これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

1000回、1000回、寝かせんかい

2017年09月28日 21時38分50秒 | エッセイ
 イギリスの登山家ジョージ・マロリーの名言が好きだ。
「なぜ、あなたはエベレストに登りたいのか」と問われ
「そこにエベレストがあるから」と答えた。
 もっとも、私は「そこに山があるから」と教わったのだが、これは誤訳らしい。
 
 おかげ様で、当ブログは今回で1000回目の更新を迎えることができた。平成20年4月26日から始めたブログだが、週2回の更新ということもあり、9年半もかかった。
 更新にはエネルギーがいる。内容にもよるが、旅行記や展覧会の感想などには一番時間が必要で、2時間前後パソコンとにらめっこをする。逆に、腹筋が鍛えられるくらい笑ったこと、にわかには信じられないくらい驚いたことなどは、30分もあれば書ける。日曜の更新は楽しみながらできるのに、木曜の更新はツラい。フルタイムの仕事を終えてからだと、頭の回転も鈍く、四苦八苦しながら仕上げている。
「よくやるねぇ。やめたくならないの?」
「ないない、一度もない」
 友人たちは呆れ顔で、しつこくしつこく駄文を書き続ける私に、少々引き気味である。最初の頃は、読んでくれていたけれど、すっかり飽きられたようで、今では話題にも上らない。それが普通の反応なのだろうか。
 何の報酬も得られないのに、睡眠時間や自由時間を削ってまでして、どうして私はブログを書くのだろう。
「そこにネタがあるから」
 これを理解してくれる人が、どのくらいいるかはわからない。でも、マロリーだったら、大きく首を上下させて共感してくれたと思うのだ。
 ネタがないときの更新は困る。残り少ない歯磨き粉のチューブを絞るように、脳を刺激してネタをひねり出す。たいていの場合、食べ物ネタになるのは仕方あるまい。言いたいことや伝えたいことが活字となり、読み物として完成したときの喜びは、ミニストップのプレミアム和栗モンブランソフトを食べたときよりも大きい。
 以前の私だったら、1000回記念のご褒美に、自分へのプレゼントを買っていたことだろう。
 でも、今、一番欲しいものは睡眠時間であって、お金では買えない。
「そうだ、たまには早く寝よう」
 昨日は帰りが遅くならないようにして、19時には夕食にありついた。一応1000回記念だからと、コーヒーリキュールを引っ張り出して、カルーアミルクを作る。



 甘くて美味しい。とても幸せである。
 手早く弁当の下ごしらえをすませ、11時には布団に入ることができた。起きるのは5時だから、6時間も眠れる計算になる。
 ところが、1時頃に目が覚めた。覚えていないけれど、何だかとても怖い夢だった。
 再び眠りに落ちたはずなのに、また目が覚めた。今度は2時45分。
一体どうなっているんだ!?
「……カルーアミルクだ、きっと」
 このところ、家では全然お酒を飲んでいない。珍しく摂取したアルコールには、覚醒作用がある。だから、途中で2度も目覚めてしまったらしい。
「なにやってんだか」
 ご褒美のぐっすり睡眠はおあずけだ。キイイ~!
 さてさて。
 じゃあ、今夜こそ、たっぷり眠りましょうかね。
 ネタを提供してくださる皆さん。
 拙い文章を読んでくださる皆さん。
 めでたく1000回目の更新を迎えることができたのは、皆さんのおかげです。
 そこにネタがある限り、私は書き続けていきますので、応援よろしくお願いいたします。
 おやすみなさいませ。


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お肌にアイロンを!

