区東桜1-13-2 愛知芸術文化センター地下1階
地下鉄東山線または名城線「栄」駅下車、徒歩3分
名鉄瀬戸線「栄町」駅下車、徒歩2分
※いずれもオアシス21から地下連絡通路または2F連絡橋経由

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Nagoya.html

【伊丹公演】
12月15日(金)19:00
12月16日(土)14:00/19:00
12月17日(日)14:00
AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
伊丹市伊丹2-4-1
JR伊丹駅西へ徒歩1分
阪急伊丹駅東へ徒歩約10分

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Itami.html

全席指定 一般前売料金3500円
大学・専門学校生/U-25(25歳以下) ¥2,500 高校生以下 ¥1,500
もございます。※当日受付にて証明書を提示いただきますようお願いいたします。

【岡山公演】
12月19日(火)19:00
岡山市立市民文化ホール
岡山市中区小橋町1-1-30
路面東山行「小橋」下車徒歩1分

全席自由席 18:00より整理券を発行します。
客席開場前にロビーで整理券の番号順にお並び頂き、18:30よりその順にご入場頂きます。

一般前売 2,700円  当日3,000円 
大学生以下 1,500円  ※当日受付にて証明書を提示いただきますようお願いいたします。

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Okayama.html


写真は、佐々木梅治、橘麦、大西孝洋。
のどかなシーンもあるのだ。

撮影・姫田蘭

……………………………………


新作『くじらと見た夢』、パンフレットに掲載したご挨拶文です。

沖縄でのイルカ(ヒートゥー、ピトゥ)漁は、伝統的なものとして知られているが、戦後の一時期、名護西岸で本格的な捕鯨をしていたことを、最近になって本格的に調べた。十五年近くにわたって、年間数十頭のザトウクジラを捕っていたのだ。昭和二十六年、「戦後初めての捕鯨」と思しき漁にも参加した、八三歳で現役を誇るイルカ撃ち漁師の一家にも、詳しく話を聞いた。

名護東岸、島の反対側に位置する海では、米軍基地キャンプ・シュワブに、普天間基地代替施設としての空港建設が強行されようとしている。この劇の上演が始まる週、大浦湾を埋め立てる石材の、海上輸送による大量投入が始まった。

イルカ漁の豊かな歴史を抱く平和な名護漁港と、米軍基地に占拠された辺野古。同じ名護市なのに、海の風景は、西岸と東岸で、まったく違うのだ。

昨冬、かつて『くじらの墓標』を書くため訪れた捕鯨村・鮎川を、震災後には初めて、再訪した。津波の猛威を受けた町並みはすっかりなくなってしまったが、捕鯨は変わらず続けられていた。

『南洋くじら部隊』の舞台、レンバダ島の捕鯨村ラマレラを、久しぶりに訪れた。電気も電話も貨幣経済もなかった暮らしは近代化の洗礼を浴び、変わってしまった。それでも漁師たちはクジラを捕り続けている。

そして、映画『ザ・コーブ』等によってイルカ漁が国際的な非難を浴びた和歌山・太地に、初めて行った。捕鯨反対運動は沈静化していたが、それとは無関係に、人々は未来を見つめていた。午後から夕方にかけて漁協の退職者たちが集う溜まり場で、九〇歳の元クジラ捕りに話を聞いた。かくしゃくとして、見たところ七十過ぎにしか見えない元気な人で、全世界を股にかけた捕鯨最盛期の話は、圧巻だった。

名護の八三歳、太地の九〇歳との出会いは、収穫だった。

まだだ。
まだ間に合う。
戦争・戦後の時代と、今を生きる人たちを繋ぐ、海の物語を描くことができる。そう思った。捕鯨に携わる家族たちの「伝承」と「共存」の物語が、くっきりと浮上してきた。

これほどさまざまな場所を取材し、あらゆる人々に会ったことはない。四半世紀のあいだ抱えてきた「クジラ」というテーマと、逃れようもなく関わってきた沖縄のことが、このように出会う、宿命。

