これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

凍てつく一週間

2018年01月28日 20時39分13秒 | エッセイ
 都心は48年ぶりの低温を記録し、連日、氷点下に凍えている。1月22日は、23cmの積雪を記録した。
「ううう~、寒い寒い」
「大雪警報が出ましたよ。早く帰らないと」
 職場にも動揺が広がり、電車が動いているうちに帰宅する動きが出てきた。
 私も早く帰りたかったが、仕事が終わらないと動けない。ようやく、18時前に職場を出たときには、こんな風景が広がっていた。



 電車はすでに遅延していて、家に着いたのが20時45分。長かった……。
 夕飯をすませて入浴し、暖かいパジャマで寝ようとしたのだが、様子がおかしい。
「あれ? 何か縮んでる」
 綿100%、中綿入りの真冬仕様のパジャマはMサイズである。



 だが、洗濯後に袖を通したら、SSサイズかキッズサイズくらいの大きさになっていた。
「マジ? この寒いときに、勘弁してよ」
 犯人はわかっている。夫だ。
 ヤツはとにかく乾燥機が好き。雪が降っているのをいいことに、「外に出せないから仕方ないよね~」と乾燥機使用不可のパジャマまで槽内にぶち込んだらしい。本人は親切のつもりだが、こちらにとってははた迷惑な話である。洗濯物なんぞ、吊るしておけばすむのだし、生乾きでも着れば乾く。
 まったく、何てことをしてくれたんだ!
 袖はかろうじて肘の5cm下まで、ズボンの裾はふくらはぎが隠れるほどの長さと化し、ツンツルテンで悲しかった。
「……ママ、申し訳ない」
 夫はしょんぼりしていたが、泣きたかったのはこちらだ。幸い、履く毛布という長い靴下で足は隠れ、モコモコベストでお腹もカバーできる。新しいパジャマを買うまでは、この状態でこらえるしかないだろう。
 運の悪いことに、26日の朝は床暖房がつかなかった。床下の水を熱で温めて、暖をとる仕組みになっているのに、その水が凍結したらしい。短い丈のズボンで寒かったこと、寒かったこと……。
 無理やり縮んだパジャマを着ていたら、ちょっとずつ伸びてきた。もしかして、完全じゃなくても元に戻る? 次に洗濯したときは、生地を伸ばしながら干してみよう。
 昨日は土曜日だから、仕事が休みだった。近所の神社でお参りをする。鳥居をくぐり、御手水に向かうと、蛇口をひねっても水が出てこない。
「うわっ、ここも凍結してる~」
 作法に反してしまうけれど、どうしようもない。体を清めないまま参拝した。明日は、ペットボトルに水でも入れてきましょうかねぇ。
 予報では2月1日にも、また雪が降りそうだとか……。
 いやあ、寒気団のみなさん、そろそろ戻られた方がいいですよ。
 さあ、さあ、お帰りはあちら~!!


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能登紀行6 弁当忘れても……

2018年01月25日 20時35分50秒 | エッセイ
 能登半島で一番見たかったのが、白米千枚田(しろよねせんまいだ)である。


 (ホームページより)
 場所はこの辺り。



 ずいぶん、北上してきたのだと実感する。
 道中、何軒もの輪島の民家を見てきたが、どれもこれも似通っていたのが印象的だった。
「そうか、屋根が同じなんだ」



 どの家も真っ黒な瓦を使っているから、そっくりに見えるのだろう。タクシーの運転手が、こんな説明をしてくれた。
「輪島の瓦は、雪が融けやすい素材を使っています。さらに、輪島塗の釉薬を塗って滑りやすくして、雪が積もらない工夫をしているんですよ」
「それで黒いんですね」
「あと、ところどころに突起があるでしょ。あれで落雪を防いでいます。大ケガしますから」
「なるほど」
 その地域ならではの話が聞けて嬉しい。だが、まもなく、フロントガラスには大きな雨粒が落ちてきた。
「雨降ってきましたよ」
「えー、巌門ではよく晴れていたのに」
「能登の天気は変わりやすくて、雨が多いんです。よく、弁当忘れても傘忘れるなと言いますよ」
 運転手の言葉通り、それからはずっと雨だった。「もしや、千枚田に着くころにはやむのでは」と期待していたのに、世の中そんなに甘くない。傘は持っている。しかし、車から下りたら、風も強いことがわかった。
 扇風機を強にしたような海風が、「ビュビューッ」と音を立てて、ひ弱な東京モンの体を煽る。グラッときたところに雨粒が「バババババ」と顔を濡らす。なんてこったい。傘なんぞ、あってもなくても同じじゃないか。
 それでも、千枚田が見えたときは「あっ」と叫んでいた。