2017年09月24日 20時57分55秒 | エッセイ
 以前はローションパックにはまっていた。
 薄く剥がしたコットンに化粧水をたっぷり浸し、肌に貼ったあと、上からラップを重ねて蒸しタオルを当てれば、お肌の張りが戻る。いわば、アイロンの要領である。しかし、コットンを貼る手間がかかるのと、化粧水がジャンジャン減っていくのが悲しくて、新しい方法を考え出した。
 まずは、洗顔する。化粧水を塗ったあと、ラップはせず、直に蒸しタオルを当てる。蒸している間は、床にごろ寝をして腸のマッサージ。これで便秘対策もバッチリだ。毛穴が開いたところで、再度化粧水を塗り、クリームで仕上げる。ショボショボしていた目もシャキッとするし、楽して化粧のりがよくなるから気に入っていた。
 しかし、先週は忙しかった。夏休みにのんびりし過ぎたせいか、娘の弁当再開がやけにツラくて、毎朝時間と戦っていた。
「ああ、もうこんな時間。蒸しタオルはいいや~」
 と、連日スルーしたせいか、週末にはお肌がボロボロである。張りを失った頬がたるみ、ほうれい線が目立つ。顔色も冴えず、肌が薄汚く見える。これはいかん。
「大変、大変。早く蒸しタオルをしなくちゃ」
 あわてて土日は手当てをした。おかげで、ちょっとは張りが戻ってきたが、明日からまた怠けたら、老け顔一直線となるに違いない。時間的には、5分余分にかかる程度である。鏡を覗き込んだときの焦りを忘れずに、弁当と両立させねばならぬ。
 そんなお肌事情とは関係なく、来月末で切れる職員証の更新手続きを始めた。
「3cm×4cmのカラー写真と、この申請書を提出してください」
 担当者に書類を渡され、娘のアイフォンで写真を撮ってもらった。これまでは、デパートの写真館で撮影し、肌を明るくしてもらったり、目を大きく、口角を上げるなどの修正が欠かせなかった。しかし、自宅でもキレイに撮れるアプリがあると聞き、ためしにトライしたというわけだ。
「撮れたよ。うーん、ちょっと盛り過ぎた」
「どれどれ。あっ、これはすごい!」
 カメラ360というアプリのプリクラモードで撮った私は、別人のように若返っていた。
 拡大して見ると、まつげが3倍くらい長くなっているし、頬がうっすらとピンク色に輝き、地味な唇は華やかな赤に変身している。目もひと回り大きくなったようだ。シミやソバカスは無視されるのか、写っていなかった。女心を実によく理解していて、何と賢いことか。
 それに引き換え、デジカメは忠実だ。まぶたの下がり具合に、くすんだ肌やカサカサした唇もバカ正直に写すものだから、「ムキキ~!」と腹が立って仕方ない。誰が、こんな写真を職員証にするものか。
 念のため、盛れた写真を同僚女性に見せてみた。
「ねえこれ、職員証に使っていいと思います?」
「あっ、すごい。こんな風に撮れるんですね。全然問題ないですよ。就活で使う写真だって、修整するんですから」
「それもそうですね。じゃあ、これにしようっと」
「当然ですよ」
 さて、私はこれから毎朝、蒸しタオルをサボらないようにしなくては。
 写真の自分に近づこうとするなんて、考えてみたらおかしな話だけどね。


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スマホ1カ月

2017年09月21日 21時26分24秒 | エッセイ
 ガラケーからスマホに変えて1カ月が過ぎた。
 電車の中でも、ドトールの中でも、スマホ操作に夢中になっている人は多いが、私は違う。ケースのフタを開けたところで、着信通知がひとつも届いていないから、何もすることがない。友達が少ないと、ラインもメールも来なくて平和だ。ブログの更新やグルメ検索などはパソコンの方が早いので、わざわざ時間をかけて、スマホでチンタラ入力する必要性を感じない。そんなことより、本を読んだりエッセイのメモ書きをしたりする方が生産的だ。
 家に帰り、キーボードを連打すれば、1分間で70字は打てる。10分間で2000字以上入力できる高校生もいるけれど、鈍クサい大人にしては上等だろう。日常的に使っていないと、入力速度が落ちることもあり、私はキーボードに固執する。したがって、スマホの通信量は一向に増えず、バッテリーの減りも遅い。
「スマホには慣れた?」
 珍しく、30年来の友人からラインが来たので、「あまり使っていないから、なかなか慣れない」と返した。
「一度充電すれば、4日は持つし」と続けたら、「信じられなーい!!」と書かれたスタンプが送られてきた。
 ちなみに、8月の通信量は多くて1日0.04GBである。9月は2学期が始まったこともあり、ますますスマホを放置したせいか、20日で0.51GBしか使っていない。初期設定をしてくれた娘も呆れ顔だ。
「は? 何のためにスマホにしたのよ」
「2GBまでのSパックに変更しようかな」
「元をとろうとか思わないの?」
「Sパックだったら料金もガラケーと大差ないし」
 会話も噛み合わない。このままでは、見捨てられそうな予感がする。
 しかし、妹とラインをしていて、この状況に変化が生まれてきた。彼女はときどき、ガンダムのスタンプを送ってくるのだ。



