これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

眼鏡生活はじめました

2017年04月30日 21時27分27秒 | エッセイ
 ブルーライトカットの眼鏡は素晴らしい。
 ドライアイになってから、コンタクトレンズをやめて裸眼で過ごしているが、そろそろ限界だ。ブルーライトカットの加工レンズで、新しい眼鏡を作ることに決めた。
「今、ラインアートという軽い眼鏡が流行っていますよ」
 店員さんに勧められ、かけてみると違和感がない。
「あっ、本当だ。これ、いいですね」
「デザインは幅広いので、お好きなものがあれば試していただきたいです」
「ワタシ、青が好きなんですよね」
「では、こちらはいかがでしょう」



 かけてみたら、結構似合う。いや、似合う気がするだけかもしれないが。
「これはどうかしら」
「あれもかけてみたい」
 15分ほど、あれこれ試してみたが、やはり最初の青が一番よいと見た。
「じゃあ、これにします」
「ありがとうございます。では、視力を測らせていただきます」
 ここではすでに3回眼鏡を、2回コンタクトレンズを作っている。私の視力の変遷も、しっかりデータ化されているから安心だ。
「前回は手元が見やすいようにと、度を弱くされていますね」
「はい」
「今、ちょっと度が進んでしまったようで、矯正して右が0.15、左が0.3です」
「ひええ~」
「でも、両目だと0.6見えています」
 乱視のせいか、両目になると多少は遠くまで見えるようだ。前回は0.8になるよう調整したから、激落ちというほどでもなかった。ホッ。
「裸眼で過ごされている間に、目がピントを合わせるのに疲れてしまったようですね。やはり、矯正して休ませてあげた方が、目にはいいです」
「はい。常時かけるようにします」
 眼鏡はもうすぐでき上がる。それまで、古い眼鏡を使うことにした。
 しかし、ブルーライトがまぶしい。
「そうだ、サングラスかければいいんじゃない?」
 私は引っ張り出したのは、眼鏡の上からかけられる、オーバーサングラスである。



 思った通り、全然まぶしくない。
 しかし、夫と娘からの評判はすこぶる悪い。
「わあ、何だ。家の中でサングラスかけてるヤツがいる」
「そんなのかけたって、ブルーライトカットできないんじゃないの?」
 ふん。まぶしくなければ何だっていいのだ。
 早く眼鏡ができ上がりますように。


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もらって嬉しい引き出物

2017年04月27日 21時13分28秒 | エッセイ
 もらって嬉しい結婚式の引き出物は?
「食器かしら。カレー皿とスプーンのセットは重宝するわ」
 じゃあ、もらって困る引き出物は?
「花瓶ね。大きすぎて使いにくいから、箱にしまったまま放置しているの」
 これが20年前の私の答えである。
 今は、カタログから好みの品を選ぶことのできる引き出物が主流のようだが、昔はそうではなかった。あちこちから似たような品をいただき、捨てることもできずに収納庫で眠っている。そういえば、グリルパンは2つあるし、サラダボウルセットも使っていない。
 おそらくは、私が贈った引き出物も同じ運命を辿っているのだろう。外側がパステルグリーン、内側が乳白色の大皿、中皿、小鉢の食器セットにしたのだが、気に入ったと言ってくれたのは母と義母くらいだ。
 18年前、友人の結婚式からの帰り道で、私はつい「引き出物が重い」と弱音を吐いた。しかし、並んで歩いていた友人からは、「砂希のときよりは軽いよ」という返事が返ってきた。「えっ」と驚き苦笑したが、案外、苦労して持ち帰ったものだから大事にしているかも……と都合のいい解釈をするしかない。うむうむ。
 さて、使えない引き出物代表の花瓶だが、収納庫を整理していて久しぶりに対面した。
「あっ、なにこれ、いいじゃない」



