これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

ワインのコルクが抜けません

2019年06月30日 20時54分37秒 | エッセイ
 今日で6月が終わる。
 気温が高くなると、シュワッと口の中で弾ける飲み物が欲しい。「ビール!」という手もあるけれど、私の場合は「スパークリングワイン!」なのである。
 朝、出勤前にボトルを冷蔵庫に入れて、「帰ったら飲もう」と思うだけで、その日のやる気が急上昇するから現金なものだ。楽しみのない日は、惰性に任せてチンタラ仕事をする。差があり過ぎるのではと自分でも思う。
 だが、待ちに待ったワインの時間を迎えたとき、トラブルに見舞われることがある。
「くうう~、コルクが抜けないっ」
 これは本当に困る。しつこく引っ張っているうちに、「ポン」と軽い音がして抜けることが多いが、全くダメなときはワインオープナーを刺すしかない。非力な女性や高齢者には大きな課題であろう。
 解決方法は、ひょんなことから見つかった。
「ああ、今日は気分いいなぁ。スパークリング飲んじゃおっと」
 5月だったろうか。停滞していた案件が一気に片づき、ルンルンで帰宅したことがある。急に飲みたくなっても、ワインは冷えていない。
「まあいいか。常温でいこう」
 がっついているときは何でもいいのだ。床下収納庫から、お気に入りの「ヴァン・フラン」を取り出した。フルボトルだと歯止めがかからず飲み過ぎることもあるが、これはハーフだから安心だ。アルコール度数8%で398円というお手軽さから、何本もストックを用意している。



 コルクの覆いを剥いて、針金に手をかけたら、栓が動いた気がした。
「あれえ? 抜けそう」
 たしかに、プラスチック製のコルクが炭酸で押し上げられていた。左手を添えて見ていると、「ボンッ」と大きな音を立てて跳ね上がった。冷蔵庫に入れてしまうと、この勢いがなくなり、開栓に苦労するようだ。
「てことは、いったん常温で栓を取り、ストッパーをつけて冷やせばいいんじゃない?」
 そういうこと。
 ぬるいワインも嫌いじゃないけどね。


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太っ腹な「ウィーン・モダン」展

2019年06月23日 21時19分10秒 | エッセイ
 娘と国立新美術館に行った。



 目当ては、ウィーン・モダン展だ。



 この展示はなかなかよかった。正確にいうと、絵はイマイチだったけれど、ドレスや彫刻、食器などもあり、バラエティに富んでいて楽しかったのだ。
 リーフレットからも、そんな雰囲気が伝わってくるような気がする。



 展覧会の目玉である、グスタフ・クリムトの『エミーリエ・フレーゲの肖像』を撮影可にしてくれる寛大さには驚いた。



 太っ腹な配慮に感謝、感謝。
 さらにハマってしまったのが、絵のフレームである。会場内のQRコードを読み込むと、こんな感じのフレームがダウンロードできる。



 ここに自分の顔をはめ込み、エミーリエになり切るわけだ。
「お母さん、じゃあ撮るよ」
 娘は器用に私の写真を撮ってくれた。違和感なく仕上がるところがすごい。
「今度はミキのを撮ってあげる」
 しかし、私は下手くそだった。顔の位置が上過ぎて「首の長い人みたい」と呆れられ、右に寄り過ぎて「体とつながってない」と怒られ、まともに撮れない。
「もういい、自撮りするから」
「ごめーん」
 最後はスマホを取り上げられた。クスン。
 悔しいから、家で別のものをはめ込んでみた。



 もう1枚。



 何を素材にしたか、わかる人にはわかるだろう。
 しかし、誰を撮っても顔の位置が不自然だった……。一生懸命やったのに。
 ところで、大学生の方には耳より情報がある。この展示には「大学生のための無料観覧日」が7月9日火曜に設定されており、大学生だけでなく、短大生や専門学校生なども学生証を見せれば無料で鑑賞できるのだとか。これまた太っ腹でいい企画だ。
 学生さんたちも、絵のフレームで遊んでね。


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ずるい父の日

2019年06月16日 21時21分34秒 | エッセイ
 今日は父の日だが、夫の誕生日でもある。一人暮らしをしている娘も帰ってきて、プレゼントの心配をしていた。
「お父さんに何か買ってあるの?」
「うん、まあ、あるっちゃある」
 歯切れの悪い言葉を返した理由は、後ろめたさからだ。実は、私の父用に、ドリップコーヒーとティーバッグのセットを買っていた。ところが、郵便局で口座名義を変更している待ち時間に、もっといいプレゼントを見つけてしまった。



 たまたま、郵便局のギフトカタログを見ていたら、父の好物であるうどんが載っていたのだ。



「これは喜ぶだろうな。よし、送ってあげよう」
 うどんがあるならコーヒーはいらない。でも、せっかく買ったのに……。
「そうだ! これは、夫の分にしよう」
 要は使い回しというわけで、ずる過ぎるかもしれない。
「ちょっと、そんなんでいいの?」
「だって、他に何も買ってないよ」
「じゃあいいか」
 娘も手ぶらで来たものだから、選ぶ余地がなかった。夕食の寿司をとり、プレゼントタイムがやってくる。
「ほら、ミキ。お父さんに渡して」
 娘をつついて箱を持たせる。
「お父さん、誕生日と父の日おめでとう」
「あ、ありがとうっ!」
 包装紙をはがすと、こんな箱が見えた。



