これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

公募エッセイにチャレンジ

2024年05月26日 18時11分51秒 | エッセイ
 エッセイを書き始めて何年になるのだろう。
 記念すべき最初の作品は、1999年12月に生まれたと記憶している。『年越しラーメン』というタイトルの、どうしようもない駄作だった。すぐに2000年がやってきて、月に2回のエッセイ教室でコンスタントに書くようになると、講師や仲間からアドバイスをいただくことができて、少しずつマシになってきた。
「てことは、今年で25年目か。早ッ!」
 その間、エッセイ仲間と節目節目で記念冊子を作り知り合いに配ったり、自費出版で書籍化したりと活動の幅を広げていった。ブログを開設してからは、週に1~2回作品を書かねばならず、ネタ探しに奔走することもあったけれど、ツラいとかやめたいなどと考えたことはない。
 近い将来、定年退職を迎えることもあり、「暇になったら、何か書かせてくれる場がないものか」と密かに狙っている。いや、心の内で願うだけではダメなのだ。自分で行動を起こし、アプローチしていかない限り、何も始まらない。
 そんなわけで、今年からは積極的に公募を探し、応募することにした。ジャンルとして小説は無理。実際にいない人物を生み出し、起きていないことを、さも事実であるかのように描写する能力が私にはない。やはり、実話を加工して、エッセイに仕立てるぐらいが向いている。
 さすがに本名で勝負するのはリスクが高い。ペンネームや匿名を認めていて、書けそうなテーマに照準を定め、いくつかの公募に送ってみた。謝礼や賞金が高額なものは、激戦になるに違いないから避け、仕事とブログと家事の隙間時間で仕上げられる範囲で、これまでまったく接点のなかった世界に足を踏み入れた。
 2週間ほどで「採用」の回答をしてくれたのが、朝日新聞社系の「かがみよかがみ」というエッセイ投稿メディアであった。対象は18歳から29歳の女性なのだけれど、たまたま年齢制限なしのエッセイを募集していたので、応募したら掲載してもらえた。サブタイトルの設定がこれまでの経験にはなく、読まれるための工夫についても学ぶことができた。
 しかし、若い女性が主なのだから、果たして、私の作品が読まれるものなのか。甚だ疑問だ……。
 先日、『イコール』という雑誌が自宅に届いた。



 こちらでは2月に「追悼 坂本龍一」なるコーナーの原稿を募集していて、氏のファンであった私は「絶対応募する!」と気合を入れて参加した。運よく「採用となりました」のメールをいただき、掲載誌をちょうだいしたというわけだ。



 坂本氏とゆかりのある方とご一緒にイベントに加わり、生前の活躍や人柄などについて語れたことが何よりもありがたい。ご担当者の審査に、ひたすら感謝である。
 先週は土曜にも日曜にも仕事が入ってしまい、疲れから歯茎が腫れてひどい目にあった。
 今週はゆっくり養生し、元気になったところで、また書く気力がわいてきている。
 さあ、次は何にチャレンジしようかな。

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函館グルメ

2024年05月19日 21時58分07秒 | エッセイ
 函館には美味しいものがたくさんあった。
 まずは海鮮。ホテルでは朝から海鮮丼をチョイスでき、函館名物である朝市に行く必要はない。



 ひつまぶしもなかなかであった。



 お寿司も期待を裏切らない。



 どのネタも甲乙つけがたいが、私のイチオシは「キンキ」。表面をバーナーで炙り、塩味がついている。醤油をつけずにいただくのだが、水気が飛んでふんわりとした身はやや甘く、抜群の塩加減が魚本来の味を引き立てているようだ。折詰寿司ではまず食べられないこともあり、希少価値がプラスされてありがたい。
 イカは別の店で食べてみたが、寿司や海鮮丼のネタに比較すると、明らかに華がない。にぎりは歯応えがあり過ぎて噛み切れず、歯間に挟まり困った。



 イカソーメンもいただいたが……。が、が。



 他の海鮮が充実しているので、イカに関しては呼子(佐賀県)に任せていいんじゃないかと思う。
 ラーメンも美味しい。大沼公園で食べた、カニあんかけ塩ラーメンは絶品だった。



 気をよくして、おみやげにも函館塩ラーメンを購入する。



 昨日は午前中が休みだったので、ランチ用に調理した。麺が硬めでふやけにくく、適度な弾力がある点に感心する。ただし、スープの塩気が強いため、希釈の湯は300ml上限をおススメしたい。



 乳製品も充実している。情報誌に載っていない、ガラガラに空いた店でコーヒーとソフトクリームを注文したら、生乳の味が生きていてきめ細かく、クォリティの高い逸品が出てきてビックリした。



 別の店の、メロンとのミックスもイケる。



 ためしに買ったコーヒー牛乳にも水っぽさがなく、牧場の味が楽しめた。



 ホテルのミルクプリンも濃厚で美味だった。



 まったくノーマークだった美鈴コーヒーには、家族全員が高評価をつけた。濃すぎず薄すぎず、邪魔な酸味はなし、ほどよい苦味に心を奪われた。舌先から喉元を通過する際は、たくさんのコーヒー隊員が四列縦隊を組み、力強く駆け抜けていくような爽快感がある。