 季節が悪かったのだろう。田は、ホームページでは見られなかった枯れ色に変わっていて、ちょっと残念だ。それで、この時期にはライトアップをするのかもしれない。「あぜのきらめき」というフレーズで、美しいと好評だが、新幹線は16時台。かすりもしませんなぁ……。
棚田1枚あたりの面積は約18平米で、ビジネスホテルのシングルルーム以下である。この小さな水田が1004枚あるそうだ。日本海をバックに、幾重にも繰り返されるあぜの輪郭の見事なことといったら!
 気分が一気に、5階まで駆け上がっていった。日本で初めて世界農業遺産に認定された理由もわかる。稲を育てる苦労ややりがい、収穫の喜びなどが、この棚田に凝縮されているかのようだ。風や雨に邪魔されてながら、何枚も写真を撮った。







 千枚田では、平成30年度のオーナー会員を募集しているそうだ。年会費は、マイ田んぼ1枚を含めて2万円。稲作体験を通じて、地元農家の方との交流もあるし、作業に参加できなくても管理団体が田んぼの耕作はしてくれる。特典は収穫米10kgに地元特産品等。加えて、マイ田んぼにはオーナー名の氷柱を建立するのだとか。
 うーん、「笹木砂希」という名の田んぼも悪くないな……。
 ちなみに、特別名誉会員は、安倍昭恵氏、小泉純一郎氏、小泉進次郎氏、さいとう・たかを氏、ちばてつや氏、永井豪氏など10名である。現金なワタシは、にわかに親近感をおぼえてしまった。
 千枚田での収穫米でご飯を炊いたら、魚沼産のコシヒカリよりずっと美味しく感じることだろう。
「弁当忘れても傘忘れるな」ではなく、「傘忘れても弁当忘れるな」となるに違いない。


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能登紀行5 ヤセる輪島

2018年01月21日 20時58分07秒 | エッセイ
 和倉温泉から輪島に向かう。
 便利で気楽な定額タクシーを利用した。まずは巌門(がんもん)。





 内海の七尾湾と違い、ここは外海の日本海に面している。波が荒く風も強い。岩に穴が開くほどの水勢があるというわけだ。



「ほー」
 自然の作り出す造形美は、全国いたるところにある。どれも力強く、生きるエネルギーをもらえる気がする。
 このときは空も青く、観光日和だった。私たちは、巌門をくぐって千畳敷から階段を上り、車に戻った。
 ヤセの断崖にも寄るようリクエストする。ここは、松本清張原作の映画『ゼロの焦点』のロケ地になった場所だ。



 タクシーの運転手が申し訳なさそうにつぶやく。
「でもねえ、何年か前に地震が起きて足場が悪くなったものだから、今は断崖の下を見下ろす場所に柵ができて、立入禁止なんですよ。絶壁を見て、ヤセる思いがすることからこの名前がつきましたが、迫力がなくなりましたねぇ」
 ……たしかに、崖の下が見えなければ、ただの展望台だ。海は青く、美しいけれど、それだけだった。





 私たちの影が3つ並び、クスッと笑える写真が撮れた。冬の能登半島で、晴れる日は珍しいそうだ。景色はよかったし、思い出の写真が撮れたという点では、立ち寄る価値はあった。



