これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

中高生はインスタがお好き

2024年09月15日 08時22分17秒 | エッセイ
 高校に勤める身としては、そろそろ募集対策活動に本腰を入れなければならない。
 10月から12月は学校説明会のシーズン。他校での合同説明会や相談会に参加するのはもちろん、中学校まで出前授業に教員を派遣したり、校内で入試説明会を開催したりで、休む暇がない。
 露出を増やすために始めたTwitterは3年目に突入した。最初の頃は、生徒に「Twitter始めました。フォローしてね」と呼び掛けても効果がなかった。
「えっ、フォロワー12だって。人気なーい」
 そんなこんなで、情けないていたらくだったが、執拗に投稿を繰り返した結果、ジリジリ増えて今では400近い数になっている。途中でXに変わったときは戸惑ったけれど、個別相談の際に中学生の保護者から「X見てますよ」と声を掛けてもらえることも多くウレシイ。



 だが、作戦的にはまだまだのようだ。先日、若手の教員から、ちょっとズレていませんか的なことを指摘された。
「笹木先生、中学生や高校生って、Xよりもインスタみたいですよ。私のクラスの生徒もXはやってないって言っていました。中学生に見てもらうなら、インスタも始めた方がいいんじゃないですか」
「えっ、そうなの? インスタかぁ。やったことないなぁ」
「LINEも使わずに、インスタのDMで連絡を取り合うと言ってました」
「マジ?」
「でも保護者はインスタよりもXが多いみたいです」
「なるほど」
 衝撃を受け、立ち止まって考える。時代が変わったことに気づいていなかった。たしかに、Xのフォロワーはほとんどが大人だ。都や区の議員、学習塾、出版社、保護者、卒業生、地域の住民、教職員が主な顔ぶれであり、言われた通りではないか。となると、インスタに手を出さないことは考えられない。元々発信することは好きで、プライベートでもブログ3つ、Facebook、読書メーター、mixiと張り切る毎日である。これに加えて、仕事としてのXもあるが、キャパはまだまだイケる。
「よしっ、インスタも始めちゃお~!」
 右手をグーにして、勢いよく天に突き上げた。



 善は急げで、早速アカウントを作成する。やり方をネットで確認しながら進め、プロフィール画像には校章を使った。Xと違って文字数に制限はないらしい。複数の写真を投稿するには向きを揃えなければいけないそうだ。ならば撮影するところから意識しなくては。
 苦労しながら1件目の投稿をして、無事にアップされたときは感動した。
「ううう、できた! よし、次もやってみよう」
 ちまちまと部活動の写真を上げて、5件ほどたまったところで生徒に向けて一斉に連絡をする。
「インスタ始めました。フォローしてくれるとうれしいでーす!」
 投稿ボタンを押して5秒後ぐらいだったろうか。
 次々と「○○があなたをフォローしました」「△△があなたの投稿にいいねしました」の通知画面が表示されるではないか。
「うわ、何これ何これ」
通知は目まぐるしく入れ替わる。チャカチャカ、チャカチャカと素早い動きで出ては消え出ては消えを繰り返した。画面を追っていたら酔いそうだ。何年何組の誰かはわからないけれど、このタイミングなら、うちの生徒に間違いない。
 若手教員が言っていたことは本当だった。なにしろ、1日でフォロワーが100を超えたのだから。Xでは12から100に増えるまで9カ月もかかったというのに、何たる違いだろう。
「いやあ、すごいな……」
 こんなに反応があるなら、もっと早く始めればよかった。全校生徒が500人であることを考えると、たったの一日で、5人に1人がフォローしてくれたというわけだ。
 すっかり気をよくして、背筋を伸ばし写真撮影に励む。
「フォロワー1000を目指すぞ!」
 もう一度、右手の拳を天に向かって突き上げた。
 無謀とは思うけど、夢は大きく持たなきゃね!

