これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

家庭内離婚の年賀状

2012年12月30日 21時33分39秒 | エッセイ
 今月初め、古いプリンタが壊れた。もう10年以上前に買った年代物なので、十分元は取れている。しかし、住所録の入ったパソコンは、このプリンタにしか接続できない。
「年賀状どうしよう」
「どうしよう」
 私も夫もうろたえた。互換性のないアプリケーションを使っていたため、300件近い住所録がパーだ。パソコンに詳しい人ならば、もっと気の利いた対応ができるのだろうが、私の技術では取り出せない。
 ひとまず、試験休みと冬休みで暇を持て余している娘に頼み、古いパソコンのデータを新しいパソコンに入力し直す作業をしてもらった。エクセルで作れば、この先ずっと使えるだろうから安心だ。
「俺のはいいよ。カラリオを買うから」
 夫はパソコンなしでもハガキの作成ができるという、エプソンのカラリオで宛名の印字をするらしい。
 前にも書いたことがあるが、我が家は家庭内離婚と言われており、シャンプー、石鹸、歯磨き粉、茶葉などなど、ほとんどの日用品を夫婦で共有していない。それぞれが、てんで勝手にお気に入りの商品を買ってきて、自己管理している。茶葉を切らしたとき、こっそり夫の茶筒から借りることはあるけれど、基本は別々だ。もっとも、あとから茶葉を買ってきても、夫に返したためしはないが。
 そんなわけで、今年から年賀状の宛名も、各自で印刷することになった。
「お母さん、全部打ち終わったよ」
 私と娘の女子チームはクリスマス前に入力を終え、さっさと印刷に移った。
 一方、メカオンチの夫は、入力に四苦八苦していたようだ。4万を切ったカラリオを手に入れたはいいが、使いこなしている雰囲気ではなかった。



「ママ、『昶』って字が出てこない。何て読むのかな?」
「知らないよ。手書き入力すれば?」
「カラリオにはそんな機能がないんだ~!」
 夫は、牛に似た顔を歪ませて、「モウッ」と文句を言い始めた。



 結局、義弟たちに聞きまくり、彼らが解決してくれたようだ。
「わかった、『あきら』だってさ」
 夫はようやく入力を終えたが、この遅れが響き、印刷までこぎつけたのは、12月29日の昼過ぎである。分厚いハガキの束をかかえ、いそいそとポストに向かっていった。
 年賀状の残りがやけに少ない。私が3枚、夫が4枚、印刷ミスをしたからだ。
 
 別々にするから、こんな無駄が!

 アホらしくなり、ため息がでた。
 毎年、一家で300枚近くの年賀状を出すので、印刷は近所のスーパーに一括して注文する。来年からは、宛名を分けたついでに、年賀状も各自で印刷にしようかと思いついた。
 だが、差出人名が、女子チームは2人連名、夫は単独となると、周りの反応が怖い。「笹木さんち、とうとう離婚したみたいよ」などと噂されかねないではないか。
 モウッ!

 年内の更新はこれで終わりです。
 今年も読んでくださり、ありがとうございました(^_^)/
 どうぞ、よいお年をお迎えください。
 来年も、またよろしくお願いいたします。


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ポロリン♪水着

2012年12月27日 20時25分51秒 | エッセイ
 初めて自分のお金で水着を買ったのは、大学生のときだ。
 当時の私は、今より3kgほど太っていて、体型がカバーできるデザインを探していた。デパートは品ぞろえが豊富だから、すぐに欲しいものが見つかった。



 この水着には肩ひもがない。しかし、ゴムのサポートが頑丈で、胸のさびしい私が両手を上げても、ポロリとなる心配はない。黒だから、ボディが引き締まって見える上、中央のギャザーがお腹のぜい肉を隠してくれる。学生の身に13000円は高かったが、「えいやっ」と奮発して買った。
 あれから25年ほど経ったが、この水着はいまだに健在である。稼働率が低いとはいえ、頑固ゴムは相変わらず強いし、破れやほつれもない。スーパーで買った4000円前後の安い水着は、数年で生地が伸びて着られなくなったのに、いいものは長持ちするらしい。日焼けを恐れ、海にはいかなくなったけれど、ときどきスパで使っている。
 一方、屋内プールでザブザブ泳ぎたいときは、15年ほど前に買ったこの水着にする。



 ハーフパンツになっているから、半ケツになる心配もなく、思い切り手足を動かせる。まさに抜群の安定感である。セットで帽子もついているから、勢いでゴーグルまで揃えてしまった。
 欠点は、色気ゼロのところだろうか……。
 年明けに、泊りがけでスパに行く。たまには、水着を新調しようと思いついた。
 あいにく今は冬だが、デパートにはちゃんと売り場がある。店員さんのアドバイスを受け、試着して選んだ水着がこれだ。



 ビキニ~!!