「いいなあ、これ。欲しいなぁ」
 クリックすると、他にもたくさんの絵柄があることがわかった。



 それから、シャア専用スタンプなるものも発見した。



「どうやってゲットすればいいんだろう」
 娘に尋ねると、ポイントの集め方を教えてくれた。地道な収集は私に向いていないので、セシールやディノスで買い物をしようと思っている。必要なものを購入して、支払額の5%、10%といったポイントがもらえるなら、ラインショッピングを利用したほうが得だ。単純な課金はしたくない。
「ちょうど、ベルトが欲しかったんだよね」
 ガンダム欲しさに通信量が増えるか?
 めでたくスタンプをゲットしたら、充電持つのが5日に延びたりして……。


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タイトルうまいぞ 「新感染」

2017年09月17日 23時43分38秒 | エッセイ
 先月、別の映画が始まる前に「新感染」の予告を観た。



 特急列車という密室の中で、続々とゾンビが増殖し、集団で襲い掛かってくる。一本とられたようなタイトルもホラーぽい。幼い娘を抱いた男性が、座席の間の通路を、必死の形相で走る。一体、どこに逃げたらいいのか?
 予告映像が怖すぎて、「これはパス」と決めたはずなのに、いざ公開されると気になって仕方ない。
「うーん、結構評判いいみたいだぞ……」
 口コミや評価をチェックしていたら、少しずつ「見たい」方向に傾いてきた。最終的には、映画通のブロ友さんが、レビューに満点の星5つをつけていたことが決定力となり、これから台風18号が近づいてくるというときに、わざわざ新宿まで足を運んできた。



 上映劇場が大幅に減ったせいか、シアター内は満席である。客層は10代から20代の若い人が多い。
「うわっ、怖い。2時間持つかな、オレ」
 隣に座った学生風の男の子は、相当な怖がりらしく、冒頭のシカから怯えていた。ちなみに、彼と一緒に来ていた男の子は、やたらと涙もろいようで、後半はほとんどすすり泣きをしていた。どういう組み合わせなのだろう。
 後ろに座った女子高生6人組は、チビったら大変だと思ったのか、上映開始直前に集団でトイレに駆け込んでいた。お化粧して大人っぽく見せてはいるが、行動はまだまだ子どもで可愛らしい。
 さて、ストーリーは序盤からグイグイ引っ張っていく。やり手のファンドマネージャー、ソグは妻と別居中で、実母と娘のスアンと一緒にソウルに住んでいる。ソグはスラリと背が高く、端正で涼し気な二枚目であるが、性格はクソ。世の中は自分中心に動くと思っていて、他者への思いやりに欠ける行動ばかり。
 スアンは、大好きな母の住むプサンに行きたい。ちょうど、スアンの誕生日ということもあり、ソグは無理して娘の手を引き、朝イチの特急列車に乗り込んだ。ゾンビ化するウイルスに感染した女が乗っているとも知らずに。
 スアンはトイレに行きたくなった。だが、ドアの前には恰幅のよい男が立っていて、「ここは長いから他にした方がいい」と言われる。この男は、サンファという名でマ・ドンソクという俳優が演じている。最初は、元プロ野球選手の石井一久氏かと思った。現役引退後は、吉本興業の契約社員になったという話だから、勝手に結び付けてしまったようだ。似ていると思ったのは私だけだろうか。