 20年ぶりに再会した花瓶は、やけに妖しく艶めかしく見えた。
 中学時代の洟垂れ坊主が、渋いロマンスグレイになったわけではない。おさげ髪のイモ娘が、真紅のバラのごとく咲き誇っているわけでもない。花瓶は最初から変わらないから、この20年間で私の好みが変わったのだ。白地に映える赤に加えて、華やかな金色が輝いている。でっぷりせずに、ほどよくシェイプされたシルエットにも惹かれる。もっと早く、この魅力に気づけばよかった。
「こんなにキレイなんだから、しまっておいたらもったいない」
 花はなくてもよい。せっかくだから、日常的に目にする場所に、この美女を飾っておきたいのだが、それらしい場所が見当たらない。
「出窓だと、地震が来たら落ちて割れちゃうよね」
「床に置いたら、夫が蹴って割れちゃうよね」
 うーむ。
 結局、破損することが心配で、収納庫に戻してしまった。
 貧乏性とは、こういうことをいうのだろうか。


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小田急山のホテル

2017年04月23日 21時28分10秒 | エッセイ
 小田急山のホテルには、ちょっとした思い入れがある。
 高校生のときから、秋里和国(わくに)さんの漫画が好きだった。ある作品で、主役の女の子が意中の男の子を山のホテルに誘う場面を思い出す。結局、彼らはお泊りせずに帰るのだが、外観も部屋もシチュエーションも「何てロマンティックなんでしょう」とウットリしたものだ。いつかは行きたい場所のひとつになっていたから、銀婚旅行でそれが実現したことを、私はこっそり喜んでいた。
 漫画と違って、私たちが泊まったのはトリプルルーム。



 三人家族にはちょうどよい。ついでに、三角関係の人たちにも、喜ばれるかもしれない。
 ベッドの向かい側にはテレビがある。



 バスルームの外にはドレッサー。



 しかし、女子力のない私と娘は、ついにこの場所を使わなかった。それをいいことに、夫がカバン置き場にしていたところは申し訳なかったと思う。
 山のホテルは、色とりどりの花の咲く庭園が有名だが、4月上旬はまだまだ。



 5月上旬から下旬が見ごろというから、これからが本番であろう。
 評判通り、フレンチディナーは花丸。スタッフのサービスも非常によかった。
 しかし、朝食ではちょっとした問題があった。
「おはようございます。こちらへどうぞ」
 スタッフの男性に案内された席は、なんとオヤジ団体客の巣窟であった。若手がいないところを見ると、社員旅行ではなさそうだ。研修か会議か。脂ののった中高年ばかりが20人、数人ずつ5つのテーブルに分かれて座っていた。
 私たちが勧められたのは、オヤジ席の隣である。椅子を引いた途端、ぶしつけな視線が飛んでくる。時おり「うっへっへっへ」だの、「いいっひっひっひ」などといった下卑た笑い声も聞こえてきて、朝からげんなりした。一角には、整髪料の臭いと加齢臭が漂い、二酸化炭素濃度も濃いようだ。
「お母さん、この席いやだ。替えてもらおう」
 娘が静かに立ち上がり、スタッフを探しにいった。
「失礼いたしました。別のお席にご案内します」
 かくして、落ち着いた席に替えてもらったのだが、満席だったわけではない。空いていた席はいくつもあったのに、なぜ、あの席が選ばれたのか。どうにも理解しがたい。
 意思表示をすることは大事だ。気に入らなかったら交渉する。おかげで問題は解決したし、美味しい朝食をいただくことができた。



「うえっへっへっへ」
 下品な笑い声が近づいてきた。先ほどのオヤジ団体が、朝食を終え引き揚げてきたのだ。私たちが席を移動したことなど、まったく気にしていないように見える。考えてみれば、彼らは何も悪いことをしていないのだから、そんなものだろう。
 出発前に、ホテルの外観を撮影する。