 半ケツにならぬよう、忘年会とクリスマスでたくわえた贅肉を落とす決心をする。
 また、ひもは固く結び、間違ってもポロリといかないように注意する。20代とは違うので、見せられたほうが「オエー」となるかもしれない。
 お値段は、13650円。25年前と大して変わらないところが面白い。このビキニもまた、長持ちしそうである。60代、70代になっても着たりして……。


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大ざっぱなクリスマス

2012年12月24日 20時00分38秒 | エッセイ
 12月23日の天皇誕生日には、毎年、両親・姉夫婦・妹一家と一緒にクリスマス会をしている。今年も、ガンプラ屋敷こと妹の家で、クリスマスを祝うことにした。
 姉妹それぞれが分担して、食べ物を持ち寄っている。今回は、酒やオードブルは姉、主食や肉類は妹、ケーキやフルーツは私という具合になった。
「こんにちは~!」
 夕方、妹の家に行くと、小6の甥が出迎えてくれた。華奢な体型だが、少しずつ男の子らしくなっている。
「あっ、ミキちゃんのママだ。こんにちは」
「ガンプラ増えた?」
「ううん、あんまり増えてないよ」
「見せて」
「いいよ」
 まずは、リビングのコレクションからだ。
「あっ、ランバ・ラル!」
 


 最初に視界に飛び込んできたのは、身長8cmほどの小さなフィギュアである。そういえば、9月に来たときは、まだのっぺらぼうのままだった。



 手先の器用な義弟は、この小さな体に何色もの色をつけ、勇敢な将校に仕立て上げた。





 すごい!
 塗り絵では、はみ出したり隅っこが白かったりする私には、到底できないと感心する。
「こんにちは~」
 まもなく姉もやってきた。この姉も、塗り絵が得意である。端から端まできっちりと色をつけ、ほとんどムラなく仕上げる。その気になれば、こちらもかなりのレベルまで到達するに違いない。
「これは、ボローニャ産24カ月熟成の生ハムなのよ~♪」
「へー、2年」
 舌が肥えている姉は、いつも美味しいものを持ってきてくれる。義弟が用意した牛タンと鴨の隣に、盛り付けた生ハムを置いた。



「いい匂いがする」
 やることがなくて暇を持て余している夫が、大皿の前に座り、料理をジッと眺めていた。これは危ない。
 夫を見張りながら、カットフルーツの盛り合わせを作る。
「あっ、果物だ」
 姪と甥が近づいてきて、ニヤニヤしながら作業を見ている。これも危ない。
「見るだけだよ」
 子供たちをけん制し、私は手早くグレープフルーツやイチゴを並べた。



 あとは、皿にラップをかければ安心だ。
 準備が終わり、姉が用意したスパークリングワインで乾杯をする。



 だが、ここで私が、グラタンの載った皿を移動しようとして立ち上がり、ワインの入ったグラスをひっくり返した。皿の下をよく見ていなかったのだ。グラスは、迷わずボローニャ産熟成生ハムに向かって倒れ、ワインがドレッシングのように降りかかった。
「ひーっ、生ハムがぁ~!!」
 姉は生ハムを洗いに、流しへ急いだ。いつもはおっとりしているのに、別人のような機敏さである。
 こういう失敗は洒落にならない。「ゴメンね」と平謝りし、もっと慎重に行動せねばと反省した。
 ちなみに、妹は私以上に大ざっぱで、何年か前に貸した暖房器具をなくしてしまったらしい……。
 食事のあとは、ケーキである。



