これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

ワタシの教育実習

2011年04月28日 21時06分47秒 | エッセイ
 先日、2年前に卒業した教え子から電話があり、「来年、教育実習に行きたいのですが」という申し込みを受けた。
 教育実習は母校で行うことが多い。実習生の指導に時間を割かれるため、何の縁もない学校では、手間暇がかかるから迷惑と敬遠されるのだ。
 だが、母校だと実習生側に甘えが出て、本人のためにならないとも言われる。
 かくいう私もそうだった。

 昭和の終わり頃、大学4年生になった私は、埼玉県にある母校まで教育実習に通った。同じクラスだった友人が2人、隣のクラスだった友人が1人、加えて男子が2人いたから、合計6人もの卒業生集団である。
 東京都では、原則として自動車通勤を認めていないが、さいたま市にある母校では敷地内に30台ほどの駐車スペースがあり、半数近くの教員が車で通っていた。そういう事情を背景に、実習生の男子は2人とも車に乗ってきた。今では、とうてい考えられない事態である。
 私の指導教員は、元担任が引き受けてくれた。さすがに、タメ口をきくわけにはいかないが、緊張感はゼロに近い。馴染みのある先生ばかりに囲まれて、6人全員がのびのびというより、ダラダラに近い態度で実習をしていた。
 異動してきたばかりの教頭は、そんな卒業生を許せなかったようだ。職員室の一角に与えられたスペースで、実習生同士の話に花が咲くと、「君たち、声が高いよッ!」と青筋を立てて叱りつける。そのときは、「ケツの穴の小さいヤツめ」と心の中で罵ったけれども、今にして思えば、彼の立場はよくわかる。
 2週間の実習の終盤に、研究授業をする。前日、学習指導案を作り、記名・押印するというのに、私は印鑑を家に忘れてきた。気合いが入っていない証拠だ。たまたま、3学年に妹が在籍していたので、印鑑を借りようと思って呼んだ。
 しかし、妹は私以上に気合いが入っていなかった。
「印鑑? 残念ねぇ。今日は持ってきてないよ」
「マジ? あてにしていたのに~」
「しょうがないじゃん、ないものはないんだよ。あっ、チャイムが鳴っちゃった。職員室に呼ばれて遅くなったって言えばいいや。そのコーヒー、ちょっとちょうだいよ」
「……」
 粘る妹を追い出し、授業に行かせたあと、私は途方に暮れた。珍しい苗字なので、その辺で売っている見込みはない。元担任に相談したら、車を出すから取りに行きなさいと言われた。本当に、どうしようもない実習生だったと反省する。
 男子2人は、もっとひどかった。研究授業が終わったあと、近くのファミレスまで食べに行き、ビールも飲んできたらしい。まだ日が高いというのに、赤い顔で戻ってきたのだから、さすがの私も「やりすぎだ」と呆れた。
 もっとも彼らは、「教員免許状は欲しいけれども、民間企業に就職する」と言っていたので、本気度が低かったのだろうが。

「来年の実習生は、笹木先生のクラスだった子なんですか?」
 会議の席で、隣の教員が小声で話しかけてきた。
「はい、そうです」
「じゃあ、決まりじゃないですか。指導教員ですよ」
「いやぁ、どうでしょう」
「でも、元担任だと甘やかしちゃうから、厳しくやらないとダメですよ」
「ははは……」
 私は苦笑いするしかなかった。
 絶対無理だ……。

