これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

ロフトで写経セットを買う

2023年01月29日 21時04分41秒 | エッセイ
 武蔵野三十三観音巡りにハマっている。
 といっても、訪問したのはたったの3つ。これから頑張るのだ。
 最初に訪問したのは徒歩でも行かれる長命寺であった。



 秩父の霊場巡りでは、僧侶でもあった当時の同僚が案内してくれたが、今回は一人である。忘れ物のないように身支度しているつもりでも、あれがない、これがないと引き返してばかりいる。
「あっ、お数珠がない」
「輪袈裟(わげさ)を忘れた」
 意外に忘れないのが御朱印帳とお線香。



 最新の御朱印は練馬区の三宝寺だ。お寺ひとつにつき、お賽銭の小銭と、御朱印代の300円程度の出費だから、安上がりな趣味といえるだろう。



 このルートのお寺で困ったことがひとつある。
「あれえ、納経箱がないや」
 秩父のお寺だと、観音堂の前に写経を納める箱があった。無人なので、私のヘタクソな般若心経も気兼ねなく納めることができたのだが、武蔵野観音のお寺では、御朱印をいただくときに「これもお願いします」と手渡すことになっているらしい。
 しかも、今、私が書いている紙は写経用紙ではなく書き初め用紙を半分に切った、実にチープな紙切れである。「承ります」と言われて、何とも貧乏くさく汚い字のお経を差し出すのは、かなり恥ずかしかった。
「やっぱり、ちゃんとした用紙を買おう」
 たまたま、池袋に行く用事があり、ロフトで探すことにした。
「すみません、写経用紙はどこですか」
「ご案内します」
 蔦屋書店にはなかったが、ロフトにはあった。しかも4種類。どれにしようか迷ったが、お手本のないものがひとつだけあったので、それにした。実は、お手本がたくさんたまってしまい、捨てるに捨てられず難儀している。
 クラフト調のシンプルな用紙で、なかなかいい感じである。



 30枚ほど入ってるようだが、2300円はちと高い。でもまあ、手渡すことを想像すると、書き初め用紙の切れっぱしというわけにもいかず、「まあいいや」と割り切った。
「そうだ、筆もあるかな」
 スーパーで買った筆は、写経用ではないただの小筆である。そろそろダメになりそうなので、ついでに新しいものを探してみた。
 あったけど……あったけど。
 こちらには3300円の値札がついていた。



「うーん、どうしようかな。小筆だったらスーパーで500円以内だよ」
 弘法筆を選ばずとは言うものの、凡人は筆に左右される。「もしや、すごく上手に書ける筆かもしれない」との錯覚を起こし、清水の舞台から飛び降りる気持ちでレジに向かった。これで、次のお寺からはドヤ顔で納経できるかもしれない。
 レシートを見て正気に返った。
 観音巡りは安上がりな趣味じゃなかったっけ……。

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もうすぐ母の誕生日

2023年01月22日 15時53分32秒 | エッセイ
 明日は母の誕生日だ。
 たぶん、81歳になるのではないか。親の年齢は計算しないとわからない。
 70歳を過ぎたあたりから、バースデーカードを送り始めたが、そのうちお菓子などのプレゼントがメインになった。花より団子という母の性格上、お腹を満たすものの方が喜ばれる。ような気がする。
 最初はたい焼きやケーキなど、冷凍の菓子を送っていた。しかし、冷凍庫に入りきらないと言われ、常温のものに変えた。今では健康が気になり、菓子を減らした。どうせならと、食事の支度が楽になるレトルト食品や加工食品が主になっている。
 外せないのがドリップコーヒーや日持ちのするパンである。那須塩原の住宅地だと、スーパーまでは車で15分。都内のように、切らしたから歩いてその辺のコンビニまで、というわけにいかず、ストックがあると便利らしい。
 もっとも、すぐ近くに店舗があっても、土日の朝はもっぱらパジャマで過ごすため、ワタシは家から出られない……。
 今回は初めて焼き海苔を入れてみた。コロナ前、御年賀に海苔の詰め合わせを渡したとき、殊のほか感謝されたことを思い出す。新潟出身の父はおにぎりや海苔御飯が好きなので、出番が多いのかもしれない。
「さて、コンビニまで行ってくるか」
 スーパーでもらった段ボールにプレゼントとカードを詰め込み、封をしたところで出かけるつもりだった。宅配便を利用するには、店頭で伝票を書かなければと思い込んでいたが、そうでもないらしい。娘が便利なサービスを知っていた。
「伝票に書くことをネットで申請すれば、ちょっと安くなるし早いよ」
「そんな制度があるの?」