おそらく今までで一番多く溢れる情報を相手に、井上ひさしさんがよく言っておられた「小説はどんなに長く書いても許されるが、戯曲はどうしても二時間半に収めなければならない」という困難が、立ち塞がった。

しんどい作業に共に立ち向かう仲間たちに、支えられた。そのありがたさ、豊かさに、これほど感謝し、教わった現場も、ない。

クジラを捕ることと演劇を作るという営為は、やはりどこか似ている。

(『くじらと見た夢』当日パンフレットより)

(クジラの写真は、小島曠太郎氏による。今年、インドネシアのラマレラにて。)
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アジア共同プロジェクト <ワークショップ> 参加者募集!

2017-12-06 | Weblog
昨年に続いてこの年末、アジア演劇のワークショップを行います。

講師は、ニコン・セタン、マイレス・カナピ。
燐光群が三年間にわたって取り組んできた〈アジア共同企画〉の中心メンバーの二人、
チームとしてのクローズドの取り組み以外に、彼らがふだんから得意としている、独自の演劇観を広く一般の方にも伝えることのできる「オープン・ワークショップ」です。

…………

アジア共同プロジェクト <ワークショップ> 参加者募集!

ニコン・セタン、マイレス・カナピ、それぞれタイ・フィリピンの演劇界の第一線で活躍する2名の講師たちの演劇観、その手法にふれる貴重な機会です。
ぜひご参加下さい。
タイ編・フィリピン編の連続講座です。

会場○森下スタジオ

日時○12月25日(月)・ 26日(火) 両日13時〜21時半(途中夕食休憩あり)

参加費○7,000円 各講座ともに両日参加が原則です。

お申込・お問合せ○件名を「アジア共同プロジェクトWS」として、umegaokawws@gmail.com にお送り下さい。

主催◯燐光群/(有)グッドフェローズ


※ 講師紹介

Nikorn Sae Tang ニコン・セタン
────────────────────────────────────────────────────────────────────
劇作家・演出家・俳優。タイの劇団8X8 の創設者、バンコクシアターネットワークの中心人物の一人。2006年バンコク演劇祭の芸術監督。パリやニューヨークで研鑽をつみ、2009年、野田秀樹の『農業少女』を演出、バンコクと東京で上演。
2010年、タイ文化省現代芸術文化事務局より活躍したアーティストに送られるシラバトーン賞を授与される。
2015年8月には戯曲集を刊行。『餓鬼の嬰児』や2013年に自身の演出・出演したモノローグドラマ『不眠症』のような、作者の幼少期や青年時代の体験に基づく作品、第二次世界大戦中の日本兵の彷徨い続ける魂が主人公の『彷徨い─ Where should I lay my soul?』のような生と死がテーマの作品、政治的なテーマの『神の絶望』など全7作品が収められている。
現在、チュラロンコン大学、ブラパー大学、シラパコーン 大学の演劇学科の非常勤講師をしながら、自身の演劇活動を続けている。

Mailes Kanapi マイレス・カナピ
────────────────────────────────────────────────────────────────────
フィリピン大学で演劇を専攻して以来、フリーランスの俳優として舞台やインディペンデント映画、テレビCMなどで活躍。また日本のアニメの吹き替えなど声優としても活動している。フィリピン芸術高校で演劇の講師を務めた後、現在はフィリピン国立劇場(CCP)附属劇団「タンハラン・フィリピーノ」の俳優部門で指導にもあたっている。
出演作に『リズム・メソッド』『ベニスの商人』『沈黙のさなかで』『異言を語る』、フィリピン国立劇場付属劇団であるタンハラン・フィリピノの作品、ミュージカル『奇跡』、テネシー・ウィリアムズ『地獄のオルフェ』、シェイクスピア『お気に召すまま』、鄭義信『バケレッタ』、シンガポールの劇団ネセサリー・ステージ『Floor』『モバイル』、『Insiang』、『Marisol』、『Slipped Dice』等多数。
日本とのつながりも深く、弘前劇場『インディアン・サマー』に出演。燐光群『フィリピン ベッドタイム ストーリーズ』(3作すべて)『サザン・アイランズ』など。
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「優秀新人戯曲賞2018」できました。まもなく書店店頭に。