「お客さん、本当に輪島の朝市には行かなくていいんですか?」
「はい、いいです」
「みなさん、必ず行かれるんですけどねぇ」
 運転手が不思議そうな顔をしている。私は元々、市場には興味がない。活気があるといえば聞こえはいいが、うるさいのは苦手だ。生臭いにおいも勘弁してもらいたい。刺身や寿司は食べ飽きた。特にカニはもう見たくない。(関連記事「カニの名は」はこちらから)
「輪島塗は買われますか?」
「はい」
「じゃあ、品質のよい店にご案内しましょう」
 私は輪島塗の汁椀が欲しかった。ちょっと見ていただきたいのだが、30年ほど前に購入した、わが家の汁椀はひどい有様である。



 スーパーで、1個300円ほどで売られた安物ということを考えると、これでも長持ちしているのかもしれない。
 今回、せっかく輪島に行くのだから、本格的なものを手に入れようと思ったのだが……。
「ううっ、高ッ」
 値段を見てビックリした。汁椀ひとつに1万円以上の値札がついている。3個買ったら3万円以上ではないか。これは勇気のいる選択だ。
「ねえ、お母さん。どうせなら、金色の絵がついてるお椀にしようよ」
 娘は、自分の懐が痛むわけではないから、買う気満々だ。どうしたものかと迷い、店員さんに尋ねてみた。
「あのう、輪島塗はハゲることがありますか」
「いえ、ありません」
「お椀の金箔はどうですか」
「沈金(ちんきん)は使い方によって剥がれる可能性もありますが、蒔絵(まきえ)なら剥がれません」
「ふーん」
 沈金と蒔絵とは、絵付け技法の違いである。ならば蒔絵をと、目をキョロキョロ動かし探してみた。見つけたことは見つけたが、こちらは1個5万5千円を超えており、「ギャッ」と叫びそうになる。3個だと16万を超える。絶対無理!
 仕方ない、沈金にしよう。3万円なら何とかなる。
 ……おっと、これが勇気?
 てか、断崖よりもずっと、ヤセる思いがした。
「ありがとうございました~」
 買い物が終わるとお昼の時間だ。運転手が、朝市通りに車を走らせる。
「どこ行きます? あ、あそこにカニ料理って書いてありますよ」
「いいえ、結構です!」
 3人声を揃えて拒否をする。結局、中華料理店で餃子や野菜炒め定食なんぞをいただき、満足していたものだから、ますます変な客と思われたような気がした。別にいいけどさ~。
 後日談であるが、この汁椀は、思い切って買って正解だった。



 使ってからわかったことだけれど、輪島塗のお椀で飲むと、みそ汁が美味しく感じる。作り方を変えたわけでもないのに。夫も「輪島塗は美味いなぁ」と同じことを言っていた。漆は生きていると説明書に書いてある理由が、ちょっぴり理解できた。ぜひぜひ長持ちさせたい。
「使ったら、なるべく早く洗って乾かしてくださいだって」
 ずぼらな娘まで、お椀の扱いに気を配っている。高価で質のよいものと実感し、大事にするつもりなのだろう。
 ここで一句。
 使い捨て 対極をなす 輪島塗


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能登紀行4 和倉温泉ひきこもり

2018年01月18日 21時52分50秒 | エッセイ
 金沢駅から特急で小1時間。和倉温泉には雪のかけらも見当たらなかった。
 海辺ということもあり、金沢とは少々気候が違うようだ。
 宿泊先は、加賀屋別邸 松乃碧。



 明らかに予算オーバーだが、年老いた夫が「一度泊まってみたい」とせがむので奮発した。近くには加賀屋本館がそびえ立ち、メチャクチャ大きな売店に居酒屋、ゲーム、カラオケなどのエンタメ施設を構えて、団体客や家族連れをとりこにしているらしい。一方、松乃碧に宴会場はない。熟年夫婦向けのため、団体客もとらず、中学生未満の子どもは宿泊できないから、静寂と落ち着きに支配された空間だった。
「こちらには、前田家ゆかりのお茶室がございますが、お茶の体験はいかがですか?」
「ええ、ぜひ」
 お茶室は30分刻みの予約制となっていて、本格的な茶道の体験ができる。



