イタリア出身でベルリンで活躍中のフルーティスト、リタ・ダルカンジェロ女史のフルート・リサイタルを鑑賞しに、九段下のイタリア文化会館に行ってきた。
リタとはフェイス・ブックで知り合って、今まで面識がなかったが、数回目の来日の機会をとらえて、演奏会を聴きに行った次第である。
パンフレットのリタのプロフィールによれば、リタはイタリアのキエーティ出身。ベスカーラ音楽院、マンチェスター国立音楽院、ミラノ国際アカデミー、マンハイム音楽大学で学び、現在はベルリンの連合室内管弦楽団の首席フルーティストである。
かつて兵庫県立芸術文化センター管弦楽団の首席も務めたことがあるが、本人によればごく短い期間だったという。
この日のプログラムは、J.Sバッハ:フルートソナタホ短調、フォーレ:ファンタジー、そしてお定まりのハンガリー田園幻想曲。後半はデ・ロレンツォ(ジュナンかと思っていた!)ベニスの謝肉祭変奏曲、サンサーンス:ロマンス、ボルス:カルメン幻想曲、ブリチャルディ:「椿姫」のテーマによる幻想曲。アンコールはエルガーの「愛の挨拶」だった。
聴いた感想は正直言って驚いた。 これほどの隠れた才能がいたとは!
ソノリテは完璧。低音が素晴らしくよく鳴る。低音部をフェルマータでルパートして強調してごまかすようなことはしない。中音域より上は、音響の良いホールだったにもかかわらずちょっと音の拡がりが感じられなかったが今後の課題か?
テクニックはテクニックを強調して聴かせる選曲が多かったため、存分に堪能した。何箇所かミスタッチがあったが、これはどんな名人にもある。
アナリゼはデリケートかつオーソドックス。安心して聴けた。
はっきり言って、 これまでの最新のフルート界の状況にキャッチ・アップしていなかったので、奏者がこれほどレベルアップしているとは知らなかった。一昔前なら確実に「名人」と呼ばれていた奏者であろう。これでも所謂「三流どころ」の奏者であるから他は推して知るべしである。まあ、楽器が良くなっているというのも一因であろうが。リタの楽器はナガハラの14Kの特注品。永原完一氏が制作したという。
演奏会終了後、楽屋にリタを訪ね、言葉を交わした。そして日曜のディナーの約束をした。光栄である。
リタは月曜に関西に移動するという。日曜にまた会うことを約して会場を出た。
笛の音に心酔いしれ秋盛り 素閑
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