これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

これが3万字短編を支えるメガネ

2025年01月26日 09時35分43秒 | エッセイ
 昨年末、8万字のエッセイを書いた。400字詰め原稿用紙に換算すると200枚ほどになる。
 エッセイ教室に通っていたときは、800字の作品を書くことになっていたので、実に100倍。初めての試みであった。書きたい内容はたくさんあったけれど、これまでのペースで進めていくと、たったの2万字にしかならず「水増し工作」をしなくてはならない。
「もっとエピソードを増やして、それぞれを膨らませなくっちゃダメだぁ~」
 段落に関連した出来事や思い出を無理やりひねり出し、水で薄めて容積をかさ増しすれば、字数はおもしろいように伸びていく。これまでは、読みやすい長さに収めるため、伝えたい部分だけを切り取り広げていたのだが、今度は詳細まで再現して、人物や時代背景までを書き込んだ。これが実に新鮮だった。
 たとえるならば、「時間がないから要領よくまとめて3分以内に話して」から、「どんなテーマでもいいよ。いくらでも聞くから、好きなように話してごらん」に変わったのだ。心の中にこもっていた想いがとめどもなく流れ出て、一つ残らず文字に変わり、空っぽになったときのスッキリ感といったらない。やってみて初めて「こうなるのか」と満足した。気をよくして、休みの日は朝から晩まで、ときには早朝まで、時間が経つのも忘れてキーボードを叩き続けた。
 無事に8万字に到達したときの達成感が半端なく、「やばい」という表現はこういう場面で使うのだとわかった。クスリをやったのかと思うほど気分が高揚し、睡眠不足なのに眠くならない。何の脈絡もなく歌ったり踊ったりしたくなり、視界の四隅には絵文字の星がきらめいていた。作品自体は駄作だとわかっている。でも、書きたいことが思ったように表現できたことへの喜びが断然勝っていた。癖になりそうな経験である。
 反面、長時間、パソコンとにらめっこしていると悪いこともある。老眼が進み、メガネでは手元がボヤけてしまうため、作業するなら裸眼かコンタクトとなるのだが、両目の視力差が大きいせいか、裸眼では疲れやすい。結局、コンタクトを入れて乗り切ったものの、作業時間はトータルで54時間に上った。そのときは夢中だったから何も感じなかったけれど、正月明けの仕事再開時に、コンタクトで酷使された右目に痛みが走った。あれあれ? と思っていたら、「コンタクトは出ていけ、絶対反対!」なるシュプレヒコールを右目が繰り返している気がした。拒否反応か? 角膜の限界だったのかもしれない。
「よし、新しいメガネを作ろう。パソコン用に」
 最短で手に入れたかったので、仕事帰りにメガネ屋さんに寄った。作業用だから、度数が下から2番目という低さである。好みのフレームを選び視力を測れば、待ち時間30分ほどで完成するらしい。もっとも、私の場合はブルーライトカット50%のレンズを希望したため、取り寄せに3日要したけれど、いまだかつて掛けたことのない、カジュアルなデザインのメガネである。



 これで、9900円は安い。
 職場でも自宅でも、メガネが大活躍だ。何のストレスもなく、パソコンを操作できている。
 実は、小説を書いてみたいと思い始めている。構想はある。おそらく、3万字程度の短編となりそうだ。登場人物や内容は固まったけれど、オチが決まらない。主人公にも脇役にも、私の想いを表現させて、あの達成感をもう一度、味わいたい。
 さあさ、メガネさん、これからもよろしくね。

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映画『はたらく細胞』と休日のワタシ

2025年01月19日 21時32分49秒 | エッセイ
 久しぶりに劇場で映画を見た。
 作品は『はたらく細胞』。



 上映スケジュールとにらめっこして、この作品にピピッと来た。どの俳優が出ているとか、監督が誰などとチェックしたわけではない。チェックしたところで、私はほとんどテレビを見ないから芸能人には本当に疎くて、看板の中で唯一、確認できたのは佐藤健だけであった。何の根拠もないけれど、上映作品の中では「これがおもしろそう」との直感が働いた。
 映画は、日胡(にこ)ちゃんの体内の細胞たちが、互いに協力し合い、どのように活躍して本人を支えているかを詳しく教えてくれる。俳優たちが酸素を運ぶ赤血球、侵入者を排除する白血球、出血を止める血小板、強力な殺傷能力を持つキラーT細胞などになって、人間くさいドラマを展開するのだ。
 前半ではたくさん笑わせてもらったが、後半では泣かされ、ラストはお見事であった。
「あー、よかった。こんなに満足した作品は少ないかな。パンフレット買おう」
 ページをめくり、どの役を誰がやったかの確認をした。主役級はさておき、セカオワのFukaseがいることに驚いた。