 江戸時代末期の建物の一部を移築したというので、歴史の重みを感じさせる渋~い佇まいであった。何しろ窓ガラスがない。江戸時代なのだから当たり前か。でも、障子1枚でも、お湯がぐらぐら沸いているせいか、寒さは感じなかった。かえって、夏場の方が厳しいという。



 室内には、和服が板についたお茶の先生がいらした。



 私は茶道の作法をよく知らない。他のお客さんがいないのをいいことに、飲み方について尋ねてみた。
「時計回りに2回、回してから召し上がってください」
「飲んだあとはどうするんですか?」
「口をつけた部分を指でぬぐって、時計回りとは逆に2回、回してください」
「へーえ」
 まろやかで、甘味すら感じさせるお茶だった。本格的なお茶をいただき、大満足して外に出る。



「このお庭は、松林図屏風をイメージしています。画家の長谷川等伯は七尾出身なんです」
「なるほど」
 たしかに、松林図だ。そして、正面玄関には、昭和天皇お手植えの松まである。



 何だか、これだけで観光意欲が満たされてしまい、あとは部屋でコーヒーを飲みながらのんびりすることにした。
 ロッキングチェアに揺られるもよし。



 L字型のソファーでくつろぐもよし。



 露天風呂もついている。



 バルコニーからは、能登島大橋が見えた。



「さーて、東野圭吾の『マスカレード・ナイト』を読むか」



 すっかりくつろぎ、ほとんど部屋から出なかった。夕食とお風呂に行っただけで、ラウンジにもバーにも足が向かない。本を読み終えたとき、「なんて幸せなのかしら」と余韻に浸り、ベッドにもぐり込んだ。
 ぐっすり、スヤスヤ。
 翌朝、夜明けの能登島大橋は、また違った顔を見せてくれる。



 穏やかな七尾湾にはイルカが住んでいるそうだ。運がよければ見られると言われたが、探しに行かなかったので見ていない。代わりに、鴨の親子が優雅にスイスイと列をなして泳いでいた。ここは平和なのだ。
 朝食後の能登島大橋が、一番きれいに見えた。



 右側の建物から煙が上っている。モクモクした形が綿菓子のようだ。
 条件反射か、今でも『マスカレード・ナイト』の表紙を見ると、非日常の静かな環境で、読書に専念できた幸せが蘇ってくる。
 同時に、能登島大橋とモクモク煙も浮かんでくるのが楽しい。


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能登紀行3 雪の兼六園

2018年01月14日 20時12分48秒 | エッセイ
 今、北陸は大雪に見舞われているようだ。1月13日のニュースでは、金沢でも積雪43cmと報道されていた。この記事と写真は、1月4~5日、積雪12cmの金沢を舞台にしている。現在はもっと積もっていると思われるが、時間差があることをご了承いただきたい。
 金沢には、高校時代の友人がいる。転勤族の男性と結婚したため、岡山、札幌、広島、福岡、沖縄といった地方都市を回ったあと、金沢に数年新居を構えているが、そろそろ次の転勤が控えているという。修学旅行の引率で沖縄に行ったとき、ちょうど彼女が住んでいたため、自由時間を利用して一緒にランチしたことがあった。
 今回も、都合がつけば会いたいとメールを送ったら、オーケーの返事をもらうことができた。
「どこに泊まるの?」
「兼六園の近くの金沢白鳥路ホテル山楽だよ」
「えー、うちのすぐ近くじゃない!」
「ホント? じゃあ、ホテルのラウンジでどう?」
 という具合に、彼女との約束は、いつもとんとん拍子に進む。次の転勤でも、会えるような気がするのは嬉しい。このホテルを選んだ理由は温泉つきだったからだ。部屋も広いし、レトロな雰囲気が好みだったりする。まさか、友人の家に近いとは思わなかった。



 ところで、娘と夫は部屋に残しておくべきか?
 友人は、結婚式にも来てくれたので、挨拶くらいはすべきであろう。昼寝中の夫を起こし、娘のスマホをやめさせてロビーに向かった。
「飽きたら部屋に帰ってもいいから。コーヒーが飲めるよ」
「うん、わかった」
「コーヒー、コーヒー」
 ひとまず、飲み食いできるとわかれば、2人は抵抗せずについてくる。
 このホテルのブレンドコーヒーには金箔が入っていた。オッシャレ~!