 サンファは、実にいいヤツである。ソグが少しずつ変わってきたのも、サンファの影響が大きい。サンファの妻でお腹の大きなソンギョンも善人だ。きっと、聞き分けのよいお利口さんが生まれてくるに違いない。
 まもなく、車内で騒ぎが起きる。ソグは、スアンを連れてとにかく逃げるしかなかった。



 通路から噴き出すように、集団で追ってくるゾンビは、黒目が水色になっていて恐ろしい。でも、3分で慣れる。だって、攻撃が単調なんだもの。両手を上げて獲物に飛びかかり、体に噛みつくだけだ。身体能力は異常に高い。高所から飛び降りても、体操選手並みに着地を決めるし、走行中の列車に追いつく脚力や跳躍力もある。
 その反面、知能は相当低いらしい。ソグたちがゾンビの習性を見抜き、裏をかく場面は、張りつめていた心がホウッと緩むひとときだ。しかし、敵はゾンビだけでない。この映画では、ゾンビの襲撃という危機を通して、人類が共存していくには何が大切かを伝えたかったのではないか。
 終盤が近づくにつれ、私の目にも涙が浮かんできた。ハンカチやタオルは必需品であろう。涙とともに、体にたまったストレスが老廃物として流れていくという。ハングルで書かれたエンドロールが登場する頃には、「いい映画だった。有意義な時間を過ごせた」という気分になれた。
 女子トイレは、新感染シアターから出てきた女性で列ができていた。後ろに並んでいた、20代のOL風の2人組がこの後のことを話題にしている。
「何か食べていく? もう6時半だよ」
「そうねぇ。食欲なくなっちゃったけど」
「肉はやめとこう」
「そうだね、アハハ」
 聞き耳を立てていたわけではないが、クスッと笑いそうになった。
 この映画は、できれば食事のあとに!


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青い太陽

2017年09月14日 21時25分52秒 | エッセイ
 同僚が、夏休みを利用して、メキシコに行ってきた。
 おみやげに、レモングラスのハーブティーと



 陶器の小物入れをいただいた。



 どちらも、ひとめ惚れに近い。メチャメチャ気に入っている。
 彼女とは仲良くなって日が浅いのに、よく私の好みがわかったものだと驚いた。でも、よく考えると、もともと私と彼女は感性が似ているのかもしれない。
 職場に着いたら、今まではモーニングコーヒーを飲んでいたが、9月からはモーニングハーブティー。
 そよ風に髪を泳がせて、一日がスタートするような爽やかさだ。
「さあ、これには何を入れましょうかね」
 メキシコから見える太陽も、日本から見える太陽も、同じもののはず。なのに、こうも違うか。日本人に、この色彩は相当エキゾチック。
 フタを開けると、中には布か紙を敷いた方がよさそうに見えた。



「そうだ、余ったフェルトがある」
 内径に合わせて切り込みを入れたら、最初からセットだったかのようにフィットした。



 日常的に身につける時計や指輪は、本棚の空きスペースにむき出しで置いている。
 これを収納したらどうか?



「おおっ、ピッタリ!」
 かくして、青い太陽さんは、時計と指輪のお母さんになったのである。今では、すっかり日本の住宅に馴染んでいる。いわば、かくれメキシカンであろう。
 わが家に、おみやげがやって来てから3日後、メキシコでは大地震が起きた。
「ううーむ、もし、彼女が買ってきてくれなかったら、太陽さんは壊れていたかもしれないね……」
 もっとも、このあと東京で地震が発生しない保証はないが。
 縁を感じて、グイグイとメキシコに吸い寄せられる私がいる。
「あっちは夏でも湿度が低くて涼しいの。長く住むと、毛穴がなくなるんですってよ」
 同僚の言葉が、頭の中で幾度となく再生される。
 それは魅力。
 メキシコ旅行も悪くないね。