 組み合わせとしては、イチゴのデコレーションと、チョコレートケーキの2本立てが人気である。ケーキのあとはプレゼントタイムとなり、甥と姪に頼まれていた3DSソフトを渡す。
「ありがとう!」
「ありがとー」
 プレゼントを選ぶのは楽しい。
 高1の娘は、現金でもらうようになってしまったが、きれいにラッピングされた包みを準備していると、クリスマス気分が盛り上がる。
「ごちそうさま。じゃあ、今度はお正月だね」
 日付が変わる前に、妹の家をあとにする。今日も楽しかった。あと何年、こうやって親族が集まれるのだろう。子どもたちが大人になるまでの、つかの間のプレゼントなのかもしれない。
 クリスマスイブの今日、私あての荷物が届いた。
「お財布だ~♪」



 こまごまとした細工が気に入り、少し前に注文していたものである。裏側も手を抜いていない。



 まさか今日届くとは。
 自分が代金を支払うとはいえ、自動引き落としだから実感がない。これはありがたく、サンタさんからのプレゼントだと思うことにしよう。
 大ざっぱなワタクシは、ちまちましたものが好きなのだ。
 メリークリスマス☆


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2012 今年の漢字

2012年12月20日 20時38分55秒 | エッセイ
 2012年の漢字は、「金」である。
 ロンドンオリンピックはハイライトしか見られなかったが、神秘的な金環日食はライブで楽しめた。どちらからも大きなパワーをもらい、素晴らしかった。これは、納得できる漢字だ。
 では、私にとっての「今年の漢字」は何だろう。
 今年は、大学時代の友人たちと、20年ぶりに旧交を温めたり、ダイエットが功を奏して、5年前の体重に戻ったりと、うれしい出来事が多かった。
 でも、どれも一年間を代表するほどのレベルではない。
 振り返ってみると、2012年は、実によく寄り道をする年だった。仕事が終わったあと、真っ直ぐ帰ればいいのに、ついドトールやスターバックス、ミスタードーナツに足が向く。毎日ではないが、5月あたりから徐々に定着し、今では週の半分くらいは通っている。
 決して、お腹がすいて我慢ができないわけではない。ゆっくり座れる場所で、おいしいものを食べたり飲んだりして、くつろぎたいだけだ。一杯飲んでから帰宅するサラリーマンと同じで、一種の現実逃避かもしれない。
 今日もドトールで、カフェラテとバウムクーヘンをいただいた。



 ほんの10分間だが、バウムクーヘンの甘さが仕事のストレスを和らげ、温かいカフェラテが心の中までポカポカにしてくれた。頭を空にして、ボーッと過ごす時間が必要なのだろう。つかの間、あわただしい現実を忘れるだけで、消耗した自分を取り戻せる気がした。
「さあ、帰るかぁ」
 勢いよくバッグを取り上げ、肩にかける。電池は満タンだ。発車間際の電車に乗ろうと、駅の階段を一段飛ばしで駆け上った。
 今年の漢字は「寄」!