 フタを開けたら、相田みつをの字が顔を出す。



 問題は中身だ。夫は「ドリップコーヒーはスタバのが一番美味い」と言って、それしか飲んでいないから、他のコーヒーに手を出すかどうか。
「いいね。早速いただくよ」
 こちらの心配をよそに、夫はケーキタイムに合わせてドリップコーヒーを開け始めた。頑固者が珍しい。お湯を注いで口に含むと、「いい味だ」と笑顔を見せた。
 結果として、使い回しでもまったく問題なかったらしい。
 おそらく、娘が帰ってきてくれたことが、一番のプレゼントだったのだろうな。
 来年は、Tシャツぐらい用意しておこうっと。


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遅い母の日

2019年06月09日 21時34分18秒 | エッセイ
 3月末から一人暮らしをしている娘が、大荷物を持って、久しぶりに帰ってきた。
「町田で研修だから、こっちに泊まった方が近いんだよ」
「ふーん」
 4月の上旬は、慣れない家事に四苦八苦して、休みのたびに戻ってきたが、今は違う。好きな時間に寝起きができるし、誰からも干渉されない気楽さを楽しむようになった。洗濯や炊事などのコツもつかみ、健康的な毎日を送っているらしい。
 そんなわけで、こちらに戻ってくるのは、月に一回程度に減ってきた。淋しいのは山々だが、娘の成長はうれしい。そのうち、2カ月に一回、3カ月に一回などとなっていくのだろう。
「お母さん。はいこれ」
 2階に上がるなり、娘が「ねんりん家」の紙袋を差し出した。
「遅くなったけど、母の日ありがとう」
「わーい、うれしい♪」
 ご存じの方もいらっしゃるだろうが、私はバウムクーヘンが大好きだ。何層にも重ねられた年輪を、ペロッとはがして香ばしさを味わえば、幸せを実感できる。ふわっとやわらかな焼き加減なら幸福度が高く、水気が少なくてボソボソした食感でも、バターの風味で笑顔になれる。
 もし、犬猿の仲のアイツやコイツが、バウムクーヘン片手に頼みごとをしてきたら、不本意ながら、二つ返事で引き受けてしまうだろう。私にとって、特別で格別な、魔法のお菓子なのである。
「開けてみよう」
 箱のふたを開くと、なかなか豪勢なセットであった。



「お母さん、どれから食べたい?」
「うーんとね、抹茶」
 抹茶のバウムは、外側がカリッとしていて、しっかり甘味がついている。口の中に糖分が広がると、一日の疲れが消えてなくなる気がする。「生きていてよかった」と大げさに喜び、感謝の気持ちを伝えた。
 ところで、新しい職場になってから、甘いものを食べる回数が減った。何しろ、通勤途中に魅力的な店がない。コンビニが1軒あるだけで、墓地や住宅が幅を利かせている。緑が多いのはよいが、虫もたくさん飛んでいる。自転車を止めたら最後、蚊に刺されそうで恐ろしいから、寄り道せずにまっすぐ帰る習慣がついてしまった。
 今回も、バウムクーヘンを食べ切ったら、おやつがなくなった。もしや、血糖値も下がっているのではないだろうか。
「健康診断まであと1カ月しかないぞ。俺は今日から節制する」
 先日、校長が粗食宣言をしていた。負けてはいられない。私もなるべく、糖質をとらないように頑張ろう。
 健康診断は7月上旬だ。終わったら、また娘にバウムクーヘンをおねだりしよう。
「お中元ちょうだい」ってね。


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アツアツ5月

2019年06月02日 22時04分31秒 | エッセイ
 5月下旬は暑かった。都心で33度とは狂っている。
「今日は冷房つけてやれよ。この暑さじゃ無理だろ」
「はーい」
 うちのボス、つまり校長は話が早い。都立では経費節減のため、冷房を使えるのは7月からと決まっているが、実態に合わせた判断が得意だ。
「じゃあ、全クラス、冷房を入れてください。26度ね」
 私は操作方法を知らないので、事務方に連絡をする。これで熱中症の心配もなく、平和的に過ごせると思っていたら甘かった。
 授業開始後まもなく、職員室に駆け込んできた先生がいた。
「笹木先生、私のクラスは暖房26度になっていて暑いです~!」
「ゲゲッ」
 機械のエラーで、3教室だけ暖房から切り替わっていなかったそうだ。何と恐ろしい!
 そういえば、私も冬の寒い日に、間違えて冷房をつけたことがあったなぁ。しっかりチェックしなくちゃ。

 一人暮らしをしている娘が、先週から家にいる。次の研修先は、アパートからより自宅からの方が近いという。久しぶりに、おしゃべりを楽しんだ。
「お母さん、アイスコールド コカ・コーラって知ってる?」
「いんや」
「マイナス4度のシャーベット状のコーラだよ。暑いときに飲んだら超うまかった」
「へー」
「飲みたい?」
「うん」
 専用自販機のあるセブンイレブンでしか買えないそうだ。意外なことに、わが家の近くのセブンがヒットした。
 今日は真夏日にならなかったけれど、ジムで汗を流したあとは飲みたくなる。好奇心もあり、セブンに向かって自転車をこいだ。
 価格は151円。自販機から出てきた時点で飲むのがベストらしいが、一人で全部を飲む自信がない。家に持ち帰り、娘と飲むことにした。



「うんうん、ちょっと固まってる感じ」
「で、喉を通るときは液体だよね」
「冷た~い!」
「うま~い」
 炭酸でお腹いっぱいになってくる。私も娘も満足したので、残りを夫に渡すと、「おいしい」と喜んで飲み干した。1本を3人で分けるというのはセコいけれど、猛暑日だったら一人でがぶ飲みするに違いない。
 暑い日はセブンイレブンにGO~!


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