よくラーメンに異常に凝っているラーメン通がいる。
あれほど情熱を傾けられる意志とラーメン愛とエネルギーは底知れぬ。
昼の時間にラーメン屋を三軒・四軒も梯子する猛者もいると聞く。
そうなると、もうマニアックの世界になってくる。
常識では考えられない。
しかし、一般人間世界も、案外、こうした「非常識な」情熱によって動かされているのかもしれない。
東大でクルマエビの生態を研究した学生がいた。
卒業して農林省に入ったが、ここでもまたクルマエビの生態研究と養殖の開発に取り組んだ。
異常な情熱である。
親は「大学を出てもまだ海老かねえ」と嘆いたそうだ。
役所で管理職になると、海老の研究ができなくなるため、退官してエビ、エビである。
一晩、海老の入った池に立ち尽くして、その生態を研究するなどは当然と心得る海老学徒であった。
そしてついに養殖の実用化に成功した。
しかし、今、我々庶民が、なんとか自分の財布で安い養殖海老を食べられるのはこのお方のお陰である。
だからラーメン通も海老の学者さんも馬鹿にできないのはもちろんのことである。
山眠る英語でなんと言ふたるか 素閑
乞食僧村に来たるや山眠る 素閑
君と来た山眠りいく鄙の宿 素閑
てのひらに触れる葉のをと山眠る 素閑
みづうみのおもて映るや山眠る 素閑
干からびた釜の底より山眠る 素閑
月旅行行くと長者や山眠る 素閑
垣からむ乾いた蔓や山眠る 素閑
山眠る悪貨が良貨を駆逐する 素閑
河のうをうごかぬ月夜山眠る 素閑
雲眺む流れ筋引き山眠る 素閑
信楽の厚き茶碗や山眠る 素閑
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