 カップの後ろにはクッキーもある。早々に手を伸ばし、バリバリいただいた。
 娘は、友人に会うのが初めてということもあり、興味を持ったらしい。きちんと挨拶をして、金沢についてあれこれ質問していた。
「雪吊りって紐なんですね。あれに何かかぶせるんですか?」
「ううん、紐で枝を吊っているの。北陸の雪は重いから、支えがないとつぶれちゃうのよ」
「なるほど、そういうことかぁ」
 共通の友人がいることも、会話の助けになる。
「毎年、鴻巣花火大会では○○さんと△△さんに会うんですよね。知ってますか?」
「○○さんは知らないけど、△△さんは知ってる~」
 なんだかんだで話題が尽きぬまま、夕食の時間になってしまった。
「じゃあ、そろそろ失礼します」
「久しぶりに会えてよかった」
「お母さん、みんなで写真撮ろうよ!」
 娘の自撮りに大人3人が加わり、四苦八苦……。見かねたホテルマンがササッと駆けつけ、シャッターを押してくれた。
 ああ、楽しかったなぁ。
 翌日は兼六園に向かった。入口を探してウロウロしていたら、「お困りですか」と声を掛けられた。どうやら、地元の女性らしい。兼六園に行きたいと伝えたところ、「近くまでご案内しましょう」と心強い対応をしてくれた。総じて、金沢市民は親切な気がする。外国人観光客も多い都市だから、おもてなしの作法が身についているのだろうか。
 兼六園のお隣には金沢城公園がある。



 今日はスルーするけれど、桜の時期には行きたい場所だ。
 兼六園の入口はいくつもあるが、近場の桂坂口から入る。



 アップダウンに備えて、坂道にはむしろを引く気づかいがありがたい。



「うわ、真っ白だぁ」



 やはり、ここも銀世界になっていた。



 霞ヶ池も凍結している。



 でも、観光客は多くて、フォトスポットでは順番待ちをすることになる。人のことは言えないけれど、みんな、ようやるわ~と苦笑した。
 雪吊りが視界に入った。



 昨日、友人に教わった通り、枝を持ち上げている様子が見えた。
 池の周辺を歩いていたら、職員が汗をかきかき雪かきをしている。
 凍結した道も、歩きやすくなってありがたい。
 もっと池の氷が分厚くなったら、スケートリンクになるんじゃないだろうか……。









 金沢白鳥路ホテル山楽のチェックアウトは12時だ。
 たっぷり雪の兼六園を堪能し、部屋に戻っても時間にゆとりがあった。次回、金沢に来る機会があったら、またこのホテルにしようと思う。朝食も美味しかったし、温泉は気持ちよかったし、湯上りには無料のアイスが食べられるし、大浴場のシャンプー・リンス・ボディソープはミキモトである。女心を上手くつかまれた気がした。
「さて、金沢駅に戻って、お土産買いましょうか」
 ホテルでいただいた、北鉄バスの1日券を持ってバス停に向かう。
 さてさて、次は特急に乗って和倉温泉に行くよ~!


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能登紀行2 カニの名は

2018年01月11日 20時25分33秒 | エッセイ
 旅行の楽しみは、何といってもグルメである。
「のどぐろ、のどぐろ~!」
 大学3年の娘は、のどぐろ目当てで北陸を選んだ。
 寿司屋に入り、まずは、のどぐろ以外のにぎりをいただく。