 霧が深くて、全景が見えないところが憎い。



 Facebookのカバー写真にしたかったから、かなり残念である。



 秋里和国さんも、このレトロなホテルに魅せられたのではないか。



 同感だ。霧に浮かぶクラシカルな姿も、なかなか乙なものである。



 リベンジで、また泊まりに来たいものだ。
 次も、トリプルルームを予約しなくちゃ。


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結婚記念日

2017年04月20日 21時14分27秒 | エッセイ
 結婚式当日は雨だった。披露宴の前に一度やんだのに、帰る頃には土砂降りである。
「雨降って地固まるといいますからね、今日は吉日ですよ」
「そうですとも。お幸せに」
 式場スタッフは口を揃えて、雨であることをめでたいと言う。半信半疑で送り出されたが、先日、25回目の結婚記念日を迎えたことを考えると、あながち嘘ではなさそうだ。ここはひとつ、一大イベントを企画せねば。
「今年は銀婚式だから一泊でお祝いしよう」
「さんせーい。温泉がいい」
「ごちそう食わせてくれ~」
 結婚5年目で生まれた娘はもう20歳。家族三人、箱根にある山のホテルでお祝いすることにした。
 ところが、朝から雨模様である。箱根に近づくにつれ激しくなり、風も強まってきた。
「あっ、見て。あの人の傘、壊れたよ」
 ホテルへのシャトルバスを待っていたら、男性の差すビニール傘が風に煽られ、瞬く間に骨は曲がり、ビニールをはぎ取られたようだ。横殴りの雨だというのに気の毒に。
 私はうんざりしながら呟いた。
「誰よ? 今日がいいって言った人」
「お母さん」
「ははは、そうだったね」
 自分で決めたのだから仕方ない。チッ。
 傘を守りながらバスに乗り込み、ホテルにチェックインする。



 時間はまだ4時だ。夕食までカフェでお茶する予定だったが、この雨の中、5分歩いて別館に行く気はない。部屋で湯を沸かし、ドリップコーヒーで我慢した。
「芦ノ湖はどこだ~」
「霧でなんも見えん~」
 窓の外は、煙に包まれているように白い。浦島太郎の開けた玉手箱からも、こんなモヤモヤが立ち昇ったに違いない。
 おやつを食べていないので、お腹が空いた。空腹も手伝い、夕食はエクセレントな美味しさだった。



 料理に合ったワインを3杯飲み、デザートタイムにはアニバーサリーケーキの登場である。



 ケーキと一緒に記念撮影し、切り分けてもらったら、夫も娘も「もうお腹いっぱい」などと気弱な発言をする。結局、私ひとりで半分以上食べた。ノリの悪い家族を持つと苦労する。
「ちょっと、お母さん。いびきがうるさいよ」
 娘に体を揺すられて目が覚める。夕食後、部屋に戻ってすぐに、私はベッドで大の字になり寝てしまった。夫と娘はテレビの推理ドラマを見ていたようだ。死体が見つかったところで「ガガゴゴー」。新たな事実が判明したところで「グオオオ~」。うるさくて聞こえず、たまりかねて起こしたらしい。ケーキの天罰が下ったのであろう。
「さて、お母さんも起きたし温泉に行こうか」
「行こう行こう」
 女湯はほんの20m先にある。近いしオシャレだし湯音も絶妙。最高に気持ちよかったばかりか、お肌もツルツルになった。
 翌日も雨。樹木すら霞んでしまうほどの濃霧が立ち込めている。相変わらず芦ノ湖は見えないし、ホテルの茶色い屋根すら、輪郭がぼんやり浮かぶだけだ。



 こんな景色を目にするのは初めてではないか。
「雨降って地固まる」ところから始まった結婚生活は、銀婚式で「五里霧中」となった。この先、判断に困り途方に暮れるような難題が待っているのかもしれない。
 でも、霧はやがて消え失せる。慌てず焦らず、「雲の中にいるみたいで楽しいね」と図太く構えよう。好機は必ずやってくる。
 霞んだホテルの写真を撮り、成川美術館で芸術作品を愛でたあと、箱根湯本駅に向かった。お土産と駅弁を買ってロマンスカーに乗り込む。
 五年後は真珠婚式。雨や霧は卒業し、雷だったりして。
 さあて、記念旅行はどこにしましょう。


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国立新美術館「ミュシャ展」

2017年04月16日 21時05分08秒 | エッセイ
 30年来の友人から「ミュシャ展」のチケットをもらった。



 国立新美術館で開催されていることは知っていたが、2013年に森アーツセンターギャラリーでの展示を見ていたから、今回はスルーするつもりでいた。(「ミュシャ展 あと2週間」はこちらから)
 しかし、今回の展示は、リトグラフ中心の前回とは、まったく違うようだ。
「晩年の精魂込めた油彩画の大作が初公開されています」
 友人のメールを見て、「ほおお」と俄然興味を持った。
 ミュシャという名前はフランス語読みだ。華麗なアールヌーボー代表にふさわしく、チャラい……もとい、軽快な印象を受ける。


