これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

ピカピカ注意報

2020年01月27日 21時58分35秒 | エッセイ
 冬になると肌が荒れる。特に下唇の周りがひどい。よだれを垂らしたわけでもないのに乾燥し、皮膚が剥がれてウロコのように見える。私はいつから魚類になったのか。
「やだなぁ、こんなんじゃ、化粧が浮いちゃうよ」
 目頭と目尻の周りもカサカサになる。これは目薬のせいだろう。気がつくと、あかぎれ化しており、ちょっとの刺激で「ピキッ」とひび割れるのだ。流血しようものなら、話しかける人が減る。
 シワも増えたのではないか。目の下はたるみ、口元にはしまりがない。ああ、何とかしなくっちゃ!
「そうだ、たしか、本棚に美容の本が……」
 化粧品に頼らず、顔の筋肉をほぐすことで若返りを図る本があったことを思い出した。



 その名も『顔層筋マッサージ』。
 購入したのは2012年だが、ちょっと試しただけで挫折した。トレーニングは3段階になっていて、「ほぐす」「指圧」「シワとり」に分かれているのだが、「シワとり」にオイルを使うのが気に入らなかった。当時の私は、あぶら取り紙が必要なくらいのオイリー肌。これ以上油をつけると、吹き出物ができそうでイヤだった。
「でも、今ならいいんじゃね?」
 化粧品を変えて以来、すっかり乾燥肌になってしまった。買っただけで全然使っていないスクワランオイルを取り出してみる。おそるおそるチャレンジしたら、オイルがカサカサの肌にしみ込み、思いの外しっとり仕上がった。
「おっ、何だかいい感じだぞ」
 気をよくして、ひと月近く続けているが、ポツポツと吹き出物ができることもなく、肌全体がふっくらとしてきたように見える。何が幸いするかわからないものだ。
 でも、順番を間違えると困ったことになる。
「さあ、スクワットと腹筋、背筋をしよう」
 2日に一度は筋トレをする。夕食後、一時間以内にやると体が軽くなる気がする。その日は、まず洗顔して顔層筋マッサージを終わらせ、筋トレすることにした。
 スクワット、腹筋まではよかった。問題は背筋だ。床に額をつけて、ゆっくり上に反らし、背中の余分な肉がなくなることをイメージする。頂点まで反らしたら、元に戻して床に額をつける。でも待って。この床、妙にテカっていない?
「あ、オイルだ」
 自分の肌だけでなく、フローリングにもオイルをすり込む結果となってしまった。
 ワックス代わりとなって、そこだけピカピカしてまーす。


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もし10日間の休暇があったら

2020年01月19日 21時58分13秒 | エッセイ
 先日、「働き方改革の推進」なる研修を受けた。
「もし、週3日間定時で帰れるとしたら、10日間の休暇がもらえるとしたら、あなたは何をしたいですか」
 講師が受講者たちに問いかけてきた。
 私の職場は17時が定時なので、早く帰れるとしたらやりたいことは山ほどある。まず、本を読みたい。最近、夏目漱石に凝っているから、借りた本を終わらせたいのだ。それから運動もしたい。筋トレ、散歩、ジョギングなどをすれば、気分転換になるだけでなく体力アップも図れる。



 10日間連続して休めるのであれば、海外旅行だろう。好みはヨーロッパ。「プラハが一番よかった」という感想を聞いたことがある。でも、オランダにも行きたいし、スペインだって魅力的。ああ、迷うなぁ。
 講師がさらに続ける。
「みなさん、いかがですか。お隣の方と、ご意見を交換してみて下さい」
 私の隣の席には、もうすぐ定年になりそうな年代の男性がいた。でも、私の視線を無視して、まっすぐ前を見たままだ。これは「私に話しかけないで」という意味だろう。まず話の弾まないタイプに見えた。あえて関りを持つ必要はないので、こちらも視線を前に戻す。
「やりたいことなんてないよ、という方はいらっしゃいませんでしたか? 休みがあっても家に居場所なんてないし、困るなという方も」
 講師のツッコミに、会場がドッと沸く。隣の男性も、小さな声を出して笑っているらしい。そうか、この人は話したくなかったのではなくて、話すことがなかったのか。仕事を取ったら、何も残らない人なのかもしれないと推測した。
「ぜひ、やりたいことを見つけることから始めて下さい」
 研修は、長時間労働の弊害、働き方改革の意義、やり方などに踏み込み、退屈することなく終了した。
 いい時代になったと思う。4年前はまだ「職場に長くいる人ほど偉い」という空気が蔓延していた。当時の校長ですら「17時に帰る人はいらない」と言い放つ始末で、業績評価が辛くなることを覚悟して子育てするような雰囲気があった。こんな上司の下で働くのは苦行でしかない。
 ところが、「教員はブラック」という評判が定着するにつれ、教員採用試験の受験者が減り続けたからだろう。急に「働き方改革」が問われるようになり、昨年あたりから「長時間労働は悪」に変わったのだから、方向転換についていけない人もいるに違いない。
 そもそも、「長時間、職場にいると怒られるから、やりたいことを見つけよう」で生産性が上がるのだろうか。「やりたいことがあるから、早く仕事が終わるように頑張ろう」でないと、成果には結びつかない気がする。隣に座っていた男性が、クッキーを焼いたりジョギングを始めたりするとは思えないが、何か見つけてもらわないと部下が可哀想だ。
 ひとまず、私は「週イチで18時に退勤する日を作る」目標を作った。
 今週は、明日をその日にして、早く帰ろうっと。
 ウキウキ♪


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魚屋さんのパフェ?