「えっ、俳優もできるんだ~」
 セカイノオワリは私が知っている数少ないアーティストの一つである。『アンブレラ』は何度聴いても飽きないし、Fukaseの透明感のある声が好きなのだが、スクリーンでも会えてうれしい。
 小沢真珠もわかる。



 美人なのに、こんなにコミカルな菌になりきるなんて、さすがは役者だ。
 残念だったのは、DJ KOOがパンフレットに載っていないことである。日胡ちゃんが恋している先輩に会ったとき、体内にアドレナリンが放出され、細胞たちが総出でサンバを踊っていた。このときに登場したのだから、キャストに出してほしかったのに残念だった。



 映画のあとはランチ。
 映画館から5分歩くと、小さなフレンチレストランがある。その日のメニューには好物の鴨があり、「ウホホ」とがっついてしまった。



 日胡ちゃんのお父さんは不摂生をしていて、体内の街がすさんで、スラム街に近かったことを思い出す。路上にゴミ袋がいくつも捨てられており、「LDLコレステロール」と書かれていたのには苦笑した。脂質が過剰になると、血管の壁にへばりつくというから、まさにゴミ袋で通りにくくなる例えがピッタリなのだろう。
 デザートだって危険だが、美味しいものはやめられない。



「ごちそうさまでしたっ!」
 レストランから家までは電車で5駅分ある。ちょっと遠いけれど、運動のため、歩いて帰ることにした。晴れてポカポカしていたこともあり、のんびり90分の散歩としゃれこんだ。
 さて、私の体内では、どのような街が形成されているのやら。
 美しく清潔な街を目指して、節制と運動に励むぞ~!

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どのキズパワーパッドにしますか?

2025年01月12日 18時06分06秒 | エッセイ
 年末の大掃除でガスコンロを磨いていたら、突起で右手の小指を切るケガをした。
「いたたた! うわ、血が血が。ミキ、ちょっと来てぇ!」
 助けを求める相手は娘である。夫を呼んだところで解決に結びつかない。なるべく哀れっぽい声を出し、大げさに騒ぐことが大事だ。
「どうしたの? あーあ、切っちゃったんだね。キズパワーパッド持ってくるよ」
 ティッシュで止血している間にキズパワーパッドを貼ってもらい、一件落着。まだ洗面台の掃除や棚の片づけが残っていたが、新年にやればいいやと割り切って安静にした。
 年明けは2日から掃除に取り掛かる。どうせ暇だし、動かないと肥える一方だから、このスタイルは悪くないかもしれない。残りの掃除が終わり、水を含んで膨らんだキズパワーパッドを取り換えた。今度は血が出ていないので、自分一人でできる。



「さあ、できた。あれ? 何か今までのより太い……」
 新しく貼ったパッドは明らかに形が違うではないか。戸惑っていると娘に笑われた。
「お母さん、それ、靴ずれ用だよ」
「えっ!」
 箱を見るとたしかにたしかに。



「別の種類があるって知らなかった」
「まあ、いいんじゃない」
 正しくは、こちらを使うべきだった。



 最初は快適だったのだが、膨らんでくると話は別だ。小指だけ「ポッコリ」してしまい、作業の邪魔になる。やはり、これは足に適した形状なのだろう。
 失敗した。ちっ。
 キズパワーパッドのバリエーションは豊富なようだ。
 我が家にはひじ・ひざ用の箱もある。



 転んで擦りむいたときに使うのだろうか。この先、どんどん老いていくので、お世話になるかもしれない。
 大きめサイズという箱もあった。



 ふつうサイズで収まらないケガは、さぞかし痛かろう。使う場面がなければいいな~と願うばかりだ。
 さて、靴ずれ用を貼り付けた小指は、2日後にポロリとパッドが剥がれてしまった。初詣のため、神社に向かう道で、コートのポケットに手を入れて歩いていた。境内に入り、ポケットから手を出したら、絆創膏がポケット内に残ったというわけだ。小指の白い跡を見て驚いた。
「うわあ、キズがキレイに治ってる。スゴイ!」
 保護するキズがなかったから、自然に剥離したのだろうか。
 神社の神様だけでなく、非常に優秀な医療品にも「今年もよい年でありますように」と祈った。
 もっとも、ケガをしないのが一番!
 皆さまも、どうぞお気をつけて。

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インチキエビフライで迎える2025年

2025年01月05日 20時46分00秒 | エッセイ
 新年あけましておめでとうございます。
 せかせかと小走りに駆けていった2024と入れ替えに、2025年がやってきた。まずは元日から。
 今年のおせちは食べきりサイズを注文し、蒲鉾や伊達巻は鈴廣から買うことにした。



