桜には表情がある。
今年の花見で私はそう確信した。
3月25日。「都心の桜、満開」とのニュースを聞き、千鳥ヶ淵に行く。
空は青く気温は高い。花見に訪れる人数も多かった。
ここに来るたび、「もっと早く来てボートに並べばよかった」と思うのだが、一度たりとも並んだためしがない。歳を重ねるごとに、根性がすり減っていく気がする。
お堀をのぞき込むように伸びた枝にも、たくさんの花びらがついている。きっと、近づいてくるボートに「もっとこっちにおーいでー」と話しかけているのではないか。
緑道で構えている桜も負けてはいない。「キレイ」「美しい」と朝から晩まで褒めちぎられているせいか、カメラ慣れしてポーズも決まっているように見えた。
3月28日。東京都北区を代表する桜の名所、飛鳥山公園を訪れる。
「お待たせ~」
王子駅中央口に妹が登場した。今月上旬に妹から「娘が高校に入学するので、保証人になってほしい」と頼まれ引き受けたはいいが、提出書類に署名押印せねばならない。うちからも妹の家からも行きやすく、なおかつ花見ができる場所といえばここだろう。
「あら、待った?」
妹だけでなく姉もやってきた。姉のオフィスは南北線沿線にあり、王子までのアクセスがいいから誘ってみたら、かなり喜んでくれた。
時間は17時を少し回ったところだ。桜の淡いピンクに夕陽が重なり、薄化粧したように見える。
頬を赤く染めた、うぶな少女とでもいえばいいのだろうか。
色鮮やかな花とのコラボレーションも楽しめた。
うん、ここもなかなか。今度はレジャーシートと食料を持ってこようかな。
「ねえ、飲んで帰ろうよ」
「いいねぇ」
姉も妹も、すこぶる機嫌がいい。それぞれ、よいことがあったのだろう。私は夕飯を家で食べると言ってしまったので、1時間後に帰ったが、2人は23時過ぎまで店にいたというから恐ろしい。
3月29日。今日は現職場最後の出勤日であった。荷物を段ボールに押し込んで、コンビニに持っていく。あて先を次の職場にしておけば、重い荷物を運ばなくてすむのだ。
「ああ、ここの桜も満開だなぁ」
コンビニの途中には桜並木があり、道行く人が足を止めて眺めている。桜も誇らしげな顔をして、こちらに笑顔をふりまいてきた。
「最後に見られてよかった」
しかし、しかしである。
肝心の、職場正門に植えられた桜が驚くべき姿にされていた。
「えーっ、何でこんなに切っちゃったんだろう……」
枝も花もまばらで、自信なさげに見えた。ジロジロと無遠慮な視線を投げつけたら、「私のせいじゃないのに」と泣き出しそうな雰囲気だ。可哀想に。
週末は山陽地方に出かける。
そこでどんな桜に出会えるのか楽しみにしている。
↑
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
今年の花見で私はそう確信した。
3月25日。「都心の桜、満開」とのニュースを聞き、千鳥ヶ淵に行く。
空は青く気温は高い。花見に訪れる人数も多かった。
ここに来るたび、「もっと早く来てボートに並べばよかった」と思うのだが、一度たりとも並んだためしがない。歳を重ねるごとに、根性がすり減っていく気がする。
お堀をのぞき込むように伸びた枝にも、たくさんの花びらがついている。きっと、近づいてくるボートに「もっとこっちにおーいでー」と話しかけているのではないか。
緑道で構えている桜も負けてはいない。「キレイ」「美しい」と朝から晩まで褒めちぎられているせいか、カメラ慣れしてポーズも決まっているように見えた。
3月28日。東京都北区を代表する桜の名所、飛鳥山公園を訪れる。
「お待たせ~」
王子駅中央口に妹が登場した。今月上旬に妹から「娘が高校に入学するので、保証人になってほしい」と頼まれ引き受けたはいいが、提出書類に署名押印せねばならない。うちからも妹の家からも行きやすく、なおかつ花見ができる場所といえばここだろう。
「あら、待った?」
妹だけでなく姉もやってきた。姉のオフィスは南北線沿線にあり、王子までのアクセスがいいから誘ってみたら、かなり喜んでくれた。
時間は17時を少し回ったところだ。桜の淡いピンクに夕陽が重なり、薄化粧したように見える。
頬を赤く染めた、うぶな少女とでもいえばいいのだろうか。
色鮮やかな花とのコラボレーションも楽しめた。
うん、ここもなかなか。今度はレジャーシートと食料を持ってこようかな。
「ねえ、飲んで帰ろうよ」
「いいねぇ」
姉も妹も、すこぶる機嫌がいい。それぞれ、よいことがあったのだろう。私は夕飯を家で食べると言ってしまったので、1時間後に帰ったが、2人は23時過ぎまで店にいたというから恐ろしい。
3月29日。今日は現職場最後の出勤日であった。荷物を段ボールに押し込んで、コンビニに持っていく。あて先を次の職場にしておけば、重い荷物を運ばなくてすむのだ。
「ああ、ここの桜も満開だなぁ」
コンビニの途中には桜並木があり、道行く人が足を止めて眺めている。桜も誇らしげな顔をして、こちらに笑顔をふりまいてきた。
「最後に見られてよかった」
しかし、しかしである。
肝心の、職場正門に植えられた桜が驚くべき姿にされていた。
「えーっ、何でこんなに切っちゃったんだろう……」
枝も花もまばらで、自信なさげに見えた。ジロジロと無遠慮な視線を投げつけたら、「私のせいじゃないのに」と泣き出しそうな雰囲気だ。可哀想に。
週末は山陽地方に出かける。
そこでどんな桜に出会えるのか楽しみにしている。
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