これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

秩父巡礼グッズ

2018年05月31日 22時04分35秒 | エッセイ
 本格的な巡礼はしたことがない。
 ツアーコンダクターを務めるのは、同じ職場の栗本さんだ。事前に世話を焼いてくれるのがありがたい。
「数珠はお持ちですか?」
「いえ」
「お貸ししましょうか」
「うーん、これを機に買いたいと思います」
「じゃあ、安く私が買っておきますよ」
「お願いします」
 いいものが安く手に入る仏具店があるらしく、自分では買わない方がいいと釘を刺された。では、おまかせしよう。
 当日は手ぶらで秩父に向かう。西武秩父駅の改札を出たところに、白装束に身を固めた男性がいたが、それが栗本さんだった。隣には、年配の女性が3人立っている。
「こんにちは~! よろしくお願いします」
「まあ、栗本さんのお知り合い? こちらこそ、よろしくね」
 品のいいマダムばかりで安心した。
「笹木さん、忘れないうちに渡しておきます」
 栗本さんは荷物から巡礼に必要なものを引っ張り出した。
「わげさです。これは首から下げて」



「数珠です」



 ちらりと栗本さんを見ると、左手にグルグル巻きつけていたので、私も真似をした。
 これで3500円という。たしかに、売店などで買うより安いみたいだ。
 10年ほど前に、こんなネックレスをして勤務先の高校に出勤したことがある。



 そのとき、生徒から、「先生、それ、じゅずってヤツ?」などと言われたことがあった。
 全然違うじゃん!
 西武秩父駅から歩いて御花畑駅に向かった。秩父線に乗り、和銅黒谷駅で下りる。マダムたちが荷物の整理をしている間に、お手洗いに行ってもいいかと尋ねると……。
「いいですよ。わげさは外してくださいね」
 わげさ……。ああ、首にかかっているコレか。扱いに気をつけなくては。
 まずは札所の一番を目指す。そうそう、さっき首から外したヤツは、またかけておいた方がいいのかな。
「あのう、わさげは、もうつけていいんですか」
「いや、わげさです」
「あ、わげさでしたか」
 おおっと、間違えていた! 数珠を勘違いしている生徒と同じレベルではないか。
「輪になっている袈裟という意味ですよ」
「なるほど」
 漢字にすれば輪袈裟となるらしい。これからは正しく言える気がする。
 この日は暑かった。帽子をかぶってはいたものの、そんなものでは到底追い付かない。
 栗本さんは、白装束にマッチした菅笠をかぶっていた。UV加工がされているとは思えないが、顔どころか首までバッチリ日陰になって、涼しそうに見える。
 いいな、私も買おうかな……。
 だが、旅慣れた感MAXの白装束を着ていると、道に迷った巡礼者が「ここに行きたいのですが」と助けを求めてくるではないか。栗本さんはベテランだから、「こっちですよ」「あっちですよ」と答えていたが、私には絶対無理である。初心者は初心者らしく、中途半端なハイキングスタイルでよかろう。
 さあ、まもなく札所一番に着きますよ。


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飯ごう炊さんはツラいよ

2018年05月27日 21時55分28秒 | エッセイ
 勤務校の1年生が、飯ごう炊さんの校外学習を行った。
 千葉県のある施設で、カレーライスの食材や調理用具一式を貸し出してくれるので手軽なところがいい。
 引率で一緒についていったのだが、予想に反して、アウトドアを楽しむ雰囲気ではなかった。
「ゴホゴホ」
 かまどに火を起こし、薪をくべると煙がすごい。空気が白く濁り、人の顔も判別できないくらいだ。
 雨天でも調理できるように、屋根があるからいけないのかもしれない。加えて、12個のかまどが一か所に集中しているのも一因であろう。火の粉は飛ぶし、目を開けていられないほどの煙害に悩まされる。
「目が痛い~」
 真面目な生徒は、目を赤くしながら飯ごうの番をしたり、カレー鍋をかき混ぜていたりしていた。ズルい生徒は空気の澄んだ場所に逃げ込み、食事だけはいただこうと様子をうかがっている。
「いやあ、ひどいですね。公務災害ですよ」
 生徒と一緒にかまどの前にいた教員は、入道雲のように立ち昇る煙に目をやられ、涙を流していた。公務員は労災、つまり労働災害とはいわず、公務災害というのだ。それくらい、過酷な環境だった。
 その中で、一人だけ文句も言わず、黙々とかまどを移動して火力を調整している教員がいた。この男性は、お寺巡りとキャンプが趣味だという。てきぱきと指示を出しては、カレーライスを完成に導き、生徒たちから「ありがたや」と拝まれていた。
 ちなみに、これが教員用のカレーライスである。