 立ち寄るスポットでは、ことごとく美鈴コーヒーが提供されるものだから、いちいち「うーむむむ」と唸っていた。飲み物だけでなく、コーヒーソフトクリームも完成度が高い。



 調べてみたら、わが練馬区にも店舗があるらしい。函館帰りの人は、こうやってファンになっていくのだろうな。
 おみやげで好評だったのが、函館ラスクである。



 口当たりがよく、軽食・おやつにはもちろんのこと、「酒のつまみにピッタリでした」と喜ばれ、幅広い用途に対応できる。
 食べまくった割に、最終日になっても「肉がまだだった」と気づき、フライト前に函館空港内のレストランでローストビーフ丼をいただいた。



 危なかった。すべり込みセーフのタイミングで、ギリギリ間に合い安堵する。
 この食い意地を、新たなエネルギーに変換できれば、もっと世のため人のために役立てるかも?

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土方に 新たな敵ぞ 五稜郭

2024年05月12日 17時40分30秒 | エッセイ
 GW中に函館・五稜郭に行ってきた。
 土方歳三ファンとして、日野市の「新選組のふるさと歴史館」や「土方歳三資料館」を訪れたことはあるが、五稜郭は東京から遠いこともあり後回しになっていた。コロナが明けたことを機に、花見も兼ねて羽田空港からひとっとびに目的地を目指したのだが……。
「あれ、桜がもう散ってる」
 残念ながら、ソメイヨシノはわずかに残った花があるのみで、すでに葉桜と化していた。土地の人は明るく笑い飛ばして「いつもGWぐらいなんだけど、今年は早かったからねぇ」と言う。
 ちぇっ。
 未練がましく、生き残りの桜を撮ってみた。



 ちなみに、函館駅前にはヤマザクラが、もりもり生クリームのように美しく枝にデコレーションされていたので、花見としての目的は一応果たせたことになる。



 函館空港に到着したあとは、元町にも湯の川にも寄らず、真っ先に五稜郭を目指した。地震や火事などの災害に見舞われると、観光どころではなくなることもあり、確実に見なくてはと気合を入れたからだ。
「うわ、すごい人」
 まずは五稜郭タワーに向かう。



 中に入ると、すでに長い行列ができていた。この先には、羽田空港の保安検査があるのではと思うくらい、たくさんの親子連れがひしめき合っている。若いカップルも目立ち、弾んだ声で会話を交わし、並ぶこと自体を楽しんでいるようだった。
 状況がよく飲み込めなかったのだが、どうやら名探偵コナンのスタンプラリーとして並んでいたようだ。



 エントランスには「五稜郭に立つ 土方歳三」なるブロンズ像があるというのに、ほとんどの人が眼中にないらしい。カメラではなく、背中やお尻を立像に向けているのが不満だった。
「なんてこと! きいい~!!」
 コナンに負けてしまったことを嘆きつつ、誰にも邪魔されず、ゆっくり撮れるメリットは享受した。



 もうひとつ、展望台に上がるエレベーター待ちの行列もできていた。こちらの最後尾について、展望2階を目指す。
 エレベーターを下りると、ガラス張りの大きな窓から眼下の景色が飛び込んでくる。目の前に広がる五稜郭公園の、星形に整えられた造形美を堪能した。



 ヨーロッパの城郭都市をモデルとしたこの要塞は、蘭学者の武田斐三郎が考案し、7年の歳月を費やして誕生したという。端正な見た目に加えて、政治や外交・防衛の拠点としての役割を果たす実用性を兼ね備え、実に素晴らしい。
 この要塞がたどった足跡は、「五稜郭歴史回廊」として精密なジオラマで見ることができる。
 1854年に箱館(当時の表記)開港が決定したことを機に、1857年から五稜郭の建設工事に着工する。1867年に大政奉還が行われ、1868年に新政府が五稜郭に箱館府を設置するのだが、同年10月には旧幕府脱走軍に占領されてしまった。土方は、この旧幕府脱走軍に属し、行動をともにしている。
 旧幕府脱走軍が松前藩を攻撃した際、軍艦「開陽」も出撃した。しかし、冬の日本海の嵐により座礁し、江差港に沈むことになる。このときの落胆した様子がジオラマに表現されていた。



 旗艦「開陽」を失いながらも、旧幕府脱走軍は松前藩を打ち破り、全蝦夷地を手にする。同年12月には仮の政権を樹立し、記念撮影に臨む。





 しかし、翌1869年には新政府軍が反撃を開始し、箱館・五稜郭を目指して進撃を始めた。江差山道では、土方率いる部隊が新政府軍の大部隊を迎え撃ち、見事に撃退している。



