最寄りの駅ビルでは、毎年、11月末に大感謝祭を行っている。セールはもちろんのこと、お買い上げ金額に応じて福引きができるから、地元の人間からは好評だ。
「特等は湯河原温泉の一泊旅行か、1等がポータブルテレビ?」
どうも、今年の景品は好みのものがない。2等から4等もキッチンバッグだのクリアファイルセットだの、ショボいものばかりが並んでいた。5等の500円商品券のほうがよほど役に立つ。
「でも、抽選券がないんだよね」
11月は奈良に行ったり、休日出勤したり、墓参りに両親との外出などが続いていたので、買い物自体をしていない。唯一スーパーで何度か食材を買ったときに、2回分の抽選券をもらったくらいだ。でも、そのビルに入っているJTBで旅行代金の支払いをしたとき、一気に10回分の抽選券が手に入った。
「よしっ!」
合計12回の福引きができるなら、何か当たるかもしれない。くじ運にはまったく自信がないが、ひとまず行ってみよう。
「おめでとうございまーす!」
福引き会場は熱気に包まれていた。カランカランと鐘が鳴らされ、スタッフたちの拍手が聞こえる。金色の玉が特等、紫色の玉が1等、赤い玉が2等、などと掲示されていた。何となく、私にも幸運の女神がほほ笑むような気がしてきた。
「お待たせしました。えーと、12回ですね」
スタッフに抽選券を渡し、ガラガラのハンドルに手をかける。この道具の名前はガラポンともいうが、新井式回転抽選機というのが正式名称らしい。ゆっくり回して、ワクワクしながら、どの色の玉が出てくるかを楽しめるところがいい。
1個目は白だった。これは参加賞のポケットティッシュだ。まあ、最初はこんなもんだろう。
2個目も白、3個目も白、4個目も白。
「ありりりりり」
その先もずっと白白白白。いつまでも白。永遠に白。結局、12回分全部が白だった。
ガーン!
スタッフのお姉さんは、手慣れた様子でレジ袋にティッシュを詰め込んだ。
「こちらが参加賞です。どうぞ」
あーあ、残念。
でも、ティッシュといえどもバカにできない。那須の両親にあげれば喜ばれるし、出先では何度も花粉症の娘から「ティッシュを忘れた」と頼られた。クリアファイルよりは出番が多いかもしれない。ありがたくいただこう。
今日はこんなことがあった。
立地が悪くて、普段はまったく行かないパン屋さんに寄ってみた。久しぶりにパンが食べたくなったのだ。近場で買う手もあったが、これといった理由もなく、遠回りしたくなる。あんパンとアップルパイを買い、朝食用にすることにした。
「本日、創立記念日ですので、こちらを入れておきます」
レジのお姉さんが、赤くて小さなものをパンの外袋に入れた。おやおや、何だろう?
家で開けてみたら、袋の口を閉じるクリップだった。
おお、これは使える!
調べてみたら、ポンパドウルは11月29日で創業49周年を迎えるそうだ。今日だけクリップを配っていたとわかり、タイミングのよさに我ながらビックリした。
ささやかないただきもので、幸せ気分になれるのも特技のうち?
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
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どうも、今年の景品は好みのものがない。2等から4等もキッチンバッグだのクリアファイルセットだの、ショボいものばかりが並んでいた。5等の500円商品券のほうがよほど役に立つ。
「でも、抽選券がないんだよね」
11月は奈良に行ったり、休日出勤したり、墓参りに両親との外出などが続いていたので、買い物自体をしていない。唯一スーパーで何度か食材を買ったときに、2回分の抽選券をもらったくらいだ。でも、そのビルに入っているJTBで旅行代金の支払いをしたとき、一気に10回分の抽選券が手に入った。
「よしっ!」
合計12回の福引きができるなら、何か当たるかもしれない。くじ運にはまったく自信がないが、ひとまず行ってみよう。
「おめでとうございまーす!」
福引き会場は熱気に包まれていた。カランカランと鐘が鳴らされ、スタッフたちの拍手が聞こえる。金色の玉が特等、紫色の玉が1等、赤い玉が2等、などと掲示されていた。何となく、私にも幸運の女神がほほ笑むような気がしてきた。
「お待たせしました。えーと、12回ですね」
スタッフに抽選券を渡し、ガラガラのハンドルに手をかける。この道具の名前はガラポンともいうが、新井式回転抽選機というのが正式名称らしい。ゆっくり回して、ワクワクしながら、どの色の玉が出てくるかを楽しめるところがいい。
1個目は白だった。これは参加賞のポケットティッシュだ。まあ、最初はこんなもんだろう。
2個目も白、3個目も白、4個目も白。
「ありりりりり」
その先もずっと白白白白。いつまでも白。永遠に白。結局、12回分全部が白だった。
ガーン!
スタッフのお姉さんは、手慣れた様子でレジ袋にティッシュを詰め込んだ。
「こちらが参加賞です。どうぞ」
あーあ、残念。
でも、ティッシュといえどもバカにできない。那須の両親にあげれば喜ばれるし、出先では何度も花粉症の娘から「ティッシュを忘れた」と頼られた。クリアファイルよりは出番が多いかもしれない。ありがたくいただこう。
今日はこんなことがあった。
立地が悪くて、普段はまったく行かないパン屋さんに寄ってみた。久しぶりにパンが食べたくなったのだ。近場で買う手もあったが、これといった理由もなく、遠回りしたくなる。あんパンとアップルパイを買い、朝食用にすることにした。
「本日、創立記念日ですので、こちらを入れておきます」
レジのお姉さんが、赤くて小さなものをパンの外袋に入れた。おやおや、何だろう?
家で開けてみたら、袋の口を閉じるクリップだった。
おお、これは使える!
調べてみたら、ポンパドウルは11月29日で創業49周年を迎えるそうだ。今日だけクリップを配っていたとわかり、タイミングのよさに我ながらビックリした。
ささやかないただきもので、幸せ気分になれるのも特技のうち?
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)