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健康づくりはお口から

2011年04月24日 21時03分40秒 | エッセイ
 ここ何年も風邪をひいていない。
 咳や鼻水に悩まされることもないし、熱を出すことも皆無だ。自己管理ができるようになったと、天狗になりかけていた。
 だが、自分の手柄ではなかったらしい。
 月に一度、歯医者に通って歯石を取ってもらったり、虫歯などのチェックを受けたりしているとき、医師にこう言われた。
「笹木さん、歯茎の調子がとてもいいです。これなら歯が長持ちすると思いますよ」
 歯科医は、患者の状況にかかわらず、あれこれ話しかけてくるものだ。こちらは口を大きく開けて治療中だが、返事をしないのも何だから、「あが、あが」と答えるしかない。
 私のどうしようもない返事を気にする風もなく、医師はさらに続ける。
「歯茎のブラッシングをしないと、雑菌のポケットができるんです。栄養は豊富だし、繁殖に適した温度だから、どんどん増えますよ」
「あがー」
「そして、歯周病になります。さらに、雑菌を飲み込みますから、免疫力が落ちていきます」
「あがが」
「そうなると、風邪をひきやすくなりますし、インフルエンザにも弱いです。でも、歯間ブラシできちんとマッサージしておけば、体調よく過ごせるものなんですよ」
「んが」
 そういわれれば、体調を崩さなくなったのは、歯間ブラシのおかげかもしれない……。
 自称健康オタクとしては、自分の力でボディをコントロールすることが、この上ない快感なので、ちと面白くない。でも、健康でいられることが一番だ。これから先も、歯間ブラシを愛用し、風邪を寄せ付けない体を目指そう。
 これが、私の健康を守ってくれる、歯間ブラシコレクションである。



 左からSS、S、M、L、LLとサイズが大きくなっていく。これを歯と歯の隙間に入れ、前後に20回動かすだけだ。隙間のサイズがそれぞれ違っているので、何種類かのブラシを使い分ける。フロスやシリコンよりも、刺激の大きなブラシがいいらしい。多少時間はかかるけれども、手軽な健康法である。
 でも、疲れているときなどは、「たまには仕事を休みたい」と感じる。
 特に用事がなくて、体調も悪くないと、後ろめたくてつい出勤してしまう。
 もし、ここで都合よく風邪をひいたら、堂々と休めるのだが……。
 しかし、健康オタクが体調を崩すことは屈辱的だ。自分で自分が許せない。

 明日は月曜日。また一週間、元気に頑張ろう~!

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親の見栄

2011年04月21日 21時45分04秒 | エッセイ
 たまには保護者会に出ようと思い、仕事を抜けて、娘の中学校まで足を運んだ。いつもは専業主夫の夫に任せているので、保護者会に顔を出すのは実に2年ぶりである。
 年度初めということもあり、資料がどっさり渡される。中を開けてみると、「年間指導計画・評価計画」というタイトルの、ホチキス留めの分厚い冊子が入っていた。やけに重たいのは、この冊子のせいらしい。
 同業者ということもあり、興味を持ってページをめくる。
 まずは国語からだ。教科の目標や指導の重点、一年間の指導計画と評価の観点などがまとめられている。どの教科も、少なくとも2ページ、多ければ6ページに渡って、びっしり文字が埋められている。
 すべての教科・科目で、1ページにおさまる私の勤務先とは大違いだ。高校は簡素化しているが、中学は文字数を競っているような雰囲気である。
 ふと、音楽のページで手が止まった。
 担当者の名前に引っ掛かる。連名で書かれている教員の中で、見おぼえのある名前があるのだ。

 もしかして、この先生、私の学校で講師をやっているんじゃないかしら。

 勤務先の高校では、芸術は選択科目のみなので、選任の教員がいない。すべて非常勤講師でまかなっている。音楽の先生は、まさに「年間指導計画」に書かれている名前と同じだった。
「世間は狭い」とはいえ、こんな偶然があるものだろうか。
 私の勤務先と、娘の中学は、区も違うし何の接点もない。同姓同名かもしれないが、どうにも気になる。
 家に帰って娘に言うと、去年の「職員紹介」を引っ張り出してきた。これは、教職員全員の顔写真と担当教科・氏名が載っているPTA広報誌である。これを見れば顔がわかる。
 はたして音楽の先生は、私の勤務先にいる人と同一人物なのだろうか。
「あった!」
 娘が指差す写真を見ると……。
 やはり、見たことのある顔が写っていた。