2020年01月12日 22時56分25秒 | エッセイ
 SNSにアップされたその投稿には、やわらかなカーブを描いた白桃が規則正しく整列していた。
「桃のパフェ食べました。さすがは水信、果物屋さんだけあって美味しいです♡」
 8月だったろうか。見ず知らずの女性が撮った魅力的な写真を、スイーツ大好きな私が見逃すはずはない。猛暑で汗ダラダラの時期に、冷房の利いた店で冷たくみずみずしい桃を、生クリームとともにいただけたら極楽だろうなと唾を飲み込んだ。
「すいしんじゃなくて、みずのぶ? 桜木町にあるのか。果物屋さん? 魚屋さんだったような気が……」
 うまくパフェと結びつかない。多少の疑問はあったけれど、ポンコツ化した脳味噌はあてにならない。深く考えないで「いつか行く」ことにした。
 そして、先日、その日がやってきた。
「横浜美術館で『ルノワールとパリに恋した12人の画家たち』を見るんだから、水信にも行かれるわよねぇ。朝イチがいいんじゃね」
 横浜で一人暮らしをしている娘も誘い、きれいな絵と美味しいパフェを求めて家を出た。
「そうだ、水信を調べてみよう」
 魚屋疑惑を思い出し、スマホを取り出した。電車の中でも調べ物ができるとは、便利な世の中になったものだ。
 結論からいえば、案の定、私が間違っていた。記憶にあった魚屋は「東信水産」で、「水信」ではなかった。何ともお恥ずかしい限りである。「水信に謝れッ」と怒られたら、「すみましぇ~ん」といさぎよく頭を下げるつもりだ。
 その日は正月明けの月曜日、1月6日だった。土日は混雑するみたいだけれど、さすがに平日の開店直後はガラガラである。のんびりスイーツタイムを楽しんだ。



「何にしよう。イチゴがいいよね」
 メニューを見て、しばし悩む。種類はさほど多くないが、どれも美しくて食べたくなるから決められないのだ。やっとの思いでひとつに絞った。
 苺のチョコパフェ。



 パフェはアングルが難しい。寸詰まりに見えてもいけないから、横からの画像もご紹介したい。



 娘はピスタチオチョコ苺パフェにした。



 同じく、娘もだいぶ迷っていたが、「これが苺パフェの中で一番高い」などという理由で決めたようだ。自分の懐が痛まないからといって、ちょっとどうかと思う……。
 苺は甘味と酸味がバランスよく感じられ、さすがにご立派。生クリームの下にはバニラアイスとチョコレートアイスがギッシリ詰まっており、結構な重量感だ。セットのコーヒー・紅茶が300円で飲めるところにもお得感があり、お腹いっぱいになり満足した。
 水信フルーツパーラーラボ。またお邪魔します。


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2020 お正月

2020年01月05日 21時35分02秒 | エッセイ
 あけましておめでとうございます。
 すでに1月5日になってしまい、今さらながらの年始のご挨拶であるが、週イチのブログ更新のためお許しいただきたい。
 人形町今半のおせちに舌鼓を打った元日。7日の仕事始めが遠く感じられたが、すぐそこまで来てしまった。



 さて、2020年が明け、10年日記の最初のページに戻った。2014年からの記入済みの日記を見ると、「文章修行の時間を作る」「姿勢をよくする」などの目標が書かれていて、めでたく達成することができたようだ。自分としては、元旦に一年間の目標を立てることが、それなりに意味のある行為と考えているので、今年も何を目指すかをハッキリさせたい。



 実は、昨年、『片づけ脳』という本を読んだ。



 机の上も部屋の中もゴチャゴチャしているのに、片づけ脳度をチェックしたら、なぜか、私は「片づけ脳」に分類されていた。
「へ~、アタシって、結構イケるんじゃない?」
 本に「できるって」「やってごらん」と背中を押された気分である。「褒め育て」をしてもらった結果、職場のデスクも、自宅の部屋も、見事に片づけることができた。引っ越し以来23年間、カタログや資料、郵便物などが山積みとなっていた出窓も、ほれこの通り。



 我ながら単純すぎて笑いがこみ上げてくるが、今年はさらにグレードアップするつもりだ。
 それから、元日に、ブロ友のやいっちさんが、読書メーターで「2019年に読んだ本は151冊」とつぶやいていたのを見た。
「なんと151冊。すごいなぁ。私は何冊読んだんだろう」
 少ないことは予想していたが、たったの19冊とわかり、大きな衝撃を受けた。
「ひどい、こんなにちょっとしか読んでいなかったなんて!」
 今年のモチベーションを高めるためにも、自虐のつぶやきを投稿する。



 いつも、19時半前後に職場を出ていたのが悪かったのだろう。今年は18時半には退勤できるように気持ちを切り替え、月に2冊以上の本を読むつもりだ。
 毎日飲んでいるゼラチンのおかげで、粘膜が強くなり、ドライアイも治った。仕事始めはコンタクトレンズで気分を変えようっと。8月から続けているスクワットの成果でヒップアップしたし、腹筋・背筋も同時に鍛えている。体力も気力も充実させ、ノリノリで2020年を泳いでいきたい。
 当ブログにお越しの皆さま方にも、福の神がわんさとやってきますように。
 今年もよろしくお願いいたします。


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