 味は……。自分の家で作った方が美味しいかな……。
「いやあ、先生、さっきはすごかったですね」
 食後、私もキャンプの先生に話しかけてみた。
「いえ、全然大したことないですよ」
 あくまでも謙虚な反応が返ってくる。四国には巡礼で回ったし、登山もされるのだとか。そんな話題から、秩父の札所巡りをする計画があると聞いた。
「えっ、札所ですか、私も行きたいです。納経したいし」
「そうですか、じゃあ仲間と行く日があるんで、ご連絡しますよ」
 ラッキー! 初心者にはハードルの高い巡礼も、経験者と一緒なら安心だ。しめしめ。
 家に帰り、写経ずみの用紙を確認した。
「あ」
 納経できる状態の用紙にまぎれて、部分的に練習した、中途半端のお経も入っていた。そういえば、あとから「お経を書いた紙をゴミ箱に捨ててはいけない」との注意を読み、始末に困り放置していた用紙だった。ゴミ箱はNGだが、燃やすのはOKと書かれていたことを思い出す。
「なんだ、もっと早く気づけば、かまどにくべたのに」
 ああ悔しいと思ったのも一瞬だ。生徒の足元にしゃがみ込み、「ちょっとごめんよ」とか何とか言って、お経がズラズラと書かれた紙を燃やし始めたら、限りなく怪しい人になる。やはり、家でひそかに始末するのが正解だろう。
 秩父はうちから遠くない。
 次回は札所巡りデビューを書きます!


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ポールスターが呼んでいる

2018年05月20日 20時23分42秒 | エッセイ
 4月、5月に多いイベントが歓送迎会だ。
 今年は職場異動があったので、2か所に呼ばれていたが、運悪く同じ日にかち合ってしまった。
「しまった、どうしよう」
 選択肢は4つある。
 1.最後だから旧職場のみに出る。
 2.早く馴染みたいから新職場のみに出る。
 3.中途半端になるのを承知で両方に出る。
 4.どちらにも行かない。
 結局、私は開始時刻が早い新職場に顔を出してから、1時間後に旧職場に移動するというパターン3を選んだ。パターン4はねぇ……おススメしません!
 新職場の会場手前で、体育科ご一行様に出くわした。宴会が待ちきれなくて、先に一杯やっていたらしい。若い職員の多い職場だと、皆さん元気元気。
 会場に着き、くじ引きで決まった席に座る。周りはすでに打ち解けた方ばかりで気が楽だ。いい席が当たってよかった。
「かんぱーい」
 ビールを飲んでいたら、隣の先生が耳打ちしてくる。
「ねえ、あそこにスパークリングワインがあるわよ」
「ええっ」
 アルコールで一番好きなものはスパークリングワインだ。シャンパーニュも好きだけれど、高価だし、炭酸がキツいから、そうそう飲めるものではない。
「ややっ、ポールスターではないか」



 スパークリングワインの中でも、これが一番美味しいと思う。新旧両方の歓送迎会に参加して正解だ。
「よし、1時間で飲めるだけ飲むわよぉ~!」
 ガブガブ、ゴクゴクとハイペースにいただいて、1時間後には旧職場の歓送迎会に向かった。着任の挨拶もせず、さっさと飲み逃げを決め込む。三十六計逃げるに如かず。いったい、あの人は何なんだろうと思われたらまずいかな? わっはっは。
 一方、旧職場の店では中華料理が出迎えてくれた。体内モードを「飲む」から「食べる」に切り替え、モグモグ、ムシャムシャ。結構お腹が空いていたことに気づいた。
 やがて離任の挨拶が回ってくる。いつも大した話はできないので悪しからず。わざわざ「お世話になりました」と席まで来てくれる人もいて、とても嬉しくなった。私も歩き回って旧交を温めるべきだったなぁ。せっかく出席したのに何をやっているのやら。
 いまさらですが、どうもありがとうございました……。
 楽しい時間は過ぎ去るのが早い。あっという間にお開きとなり、お別れの時間がやってきた。出口付近で顔を合わせた方から、「ブログ見てます」という感動的なお言葉をいただき、やる気と勇気がわいてきた。
 最近、手抜きの記事が続いているから、ちょっとは気合いを入れるぞ~!
 帰宅後、花瓶にいただいた花を生ける。



 そういえば、隣駅のイタリアン居酒屋では、月曜から木曜のハッピーアワー限定で、ポールスターが1杯180円だったことを思い出した。
 何で、こんな大事なことを忘れていたのかしら。
 たまには早めに職場を出て、2杯、3杯いただいても罰は当たらないだろう。
 ほほっ、ポールスターが呼んでいる!