 実のところ、自分の子どもの出来は、同業者に知られたくない。教員と警察官の子どもは非行に走りやすいとも聞くが、私の知るかぎりではあながち間違いではない。問題を起こさなくても、いまいちパッとしない成績だったりして、優秀な子を持つ同僚は少数派のようだ。
 うちの場合も多数派に含まれる。日頃から仕事を優先し、娘の宿題を見てやることもないくせに、見られて困る成績を取るなとは、我ながら勝手な言い草だと思う。しかし、私にも見栄があるのだ。ひとまず、釘を刺しておかねば。
「ねえ、授業中、変なことしないでよ」
「変なことって?」
「おしゃべりとか忘れ物とか」
「…………」
 どうも、娘の反応が悪い。しばし無言となったあと、言いにくそうに答えた。
「あのさ、音楽の教科書、なくしちゃったみたいなんだけど……」

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30人分のシャンパン

2011年04月17日 20時08分12秒 | エッセイ
 赤坂見附に行く用事があった。ここまで来たら、ホテルニューオータニに寄り道したい。
 買うのは、バウムクーヘンやレーズンサンドなどのスイーツくらいだが、華やかな雰囲気が楽しいのだ。1階のショップを見て回り、目の保養に努めた。
「おや?」と、おかしなものに気がついた。バカでかいシャンパンが、「どうだ!」と得意気な顔でウインドーに陣取っている。



「ポメリー・ブリュット・ロワイヤル 3Lボトル ¥36,750」
 私は仰天した。

 3リットルぅ~~???

 なんと、ジャンボサイズなのだろう。普通のボトルは750mlだから、ちょうど4本分に相当する。1人分はせいぜい100mlと考えると、これ1本で30人分の量となる。

 すごい、すごすぎる……。

 大きさに圧倒され、しばし、ボトルに見とれていたら、「まあね」と鼻であしらわれた気がした。
 数年前、親族の集まりに、妹の夫が赤ワインの一升瓶を持ってきたことがある。
「なにこれ、デカーい」と驚きの声が上がると、「取引先の酒屋さんから買ったんだよ」と、義弟が歯を見せた。
 一升は1.8リットル。3リットルのこのシャンパンは、それよりはるかに大きいというわけだ。
 自分のものでもないのに、私は余計なことを考え始めた。

 冷蔵庫に入るかしら? どうやって冷やすんだろう。

 ぬるいシャンパンなどあり得ない。
 発泡性のお酒は、横にしてはいけないと聞くから、クーラーボックスを使うのが無難であろう。なにしろ4本分だから、重さも相当あるに違いない。か弱い私など、グラスに注ごうとしても、持ち上げることすらできないかもしれない。
 話題性は花マルだけれども、小回りが利かず、実用性には乏しいと見た。

 そういえば、往年の大ヒット映画『タイタニック』では、ヒロイン役のケイト・ウィンスレットがこんなセリフを口にしていた。
「フロイトが言うには、男性はサイズにこだわる傾向がおありだとか」
 劇場で、私は思わず噴き出してしまったのだが、まさに同感だ。ついでに、順位にもこだわると感じる。
 3Lポメリーは、大きいことはいいことだというポリシーを持った男性の、アイデア商品なのかもしれない。
 だが、私はまだまだ甘かった。
 調べてみたら、ポメリーには、最大で9リットルサイズがあるらしい……。主として、ブライダルの記念に販売しているようだ。
 9Lのボトルなど、まさにタイタニック級!!
「お見それしました」と頭を下げたくなった。