2017-12-04 | Weblog
第23回劇作家協会新人戯曲賞・最終候補作全文掲載の「優秀新人戯曲賞2018」できました。

まもなく書店店頭に並ぶと思います。

全作品を読んだ上で「公開審査会」にお立ち会いください。

…………

「優秀新人戯曲賞2018」(ブロンズ新社) 1800円+税

収録作品 第23回劇作家協会新人戯曲賞 最終候補作品 (応募戯曲到着順)

  くるみざわしん  『精神病院つばき荘』
  ピンク地底人3号 『黒いらくだ』
  八鍬健之介    『アカメ』
  長谷川彩     『下校の時間』
  出口 明、大田雄史『うかうかと終焉』


以上の作品から最優秀を選ぶ「第23回劇作家協会新人戯曲賞 公開審査会」は、
12月17日(日) 18:30  座高円寺2 で、開催されます。

 [審査員]
  川村 毅 坂手洋二 佃 典彦 土田英生 永井 愛 マキノノゾミ 渡辺えり
 [司会]
  瀬戸山美咲

http://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/b4e951272b6d2371f88f11a20cfa948e

http://www.jpwa.org/main/activity/drama-award/prize
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経産省、原発新設したいってよ。

2017-12-03 | Weblog
虚構新聞ではありません。

時事通信によれば、

「原発新設、議論着手へ=エネルギー計画見直しで-国民理解に課題・経産省」

ということで、

「経済産業省は、原発の新設や建て替えの必要性に関する議論に近く着手する。2030年までの国の政策方針を定めた「エネルギー基本計画」改定に際し、地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」を踏まえた50年までの長期的視点を新たに盛り込む」

という。

全世界が「脱原発」に向かう中、国民の安全や国際的な放射能汚染への責任よりも、地球温暖化対策に取り組む「パリ協定」の方が大切だという理屈だ。
六年九ヶ月前の震災・事故の教訓に学ばないという。

報道によれば、

「温室効果ガスを8割削減する日本の目標に向け、二酸化炭素を出さない原発をどう維持するかが焦点となる。」
「3年ごとの基本計画の改定検討を担う経産省の会議で先月28日、分科会長である坂根正弘氏(コマツ相談役)が「原子力と地球温暖化問題の両面からアプローチしないと答えが出ない」と発言。「50年を考えながら30年の議論をしたい」とも語り、50年までの原発活用を議論する方針を示した。」

なのだそうだ。

確かに経済界に「エネルギーに乏しい日本の将来のために原発稼動拡大を」という声は依然として、ある。

しかし、この間の、杜撰な運営が明るみになり、調査・検査の不徹底が指摘される中、本当に国民の信頼が得られると思っているのか。

「政府は電源構成に占める原発の比率を30年度に20~22%とする目標を掲げている。30基程度が必要だが、原則40年の運転期間を60年に延長すれば、計算上は既存原発だけで達成できる。しかし、その後は全原発を60年運転しても50年度ごろに比率は10%程度にまで低下。再生可能エネルギーに安定性やコストの課題が残る中、温暖化目標達成には新設によって原発比率を維持するかが論点となる。」

で、

「経産省は当初、今回の計画改定は小幅にとどめ、原発新設には踏み込まない方針だった。だが有識者委員から検討を急ぐべきだとの意見が続出。来春から議論を本格化させる方向に転じた。」

と、報道されるにいたった。

日本国よ。
もうやめよう、そんなことは。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2017120300287&g=eco
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オキナワハマサンゴ