 スマホで手続きするだけで、店頭まで行かずにすむサービスもあるようだ。でも時間はあるし、手元に伝票がないだけなので、予定通りコンビニに行く。時刻は17時を回っていたが、暗闇というほどではなかった。冬至を過ぎ、日が延びてきたようだ。



 コンビニでは店頭にいたお姉さんが「伝票ですか」と聞いてきたので、「バーコードがあります」と答えた。表情はまったく変わらなかったが、多少の間があったところを見ると、意外に感じたのかもしれない。5秒後ぐらいにスキャナーを取り出し、バーコードを読み取ってもらった。続いて、レジスターから2次元コードのついた簡易伝票のようなものが出力され、袋に入れたあと、荷物に貼るよう求められた。キャッシュレスにしたから、ここでの支払いはなし。あっという間に終了した。
「ありがとうございましたぁ~」
 店を出たあと、急に心配になる。やけに簡単にできたけど、ちゃんと着くのかしら、と。
 このサービスには配達完了通知も含まれているそうだ。それが届くまで安心できない。
 つくづく「ワタシはアナクロだわぁ」と苦笑する。

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冬の朝はなぜ起きられないのか

2023年01月15日 22時04分26秒 | エッセイ
 スマホアプリのスリープマイスターを使って、毎日の睡眠を記録している。
 起床時にはアラームも鳴り、とても便利だ。
「はっ、4:50。起きなきゃ」
 11月までは寝起きがよく、さっと支度して家を出られたのだが、12月から寝坊が増えた。
「えっ、5:20? 急がなきゃ!」
 睡眠時間が短くなったわけでもないのに、なぜかスムーズに起きられない日が続いていた。考えてみたら、毎年、寒くなると布団から出られなくなる傾向がある。
 なぜだろう。気合いが足りない?
 それはあるかもしれないが、11月だって足りなかった。もっと別の理由なのではないか。
 スリープマイスターの「統計」ボタンを押したとき、すぐにヒントが見つかった。
「あれえ、睡眠周期のレベルが低いな。どうしたんだろう」



 五角形を無理やり小さな箱に押し込めて、上部をつぶしたようなレーダーチャートになっている。12月だけでなく1月も同様で、平均のグラフ自体も無残だ。



 そもそも睡眠周期とは何なのか。
「レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルのことなのね。そういえば最近、夢を見なくなったな。年とったせい?」
 しかし、6月のレーダーチャートはつぶれていない。



 どうやら年齢のせいではなさそうだ。
 では、2021年の12月はどうだったのか。記録をさかのぼり調べてみたら、2022年の12月とまったく同じく、睡眠周期がつぶれていた。
「これは気温が関係しているね。寒いと睡眠周期が悪化するってこと?」
 仮説を裏付けるサイトが見つかった。どうやら、体温が低いときは、消耗度の低いノンレム睡眠を増やして、体を守ろうとする働きがあるらしい。すると、レム睡眠が少なくなり、バランスが崩れてよい睡眠がとれず、朝起きられないという結果につながるわけだ。レム睡眠とノンレム睡眠は、片方だけに偏らないよう、つり合いのとれた周期がよいという。
「てことは、暖かくして眠ればいいってことね」
 湯たんぽなどを入れる手もあろうが、私は床に布団を敷いているので、床暖房をつけることにした。もっとも、つけっ放しにすると暑くて汗をかくから、最低限にしなければならない。寝る前の30分で布団を暖め、OFFにしてから眠る。夜中に一度、タイマーでONにして、30~40分ほどしたら切る設定にしてはどうか。



 ためしに、これで寝てみたら、翌朝すっきり起きられたので驚いた。
「おおっ、素晴らしい!」
 かくして、今日まで何とか寝坊せずに起床できるようになってきた。今朝のレーダーチャートはとりわけ満足できたので、見ていただきたい。



 でも、油断すると寝過ごす気がする。
 やっぱり気合いも必要かな。

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おせちメニューで漢字の勉強

2023年01月08日 21時58分41秒 | エッセイ
 年明けから一週間経つ。
 一日中ぐうたらして、本を読んだりお菓子を食べたりと、好き勝手に過ごしたお正月であった。体脂肪は増えたが、体重はほとんど変わっていない。幸い、そういう体質なのだ。
「今年のおせちはよかったな」
 このところ某企業のおせちを頼んでいたが、さすがに6年続くと飽きる。今年は某料亭に変えてみたら、家族全員が満足した。