  (リーフレットより)
 だが、50歳で故郷のモラヴィアに帰ってからは、まったく画風の異なるメッセージ性の強い絵を描いている。6m×8mといったサイズも多く、相当な大きさだ。ここでは、チェコ語読みのムハという名前で表記されており、骨太な響きがピッタリであると思った。
 たとえば、リーフレットやチケットの顔となっているこの絵。



 スラヴ叙事詩「原故郷のスラヴ民族」というタイトルがついている。隅から隅まで丁寧に描き込まれているので、絵の前に5分はいた。巨大なカンヴァスを選んだ理由を、「等身大の大人や子どもを描きたかったからでしょう」と評する知識人もいたが、私は「絵に閉じ込めた想いに、奥行きと広がりが必要だったから」ではないかといいう気がした。遠近感を生かしたアングルに、人々や動物の表情、動作などをこまかく描き分け、風景や建物には陰影をつけたりスポットライトを当てたりして、全力で絵を完成させている。どの作品も素晴らしい。
 一番長く見ていた絵は、スラヴ叙事詩「スラヴ式典礼の導入」である。


        
 輪を持っている青年は、とてもきれいな腰ひもをつけている。巫女の男版なのかもしれない。中央の明るさとは対照的に、逆光となり、影ができているところも好きだ。
 タイトルにも解説にも、カタカナが多くて泣かされた。たとえば、「ニコラ・シュビッチ・ズリンスキーによるシゲットの対トルコ防衛」などと言うタイトルを見ても頭に入らない。たどたどしく読むので精一杯となり、意味を理解するなんてとてもとても。解説も同様で、疲れた頭には難し過ぎた。途中からは絵だけを見て、心で感じることにした。
 撮影可能エリアには、5つの作品が並んでいる。人の切れ目を狙って、「エイヤッ」とシャッターを切ってみた。
「イヴァンチツェの兄弟団学校」



 前列左から4人目が、若き日のムハだそうだ。インテリジェンスでイケメンではないか。
「スラヴ菩提樹の下で行われるオムラジナ会の誓い」



 これは「未完成」となっているが、どこを描き足すつもりだったのだろう。
「独立のための闘い」というコーナーには、チェコの郵便切手と紙幣がある。「金だ金だ」と顔を近づけると、ムハが無報酬でデザインしたと書かれており、国家の役に立ちたいという想いが伝わってきた。
 ほとばしる郷土愛を感じたまま、レストランでミュシャ展特別ディナーをいただいた。



 料理はもちろん美味しかったし、ワインも3杯いただいた。
 アルコールよりも、残りの人生を故郷に捧げたムハの情熱と、素晴らしいチケットをもらった自分の幸運に酔った。
 友人よ、ありがとう。


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服は生協かイッセイミヤケ

2017年04月13日 20時17分13秒 | エッセイ
 タンスの中の半分以上が、生協で買った服かもしれない。
 生協は手軽で便利だ。カタログを見ながら、肉や牛乳と同じ注文書にブラウスなどの商品番号を書き、翌週届くのを待つだけ。サイズが豊富で7号があるし、綿100%のものも多く、価格の安さが魅力である。厚手のタートルが1900円台、ブーツカットのパンツが2900円台であれば、ためしに買ってみるかという気にもなる。ときには、チクチクするセーターや、イヤな臭いのするチュニックがあるけれど、返品票に記入して注文書と一緒に回収してもらえば、お金が返ってくるから安心だ。
 やれ、お買い上げ額5000円未満は送料600円いただきますだの、やれ、返品・交換はできませんだのと、融通の利かないことは言わない。裏起毛のチノパンは真冬に大活躍し、グレーのパンツスーツは3シーズン着ている。ただし、「それ素敵ね、どこで買ったの?」とお褒めの言葉をいただいたことはないし、縫製が雑、スナップの位置がずれているなんてこともあるのだが。
 小さな不満が重なると、大胆な行動につながるらしい。ある日、デパートをフラフラしていたら、はっと目を引くファッショナブルな服に出会った。イッセイミヤケだ。詳しくは「自分へのクリスマスプレゼント」や、「ボーナスが出た~!」をご覧になっていただきたい。どちらも着心地抜群で、薄手なのに暖かい。加えて、「面白い素材ね」とか「中はどうなっているの」などと興味を持ってもらえるところが気に入っている。
 卒業式前には、パリコレの商品も扱うという、イッセイミヤケに行ってみた。meやプリーツプリーズより遥かに高価なのだが、デザイン性の高さはピカイチだ。店員さんのおススメで、軽くて華やかな装いをコーディネートしてもらった。



