しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「倒錯の帰結」 折原一  

2005年11月07日 | 読書
作者、山本安雄『首吊り島』と作者、折原一『監禁者』。このふたつの小説が背中合わせにあり、それをつなぐ話が真中に袋とじになってある。
『首吊り島』は横溝正史の小説の様な、連続殺人が、魚釣島、別名首吊り島で起こる。
網元の本家、新見家の浮身堂で跡取息子、当主、が相次いで死亡する。
息子は自殺、当主は病気とされたが、それは浮身堂が密室となっていたからで、殺人の
可能性も考えられると言う。
推理小説家山本安雄は精神的な疲労から逃れる為、同じアパートに住む、その島の出身者
清水真弓に助けられる様に首吊り島に渡る。新見家の謎を解き明かして欲しいと頼まれ、
調査している途中に、今度は長女の雪代、続いて三女の花代が、同じ密室状態の浮身堂で殺される。
次に狙われるのは次女の月代。安雄は自らも傷を負いながら事件を解決していく。

『監禁者』は推理小説家山本安雄が、何者かに、同じアパートの別の部屋に監禁され、密室物の推理小説を書く様に、脅迫される。
同じアパートに住む、清水真弓は、助けをもとめる声を聞き、安雄が監禁されている事を突き止め助け様とするが、見つかりそうになり、うまく行かない。
監禁者の名が、新見月代と言う事は突き止める。
ある時、監禁されている部屋に忍び込むと、そこには誰もいなかった。

とりあえず、それぞれの話としても解決はしているのだが、
ふたつの話はメビウスの輪の様に、ぐるぐるまわる、終わりの無い物語になっていた。
二つの話が共鳴している所など、怖さを醸し出しているのだが、うーん、何となく、いまいち。
密室のトリックも、本当にそんなに上手くいくのだろうか、とクエスチョンマークが大きく出る。運が良かったとしか思えない。
そして「監禁者」の話がどうもしっくりこない。ありえなさ過ぎる様な気がしてしまう。
それと、真弓はどうして死んでしまったのか?
話もそうだが、本の作りも謎を含み、『新津きよみ』なる人物が・・・。
この『倒錯の帰結』は『倒錯のロンド』『倒錯の死角』と3部作で、これがシリーズの最後と言う事だが、最後から読んでしまった。単独でも差し支えないと、作者は言っているが、やはり順番に読んだ方が楽しめたのだろうか。
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