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官製ハガキ ありますか

2018年05月17日 21時41分41秒 | エッセイ
 毎月、新聞販売店のチケットサービスに応募している。
「官製ハガキに第1希望から第3希望までの番号を書いて応募してください。毎回、住所と氏名を書いていない方がいますのでご注意ください」
 指示通りに番号を書いて投函すると、これがまた当たるのだ。くじ運は強くないのだが、今まで外れたことはない。戸栗美術館や森美術館の招待券、カラオケ無料券などをゲットし、お得な気分に浸ることができた。おそらく倍率が低いのだろう。しめしめ。
 しかし、ハガキが切れてしまった。
「よし、コンビニで買おう」
 4月から急に忙しくなり、平日は郵便局に行く時間すらない。切手やハガキを扱っているコンビニだけが頼りだ。仕事が終わり、辺りがとっぷりと暮れた頃に店に入った。
「いらっしゃいませ~」
 コンビニのレジには高校生のアルバイトらしき女の子が立っていた。
「官製ハガキ20枚ください」
「えーと、官製ハガキっていうのはないんですけど」
 彼女は困った顔をして答える。あれ? おかしいな。前に買ったことがあるんだけど。
「でも、切手は売っていますよね」
「はい」
「ハガキもありましたよね」
「あの、郵便ハガキならあります」
 合点がいった。若い子は、ごくまれにしか郵便を使わない。官製ハガキが何を指しているかを知らないのだ。
「ああ、それです」
「これを20枚でいいですか」
 彼女はゆっくりと枚数を数え始めた。数を間違えないように、3回くらい数え直していた。その様子を見ながら、時代に取り残されている自分をいやというほど感じた。
 そもそも、官製ハガキとは何か。とうの昔に郵便局は民営化されたのだから、政府の作ったハガキなんぞない。若い子に通じなくて当然だ。大正生まれの義母が履物のことを「ゲタ」と呼ぶのと同じではないか。これからは、官製ハガキという呼び方をやめよう。
 ハガキの料金も高くなった。62円もする。



 郵便番号の上部には「郵便はがき」の5文字が見える。



 よし、これからは「郵便はがき」ね。
 チケットが当たれば何でもいいや~!


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2018 母の日

2018年05月13日 21時46分24秒 | エッセイ
 毎年、母の日にはプリザーブドフラワーを送っていた。それでいいと思っていた。
 しかし、先月父が入院し、退院後も酸素ボンベが手放せないとわかってからは、「なるべく会いに行こう」と考えるようになった。母の日はうってつけの口実になる。
「行くからにはカーネーションがいるよね」
 大宮駅で新幹線に乗る前に花屋を探した。たしか、改札付近にあるはず……あった、あった。
「甘いものもほしいよね」
 とらやの羊かんは前日に池袋で買っておいた。でも、父が食べられるかどうかはわからない。
「プリンなら大丈夫かも」
 大宮エキュートは優秀だ。美味しそうなプリンがいくつも見つかり、どれにしようか悩んだ。
 父の世話や家事で毎日クタクタの母に休んでもらいたくて、「私がお昼を用意するから一緒に食べようよ」と伝えたのが一週間前。病み上がりの父にごちそうはいらない。ロールキャベツと野菜の煮物、焼き茄子を作り、主食はエキュート内のおこわを購入した。
「しまった、汁物がないや」
 インスタントの味噌汁を買うのを忘れていた。まあよい。即席で何か作ればいいか。
 那須塩原駅からタクシーで20分。11時には両親に会えた。
「こんにちは~」
「いらっしゃい、よく来たね」
 大学4年の娘も同行したから、早速、母から誕生日プレゼントが手渡される。
「はい、ミキ。遅くなったけど誕生日おめでとう」
「わーい、ありがとう」
 父も顔を見せた。入院中よりもふっくらとして顔色もいい。医師からも「よくなっている」と言われたそうだ。30分ほど話したあと、すぐに食事の準備を始めた。そうしないと、帰りの新幹線に間に合わないのだ。
「お隣さんからトマトをたくさんもらってね、スープを作ったのよ」
「えー、タイムリー!」
 なんと、ないはずの汁物ができていた。頼まなくても必要なものがあるなんて、やっぱり親子だなぁと感じた。