 あらら、ドーナツが入っちゃった……。


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チャージの掟

2012年12月16日 20時44分15秒 | エッセイ
 昼で仕事が終わり、娘と一緒にランチをした。



 贅沢なお昼を食べると、いい気分になる。さあ帰ろうというとき、事件は起きた。
「お母さん、定期がないよ!」
 改札の前で娘が立ち止まり、からっぽの定期入れを見て呆然としている。外側のスライドポケットが緩んでいたので、気づかぬうちに滑り落ちたのだろう。血相を変えて、ブレザーのポケットやカバンを探したが、それらしきものはないようだ。そのとき、いやなことを思い出した。
「……そういえば、この前、チャージしてたよね」
「うん、1万円入れちゃった」
「……」
 何というタイミングの悪さ。
 チーン。
 頭の中で、ハズレを意味する、調子っぱずれの鐘が鳴る。
 まずはランチの店に問い合わせ、次に立ち寄ったデパートでも聞いてみたが、届いていないとの返答だった。
 チーン。
「駅に着いたときは、あったはずでしょ。ないと改札を出られないもの」
「そうだね。でも、すぐ制服に入れたよ」
「じゃあ、制服に入れる前に落ちたんだよ。駅の窓口に行ってみよう」
 駅では、50代くらいのベテランの駅員が、手慣れた様子で対応してくれた。
「落とされたのは何時ごろですか」
「1時くらいです」
 時計を見ると、3時半を回っていた。
「区間は」
「期限は」
 駅員の質問が途切れたところで、娘が大事なことだと言わんばかりに付け加えた。
「表面に、AKB48の篠田麻里子の保護シートが貼ってあります」
 ところが、ベテラン駅員には、篠田麻里子が通じなかったようだ。視線を宙に浮かせ、「なんのこっちゃ」という顔をした。「あの人、わかってないけど大丈夫かな」と、娘は顔を歪めた。心配とは裏腹に、彼はパソコンをてきぱきと操作し、届けられた落し物をしばらく検索していた。終わったときには、声のトーンを落とし、言葉をかけてきた。
「ちょっと、こちらには届いていないようです」
「そうですか……」 
 チーン。
 なかなかアタリが出ない。
「あのう、定期券を使えなくすることはできますか?」
 横から、娘が身を乗り出して尋ねた。
「はい、できますよ。ただ、再発行するのに1000円かかります。チャージした額は、残っている分だけ有効です」
「じゃあ、そうしてください」
「わかりました」
 手続きの間、娘と雑談をしながら待つ。
「なくしてから2時間半だけど、チャージ分は残っているかな」
 私は、少々考えてから答えた。
「使える店は限られてるし、額も小さいからね。全部は使い切れないんじゃない?」
「そうだよね。残っているといいな」
「定期を使えなくするなんて、よく思いついたね」
「あれ、公民の時間に習わなかった? ICカードの仕組みのこと」
「……昭和にICカードはないよ」
 チーン。
 そういえば、父から「定期入れにお金を入れてはいけない」と、何度も繰り返し言われたことを思い出す。定期だけなら戻ってくるけれど、お金が入っていると戻ってこないのだと。
 しかし、IC定期の場合は切り離しができないから、自衛策を講じなければいけないらしい。
「今度から、チャージは5000円までにしておくよ」
「うん」
「あと、スライドポケットには入れないようにする」
 相当懲りたようで、娘も学習したらしい。

 手続きの翌日、再発行定期を受け取ることができる。
 ドキドキしながら、娘と駅の窓口に急いだ。
「お待たせしました。チャージ分は10864円残っていますので、引き継いであります」
「えっ、10864円? 全額残ってますね!」
「よかった、使われなかったんだ~」
 キンコンキンコンキンコーン!!
 二人で顔を見合わせて喜ぶ。
 最後の最後に、アタリが来た。
 定期は見つからなかったけれど、不愉快な思いはせずにすんだのだから、実にありがたい。
 再発行の1000円は授業料である。


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20121212

2012年12月13日 21時11分33秒 | エッセイ
 ロシアでは、2012年12月12日が非常に縁起の良い日だったため、モスクワ市内で1千組以上の結婚式が行われたそうだ。フェイスブックの友人は日本人だが、「12月12日12時ごろ入籍しました」とつぶやいていた。
 ごちそうさま。
 幸せいっぱいのカップルが多い一方で、私はツキから見放されていた。
 まず、お昼ご飯を食べていたときだ。水曜日は忙しいので、パッパとすませなければならない。急いでいると、ろくなことがないとわかっていたのに。
「イタッ!」
 案の定、失敗し、口の粘膜を噛んでしまった。



 ジンジンしたまま授業に行ったものの、口が思うように動かず、「はがはが」とわけのわからぬ話をした。まあ、ちゃんと話せたところで、生徒は聞いていないのだが。
 放課後は、長~い会議に時間を取られ、翌日の授業準備ができなかった。残って仕事をしたくても、その日にかぎってPTAとの飲み会が予定されている。ギリギリまでパソコンに入力し、続きは帰ってからやることにした。飲んだあとの仕事はツラいが、背に腹は代えられない。
 一緒に行く同僚が、「そろそろ出られますか」と声を掛けてくる。4人いるので、バスではなくタクシーで行こうという話になっていた。そのほうが安いのだ。ロッカーからバッグとコートを取り出し、玄関へと急いだ。
 飲み会では、親しい保護者の隣になった。
「笹木先生、異動は?」
「しませんよ。また来年もよろしくお願いします」
 中華料理をつつきながら、楽しく話していたら、あっという間にお開きとなった。
 私は「カエルコール」をするために、携帯電話を探した。しかし、見当たらない。
 ときどき、職場に忘れることがあるので、そのときは「またやったか」と苦笑した程度だったのだが……。
 唇にリップクリームを塗ろうと、化粧ポーチに手を伸ばしたら、それも見つからない。よく見たら、弁当箱も手帳も入っていない。あわてて出てきたので、すべて忘れてきたらしい。「いったい、何をやっているのか」と、ひどく絶望的な気持ちになった。できれば取りに戻りたい気分だが、そんな体力も残っていない。
「三本締め、お願いしま~す」
 酔って顔を赤らめたお母さんたちが、男性教員と仲よくはしゃいでいる。
 心はグレーだったが、威勢のいい拍手に加わり、一番に店から飛び出した。
 しかし、家に着いたら眠くなってしまった。結局、その日は無理せず寝て、翌朝4時半に起きてパソコンに向かう破目になった。とことん、ついていない。
 