2017-12-03 | Weblog
沖縄・辺野古沖の長島付近で発見したオキナワハマサンゴ。

群生しているサンゴである。

船の上から見ると、生きて動いているみたいだ。

美しさ、優雅さは、説明のしようがない。

普天間代替基地ができると、海はこの辺りまで新滑走路に覆われて、長島周辺の生態環境はすっかり変わり、このハマサンゴも生存の場をなくすのだ。

写真は、今年の九月。



この海も関わる、燐光群『くじらと見た夢』、名古屋、伊丹、岡山公演の情報は、以下の通り。

……………………………………

ふたつの海。
クジラのいる海、いない海。
でも忘れちゃいけない。
海はひとつ。
必ずどこかで繋がってる。

燐光群創立35周年記念公演 VOL.1
────────────
燐光群『くじらと見た夢』
作・演出○坂手洋二
http://rinkogun.com/
────────────

国際的な捕鯨問題と日本社会の現状をリアルに描く、鯨捕りに携わる家族たちの「伝承」と「共存」の物語。

佐々木梅治 Benjamin Beardsley 円城寺あや 南谷朝子
中山マリ 鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋
杉山英之 東谷英人 武山尚史 山村秀勝 樋尾麻衣子
宗像祥子 田中結佳 秋定史枝 橘麦 中瀬良衣

【名古屋公演】
12月12日(火)19:00
12月13日(水)19:00
愛知県芸術劇場小ホール
名古屋市東区東桜1-13-2 愛知芸術文化センター地下1階
地下鉄東山線または名城線「栄」駅下車、徒歩3分
名鉄瀬戸線「栄町」駅下車、徒歩2分
※いずれもオアシス21から地下連絡通路または2F連絡橋経由

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Nagoya.html

【伊丹公演】
12月15日(金)19:00
12月16日(土)14:00/19:00
12月17日(日)14:00
AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
伊丹市伊丹2-4-1
JR伊丹駅西へ徒歩1分
阪急伊丹駅東へ徒歩約10分

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Itami.html

全席指定 一般前売料金3500円
大学・専門学校生/U-25(25歳以下) ¥2,500 高校生以下 ¥1,500
もございます。※当日受付にて証明書を提示いただきますようお願いいたします。

【岡山公演】
12月19日(火)19:00
岡山市立市民文化ホール
岡山市中区小橋町1-1-30
路面東山行「小橋」下車徒歩1分

全席自由席 18:00より整理券を発行します。
客席開場前にロビーで整理券の番号順にお並び頂き、18:30よりその順にご入場頂きます。

一般前売 2,700円  当日3,000円 
大学生以下 1,500円  ※当日受付にて証明書を提示いただきますようお願いいたします。

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Okayama.html


写真は、佐々木梅治、橘麦、大西孝洋。
のどかなシーンもあるのだ。

撮影・姫田蘭

……………………………………


新作『くじらと見た夢』、パンフレットに掲載したご挨拶文です。

沖縄でのイルカ(ヒートゥー、ピトゥ)漁は、伝統的なものとして知られているが、戦後の一時期、名護西岸で本格的な捕鯨をしていたことを、最近になって本格的に調べた。十五年近くにわたって、年間数十頭のザトウクジラを捕っていたのだ。昭和二十六年、「戦後初めての捕鯨」と思しき漁にも参加した、八三歳で現役を誇るイルカ撃ち漁師の一家にも、詳しく話を聞いた。

名護東岸、島の反対側に位置する海では、米軍基地キャンプ・シュワブに、普天間基地代替施設としての空港建設が強行されようとしている。この劇の上演が始まる週、大浦湾を埋め立てる石材の、海上輸送による大量投入が始まった。

イルカ漁の豊かな歴史を抱く平和な名護漁港と、米軍基地に占拠された辺野古。同じ名護市なのに、海の風景は、西岸と東岸で、まったく違うのだ。

昨冬、かつて『くじらの墓標』を書くため訪れた捕鯨村・鮎川を、震災後には初めて、再訪した。津波の猛威を受けた町並みはすっかりなくなってしまったが、捕鯨は変わらず続けられていた。

