しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「パズル・パレス」 ダン・ブラウン

2011年06月01日 | 読書
「パズル・パレス」 ダン・ブラウン  上・下巻  角川文庫
 DIGITAL FORTRESS         越前敏弥/熊谷千寿・訳

アメリカ、国家安全保障局・NASのスーパーコンピュータ〈トランスレータ〉。
すべての暗号を短時間に解読する。
対テロ対策として開発され、一般市民の通信全てをも監視可能なこのコンピュータの存在は決して公にできない国家機密だった。
しかし、国家が秘密裏に、個人のプライバシーを侵害することは間違っていると主張したNSAの暗号解読員、エンセイ・タンカド。
NASを辞めた後、自ら解読不可能な暗号ソフト「デジタル・フォートレス」を作る。
タンカドは〈トランスレータ〉の公表を迫り、罠を仕掛ける。
〈トランスレータ〉は解読不能の外部ファイルにすでに15時間、処理と続けていた。
それは、タンカドのファイルからダウンロードしたものだった。
NASの副長官、トレヴァー・ストラスモアは、暗号解読主任のスーザン・フレッチャーを呼び、解決策を見つけようとする。
その前にタンカドがスペインで死亡したことを知ったストラスモア。
タンカドが持っていると予想される、「デジタル・フォートレス」を解決するパス・キー。
指輪に刻まれたパス・キーを手にいれるため、ストラスモアは、現代言語学者のディヴィッド・ベッカーをスペインに送り込む。
ベッカーはスーザンの婚約者だが、民間人なのでスーザンは驚く。
ベッカーは指輪を求め、スペインの街を奔走することになる。





ダン・ブラウンのデビュー作。
『天使と悪魔』などと似た雰囲気がある。
謎が少なめなので、行動範囲も狭く、物語も単純になっている感じはあるが面白かった。
パズル・パレスは迷宮で、これは暗号を表す。
全ての情報を自分の手で管理したいNAS。
個人のプライバシーを守りたいと思う、科学者。
それぞれが主張することが、この物語のテーマ。
実際に、どの程度管理されているのか、分からない。
日本は、アメリカほどではないと思うが、どうなのだろう。
国の安全を守ると言う考えも分かる。
未然に防ぐことが出来たテロがあるのも事実だろう。
しかしそれが、本当にそれだけの為に使われるとは思えない。
責任者も変わっていくのだし、何が正義かの定義も、人によって異なるのだから。
エンセイ・タンカドの考えに、やはり賛成したい。
「だれが番人を監視するのか!」
「世界の番人であるNASをだれが監視するのか」

大学教授が活躍する、ダン・ブラウンの物語だが、今回も。
一般人の大学教授が、推理を働かせて的確に行動して行くのが凄い。
最後の追っかけっこも、プロ対素人なのに。
頭の回転が速いのはいい。
エンセイ・タンカドは日本人。
スーザンが認識するタンカドは、決して悪人ではなかった。
それは、日本人の性格を持っていたからかも知れない。
思慮深く、穏やかで、争いごとは避けると言うような。
日本人の名前ではないが、それは本名ではないからかと思うが。
後、トクゲン・ヌマタカと言う日本人も登場するのだが。
こちらは日本名のはず。どんな漢字だろう。沼高徳玄かな。


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