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シャインマスカットは秋の季語

2024年09月08日 11時12分49秒 | エッセイ
 職場で突出したお祭り男の畑中さんが、ニンマリしながら近寄ってきた。
「笹木さん、これどう? これどう?」
 彼の手には日帰りバスツアーのチラシがあり、「富士山5合目とシャインマスカット食べ放題!」との文字が見える。
「みんなで行こうと思って20人分予約しちゃった。行くのは来月だけど」
 今までにも彼のお出かけプランを提示されたことがあるが、休みの日は出かけるのが面倒でパスしてきた。しかし、大好きな富士山とシャインマスカットとあれば心が揺らぐ。家に帰って娘に「行きたい?」と聞くと、「いいよ!」との返事だったので、2人で参加を決めた。
 この夏は、おそらくシャインマスカットを食べていない。もっとも、カットケーキに入っていた一粒ぐらいは食べたかもしれない。実は、夫に平日の食事の支度を任せていたら、食材の値段を見ずに買ってしまうので、「ちゃんと値札を見るように」と注意したこともあり、高価なフルーツを買いづらくなった。スーパーに行くたび、パステルグリーンのたわわな葡萄に目を奪われ、自分で自分の首を絞める結果になったことを後悔した。だが、これはチャンスだ。たくさん食べてこよう。

 マスカットといえばもうひとつ。
 少し前に見た「ビーズ展」をアップしたら、ブロ友のヤッギーさんからお手製のビーズネックレスをいただいた。



 細かい作業の繰り返しの末に完成したものと思われ、「おおっ」と感嘆の声が出た。
 未使用のキットと作り方の本も添えられており、俄然やる気がわいてくる。
 箱の中には、ビーズに加えて、フェルトで作るケーキのキットもたくさん入っていた。たとえば、イチゴのロールケーキとストラップだとこんなにラブリーな仕上がりとなる。



「うわぁ、これはやりがいがありそう。どれから作ろうかな」
 選んでいるうちにマスカットのケーキが登場した。



 食べるわけではないので、シャインマスカットかどうかは関係ない。ちょうど今の時期にピッタリな作品になるだろう。ありがたいことに、キットのパーツは裁断ずみのようだ。



 これをチクチクと縫い合わせ、綿を入れて完成するのであろう。
 楽しみ~。
 ヤッギーさん、ありがとうございました!
 
 葡萄やマスカットは秋の季語として、しばしば俳句に用いられるようだ。では、シャインマスカットは季語として使われるのだろうか。俳句の文字数の半分を占めることを考えると、さすがに難しいのではと予想したのだが、検索してみたらヒットした。
「へぇ、入賞するなんて大したもんね」
 きっと、私以上にシャインマスカットが好きな方なのだろうな。
 この秋は、残暑が厳しく気温が高いだけじゃない。
 私の期待値も高いぞう~。