 他にも、あれこれ欲しくなる。



 決して人目を引く服ばかりでなく、普段着として活躍してくれる服が欲しかった。



 誤算だったのは、私の買い物につき合っていただけの娘が「あら、このパンツいいじゃない」などと言い始めたことだ。店員さんは、ニッコリ笑顔で「着るだけでもどうぞ」と試着室に勧めてくれた。
 ところが、これが曲者なのだ。試着したら最後、柔らかな肌触りと体になじむ素材に離れがたくなり、どうしても欲しくなってしまう。
「ねえ~、これ買って。こんなにカッコよくて着心地のいい服持ってないよ」
 ……気持ちはよくわかる。結局、買ってやったのだが、私の分と合わせてカードの限度額ギリギリになってしまった。生協で節約している分を、一気に使い切った感じだ。
 でもまあ、死んだらお金は使えない。残したところで、ガッポリ相続税を取られるだけだ。だったら、シワシワのおばあちゃんになる前に、施設入居の資金だけは残して、好きな服を買うのもありだと思う。
 浪費しているうちに、イッセイミヤケに慣れてきた。ちょっと遠いけれど、買うなら横浜そごうに限る。ここには、me、プリーツプリーズ、イッセイミヤケの3店舗が揃っているし、限定商品も並ぶ旗艦店だそうだ。セゾンのポイントがたまるところも外せない。地元の池袋店とは劇的に品揃えが違うので、遠出するだけの価値はある。
 嘘だと思った方は、一度行かれて、試着してみてはいかが?


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江川る、斜める、アマリリス

2017年04月09日 21時48分49秒 | エッセイ
「江川る」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
 この言葉は、元プロ野球選手の江川卓氏が、巨人軍に入団するまでに大きな騒動を起こしたことから、「強引に自分の意見を押し通す。物事を強引に進める。ゴリ押し」といった意味を持つ。当時、私は小学生か中学生だった。江川騒動には興味がなかったけれど、「こんな言葉が通用するのか」という点に驚いた。
 実際、「斜める」という言葉はよく使う。決して正しいとは思わないが、イメージが伝わりやすくて便利だ。
 たとえば、わが家のアマリリス。



 日の当たる方向に伸びていくので、真っ直ぐにならない。「傾いている」と表現するのが正しいのかもしれない。でも、「斜めっている」と表現するのがピッタリな気がするのだ。まさに、ピサの斜塔状態。
 このアマリリスは、前後左右4面に花が咲く。通常であれば、12時の方向、3時の方向、6時の方向、9時の方向に咲くのだろうが、こちらも日差しを求めて成長するから、いびつな形になっている。



 11時の方向、12時の方向、2時の方向、4時の方向と、思い切り偏ってしまった。
 それでも、咲いた花はきれいだ。



 ピンクに次いで、白のアマリリスも咲く。こちらは、多少、日当たりを改善したので、斜めった茎が途中から真っ直ぐになっている。



 この種類は5面に花を咲かせるのだが、やはり均等ではない。



 それでも、美人、美人。





 自分の子は可愛い。
 来年はもっと可愛くなるよう、植木鉢を定期的に回して、日当たりを均等にしてやらねば。
 ところで、「安倍る」という言葉もあるそうだ。検索すると、「アサヒる」「小沢る」なども出てきたけれど、どうも新鮮味がなくていけない。
 私も今年は大台に乗るのだから、「斜める」から卒業して、清く正しく美しい言葉づかいをしようっと。


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カマキリ屋敷

2017年04月06日 21時59分42秒 | エッセイ
 視界に入っていても、見落とすものがある。
 先日、久しぶりに庭を散策したとき、それにようやく気がついた。
「あれっ、これって、カマキリの卵なのでは……」
 1階の応接間の出窓に、楕円形の膨らみができている。