 最後に、のどぐろの手巻きを食べて、「うまい!」を連発していた。



 和倉の宿でも、のどぐろの棚板焼きがお目見えする。



 やわらかくて甘味があり、適度に脂がのっていて、とても美味しかった。
 せっかくだから、関東では見かけない能登牛もいただきたいと、鉄板焼きの店に入る。




 これはなかなか。でも、もうちょっと、脂が乗っていた方がいいかな。
 カニも外せない。
 しかし、カニは種類が多い。北陸といえばカニ、という言葉もあるようで、いわゆるブランドガニがいくつもある。ネットを見ると、越前ガニ、加能(かのう)ガニ、間人(たいざ)ガニなどがヒットし、どこで何を食べるか迷った。実は、陸揚げ地が異なるだけで、どれも同じ本ズワイガニとも書いてあり、「名前つけすぎじゃね?」と首を傾げる。
「夜は寒いから、カニはホテルのレストランで食べようよ」
 夫が食べ歩きを拒否した。それも一理ある。ならば、ホテルのメニューからカニ料理をチョイスしようではないか。
「えーと、ズワイガニ会席と、香箱(こうばこ)ガニ会席っていうのがあるけど」
「ああ、香箱ガニか。あれは量が少ないんだよな」
 金沢では、メスのズワイガニを香箱ガニと呼ぶそうだ。あらたなカニの出現に、私はさらに混乱した。
 夫は以前に食べたことがあるらしく、あまりいい顔をしなかった。きっと、もの足りなかったのだろう。だが、メニューには「サイズが小さいため、足の身も少ないですが、 味はズワイガニよりも濃厚で甘みがたっぷりあります。ぜひご賞味くださいませ」とのセールストークもあり、ますます迷った。
 こういうときは、直接電話で聞くのがいいだろう。ホテルに問い合わせると、一般的なカニとしてはズワイガニ会席がよいのでは、という答えであった。夫が「もっと食べたいよう」と騒いでもいけないから、素直にズワイガニ会席を予約した。
 前菜「ズワイガニ」から驚かされる。



 生きているカニは1匹、2匹と数えるそうだが、食用のカニは1杯、2杯と数えるらしい。
 おそらく、前菜では、1人分がまるまる1杯あったと思われる。「お父さん、もう食べられないからあげるよ」と娘が根を上げていた。
 お腹が苦しいというより、カニをほじくるのに疲れたというのが本音であろう。私だって、40分間カニと格闘し、手先はカニの身だらけになるし、指はふやけるしで、すっかり消耗した。
 その後は、食べやすいメニューが続くのだが……。




「焼きガニ」で、またしてもホジホジに励むことになる。



 もちろん、美味かった。しかし、6時開始のディナーが終了したのは8時半だ。お腹はパンパンに膨れ上がり、苦しくてなかなかお風呂に入れなかった。あとから知ったことだが、紅ズワイガニという種類のカニもいるという。本ズワイガニとは別の種類で、値段が安いというから、私たちが食べたのはこちらだったのかもしれない。今となってはどうでもいいけれど。
 一年分のカニを食べた気がする。
 2018年は始まったばかりだけれど、今年はもうカニなしでいいや~。


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能登紀行1 金沢に向かない靴

2018年01月07日 23時04分12秒 | エッセイ
 年明けの家族旅行は石川県にした。
「家を出るのは6時20分だよ。大宮を7時46分に発車する北陸新幹線に乗るから、余裕を持たないと」
 家族旅行の行き先や段取りを決めるのは私だ。夫と娘にも、前もって行程表を渡しておけば、行動がスムーズになる。そのはずだった。
「さあ、出かけよう。忘れ物ない?」
「あ、俺トイレに行ってなかった」
「じゃあ、ゆっくり歩いているから、鍵閉めてきてよ」
「うん、わかった」
 夫は一応、高齢者である。しかし、歩くスピードは速い。すぐに追いつくことを期待して家を出たのに、振り返ったところで一向に姿が見えない。
「お父さん、大丈夫かなぁ」
「なにやってんだろう」
 ちょっと心配になった。認知症の初期症状として、家まで帰る道がわからなくなるというものがある。まさか、駅までの道を忘れたのではないだろうか。
「あ、来た来た」
 やきもきしていたら、角を曲がってくる夫のジャンパーが目に入った。よかった、駅までは来られそうだ。
「どうしたの?」
「いや、靴ひもに時間がかかっちゃって」
 観光タクシーを予約したとき、北陸は雪や雨が多いから防水の靴がよいと聞いた。そこで、夫は新しい靴を買ったのだが、よりによって着脱のしづらいデザインを選んでいた。



