今年もやってきました1月3日のニューイヤー・オペラ・コンサート。日本の歌劇界の一年を占う上では重要な番組であろう。トップ・バッターは日本テノール界の重鎮であり第一人者でもある福井敬さん。歌うは「トゥーラン・ドット」からカラフのアリア「誰も寝てはならぬ」。無難な歌唱だったが、ちょっと世界と日本の歌手の実力差を感じざるを得ない演奏だった。森麻季ちゃんは進境著しいが、重なる出産で、ちょっと肉体的なハンディを負っているような気がする。林美っちゃんのカルメンはいつも色気不足。もっと重厚・妖艶な歌手が演じるべきであろう。幸田浩子は高音の輝きが増して結構結構。10年前にウィーンのフォルクスオパーで夜の女王を聞いたときには、アリアのF音が出せなくて冷や冷やした思い出がある。木下美穂子の蝶々さんは、これはもう堂々たるもの、日本ソプラノを代表するプリマ・ドンナの実力を見せ付けた。今後、真に世界的な歌手が日本からでるとすれば、木下美穂子をおいて他にはいないだろう。だいぶ痩せたようなのが気になるが。ただ、今年のニュー・イヤーを通じて、一番、安定した歌唱を見せ付けたのは、藤村実穂子だったのではないか?非常に安心して聞いていられるメゾの名演だった。ただ、表現力、解釈と言う点では、平板であったと言う印象は免れない。日本のオペラも日進月歩であるが、そろそろ実力のある新人の登場が待たれるところでもある。
なにはせんなにもやらずと三日かな 素閑
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