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ひやひやと あつあつのあいだ

2017年09月10日 20時48分21秒 | エッセイ
 香川県における「700」には、深い深い意味がある。
 何と、県内にある、うどん屋の軒数だそうだ。県の面積が約1876平方kmだから、単純に700軒で割り算すると、2.68平方kmごとに1軒のうどん屋が存在する計算となる。かなり多い。
 また、メニューの豊富さでは他県の追随を許さない。麺やだしにも種類があり、ちゃんと予習してから店に入らないと、注文するときに迷う。
 ここで、私が学んだ知識をご披露しよう。
 麺は2つに大別される。ゆでた麺を水で締めず、アツアツのまま提供する「釜揚げ麺」と、讃岐らしいコシやモチモチ感が味わえる「水締め麺」だ。「釜揚げ麺」からは、ゆで汁ごと出されたものをだし醤油につけて食べる「釜揚げうどん」、釜揚げ麺を玉子と混ぜて、だし醤油などをかける「釜玉うどん」ができる。どちらも猫舌の私には無理だ。
 これに対して、「水締め麺」はぜひ食べたくてよだれが出てくる。でも、少々ややこしい。麺にだしをかけて提供されるスタイルを「かけ」というが、締めた麺を熱くして熱いだしをかける「あつあつ」、冷たいまま冷たいだしをかける「ひやひや」、冷たい麺に熱いだしをかける「ひやあつ」がある上に、頼めば熱くした麺に冷たいだしをかける「あつひや」も作ってくれるそうだ。また、だし醤油を直接かける「ぶっかけ」、シンプルに醤油だけをかけた「生醤油」、だし風味のカレーをかける「カレーうどん」もあるから、用語を理解するだけで混乱する。
 頼りの情報誌には、さらに突出したメニューが載っていた。



 すだちのスライスで覆われた「すだちひやひや」、アンチョビ入りの「オリーブ釜玉」、ワカメの練り込み麺で作った「元祖わかめうどん」、ラーメンとの境目があやふやな「背脂入りうどん」、麺の上に緑のネギが広がりネギしか見えない「ねぎねぎうどん」、マグロ・トロロ入りの「山かけ鉄火しょうゆ」、「チャンポンうどん」などなど、「マジかよ」と目を剥くうどんのオンパレードで、もう何が何だか、わけがわからない。
 昭和の交通標語に「狭いニッポン そんなに急いでどこへ行く」というものがあった。ここではさしずめ「狭い香川に うどん屋700 どこへ行く」であろうか。選択肢は山ほどあるのに、胃袋はひとつ。ベスト、ベターな選択は何だろう。
「こうなったら、地元の人に聞くしかない」
 手っ取り早いのが「うどんタクシー」である。時間制で料金が決まっており、公共交通機関では行きづらい店にも連れて行ってくれるし、頼めば空港で降ろしてくれるから便利だ。



 しかし、何の連絡もなく、約束の時間に10分遅れてきた……。運転も上手とはいえないから、キッチリした性格の方にはおススメしない。
 夫と娘には「おでんも食べたい」との希望もあったので、うどんとおでんが楽しめて、小ギレイなお店を頼んだら、「おか泉(せん)」という店になった。情報誌にも掲載されている店である。



 ここで私が頼んだのは「肉冷やしうどん」である。本来、このメニューは「ひやひや」で味わうようだが、熱いだしの「ひやあつ」にアレンジしてもらった。



 いやあ、チョー美味でしたわぁ。
 まず、麺の歯応えがいい。硬すぎず軟らかすぎず、適度な弾力でもっちりした旨味が味わえる。だしは甘めで、細切れ牛肉によくマッチしている。少々、すき焼きの割り下がプラスされたような味で、甘党の私にはたまらない。これが温かいので、実はお腹を下していた身にはありがたかった。
「おでんもうまい」
 お腹の元気な夫と娘は、2人でおでん10串も平らげた。1本100円でお得だ。
 すっかり満足して支払いをすませる。レシートはこんな感じであった。リーズナブルさがありがたい。