『南洋くじら部隊』の舞台、レンバダ島の捕鯨村ラマレラを、久しぶりに訪れた。電気も電話も貨幣経済もなかった暮らしは近代化の洗礼を浴び、変わってしまった。それでも漁師たちはクジラを捕り続けている。

そして、映画『ザ・コーブ』等によってイルカ漁が国際的な非難を浴びた和歌山・太地に、初めて行った。捕鯨反対運動は沈静化していたが、それとは無関係に、人々は未来を見つめていた。午後から夕方にかけて漁協の退職者たちが集う溜まり場で、九〇歳の元クジラ捕りに話を聞いた。かくしゃくとして、見たところ七十過ぎにしか見えない元気な人で、全世界を股にかけた捕鯨最盛期の話は、圧巻だった。

名護の八三歳、太地の九〇歳との出会いは、収穫だった。

まだだ。
まだ間に合う。
戦争・戦後の時代と、今を生きる人たちを繋ぐ、海の物語を描くことができる。そう思った。捕鯨に携わる家族たちの「伝承」と「共存」の物語が、くっきりと浮上してきた。

これほどさまざまな場所を取材し、あらゆる人々に会ったことはない。四半世紀のあいだ抱えてきた「クジラ」というテーマと、逃れようもなく関わってきた沖縄のことが、このように出会う、宿命。

おそらく今までで一番多く溢れる情報を相手に、井上ひさしさんがよく言っておられた「小説はどんなに長く書いても許されるが、戯曲はどうしても二時間半に収めなければならない」という困難が、立ち塞がった。

しんどい作業に共に立ち向かう仲間たちに、支えられた。そのありがたさ、豊かさに、これほど感謝し、教わった現場も、ない。

クジラを捕ることと演劇を作るという営為は、やはりどこか似ている。

(『くじらと見た夢』当日パンフレットより)

(クジラの写真は、小島曠太郎氏による。今年、インドネシアのラマレラにて。)
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『くじらと見た夢』今月、 名古屋・伊丹・岡山公演。

2017-12-02 | Weblog
『くじらと見た夢』は今月、 名古屋・伊丹・岡山公演をいたします。

燐光群の創立35周年記念公演の第一弾として、11月、東京で幕をあけました。

名古屋・伊丹・岡山の皆様、ぜひご来場くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。


ふたつの海。
クジラのいる海、いない海。
でも忘れちゃいけない。
海はひとつ。
必ずどこかで繋がってる。

燐光群創立35周年記念公演 VOL.1
────────────
燐光群『くじらと見た夢』
作・演出○坂手洋二
http://rinkogun.com/
────────────

国際的な捕鯨問題と日本社会の現状をリアルに描く、鯨捕りに携わる家族たちの「伝承」と「共存」の物語。

佐々木梅治 Benjamin Beardsley 円城寺あや 南谷朝子
中山マリ 鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋
杉山英之 東谷英人 武山尚史 山村秀勝 樋尾麻衣子
宗像祥子 田中結佳 秋定史枝 橘麦 中瀬良衣

【名古屋公演】
12月12日(火)19:00
12月13日(水)19:00
愛知県芸術劇場小ホール
名古屋市東区東桜1-13-2 愛知芸術文化センター地下1階
地下鉄東山線または名城線「栄」駅下車、徒歩3分
名鉄瀬戸線「栄町」駅下車、徒歩2分
※いずれもオアシス21から地下連絡通路または2F連絡橋経由

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Nagoya.html

【伊丹公演】
12月15日(金)19:00
12月16日(土)14:00/19:00
12月17日(日)14:00
AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
伊丹市伊丹2-4-1
JR伊丹駅西へ徒歩1分
阪急伊丹駅東へ徒歩約10分

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Itami.html

全席指定 一般前売料金3500円
大学・専門学校生/U-25(25歳以下) ¥2,500 高校生以下 ¥1,500
もございます。※当日受付にて証明書を提示いただきますようお願いいたします。