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駅員さんの苦労

2011年04月14日 19時51分22秒 | エッセイ
 4月12日の午前8時すぎ、東京でも大きな余震があった。電車が止まってしまい、15分経っても動かない。異動してきたばかりの同僚は、間に合わないと考え、遅れる旨を連絡しようと携帯電話を取り出した。
 しかし、番号が登録されていない。
 彼女は「ああっ、どうしよう」と焦り、たまたまアドレス交換をした教員に、「学校の電話番号教えて」というメールを送ろうとした。
 すると、皮肉なことに電車が動き出す。目的地は次の駅だ。急げばどうにか間に合いそうだと判断し、彼女は編集途中のメールを閉じた。携帯を閉まったところでドアが開き、同僚は荷物を抱えて飛び出した。予想通り、始業の8時半ギリギリに到着できた。
「間に合ってよかったですね~」と話しかけたら、不思議と浮かない顔をしている。
「全然よくないです……。車内にお昼を忘れてきちゃった」
「お弁当ですか?」
「ううん、パンなんです。今日はちょっと奮発して、380円のクラブサンドと、ストレート果汁のオレンジジュースを買ったのに。とほほ」
「ストレート果汁! 濃縮還元じゃないんですね」
「そう。高かったんですよ。しかも、ゆで玉子のおまけつきなのに、袋に入れたまま足元に置いておいたら、立ち上がったときにすっかり忘れていました」
「あらぁ~」
「ダメです。今日はもう立ち直れません……」
 電車のトラブルがなければ、携帯に気を取られることもなく、彼女は贅沢ランチを楽しめただろう。
「きっと、今頃は不審物として、ひどい扱いを受けていますよね」
 あるいは、単純に忘れ物として駅務室に届けられ、朽ち果てるのかもしれない。

 仕事中、こんな電話を受けたこともある。
「こちらは○○○駅ですが、そちらの、サトウタカシさんという生徒の忘れ物が届いています。クリアファイルなんですが、中には自己PR文や取得資格、成績などが書かれた書類が何枚かあります。一週間以内に、駅のホームにある事務所まで取りに来てもらえませんか?」
 私は言葉を失った。

 なんで、そんな大事なものを電車に忘れるんだ!?

 成績優秀な者ならともかく、こういうものを忘れる生徒に限って、とても人様には見せられない成績だったりする。担任に連絡すると、「なんて恥ずかしいヤツだ!!」と仰天していた。どんな顔をして取りに行ったのやら。
 聞くところによると、電車や駅内の忘れ物は、勝手に処分できないらしい。まず、中身をチェックし、持ち主が特定できれば連絡をして、引き取りに来るのを待つのだとか。
 パンやジュースに、1や2ばかりの成績など、さぞかし奇妙な忘れ物ばかりなのではないかと察する。

 私も人のことは言えない。
 20ウン年前、初めて教員になった年だった。当時、顧問をしていたバレーボール部の試合を見に行ったときのことだ。生徒への差し入れに、レモンスライスの砂糖漬けを作り、タッパー2個に分けて詰めた。レモンは全部で5個くらい使った気がする。
 前日から冷凍庫で凍らせ、試合の後には溶けて食べごろになるはずだったのだが……。
 電車に乗ったとき、網棚に載せたのが間違いの元で、降りるときにはコロッと忘れていた。会場に着き、ようやく気づいた。
「ああっ、レモンがぁ~!!」
 タッパーをなくしたことより、手ぶらで試合会場に行くことのほうが気まずかった。鉄道会社には連絡すらしなかったが、「またこんなものが」とウンザリされたのではないか。
 駅員さんって、苦労しているんだな……。
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「えがお」と「わっしょい」

2011年04月10日 07時21分07秒 | エッセイ
 娘のミキが中3になった。
 帰ってくるなり、「今度の担任、うざいんだよ」と悪態をつく。新しい担任は数学科の男性教師で、推定年齢45歳だという。
「学級通信が4枚あるから、目を通しておいて」
「4枚?」
 余りか何かで、同じ内容のものが4枚あるのかと思ったらそうではない。1号、2号、3号、4号と通し番号が振られており、それぞれ違う文面となっている。
 1学期の始業式から卒業式まで、毎日学級通信を出し続けた先生は偉いと思うが、この先生はちょっと違う。同業者から見ても、異質な印象を受けた。
「一気に4号まで進む先生は初めて見た……」
「でしょ、でしょ!? あり得ないよ。中身がないんだから、1枚にまとめろって感じ」
 娘はなかなか手厳しい。一体何が書いてあるのかというと、「各係に先生が望むこと」「こんなクラスになってほしい」「最高学年としての自覚を持つために」などである。8割以上は、担任の主観的な意見で埋め尽くされており、息苦しくて読むのがイヤになってくる。一生懸命、生徒や保護者へのメッセージを送ったつもりなのだろうが、かなり押し付けがましい。
「うーん、たしかにこれはツラいわ。せめて、両面印刷にしてくれればいいのにね」
「そうそう、紙の無駄づかいだよ」
 おそらく、思いついたときに、あれもこれもと詰め込むタイプなのだろう。
 ファイリングしやすいようにと、用紙の左端にパンチで2つの穴を開けたところも痛い。はたして、保管すべきか?