 食べる前に一応写真を撮る。あとは家族一斉に箸を振りかぶり、「いただきまーす」の合図とともに目当ての料理をかっさらう。
「おいしい、おいしい」
「それナニ?」
「知らない。何かの魚じゃない?」
「そういえば、お品書きがあったよね」
「確認しよう」
 重箱のフタとともに、床に置かれたままのメニューを拾い上げる。
「むむむ……」
「なによ」
「漢字ばっかりで読めない……」



 ところどころに平仮名やカタカナもあるが、8割ぐらいは漢字だ。料理人は漢字検定の達人なのかもしれない。
「調べよう」
 スマホを片手に、漢字を検索する。
「河豚の龍皮巻き」は「ふぐのりゅうひまき」と読むらしい。
 しかし、食べてしまったので写真はなかった。
「鱈場蟹奉書巻き」は「たらばがにほうしょまき」で、カニの風味が味わえる逸品であった。



「渋皮栗の百合根金団」は「しぶかわぐりのゆりねきんとん」で、ビジュアルも甘さも文句なし。金箔で「寿」と書かれているのは御多福豆である。



 魚のつく漢字も多い。
「鰊昆布巻き」は「にしんこぶまき」。



「毛鹿鱶鰭姿煮」は「もうかふかひれすがたに」で、お重の中で一番の目玉であった。



「神饌の鮑磯焼き」は「しんせんのあわびいそやき」だ。
「ずわい蟹海鼠腸和え」には難儀した。どこで区切れているのかを考えると、やはり「ずわいがに」であろう。
 海鼠は「なまこ」と読むらしい。栄養価の高い美容食品と書かれていたので、今後は積極的にトライしてみたい。残念ながら食べてしまって画像はない。
 特に難解だったのが「出世芽慈姑」である。
「これは魚じゃないみたい」
「野菜かな」
 予想通り。「慈姑」は「くわい」と読むとわかった。



 今日は1月8日。松の内を過ぎたので、玄関の正月飾りを片づけた。
 晴れの日が続き、穏やかな年明けを迎えられたことに感謝をする。
 教養を高められる一年になるかも?

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2023 節目の年

2023年01月01日 21時26分36秒 | エッセイ
 新年あけましておめでとうございます。
 今年もよろしくお願いいたします。

 元日の朝は遅い。
 10時近くにおせちと雑煮を食べ、ひと段落してから、新しい日記を取り出した。



 去年の秋に購入した「10年日記」だ。



 2013年から書き始めたので、2022年で10年分を書き終えた。いわば、今年は節目の年。この先は、新しい日記帳に、未来の10年間を綴っていこう。
「扱いに気をつけないとね」
 去年まで活躍していた、プーさんの10年日記はひどい有様になっている。



 まず、背表紙が破れた。これは、収納している本棚から取り出すとき、背表紙の上部を何度も引っ張ったことによる。それから、紐の扱いも雑だったため、力の掛かった部分が細くなってしまった。
「あのときは、10年という時間がどれぐらいのものか、わかっていなかったんだよね」
 10年は長い。地味に毎日毎日、その日の出来事を記録していくと、自分の歴史が可視化される。普段は時の流れとともに消えてしまう小さなことでも、書き留めることで残る。あとから読み返すと、記憶力の補強にもなって助かるときがある。たとえば換気扇の掃除に関して、去年の日記では「重曹を入れたお湯につけておいたら汚れが簡単に落ちた」とか、7年前の「75度のお湯を使ったら、かなり楽だった」などという記録だ。おかげで、今年もさほど苦労せずに大掃除を終えることができた。
 元日になると、前年に読んだ本の冊数がわかる。すかさず日記に書いて経年比較をしている。2019年は19冊、2020年は22冊、2021年は19冊と振るわなかった。
「異動してからは通勤電車の中で読んでいるから、40冊ぐらいかな?」
 予想を立てて読書メーターにアクセスしたのだが、残念ながら36冊。目標に届かなかった。おそらく、3冊ほどリストにない本があったからではないか。特に椎名誠氏の本が多い。氏の出版済みの本に対して、リスト化されている本の割合が極端に低い気がする。読者層の年代がズレているのかもしれない。自分で登録すればよいのだが、そこまでする時間がなかった。今頃になって「やっておけば39冊だったのに!」と後悔している。
 2023年スタートの今日は、これといった事件もなく、いつものメンバーから届いた年賀状を見て、年賀状を書かない友人からのメールを読み、自分の挨拶をFacebookにアップし、勤務校のTwitterを更新して終わった。知り合いが3人、年末にコロナ陽性となり、自宅療養しながらそれぞれの家庭で新年を迎えている。平凡……いや、平和で穏やかな元日に感謝をすべきであろう。
 これから10年間使う日記帳に、初めてペンを入れる。
 特に変わったことはなかったけれど、何か面白いことを書きたい。

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