 モスクワの人たちに、私の幸せを吸い取られちゃったかな?
 早く、取り返してこなくちゃ。
 口の中が、まだ腫れている。


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謎の肌荒れ

2012年12月09日 21時34分26秒 | エッセイ
 このところ、肌の調子が悪い。ところどころ、吹き出物が顔を出し、細かいシワが目立つのだ。鏡を見るたび、気持ちが落ち込む。
 飲みすぎで、胃腸が荒れているのかもしれないが、睡眠不足も一因と思われる。
 
 夜中に、布団を蹴飛ばしちゃうんだよね……。

 私は非常に寝相が悪いので、去年は寝袋を買ってみた。しかし、寝返りが打てず、熟睡できなかったため、一度使ったきりだ。特に、足が冷えないグッズがほしい。何かないかしらと、カタログを探してみた。
「はく毛布」



 パジャマの上からはくだけで、ポカポカになる毛布を買った。これは、冷え症の強力な助っ人だ。

 よーし、これでオーケー!
 
 ぐっすり眠れるようになったけれども、まだ肌荒れが治らない。他にも原因がありそうだ。
 大好きなドーナツを、食べ過ぎているのかもしれない。実は、今日も食べてしまったので、我慢は明日からである。
 みかんに手を伸ばしたら、外皮がやけにシワシワで硬くなっている。



 ようやく、原因に気がついた。
 乾燥だ!
 湿度計を見ると、30%ほどしかない。急いで加湿器を出し、スイッチを入れる。



 温かい蒸気が吹き出し、部屋が潤ってきた。50%前後まで針が上昇し、ひと安心する。

 それにしても、あのミカン、私の肌に似ていたな……。

 思わず、笑ってしまった。
 早く、肌が回復しますように☆



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シャンパンファイト

2012年12月06日 19時52分23秒 | エッセイ
 なにやら、不快な臭いがする。何か腐ったような、鼻が拒否する悪臭だ。
 どこが発生源なのだろう。臭いの元をたどってみたら、左手の小指のつけ根あたりだった。
 なぜ、こんなところが、こんな臭いになっているのか、まったくわからない。入浴を終え、あとは寝るだけだというのに気分が悪い。
 一体何の臭いなのか。私は記憶を巻き戻し、心当たりを探した。

 帰宅したのは3時間前だ。駅に着いたら、雨が降っていた。「夜から雨」との予報通りである。私は折り畳み傘を差して、家まで歩き出した。
 さすがに、12月ともなると、手袋なしでは寒くて我慢できない。バッグから、フリースの赤い手袋を取り出し、両手にはめる。10分ほど歩いて、玄関で傘をたたもうとしたら、結構濡れていた。そのまま、玄関先で乾かそうと思い、ドアの外に広げてカギを開けた。
 夕食のあとは、明日のお弁当の下ごしらえをした。メニューは、肉団子の甘酢あんかけだ。合いびき肉にたまねぎのみじん切り、片栗粉を加え、油で揚げればよい。
 前回は手抜きしたせいで、みじん切りが大きくなってしまい、玉ねぎ団子と呼んだほうがいいような失敗作となった。左手で玉ねぎを押さえ、今回はねちねちと包丁を動かし、しつこいくらいに細かくする。
「みじん切り器が欲しいなぁ」としみじみ感じた。
 お風呂のあと、干した傘を取り込みに行く。すっかり乾いたようなので、たたんでバッグにしまおうとしたら、まだ濡れているところがあった。ひんやりした水滴が、わずかに手を湿らせる。「まだだったか」と諦め、そのまま放置した。