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台風に追われたダイヤモンド婚式

2024年09月01日 17時38分42秒 | エッセイ
 父と母が結婚してから、今年で60年を迎える。
「すご~い、ダイヤモンド婚式じゃない! お祝いしなくちゃね」
「うん、ありがとう」
 はにかむ二人を見て、姉・妹と一緒に、両親を喜ばせるプランを考えた。高齢となった父は車で遠出しなくなったという。那須の住まいに、私たち子どもが行くしかない。
 だが、家に大勢で押し掛けると、母に負担を掛けてしまうリスクがある。父は風呂を沸かす以外は家事をせず、テレビを見ているだけの戦力外だが、母は客用の布団を干し、部屋に掃除機を掛け、タオルや飲み物、食料の準備などクタクタになるまで動くので、自宅を会場にするのは避けなければ。三姉妹のライングループで相談を続けた。
「近場のホテルを予約する?」
「宴会できて、できれば温泉付き」
「ゆっくりさせないとね」
「いつにする?」
「8月あたりかな」
 6月には方向性が定まってきた。忙しい姉とやってくれるかわからない妹に任せるわけにいかず、自分で宿を探す。最初は高級ホテルばかりがヒットしてビビッたけれど、慣れてくると低価格帯まで見つけられるようになった。さすがに、夕食がバイキングという宿で祝うはずもなく、適さないところは除外する。
「ん? ここ、よさげ」
那須に限らず栃木県全域を検索したら、イメージ通りの宿があった。部屋は質素だが、源泉かけ流し、豪華な食事というコスパのよさが気に入った。電話であれこれ尋ねても、感じのよい対応が伝わってきて安心できる。両親、姉夫婦、妹一家、我が家の4部屋を確保し、当日を待った。
そんなときに現れたのが台風10号である。8月31日に予約をとったので、発生当初は通り過ぎるだろうと軽く考えていた。ところがかなり速度が遅く、関東に接近するであろう予想日が8月27日、28日、29日とどんどん後ろにずれてくる。
予報円に宿泊日が入ったときは、いったんキャンセルした。だが、さらにズルズルと台風接近日が遅れ、「やっぱり大丈夫かしら」と再予約をして強行突破を試みた。傘を開く必要もなく宿に着き、荒れる前に帰宅できたのだから、行って正解である。まったくお騒がせの、心臓によくない台風だった。

 久しぶりに親族11人が勢揃いし「ダイヤモンド婚式お祝いツアー」は8月31日の15時から始まった。妹一家は車で2時間も前に到着したらしい。先にチェックインして、風呂上がりのさっぱりした服装でくつろいでいたところに気合を感じた。姉夫婦も、せっかくだからと集合前に周辺を散策し、終わってからも場所を変えて鮎の炭火焼き体験をしたというから頼もしい。
 主賓の父と母は、集合時刻ピッタリに来てくれて、駐車場でちょうど車から降りてくるところだった。手を振ると、母はすぐに反応してくれたが、父の様子がおかしい。「こっちだよ」と呼んでもボンヤリと空を見上げている。しばらく会わないうちに、だいぶ老化が進んだのかもしれない。「やばい、認知症か!?」と三姉妹が焦った瞬間であった。
 チェックイン後、お茶を飲んでいたら、母から「女子全員集合」の声がかかる。どうやら、使わなくなった指輪を引き取ってほしいと考えていたようだ。娘と姪、妹は指輪選びに夢中になっていたが、私と姉は指輪よりも、父の言動の方に興味があった。姉がすかさず話しかける。
「朝ごはんは何を食べたの」
「テレビ、見なくていいの」
 だが、父の反応は鈍い。
「わからねえ」
「知らねえ」
 話しているうちに、聞こえないからわからないという意味だったことを知った。補聴器を奨めると「いらない」と答える。決してやせ我慢をしているわけでなく、しれっとした顔で「俺は困らない」とか「聞こえないふりができる」などとのたまうものだから、私も姉も大笑いしてしまった。
 宴会は18時からだ。お料理はどれも口当たりがよく、見た目も美しかった。



 地元のスパークリングワインも料理によく合う。



 次々と料理が運ばれてきて、お腹がさらに膨れていく。









 残念ながら、宿でケーキは扱っておらず、大宮で購入したデコレーションを持ち込んだ。宿の冷蔵庫で保管してくれるし、頃合いを見て皿に移し、ナイフやサーバー、取り分け皿までを貸してくれるのだから、至れり尽くせりの対応だ。
 ケーキは父の大好物の桃にした。宿から二人には、サプライズプレートの提供もあり、「うわあ、キレイ!」と声が上がって一段と賑やかになる。



 父も母も、終始ご機嫌だった。
 義弟から、「次は65年目のスターサファイア婚式だからね」と声が掛かり、場がドッと沸く。
 父に聞こえたかどうかは疑わしいが、元気なうちに、補聴器装着作戦を進めていきたいものだ。

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