12月22日は冬至だった。去年の「冬至柚子事件」を思い出す。
職場の年長者・下田先生の自宅には柚子の木があるらしく、昨年のその日、10個ほどまとめて黄色い果実を職員室に持ってきた。
「はい。笹木先生にも。お風呂に入れてくださいね」
「まあ、いい香り。ありがとうございます」
「持って帰るのを忘れないでください」
「柚子湯になりませんものね、あはは」
といいつつ、柑橘系の爽やかな香りを楽しもうと机上に置いておいたら、バッグに入れ忘れてしまった。帰宅して、柚子を置いてきたことに気づいたが、後の祭りである。
「やばい。下田先生に念を押されたのに、机の上に出しっ放し……」
ひょっとすると、本当はいらなかったのかな、なんて悪い方向に受け取られたら、目も当てられない。
「これはまずい。明日は、下田先生より先に出勤するしかない」
翌12月23日は4:50にアラームをかけ、寝ぼけまなこで弁当作り、洗濯、ラジオ体操を終えた。日の出より早く、自転車のライトをつけて、6:40には家を出た。歩行者も自動車もほとんどなく、スイスイ進む。職場に着いたのは6:53であった。
「はあはあ、下田先生より先に着いたかしら……」
しかし、職員室に行くと、下田先生はすでに到着していた。ああ、手遅れだったか……。
「おはようございます。今日は早いですね」
「いえ、まあ、たまには、と思って」
「私は毎朝6:30に到着して、ここの窓から日の出を見るのが楽しみなんです」
「6時半……ですか」
歯切れの悪い会話をしながら、必死で机の上の柚子を探した。運よく、本棚に隠れていて、下田先生の席からは見えないようだ。よし、セーフだったと思うことにしよう。
「では、私は準備室に移動します」
「はい。またのちほど」
下田先生がいなくなってから、今度こそ忘れないようにと、柚子をバッグにしまった。その夜は、一日遅れの柚子湯は楽しみ、身も心もポカポカになった。風邪もひかずに一年過ごせたのは、一日遅れの柚子湯の御利益だったりして。
そして、今年の12月はというと、何の前触れもなく、下田先生がダウンしてしまった。
「腰をひねったみたいです。動けないのでしばらくお休みさせてください」
「あらま~、大変ですね」
いつも元気な人がいないと、周りも調子が狂う。大丈夫かなと噂をしていたら、冬至の日に「動けるようになったので、明日から出勤します」とのメールが届いた。
返信は「ご快復おめでとうございます」に続けて、「柚子湯でゆっくり温まってください」とした。同時に、一年前のドタバタ劇を思い出し、一人でニヤニヤしたので怪しかったかもしれない。
「おはようございます。やっと出てこられました」
12月23日は下田先生が久々に登場し、変わらぬ姿を見せてくれた。
「おはようございます。元気になってよかったですね」
「はい、おかげさまで。そうだ、柚子を持ってきましたよ。一日遅れですが、どうぞ」
そんなこんなで、私は2年連続で、冬至の翌日に柚子湯に浸かることになった。これで今年も風邪をひかずにすむであろう。
12月はあわただしい。冬至のあとはクリスマスがやってくる。
今年のケーキは、クリームもスポンジも軽くて食べやすかった。
姉からもらった煎餅がキュートで、思わずクスッと笑みがもれる。
クリスマスのあとは、年賀状と大掃除だ。仕事納めもすぐそこに近づいている。
今回で、2021年最後の更新とさせていただきます。
拙いブログですが、本年もお付き合いいただき、ありがとうございました。
2022年も、どうぞよろしくお願いいたします。
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
職場の年長者・下田先生の自宅には柚子の木があるらしく、昨年のその日、10個ほどまとめて黄色い果実を職員室に持ってきた。
「はい。笹木先生にも。お風呂に入れてくださいね」
「まあ、いい香り。ありがとうございます」
「持って帰るのを忘れないでください」
「柚子湯になりませんものね、あはは」
といいつつ、柑橘系の爽やかな香りを楽しもうと机上に置いておいたら、バッグに入れ忘れてしまった。帰宅して、柚子を置いてきたことに気づいたが、後の祭りである。
「やばい。下田先生に念を押されたのに、机の上に出しっ放し……」
ひょっとすると、本当はいらなかったのかな、なんて悪い方向に受け取られたら、目も当てられない。
「これはまずい。明日は、下田先生より先に出勤するしかない」
翌12月23日は4:50にアラームをかけ、寝ぼけまなこで弁当作り、洗濯、ラジオ体操を終えた。日の出より早く、自転車のライトをつけて、6:40には家を出た。歩行者も自動車もほとんどなく、スイスイ進む。職場に着いたのは6:53であった。
「はあはあ、下田先生より先に着いたかしら……」
しかし、職員室に行くと、下田先生はすでに到着していた。ああ、手遅れだったか……。
「おはようございます。今日は早いですね」
「いえ、まあ、たまには、と思って」
「私は毎朝6:30に到着して、ここの窓から日の出を見るのが楽しみなんです」
「6時半……ですか」
歯切れの悪い会話をしながら、必死で机の上の柚子を探した。運よく、本棚に隠れていて、下田先生の席からは見えないようだ。よし、セーフだったと思うことにしよう。
「では、私は準備室に移動します」
「はい。またのちほど」
下田先生がいなくなってから、今度こそ忘れないようにと、柚子をバッグにしまった。その夜は、一日遅れの柚子湯は楽しみ、身も心もポカポカになった。風邪もひかずに一年過ごせたのは、一日遅れの柚子湯の御利益だったりして。
そして、今年の12月はというと、何の前触れもなく、下田先生がダウンしてしまった。
「腰をひねったみたいです。動けないのでしばらくお休みさせてください」
「あらま~、大変ですね」
いつも元気な人がいないと、周りも調子が狂う。大丈夫かなと噂をしていたら、冬至の日に「動けるようになったので、明日から出勤します」とのメールが届いた。
返信は「ご快復おめでとうございます」に続けて、「柚子湯でゆっくり温まってください」とした。同時に、一年前のドタバタ劇を思い出し、一人でニヤニヤしたので怪しかったかもしれない。
「おはようございます。やっと出てこられました」
12月23日は下田先生が久々に登場し、変わらぬ姿を見せてくれた。
「おはようございます。元気になってよかったですね」
「はい、おかげさまで。そうだ、柚子を持ってきましたよ。一日遅れですが、どうぞ」
そんなこんなで、私は2年連続で、冬至の翌日に柚子湯に浸かることになった。これで今年も風邪をひかずにすむであろう。
12月はあわただしい。冬至のあとはクリスマスがやってくる。
今年のケーキは、クリームもスポンジも軽くて食べやすかった。
姉からもらった煎餅がキュートで、思わずクスッと笑みがもれる。
クリスマスのあとは、年賀状と大掃除だ。仕事納めもすぐそこに近づいている。
今回で、2021年最後の更新とさせていただきます。
拙いブログですが、本年もお付き合いいただき、ありがとうございました。
2022年も、どうぞよろしくお願いいたします。
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)