 記憶をほじくり出しても、それらしいものがない。「まあいいや」と気持ちを切り替え、ハンドソープをたっぷりつけて手を洗った。すっきりしたところで、暖かい布団に入り、ぐっすり眠った。
 翌朝、出勤するとき、玄関の傘に手を伸ばす。もう完璧に乾いているはずだ。
 だが、よく見ると、まだ水滴が残っている。


 
 これはおかしい。

 一応、乾燥してはいるが、水であれば、しずくの跡が残るのは変だ。ここ以外にも、水滴のあとが見つかった。



 そこで、ようやく謎がとけた。
 傘を干した場所に視線を落とすと、やはり思った通りである。



 この小さなシミこそ、手の臭いの元凶なのだ。
 傘を干していたとき、どこぞの猫に、おしっこをかけられたのだろう。そうとは気づかぬまま、傘をたたむさい、左手が尿に触れてしまった。それで、ひどい臭いに悩まされたというわけだ。
 バラバラのジグソーパズルが組み合わされて、絵柄が見えてきた気分である。原因がわかって気が晴れた反面、けしからぬ猫に腹を立てた。

 スポーツの表彰式や祝勝会で、シャンパンをかけあって勝利を喜ぶことを、シャンパンファイトまたはシャンパンシャワーと呼ぶようだ。
 当ブログも、おかげさまで、本日500回目の更新を迎えた。足かけ4年半、ちまちま続けてきた身としては、一杯飲みたい気分である。
 しかし、私がかけられたのは、シャンパンでなくショ……。
 ううう、言わんでおこう……。


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大人のおままごと

2012年12月02日 17時28分46秒 | エッセイ
 ちょっと時間があったので、スーパーの帰りに雑貨屋をのぞいた。
 こういうときは危ない。特に欲しいものがなくても、衝動買いすることがあるからだ。案の定、「これいいかも」と一目ぼれしたフライパンに手が伸びた。



 翌朝、早速、玉子料理を作り始める。
 まずは、私の玉子焼きからだ。ハート型が小さくて、玉子液を2回に分けないと入りきらない。



 一応できたが、きれいなハートにならなかった。意外に難しいものだ。



「おはよう」
 夫が起きてきた。すかさず、実験台に使う。
「ねえ、目玉焼き作ってあげるよ」
 夫に目玉焼きを作るなど、新婚以来かもしれない。彼は用心深くうなずいた。
「……うん、じゃあ頼もうかな……」
 さきほどのフライパンを洗い、油を引いて卵を落とす。ジュワーッと盛大な音を立て、白身が沸騰し始めた。あとは、頃合いを見てひっくり返せばよい。
 だが、火力が強すぎたのか、白身がこびりついている。これでは取り出せない。「こんにゃろ~」と格闘すること数分、黄身が壊れてボロボロになってしまった。



「わあ~っ、これが目玉焼きか!?」
 夫に泣かれた。愛がないから、ハートにならなかったのだ。仕方ないだろう。
「おはよー」
 最後に娘が起きてきた。今度こそ、上手に作らなくては。
「おはよう。オムレツ食べる?」
「うん」
「ハート型にしてあげるよ」
 おそらく、油が足りなかったから、こびりついたのだ。今度は多めに入れてみよう。卵に牛乳とチーズと加え、弱火で根気よく焼き上げる。やっと成功したと思ったら……



 焦げていた……。
「焦げた面を下にして、見えないようにすればいい」と悪知恵を働かせ、素知らぬ顔で食卓に並べた。
 しかし悔しい。せっかく可愛いフライパンを買ったのに、使いこなせないのでは意味がない。なぜ失敗したのかを突き止め、明日は絶対成功してやると誓った。
 敗因その1。サラダ油では、ハートの隅々まで行き渡らないらしい。バターに替えて、こってりと塗りつけることが重要だ。
 敗因その2。火加減が強すぎた。何しろ薄手なので、火力の小さなコンロを最小にしなければならない。ハートの下のとんがりは特に焦げやすいから、火から遠ざけるようにする。
 ままごとのような道具に、なぜこうも真剣になるのか、自分でも不思議だ。

 翌朝、バターが反射するフライパンに卵を落とし、目玉焼きに挑戦する。



 透明だった白身が白濁し、ボコボコ音がしたら裏返し、両面を焼く。
 今度は焦げていない。やっと成功したのだ。
「バンザーイ!!」



 いそいそと皿に盛りつけると、夫が横から口を出した。
「黄身が破れてる」
「……」

 えーい、うるさいっ!!


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