 伊勢海老ではなくロブスターが入っていた。なかなか立派なルックスをしており、解体までに撮影に励む。





 口当たりもよく、正月ムードを高めるロブスターに感謝していただいた。
 目論見通り、元旦にほぼ完食! バンザーイ!!
 早々に冷蔵庫を占領する重箱を片づけられて、スッキリした気分になる。和食が続くと飽きるので、ピザトーストや醤油ラーメンをいただくことも大事だ。おいし、おいし~♪
 1月2日から3日にかけては、NTTドコモがサイバー攻撃を受けたとのことで、わがgooブログにアクセスできず焦った。4日からやっとつながるようになったが、アクセス数を確認したら、それなりの数のユーザーにご訪問いただいたらしい。
「えっ、訪問者ゼロかと思ったのに、うれしいっ!」
 お越しになったみなさま、ありがとうございました。
 一方で、「なんで私は見られなかったんだろう……」と首を傾げた。電波が悪いのだろうか。
 4日は那須の両親の家まで年始の挨拶に出かけた。高齢の母に食事の支度をさせてはいけないので、昼食、おやつ、日持ちのするおかず、パンなどはこちらから持参する。メニューを考える際に、ロブスターがヒントになった。
 母はエビを溺愛している。私たち三姉妹と伊勢海老を比べたら、どちらが大事か悩んでしまうかもしれない。さすがに伊勢海老はあげられないが、スーパーでお正月価格の大きなエビを調達して、エビフライを作ることにした。
 前日の3日に大まかな到着時間とランチメニューを連絡する。
「10:30頃着く予定。お昼はエビフライとカボチャの麻婆ソースがけにおにぎりをつくるからね」
「あら、うれしい。結構早いんだね」
「うん。日帰りだから早めに出るよ」
 父は桃さえあれば機嫌がいいので桃ゼリーを用意し、母には、ありあけのハーバーお正月バージョンを買ってある。



 高齢者に揚げ物は重いかもしれない。医療機関も開いていないのに、胃痛腹痛の原因になったら大変だ。レシピを調べて、オーブンの「揚げもの」モードを使って作るエビフライなるものを見つけた。
「なになに、パン粉を炒めて茶色くしろってか」
 下ごしらえをしたエビに、小麦粉、溶き卵をくぐらせた後は、炒めて揚げた色と化したパン粉をまぶすのだ。そのままオーブンで焼けば火が通り、揚げたように見える。おそらく、白いパン粉では均等に色づかないのではと予想した。実にヘルシーなエビフライができるという点でナイスなアイデアといえるだろう。
「まあ、インチキかもしれないけれど、軽くていいね」
 問題は、果たして美味しいのか? というところだが、素材がよければ何とかなりそうだ。
 エビの下ごしらえが終わったところで、母からメールが届いた。
「こっちは結構雪が降ってるよ。もし積もったら電車が動かないかもしれない」
 ビックリして気象警報を確認してみた。那須には注意報すら発令されていなかったので、母の取り越し苦労と思われる。行く前提で返信をした。
「JRの運休情報を見たけど、何もなかったから、たぶん大丈夫だと思う。新幹線が動いていれば問題ないよ」
「そう? 明日の朝、何センチ積もったかを確認して連絡するよ。来られるといいね」
 昨年の夏に親族で集まったときの母は、台風の進路に当たっていたにもかかわらず、何の心配もしていなかった。なんで今回にかぎって、過剰に不安がっているのだろう。謎だ、謎。だが、理由はすぐに思い当たった。
「わかった。……エビフライだ」
 私と娘が来られないと、お昼のエビフライが幻に終わる。それで「大変、雪が雪が!」と焦ったようだ。可愛いおばあちゃんであった。
 翌日の4日は予想通り、栃木の鉄道各線は平常運行であった。
「那須の積雪は5センチぐらいだから気をつけておいで」
「うん、わかった。エビフライもできたから待っててね」
 東京は雪の「ゆ」の字もなかったので、栃木の銀世界には心が弾む。





「うわあ、サクサク!」





 たっぷり足跡をつけて楽しみ、無事、両親の家に到着した。
 ちゃんと写真を撮らなかったのだが、普通のエビフライに見えるところがすごい。優秀なレシピであった。



「美味しい、美味しい」
 母も満足。父はすっかり食が細くなり心配だったが、エビフライとおにぎりは食べていた。実は父もエビフライが好物と知り、親子といえどもわからないことがあると気づく。残念なことに、カボチャには見向きもしなかった……。
 食後は百人一首を引っ張り出して、坊主めくりを始めた。
 父は見ているだけだが、私と娘が立て続けに坊主の札を引き、「ひいぃ~」と叫ぶとニヤニヤ笑っていた。



 家族のやり取りを見るだけで満足するのだろう。
「また勝ったよ、やった!」
 この日は母が主役だったのか、私と娘は1回ずつしか勝てず、残りはすべて母が勝利をかっさらっていった。喜んでもらえてよかった。
 いつまで元気でいてくれるかわからないが、またエビフライを持って那須に訪問し、坊主めくりで遊んで帰ってきたい。
 インチキレシピはコロッケやヒレカツにも応用できる気がするので、今度チャレンジしてみよう。
 こんな年明けですが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

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