 便利なサイドファスナーもついていない。手先の不器用な者に限って、手間のかかる靴を買うとは不思議だ。
 かがやきに乗れば、大宮から金沢まで125分で着く。早起きして疲れたのか、夫はずっと居眠りをしていた。
「ご乗車ありがとうございました。金沢、金沢、終点です」



 金沢在住の友人から、最近はほとんど積もらないと聞いていたのに、今年は雪が多いそうだ。しかも、前日の3日夜から降り始め、私たちが到着した4日は12cmを記録した。何という不運!
「雨女返上で、雪女を名乗ろうか」
「いいね~」
 私も娘も天気に恵まれない方だ。去年の3月は大雪の富士急ハイランドに行き、スケートをする以外になかった。それに比べたら、足場が悪いというだけで選択肢はいくつもあるのだから、どうってことはない。
「最初に、武家屋敷跡 野村家という場所に行ってみよう」
 2人を引き連れてバスを降りたが、私はウルトラ方向音痴である。たちまち道に迷い、娘のスマホに助けを求めた。



「何で自分のを使わないのよ」
「だって、バッテリーが減るじゃん」
「ケッ」
 イヤな顔をしながらも、娘がスマホを見ながら道案内をしてくれた。細い道は雪に埋もれているものの、主要道は水で雪を融かす設備が整っていて感心する。



「着いたよ」
「おお~」



 この屋敷は、11代に渡り加賀藩の重臣を歴任した野村家が拝領したものだという。武家らしく、最初に視界に飛びこんでくるのは鎧兜だ。



 禄高千石から千二百石、という基準はよくわからないが、かなりの金持ちだったのだろう。室内も庭園も美しい。











 茶室もあり、抹茶をいただいて休憩することにした。



 私用の器が一番キレイだと、口端を上げてニンマリする。小さなことでも、幸せに結びつけるのは特技かもしれない。
 刀の展示もある。よく手入れされており、ドヤ顔しているようにピカピカと輝いていた。



「さて、お昼を食べに行こう」
「うん」
 私と娘は、くるぶしまでのショートブーツをスポッと履くだけだが、夫は座り込み、慣れない手つきでひもと格闘している。道理で、家を出るとき、なかなか追いついてこられなかったわけだ。
 ランチ後は、ひがし茶屋街に向かう。
「あ、志摩ってところだ。入ってみよう」
 この界隈には、お茶屋文化なるものが残っており、志摩は1820年の建物がそのまま保存されている。国指定重要文化財なのだから一見の価値はあるだろう。
 また靴を脱ぐ。順路に従って歩くと、武家とは正反対の佇まいに驚かされる。







 特に素敵だったのが、小道具の数々だ。
 櫛やかんざし。



 キセルに小判。「金だ、金だ」などと喜びの声を上げて見ていたのは、私たちだけかもしれない。



 九谷焼にも心を奪われる。



 金箔の輝きが素敵。



 じっくり堪能したあとは、靴を履いて外に出るのだが……。
「ちょっと待って、うーんうーん」
 また夫が、考え考え靴ひもを結び始めた。このあと、少し奥にある「懐華樓(かいかろう)」という茶屋にも行きたかった。でも、苦労して履いた靴をまた脱がせるのも酷だし、やめておこう。
「あとはお土産を見て、早めにホテルに入ろうか」
「もう靴は脱がない? ああよかった」
 夫は安心したようだった。
 旅行から帰ったときにわかったことだが、トイレの電気がつけっ放しだった。どうやら、私と娘が先に出かけたことに焦った夫が、消し忘れたらしい。靴ひもも言うことを聞かず、「別の靴にすればよかった」と思ったのではないか。
 旅行はまだ始まったばかり。
 早く慣れるしかないのだぞ。


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2018 「いろは」でつづるお正月

2018年01月03日 21時23分47秒 | エッセイ
 あけましておめでとうございます。
 いよいよ、2018年のスタートです。友人がお正月番組に出演したり、近所の新春福引きで商品券が当たったりと、いろいろなことがありましたが、「い」「ろ」「は」に絞ってご報告いたします。