 香川県のうどん文化は「自由」を謳歌している。
 温度や材料にとらわれず、新しいもの、珍しいもの、美味しいものを追求していく姿勢に衝撃を受け、ガラガラグシャグシャと音を立てて既成概念が崩れていった。
 おみやげに、うどんの乾麺を買った。
 香川式にならって、オリジナル笹木うどんを作るぞ~!


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「栗林」と書いて何と読む?

2017年09月07日 20時49分20秒 | エッセイ
 高松市には、栗林町と書いて「りつりんちょう」と読む場所がある。
「ねえ、明日は、くりばやし公園に行こうよ! すごくキレイなところみたいだよ」
 なーんて公衆の面前で口走ると、赤ッ恥をかくから気をつけることだ。私のように。
 ことでん琴平駅から50分ほどで、栗林公園駅に着く。自動改札ではなく、懐かしの有人改札だった。しかも、車掌さんごっこのように切符にハサミを入れてくれるので、中高年にはたまらない。



「特別名勝 栗林公園」というだけあって、ここは香川県屈指の景勝地である。16世紀後半から当時の豪族が庭園を作り始め、1745年に讃岐高松藩第5代藩主の松平頼恭が完成させたという。中は広く、わずか1時間の滞在では、半分も見られなかった。情報誌を頼りに、フォトスポットを見つけて目の保養に努める。
 芙蓉峰からの眺め。





 飛来峰からの景色。





 ここに見える南湖では、和船に乗ることができる。予約も可能だが、予約時間の1時間前までに乗船手続きをしなければならないので諦めた。和船では、全員が菅笠らしきものをかぶって乗るようだ。情報誌の写真を見て仰天した。



 かなりの抵抗を感じたのは私だけだろうか。みんな喜んでいる?
 堰月橋。



 橋の上からの景色も素晴らしい。



 梅林橋。



 この日も36度と暑かったせいか、木陰で鳩が鈴なりになって涼んでいた。たまり場なのかもしれない。あなたは何羽見つけられるだろうか。



 フォトスポットを回って満足したら、北門を目指して歩く。帰りは、JR栗林公園北口駅から電車に乗るのだ。
「あ、睡蓮だ」
 北門に向かう途中で、睡蓮が大きく伸びをしているように咲いていた。



「すごい」
 夢中でシャッターを切る。
 実は、初日に高知空港から奈半利に向かい、「北川村 モネの庭 マルモッタン」を訪れた。睡蓮の池を再現した「水の庭」が目当てだったのだ。



 以下の3枚は、モネの庭で撮った睡蓮である。
 美しいことに変わりはなかったが、睡蓮の花が閉じる午後だった上、雨に降られてしまい、お通夜のようにドヨ~ンと暗い雰囲気なのが悲しい。