 学級通信には、タイトルをつけることが多い。
 私は、どの学校でも「えがお」としてきたが、教員の個性に応じて、実にバリエーションに富んだタイトルが見られる。2校目の上品な女性は「あじさい」で、ご本人にピッタリだと思った。ユーモアたっぷりの男性は「びえ~」という、わけのわからないタイトルで通していたし、熱血な若手は「なかま」である。「飛翔」や「旅立ち」はキザな雰囲気となるし、タイトルなしの「○年○組学級通信」だと味気ない。何がいい、悪いというわけではないけれど、担任らしさを表したいものだ。
 娘の担任は、「わっしょい」というタイトルをつけていた。一度に、あれこれ片付けようとするイメージとかぶり、つい苦笑する。小太りの方だというので、「どすこい」でもいいかもしれない。タイトルに関しては合格点をつけたい。
 更新頻度も重要な評価のポイントである。この担任は、どのくらいの間隔で新しい学級通信を出すつもりなのだろう。ここは熱意の表れどころである。
 私自身は、最初に担任を持ったとき、週1回更新をしていた。2回目に担任を持ったときも、週イチペースを守っていたのだが、3年生になったら時間がなくて、月イチ程度になってしまった。そして、3回目の担任のときには、学期に1回というスローペースとなり、年3枚の学級通信ですませていたのだからどうしようもない。
 おそらく、娘の担任は、週1~2回は頑張るつもりなのではと予測している。中身はともかく、生徒や保護者のために何かをしたいという気持ちはありがたい。

「笹木先生の学級通信、まだ取ってあります」と卒業生に言われたことがある。
 2回目に担任を持ったとき、祝卒業の便りを発行しようと思っていたのに、卒業式の担当だった私は激多忙で、全然時間がなかった。式のあとで「書けなかった……」と後悔していると、事務室のお兄ちゃんが声をかけてきた。
「積立金の決算書を各家庭に郵送するんですが、他に同封するものがありますか?」
 これを逃す手はない。私はダッシュで学級通信を作り、郵便物にすべり込ませた。
 かくして、私のクラスだった生徒には、卒業してから学級通信「えがお」をもらうというインチキ現象が起きたのだった。
 ちなみに、パンチで穴は開けていない。
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一石二鳥スープ

2011年04月07日 20時16分59秒 | エッセイ
 とろろ昆布には、子宮内膜を厚くする働きがあるという。妊娠を希望する女性には、おすすめの食品らしいので、試してみることにした。



 しかし、食べ方が今ひとつわからない。
 うちの両親は、とろろ昆布を好まなかったようだ。したがって、食卓にのぼることもなく、私はとろろ昆布なるものを見たことも聞いたこともなかった。
 初めてご対面したのは、小学生のときだったろうか。
 遠足に行き、お弁当の時間になった。友達同士で輪になり、めいめいのお弁当を開いて食べ始める。直美ちゃんは、アルミホイルに包まれたおにぎりから頬張った。しかし、そのおにぎりには、おかしな色の海苔が巻かれている。黒ではなく、くすんだ緑色……。
 カビが生えているのかと驚き、思ったことを口にした。
「ねえ、その海苔は、どうして変な色なの?」
「これは海苔じゃないよ。とろろ昆布。砂希ちゃん、知らないの?」
「とろろ昆布? なにそれ」
「美味しいよ。お母さんに買ってもらいなよ」
 私は心の中で「いらない」とそっぽを向いた。どう見ても、美味しそうではない。絶対、海苔を巻いたほうがいいと思う。