「やっぱりそうだ。いつの間に」
 今は4月である。カマキリが冬を越すとは思えないから、11月あたりに産み付けたものだろう。5カ月も気づかないとは何事か。
「たしか、前にもここに産んでいたような気が……」
 気のせいではなかった。卵の周辺には、去年やその前にも産卵の形跡が残っている。



 親から教わるわけでもないのに、なぜカマキリは同じ場所に卵を産むのだろう。とたんに興味が湧いてきた。パソコンに「カマキリの卵 同じ場所」と入力し、検索してみる。ヒットしたサイトはいくつもあり、「毎年同じ場所に、カマキリが卵を産んでいきます」といった内容が書かれていた。日当たりがよくて、外敵の少ない場所を選ぶと、毎年同じような場所になるのではないかという分析には「うんうん」と強く同意する。
 わが家の応接間は日当たり抜群である。本など置いておこうものなら、ひと月足らずで色が褪せる。加えて人通りが少ない。蜂もいない。何でも、オナガアシブトコバチという蜂は、カマキリの卵に自分の卵を産みつけるものだから、幼虫はカマキリの卵を食べて育つのだとか。悪どいヤツである。
 さらに調べてみると、卵の形状からカマキリの種類がわかるらしい。ヒメカマキリ、ヒナカマキリ、ウスバカマキリ、コカマキリなどの卵が並んで表示されているサイトがあった。
「うーん、どれも違うみたいだな」
 私が一番好きなのは、オオカマキリだ。しかし、これも違っていた。
「あっ、ハラビロカマキリだって。これだ」
 ハラビロカマキリの卵は、木の幹や家の壁などで見られるという。色が濃くてツヤがあり、突起が特徴だから間違いないだろう。


  (wikipediaより)
 ついでに、うちの夫は、ハラビロニンゲンである。肩幅や腰よりも腹の方が太い。類は友を呼ぶというから、カマキリも安心するのかもしれない。
 孵化するのは、4月から5月らしい。
 そういえば、近所でカマキリを見かけることが何度かあったが、うちの庭から巣立った子ではないか。今年も、来年も、再来年も、カマキリだらけになることを期待して、卵を守ってやらねば。
 カマキリ屋敷にしたいので、カマキリ嫌いな人はご遠慮ください。


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い抜き・助詞抜きで語る 2017年度の抱負

2017年04月02日 20時07分59秒 | 過剰エッセイ
 普段、テレビ見ない。
 姉いわく、Eテレの「漫勉」いいよ、だって。録画して、3月終わる前、のんびり見てみた。ちょうど、清水玲子。この人の絵、大好き。漫画いっぱい持ってる。



 浦沢直樹、こう言った。
「僕ら、上手くなりたくて、描いてるだけなんですよね」
 清水玲子、うなずいた。こんなに上手いのに、まだ満足してない。マジか?
「漫勉見たよ」ってメールする。姉から返信来た。
「見たの? 昨日、ながやす巧出てたよ」
「ながやす巧って?」
「『愛と誠』描いた人」
「ああ~、あの名作」
「すごかったよ。起きてから寝るまで、一日16時間描いてるって」
「信じられん!」
 私だって、エッセイ書くの楽しい。17年間続いてる。でも、毎日書いてない。
 休みの日、時間ある。家事、遊び、スポーツばっかり。上手くなりたいのに、他のことしてる。
 バカか?
 ちょっと上達したら、それでいいやと満足してる。だから、このぐらいしか書けないんだ。
 清水玲子、感動。浦沢直樹、感謝。ながやす巧、尊敬。
 幸か不幸か、4月から閑職。時間とれる。もっと練習しなくちゃ。
 練習どうやる? 太宰治、書き写しだね。飽きるまでずっと。あの文体、真似したい。
 ブロ友さん、太宰やだって。嫌われないかな?
 太宰、落語好きだったって。じゃあ、落語聞いてみよう。何かひらめくかもよ。
 おっと、仕事サボっちゃいかん。
 やることやって、区切りつけなきゃね。
 いよいよ、2017年度スタート!


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