 でも、栗林公園の睡蓮はエネルギッシュで活気にあふれている。10時半という時間も、睡蓮の開花には都合よかった。天気と時間が違うだけで、こうも印象が変わるとは。



 加えて、どの子も美人。水鏡に映った姿は、口角をかすかに上げて妖艶な微笑を浮かべているかのようだ。



 よし、モネの仇をとったぞ!
 光輝く睡蓮の花が印象的な、くりばやし……おっと、りつりん公園であった。


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「機動戦士ガンダム ジ・オリジンⅤ」でLINEの練習

2017年09月03日 21時21分25秒 | エッセイ
 勤務校の2学期は、9月1日から始まる。
 朝は電話番のため、早めに出勤してYahooニュースなどを見ているのだが、気になるバナー広告が目についた。
「機動戦士ガンダム THE ORIGIN V 激突 ルウム会戦 9/2公開」
 なにっ!
 ファンでありながら、高知やら香川やらで遊ぶことばかりに気を取られていて、全然知らなかった。来週は墓参りに行くから、何の予定もない2日か3日がよさそうだ。急いで劇場と時間を調べ、娘に連絡をとって選ばせ、帰り道でチケットを購入した。
 ジ・オリジンは今回が5作目である。4作目の「運命の前夜」は、去年の11月に公開されたので、実に10カ月ぶりだ。
「ミキは2時までバイトだから、終わったらラインするよ」
「ああ、ラインね……」
「前回はどこで終わったんだっけ。忘れちゃった」
「私も」
 何とも頼りない親子である。池袋の喫茶店で待ち合わせにしたが、ラインはちょっと気が重い。何しろ、文字の入力が遅いから、相手のトークについていけないのだ。練習せねばと焦るが、どうやって? と首を傾げる。
「そうだ、4作目のあらすじを調べて、入力練習に使えばいいんじゃないの?」
 我ながら、これはグッドアイデア。娘をアルバイトに送り出したあと、パソコンを立ち上げて4作目のあらすじを検索した。
「よーし、練習するぞ~!」
 相手の返信が早いと、落ち着いて入力できず、どんどんミスが増える。しかし、娘は仕事中だから返事は来ないはず。慌てず急がず、マイペースで文字を打とう。



 読む側としては、こんなトークばかりだったら、ガッカリするだろうか……。まあよい。
 待ち合わせの前に、バイトの終わった娘から「ちょっと思い出してきた」という短いメッセージが送られてきた。「『つ』と『て』の入力ミスが多い」という指摘とともに。
 公開初日の映画館は、ほぼ満席だった。入場者プレゼントのミニ色紙をゲットし、とても嬉しい。



 余裕を持って劇場入りしたのに、すでに売店には長蛇の列ができている。飲食物だけでなく、グッズを買う客が多いからだ。中には、あれもこれもと欲張る客もいる。とばっちりで、シャアザクの目のついた「リバーシブルアイマスク」は、すでに売り切れていた。これなら使えると思ったのだが。また、ネットでは「ジオン十字勲章ブローチ」の最後の1個をゲットした人の喜びの声がアップされていた。
 初日でもこういう状態なのだから、生産数を増やせばいいのに。買い過ぎのガンヲタのために。
 気になるストーリーの方には、大きな進展が見られなかった。
 セイラことアルテイシアは、凛々しくカッコよかった。さすがは、ジオン・ダイクンの子だ。
 ザビ家の面々は出番が多い。意外に人道的なデギン、演説に自己陶酔するギレン、やかましいドズル、なぜか影の薄いキシリア、うろたえることで笑いをとるガルマ……。ファーストガンダムでは、地球連邦軍側から描かれることが多かったので、興味深く見ることができた。
 一番人気のシャアは、まだ「赤い彗星」ではない。メイキング・オブ・赤い彗星だから、今回はどのようにして、通常の3倍の速度で飛べるザクができ上がったかがわかる。未曽有の加速に耐えるシャアを見ていると、こちらまで息苦しくなり、パイロットにかかる肉体的負担が感じられる。
 まもなくシャアは加速に適応し、戦いを始めるのだが……。
 あの終わり方は罪だ。
 今回は、多くの登場人物が「何のために戦うか」を口にした。復讐のため、愛する者を守るため、手柄を立てるため、人によって理由はさまざまだ。戦争は決して美しいものではない。悲劇である。アイランド・イフィッシュの落下は、まさに「悪魔の所業」というフレーズがふさわしい。戦争を知らない世代には、このことをしかと心に刻みつけていただきたい。
 4作目のあらすじを入力したおかげで、ラインの腕がちょっぴり上がった。
 せっかくだから、5作目のブログラムも入力練習に使いたい。シャアザク誕生の裏話を、ラインに打ち込んで娘に送信した。



 6作目の公開は、来年の5月5日である。
 そのころには、きっとラインの入力速度も上がっているに違いない。


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