【岡山公演】
12月19日(火)19:00
岡山市立市民文化ホール
岡山市中区小橋町1-1-30
路面東山行「小橋」下車徒歩1分

全席自由席 18:00より整理券を発行します。
客席開場前にロビーで整理券の番号順にお並び頂き、18:30よりその順にご入場頂きます。

一般前売 2,700円  当日3,000円 
大学生以下 1,500円  ※当日受付にて証明書を提示いただきますようお願いいたします。

http://rinkogun.com/kujira_to_mita_Okayama.html


写真は、佐々木梅治、橘麦、大西孝洋。
のどかなシーンもあるのだ。

撮影・姫田蘭

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新作『くじらと見た夢』、パンフレットに掲載したご挨拶文です。

沖縄でのイルカ(ヒートゥー、ピトゥ)漁は、伝統的なものとして知られているが、戦後の一時期、名護西岸で本格的な捕鯨をしていたことを、最近になって本格的に調べた。十五年近くにわたって、年間数十頭のザトウクジラを捕っていたのだ。昭和二十六年、「戦後初めての捕鯨」と思しき漁にも参加した、八三歳で現役を誇るイルカ撃ち漁師の一家にも、詳しく話を聞いた。

名護東岸、島の反対側に位置する海では、米軍基地キャンプ・シュワブに、普天間基地代替施設としての空港建設が強行されようとしている。この劇の上演が始まる週、大浦湾を埋め立てる石材の、海上輸送による大量投入が始まった。

イルカ漁の豊かな歴史を抱く平和な名護漁港と、米軍基地に占拠された辺野古。同じ名護市なのに、海の風景は、西岸と東岸で、まったく違うのだ。

昨冬、かつて『くじらの墓標』を書くため訪れた捕鯨村・鮎川を、震災後には初めて、再訪した。津波の猛威を受けた町並みはすっかりなくなってしまったが、捕鯨は変わらず続けられていた。

『南洋くじら部隊』の舞台、レンバダ島の捕鯨村ラマレラを、久しぶりに訪れた。電気も電話も貨幣経済もなかった暮らしは近代化の洗礼を浴び、変わってしまった。それでも漁師たちはクジラを捕り続けている。

そして、映画『ザ・コーブ』等によってイルカ漁が国際的な非難を浴びた和歌山・太地に、初めて行った。捕鯨反対運動は沈静化していたが、それとは無関係に、人々は未来を見つめていた。午後から夕方にかけて漁協の退職者たちが集う溜まり場で、九〇歳の元クジラ捕りに話を聞いた。かくしゃくとして、見たところ七十過ぎにしか見えない元気な人で、全世界を股にかけた捕鯨最盛期の話は、圧巻だった。

名護の八三歳、太地の九〇歳との出会いは、収穫だった。

まだだ。
まだ間に合う。
戦争・戦後の時代と、今を生きる人たちを繋ぐ、海の物語を描くことができる。そう思った。捕鯨に携わる家族たちの「伝承」と「共存」の物語が、くっきりと浮上してきた。

これほどさまざまな場所を取材し、あらゆる人々に会ったことはない。四半世紀のあいだ抱えてきた「クジラ」というテーマと、逃れようもなく関わってきた沖縄のことが、このように出会う、宿命。

おそらく今までで一番多く溢れる情報を相手に、井上ひさしさんがよく言っておられた「小説はどんなに長く書いても許されるが、戯曲はどうしても二時間半に収めなければならない」という困難が、立ち塞がった。

しんどい作業に共に立ち向かう仲間たちに、支えられた。そのありがたさ、豊かさに、これほど感謝し、教わった現場も、ない。

クジラを捕ることと演劇を作るという営為は、やはりどこか似ている。

(『くじらと見た夢』当日パンフレットより)

(クジラの写真は、小島曠太郎氏による。今年、インドネシアのラマレラにて。)

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