 そんなわけで、いざとろろ昆布を食べようと決めたとき、まずはおにぎりの外側につけてみた。味は見た目よりもいい。しかし、くちびるにくっついて、少々食べづらい。おにぎりにまぶす時間もかかるし、どうも使い勝手がよくない。他に食べ方はないものか。
 頭の中を検索すると、汁物に入っていたことを思い出した。即席スープを探したが、あいにく切らしてしまったようだ。代わりに見つかったのが、出前の寿司についてきた、大量の醤油である。



 いったい、いくつあるのだろう。ゆうに、100個以上はありそうだ。
 次の瞬間、グッドアイデアが浮かんできた。

 この醤油を使って、とろろ昆布の和風スープを作ろう!!

 醤油を1個取り出し、カップに空ける。
 これに、お湯160ccを注ぎ、とろろ昆布を入れれば出来上がりだ。



 やや水っぽいが、手軽さの割には、悪くない味である。
 余分な醤油が片付く上、とろろ昆布もとれるという、一石二鳥のスープなのだ。
「ナーイス!」と、自画自賛した。



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遅い返信

2011年04月03日 19時31分43秒 | エッセイ
 2月下旬に、昔の教え子から余寒見舞状をもらった。普段はメールが多いが、ハガキだといっそう有難みがある。返事もハガキで出すべきだろう。時間があるときに書こうと思い、こたつの上に出しっぱなしにしておいたのがいけなかった。
 教員になるとき、お世話になった教授は、超多忙だったにもかかわらず、手紙の返事が異常に早かった。投函した2日後、遅くとも3日後には返信が届く。忙しいから書けないのではなく、忙しいからこそパッパと処理する必要があったようだ。
 私も見習わねばと思っていたのに、体が言うことをきかない。ズルズルと先延ばしになり、やがて入院騒動やら何やらで、すっかり忘れてしまった。
 3月の上旬に、件の教え子からアドレス変更のメールが届き、返事を出さねばと思い出す。
 官製ハガキならあるが、シンプルすぎていけない。しかも、書くスペースが大きくて困る。ポストカードにしようと引き出しを探した。
 観光地の絵葉書はたくさんあるが、旅先から出すのがマナーだという。これらは使えない。
 美術館で買ったものもある。
 でも、お気に入りの『アルプス越えのナポレオン』は手元に置いておきたい。



 谷川晃一も悪くはないが、教え子のイメージに合わない気がする。



 レアなところでは、ファーストガンダムもあるけれど、



「なんだこりゃ」と引かれそうだからやめよう。
 結局、適当なものが見当たらず、買いに出かけることにした。
 ところが、その後すぐに東日本大震災である。交通機関が軒並み乱れ、池袋に出ることすら困難になってしまった。
「ポストカードが、ポストカードがぁ~!」と私は焦る。震災10日後には電車の本数も増え、どうにか外出ができるようになった。
 ロフトで、富士山と桜が描かれたカードを見つけ、これにしようと即決する。ようやくカードが買えた。



 ひと月も経ってからの返信なんて……。
 見舞状をもらったとき、すぐに返事を書けばよかったと後悔しながら、50円切手を貼ってポストに投函した。

 4月1日の金曜日だったろうか。
 郵便受けの中に、見覚えのある富士山と桜のカードが入っていた。「何で?」と驚いてひっくり返すと、あて先に赤いスタンプが押されている。

「あて所に尋ねあたりません」

 思わず、「うぎゃー!」と叫ぶ。
 こたつの上に出しっぱなしにしていたせいで、教え子からもらったハガキは、夫がどこかに片付けてしまったのだ。しまった場所を聞くのが面倒で、昔の住所録を見てあて先を書いたのだが、どうやら引っ越したらしい。
 いつになったら、返事が出せるのか??



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