「い」
 従兄弟から年賀状をもらった。同い年なのだが、今まで一度もやりとりがなく、受け取ったのはおそらく、この歳にして初めてだろう。
「ママ、この年賀状、俺のじゃないよ」
「え? 私だって知らないよ、こんな人」
 その年賀状には1組の夫婦が写っていた。女性ばかりを見ていたから気づかなかっただけで、名前を見たら、たしかに従兄弟だった。すかさず、大学3年の娘から冷たいツッコミが入る。
「普通、自分の従兄弟のこと忘れる?」
「ふーんだ」
 文面には「結婚して初めてのお正月を迎えました」とある。そうか、ずっと独身だった従兄弟がめでたく結婚したので、その報告というわけか。新年会で母や姉にそんな話題を振ったら、母が詳しい事情を教えてくれた。
「そうなのよ、やっと結婚できたんだって」
「奥さん、若いの?」
「ううん、2つ上なんだって。50歳と52歳ね」
「写真からすると、挙式はバリ島?」
「ああ、そんなこと言ってたかな」
 10年ほど前には、渡辺満里奈似の可愛い彼女と別れたと聞いたけれど、写真の2人が弾けそうな表情で笑っていたところを見ると、今が一番幸せなのだろう。新年早々、朗報である。

「ろ」
 今年は、人形町今半のおせちに加えて、ローストビーフを購入した。



 去年、おせちに入っていたローストビーフを食べたら、ものすごく美味しかったので、両親や姉妹たちにも食べさせたいと思ったのだ。おせちには、モモが3枚入っているから、私の親族用に10枚入りを1箱、夫の親族用にも1箱購入した。ローストビーフの長さは20cmほど。2つ折りにして皿に載せた。



 これに、彩りのクレソンを添えて配ったら、やわらかくて美味しいと好評だった。ふっふっふ。
 夫の親族用にはモモが5枚、ロースが5枚入っているセットにしたのだが、これが裏目に出た。
「うわ、ロースは脂ギトギト。ちょっと無理だな」
 モモよりもやわらかいけれど、脂身の多いロースはウケなかった。娘も「これはいらない」とそっぽを向く。私と夫だけで「ウマ~い」と平らげたものの、美味しいものを共有できないと、ちょっと寂しい。
 来年はモモだけにしようかな……。
 いやいや、あえてロースも入れ、夫と山分けしちゃう?!

「は」
 初夢は、いつ見る夢のことか。私は、1月2日の夜から3日の朝にかけて見る夢と教わったが、元旦の夜から2日の朝にかけて見る夢という説もあるらしい。
 どっちにしても、おぼえていない。
 ドライアイ対策のため、目まで隠れるマスクをつけるようにしたら、途中で目覚めることなく熟睡できる日が増えた。おそらく、光を完全に遮断することで、眠りが深くなったのだろう。それは歓迎すべきことなのだけれど、熟睡し過ぎて夢をおぼえていない。はてさて、どんな初夢を見たのやら。
「なんか、一説によると、大晦日から元旦にかけて見た夢を、初夢と呼ぶ場合もあるらしいよ」
 娘が物知り顔で話しかけてきた。
 大晦日の夢だけは、よくおぼえている。なぜか、発達障害を抱えている勤務校の男子生徒が出てきたのだ。お行儀よくしているはずもなく、学校の中と同じように、私の頭の中で大声を出したり、走り回ったりして賑やかだった。
「ちょっと静かにしなさいよ」とたしなめても、「ヤダー」という返事。憎らしくはないのだが、落ち着かせるのはなかなか大変だ。怖い顔をしてみせたり、なだめたりと、悪戦苦闘しているところで目が覚めた。
 娘の話はまだ終わっていない。
「元旦でも2日でも、目が覚めたときにおぼえている夢が初夢なんだって」
「えっ、そんな~」
 てことは、あれが初夢? ひどくない?
 でもまあ、初夢なしよりはマシかしら。どんな一年になることやら。

 読者のみなさま、2018年の幕開けはいかがですか?
 新しい年が、みなさまにとってよき年となることをお祈りします。
 今年もよろしくお願いいたします。


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コメント (8)
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