 5月11日には、新政府軍による箱館総攻撃が開始され、土方歳三は35歳という若さでこの世を去るのであった。



 このジオラマが一番の力作らしく、リーフレットにも別途掲載されている。別の角度から見ても、鬼神のような表情で懸命に馬を駆る躍動感が伝わってくる。よくできていると感心し、しばらく見入ってしまった。



 昨日5月11日は土方の155回目の命日だったそうだ。彼の人生はここで終わってしまったが、「誠」を掲げて一途に戦う姿が人の心を惹きつけ、死後もなお愛されている。
 五稜郭は1871年に解体され、公園として開放されることになるが、当時の姿も模型として見ることができる。





 この階には、土方の座っているブロンズ像がある。さすがに、ここには並ぶ人がいた。人気を奪還したことに安心し、私も順番を待って写真を撮った。



 1階に戻ると、スタンプラリーの列が短くなっていた。一体何があったのだろうと覗いてみると、怪盗キッドが絡んでいたらしい。



 うーむ、コナン・キッドの連合軍にやられたってことか。
 参考までにお伝えすると、函館駅から東に向かうと「土方歳三最期の地碑」なるものが見られる。





 ここにもファンと思しき男性2組が訪れ、手を合わせていた。
 どうぞ安らかにお眠りください。
 『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』の興行成績が好調らしい。
 何だかんだで、私も見たくなっちゃった……。

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好きです 六花亭喫茶室

2024年05月05日 22時13分18秒 | エッセイ
 土方歳三ファンとしては、最低でも一度は五稜郭に行くべきだと思っている。
「たまにはGWっていうのもいいかしらね」
 年々、夏の気温が上昇し、夏休みは家から出たくないとの事情もある。混雑は承知の上で、カレンダー通りの4連休に函館まで出かけ、本日帰ってきたところだ。早々に五稜郭の記事をアップしたかったけれど、思い入れが強過ぎて話がまとまらず、先に六花亭五稜郭店について書くことにした。
 以前に北海道の観光スポットとして、旅行誌に掲載された六花亭帯広本店を見たことがある。菓子はオンラインショップやデパートでも買えるが、併設されている喫茶室が気になった。いつか行けたらいいな~と漠然とした願いがあり、五稜郭店なる店舗があるとわかったときから「絶対行く!」と決めた。
 飛行機の都合で、10時過ぎには六花亭に着く。「さあ、おやつだ!」と意気込んで自動ドアを通過したものの、「喫茶室 11:00から」の表示にガクッと来た。リサーチ不足である。「ありゃま」と両足の踏ん張りが利かなくなり、フニャフニャ~と脱力していった。しかし、自転車で行かれる距離でもないので気を取り直し、まずは五稜郭タワーを先に見て、終わったらもう一度来ようと作戦変更を図る。
 よし!
 再訪時は、ちょうどお昼タイムということもあり、おやつだけでなくお腹にたまるものも頼むことにした。
 クッペと書かれたパンは、豆とトマトのコンビネーションがいい。



 クラムチャウダーは、アサリが惜しげもなく使われていて、リッチでクリーミーだった。



 これに加えて、私はホットケーキと



 カフェオレを頼んだ。



 ホットケーキは見た目の通り、フワッフワできめ細かいスポンジが楽しめる。
 ところで、この日は娘の28歳の誕生日であった。メニューを見ると、「誕生日の方にケーキとドリンクをプレゼント」とあるではないか。
「おめでとうございます。ケーキはショーケースからお選びいただけますので、お好きなものをどうぞ」
「じゃあ、カブトのチョコレートケーキにします」
「ろうそくはいかがいたしましょう。2と8の組み合わせでよろしいですか」
「はい」
「コーラスもご用意できますが」
 どうやら、スタッフの方が「ハッピバースデートゥユー、ハッピバースデートゥユー」と歌ってくれるらしいが、それはかなり恥ずかしい……。
「い、いえ、ろうそくだけでいいです」
「かしこまりました」
 勇気のある方は、ぜひご検討ください。
 美味しいだけでなく、こんなに素敵なお祝いをしていただき、「はるばる来たかいがあった」との実感があり満足だ。



 夢中で食べたあとは落ち着きを取り戻し、ふと店内を見渡すと、やたらといかつい男性2人組が目に入った。頭髪は角刈りで、筋肉質の肩にスカジャンを羽織り、遠くからでも目立つ金色の鎖を首から下げている。目つきも鋭く、私の知り合いにはいないタイプであった。
「はてさて、何でこの人たちが六花亭に?」との疑問がわいてくる。
 答えは簡単だった。注文したケーキが運ばれてくると、それまでの険しい表情が一転して崩れ、フォークを手に取り笑顔で食べ始めたのである。実は、スイーツ男子だったらしい。組み合わせのギャップに驚いた。もしかすると観光客で、私のように「絶対、六花亭の喫茶室に行く!!!」との強い意志を持って来店したのかもしれない。
 リサーチ不足には続きがあり、五稜郭店ではハヤシライスやミックスピザが食べられないことをあとから知った……。
 やはり、いつかは帯広本店に行ってみたい。

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