 左側には父がいる。全員が席に着くまで待てず、すでに箸を持って食べ始めていたので、写真はカット。
 ロールキャベツは好物らしく、食が細い割には全部平らげていた。娘と孫が来たから、いい刺激になったようだ。残念ながら、煮物は残されてしまった。
「プリン食べよう、プリン」



 父はすでに満腹で食べられない。私たちが「美味しい」と話しながら食べるのを見て、おやつにすると言っていた。高齢者は、大勢で食事するのがいいのだろう。一人では、ますます食欲をなくす。
「じゃあ、またね」
「バイバイ」
 短時間の滞在で帰宅すると、リビングのテーブルには、ピンクのカーネーションが飾られていた。留守番していた夫が買ってきたらしい。
 娘からは一輪挿しをもらった。2人で相談したわけでもないのに、ピタッと息が合っている。



「ありがとう!!」
 夫と娘に礼を言い、一人でニヤニヤと花瓶を眺めた。母の日っていいなぁ。
 そうだ、無事家に着いたことを母に知らせなくては。スマホを取り出し、母にメールを送ると、まもなく返事が返ってきた。
「、お疲れ様。無事に着いてよかったね。今日はとっても楽しい母の日になりました。色々気づかいありがとう」
 私は冒頭の「、」が気になった。何で句読点から始まるんだろう???
「これが、おかんメールか」と苦笑いしつつ、充実したいい一日に想いを馳せた。
 今後、両親とのランチは母の日の恒例行事にしたい。


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機動戦士ガンダム THE ORIGIN6 誕生 赤い彗星

2018年05月10日 22時00分41秒 | エッセイ
 前作を観たのが去年の9月3日だから、実に8カ月ぶりの新作であった。しかも完結編。待ちきれなくて、公開初日の5月5日に劇場まで駆けつけた。



 11:20からのチケットを買った。相変わらず売店には長蛇の列ができている。グッズに「売り切れ」の表示がないのはいいけれど、この人数では絶対に上映前に順番が回ってこない。温かいコーヒーすら買えないのは悲しいが、しぶしぶ座席に向かった。
 いつも通り、前作のおさらいから映画は始まる。
「私に跪け、神よ」とシャアは言うが、「神よ、私に跪け」じゃなかったかしらと首を傾げた。同じ意味だけど……。だが、皮肉なことに、神が跪くほどシャアの出番はなかった。
 なして~?
 今回は、ファーストガンダムへの橋渡しとなる重要な要素がいくつか含まれている。キシリア姉さんの衣装は目の下までビヨ~ンと伸びるようになったし、ギレンの自己陶酔型演説もすっかり板についていた。
 あんなことや、こんなことも書きたいけれど、ネタバレになってはいけないので我慢我慢。
 ただ、サブタイトルを真に受けて、「シャアがめっちゃ活躍して、カッコいいんじゃないかしら~ん」と期待し過ぎると裏切られる。5日の全ガンダム 大投票では、キャラクター総合ランキングで見事1位に輝いたシャアでも、この映画では影が薄い。
 連邦軍の船に一人で乗り込んだシーンは痺れたけどね……。



 代わりに、目立っていたのがマ・クベだ。



 今まで、マ・クベの役割を考えたことなどなかったが、なるほどなるほど。適材適所じゃのう。
 残念だったのは、全ガンダム大投票が4月に締め切られていたことである。マ・クベはキャラクターのランキングで、作品別でも総合でも100位以内に入っていなかった。思いっきり圏外というわけだ。もし、この映画を観たあとだったら、マ・クベの評価はもっと上がっていたのではと思う。
 入場者プレゼントとして、ザクのミニ色紙をもらった。一緒に観た娘は、アムロのミニ色紙だった。袋を開けるとすぐに、「アムロのなんていらない」と私に手渡した。てことは色紙が2枚。うれしいな~!



 上映が終わり、売店の列に並んだ。プログラムと一緒に、シャアザクのメモを買う。わーい!



 自分の評価としては、「一度見れば十分」なのだが、SNSの口コミを見ると面白い。
「これで最後だと思うと泣けてきました」
「毎週観に行って、色紙を全部揃えたいです」
「映画動員ランキングにランクインできるか。過去5作はすべてランクインしていたはずなので」
 おお、ファンの鑑であるコメントばかりではないか!
 SNSでは、すでに続編の話題がささやかれている。真偽のほどはともかく、新作が公開されたら迷わず私は劇場に向かう。
「一度見れば十分」は、「絶対に一度は見たい」の裏返しなのだから。


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2018 誕生日&こどもの日

2018年05月06日 17時39分00秒 | エッセイ
 毎年、憲法記念日には娘の誕生日会を開いている。2日後のこどもの日には、甥の節句を祝うため妹の家に行くのが常だったが、退院後まもない父を那須から呼ぶわけにはいかない。
「今年はどうする? ジジババが来られないならやめようか」
「そうだねぇ。私たち抜きでやってとは言われたけど、なんだか悪いし」
「いっそのこと那須でやるとか」
「えー、仕事があるから無理だよ」
 妹と相談していたら、娘が横から口を挟んできた。
「やめないでよ! 来年は社会人になるから、今年で最後なんだよ」
 大学4年の今年がラストだから、省略しないでほしいという気持ちはわかる。しかし、それ以上に「誕プレもらえなかったらどうしよう」という焦りが透けて見えた。くくく。
「それもそうね。じゃあ、誕生日とこどもの日を1日で済ませるっていうのはどう?」
 折衷案が浮かんできた。妹と娘にも異論はないようだ。
「いいんじゃない。ジジババいないから、一度でちょうどいいよ。うちに来る?」
「行く行く」
 料理は半分ずつ負担し、妹の家が会場となった。娘のためのバースデーケーキは妹が、甥のための兜ケーキは私が用意することにすれば、肉体的にも、経済的にも楽チンでありがたい。
 妹は、いや正確には妹のダンナは、野菜のチーズ焼き、ステーキを作っていた。豚汁だけは、たぶん妹が準備したと思われる。温かい料理は、心までホカホカにしてくれる。
 一方、私が持参したのは、冷え切ったカボチャのコロッケにカットフルーツ、寿司である。バースデークーポンを使えば10%オフだから、自宅付近の寿司屋に注文し、届いたものを車で運んできた。冷たいものばかりで少々分が悪い。
「えーと、こっちの桶は1人11貫でシャリ普通。で、あっちの桶は1人9貫でシャリ小さめ」
 妹と義弟、義兄、夫は食べる気十分だが、血糖値の高い私と小食の姉・娘は量を抑えたかった。甥にはマグロづくし、姪にはイクラづくしをリクエストされている。
「じゃあ、寿司桶に合わせて座ったほうがいいね」
 定位置に逆らって、この日は席替えをした。糖質控えめの寿司桶をキープし、姉と娘を呼ぶ。
「はーい、女の子チームはこっちだよ」
 義兄がすぐさま反応した。
「え、女の子ってどこ? まあ、ミキちゃんはわかるけど」
 そうか、私と姉は50代に突入したんだっけ。すっかり忘れていた。
 ブーイングは無視して席に着く。この寿司は注文者の特権で、ハマチをズワイガニに、イカを炙りエンガワにネタ替えしたのだ。いいネタばかりなのだぞ、ワッハッハ。



 両親がいないと、イマイチ話が盛り上がらない。子や孫たちが「ジジババにこの話を聞かせてあげよう」と考えなくなるからだろうか。笑って座っているだけの父、的外れな反応をして失笑を買う母の存在は、思っていたよりも大きいと気づかされた。
「さーて、ケーキだ、ケーキ」
 妹が買ってきてくれたバースデーケーキはこれ。



 さっそくロウソクを立てる。ハッピーバースデーの歌を歌ったあと、娘がロウソクを吹き消した。
 一方、甥への兜ケーキはこれ。



「あれ、ロウソクは?」
「ロウソク? なかったよ」
 簡単に答えたあと、もらってくればよかったと反省した。甥も同じことをしたいだろうに。
 幸い、妹の家には予備のロウソクがあった。
「この辺でいいかしらね」
 妹が豪快に兜の側面にブッ刺して火をつける。



「い~ら~か~のな~みと、く~も~のな~み」
「たーかくおーよーげや、こーいーのーぼり」
 歌が終わると甥がロウソクを吹き消す。あとは切るだけだ。
 2種のケーキを食べながら、私は来週の予定を考えていた。
 13日は母の日である。退院後の父を見舞い、母を労うタイミングとしてはちょうどいい。
「6月のジイさんの誕生日、那須の家でお祝いできそうか見てくるよ」
 姉や妹、義兄たちに声をかけてみた。
「それは助かる」
「頼むね」
 よし、偵察部隊として、来週は那須に行って来よう。
 娘が「ミキも休みだから行く」と宣言した。
 祖父母を元気づけようという気持ちはもちろんある。
 加えて、顔には「誕プレもらえるかも」と書いてあったような気が……。


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写真に残せる初代宮川香山

2018年05月04日 12時03分43秒 | エッセイ
 横浜駅から徒歩8分の場所に、「宮川香山 眞葛ミュージアム」がある。ちょうど、4月28日からの新企画展「明治陶芸の神髄  怪傑!初代宮川香山」が始まっている。
 今回の目玉は、2週間限定で写真撮影ができるところだ。これを逃す手はないと、公開早々に出かけてきた。
 開館の10時を回っていたが、チケットには何人か並んでいる。撮影可の効果は大きいと思われた。
「解説をしますので、よろしければお付き合い下さい」
 この声は館長の山本さんに違いない。以前にも解説が始まるときに居合わせ、運よく豆知識を仕入れたことがある。また、うまい具合にお会いできて嬉しい。
「最初にクイズをします。明治に焼かれた陶芸品のうち、重要文化財に指定されているものはいくつあるでしょう」
 ふふふ、前にもそれは聞いた気がするわ。
 私は自信を持って手を挙げ、「2つ」と答えた。
 だが、ちょっと違ったようだ。山本氏は「うーん」と唸り、「正しいといえば正しいんですが、昨年、ひとつ追加されたので今は3つになりました」と続けた。そうか、私が最初に解説を聞いたあとで、重要文化財が増えたわけか。にゃるほど。
 入口に近い場所の作品から解説が始まる。





「真葛焼きは、時代の移り変わりに合わせて作風を変えた点がすごいところです。高浮彫(たかうきぼり)が売れた時代が終わると、もっとシンプルな作風に変え、アールデコ風の傑作をいくつも生み出しています」



 解説のこの件は何度聞いても心地よい。特に驚きだったのは、釉薬をとことん研究しつくした熱心さだ。焼き物の色は、釉薬によって表現されるが、塗るときには緑や赤といった色ではない。高温で焼かれるうちに鮮やかな色に変わるのだ。ところが、色によって発色の温度が違うため、何色も使った焼き物では温度の調整が作品の出来栄えを左右する。宮川香山は、どの色も同じ温度で発色するよう巧みに調整し、マイセンやロイヤルコペンハーゲンなどからも一目置かれていたという。
 写真は少々難しかった。このミュージアムには鏡が多く、作品の後ろまで見られる工夫がなされているから、油断すると自分が写り込んでしまう。横からこっそり撮るしかない。ポストカードで見るような、完成度の高いアングルはとても無理だ。



 目のくらむような陶芸品の中でも、鉄の龍が絡みついたこの逸品は特別な香りがした。



「龍を作ったのは誰なのか、明らかになっていませんが、おそらくは第一人者との合作となっています」
 写真がヘボで申し訳ない。この作品には、やたらと大きなエネルギーがこもっている気がした。富や名誉を引き寄せる、縁起のいい昇り龍なのではないだろうか。
 解説は30分ほどで終了する。あとは自由に撮影した。
 私はゴテゴテした高浮彫が好みである。









 姉や娘は、すっきりとした後期の作品が好きなのだとか。















 鳥や魚の作品からは、題材への愛情が感じられた。山本氏が伊藤若冲との関連を指摘した点にも、大いにうなずける。







 

 一番上手く撮れたと感じるのが、このカニである。



 鏡をよけながら撮るより、好きな作品をアップで撮るのがよさそうだ。
 撮影のチャンスは、5月5日の土曜日と、6日の日曜日を残すのみ。
 どなた様もお見逃しなく!


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