2007・9・5(水)~9・18(火) 東京芸術劇場 小ホール
<ストーリー>
高校のフェンシング部に属するジョエルとエリック。
空想家で今の時代や大人たちに強い憤りと不信感を持っているジョエル。
1年前の父親の自殺以来、心に大きな秘密を抱え人が変わってしまったようなエリック。
様々なことに悩み怒り傷ついている2人は、共にフェンシングをしている時だけ生きる実感を感じていた。
「僕たちは剣を通して話をするんです。言葉なんかいらない。剣がものを言ってくれる。その他のものは何もいらない。剣だけが僕たちなんです」。
あまりにも繊細で感受性豊かな2人は、それゆえに惹かれあい友情を深めて、やがてお互いが抱える心の闇と秘密を明かしあう。
ある日、そんな2人の日常にある事件が起こる。やがてそれが、残酷な運命へと2人をいざなっていく・・・。
<チラシの粗筋より>
<感想>
「若さ」が前面に出た物語。
しかし、若いっていい事だと素直には思えない物語だった。
若いというより、幼いと感じられる部分もあった。
他人に迷惑をかけない、というのはもっと小さな時から身に付くルールだと思う。
自分のルールを持つのもいいけれど、それが他人に危害を加えることになってはならないのではないか。
社会のルールではなく、自分のルールに従いたという思いはあってもいいけれど。
社会の中で生きていくなら、他人を傷つけないのは最低限のルール。
これは小さい時に教育されなければならない大事なことなのだが。
それを自由と思い違いしている。
そのように育てられなかった、回りにいる大人の問題でもあるのだが。
ソープ先生の考え方に自分は近い。それは年のせいだろうか。
そして、若さゆえの残酷さ。
それは相手の気持ちを思いやれなくて、言わなくてもいい事まで言ってしまう。
ルイーズの心に、ジョエルが言っていたようなこと-エリックを試している-などがあったかも知れないが、
それはルイーズ自身が意識していないことだろうし、ルイーズはそう自分では思っていた。
しかし、そのことを言葉にすることで、そんな思いがあったかも知れないと思わせてしまう。
なんでも言葉にすればいいということではない。
そんなジョエルにいらいらさせられるのだが、
ジョエルは本当は「いい人間関係」を作りたかったのだろうか。
だからうまくいかないことに対して、何もかもに反発を覚えてしまう。
今、大人しいと思われていた子が信じられない残酷な事件を起こす。
その子たちには、人間はあまり関係なかったのではないだろうか。
もがき苦しんでいる方が人間としていい方向が見つかってくるのかも知れない。
そして、エリックはまだ自分のことしか考えられない、トラブルメーカー。
ジョエルとの決闘を通して、やっと自分以外の人の気持ちに目を向けることが出来るようになったのかも知れない。
最近のWはかなり違いが見られて楽しいが、今回も2チームでかなり違いが見られた。
フルーレは荒木ジョエルの狂気が中心にあり、それに振り回される。
ルイーズに迫るところも、若さならではの残酷さが際立っていた。
何ゆえにあんなに激しくなってしまうのかは、はっきり解らないが、両親との係わりかもと思わせる。
だから、エリックの父親の葬儀の時にあった話を聞いた時も、何となく温かい関係を羨ましく思っていたような感じがする。
サーブルのジョエルが悩んでいたのは自分の心の問題とエリックへの思い。
だから本気の狂気ではなく、それを装っているように見えた。
関戸ジョエルは理性的だった。周りの人たちとの力関係も対等でまとまって感じられた。
5人だけの舞台で、一人一人の台詞も多い。
若手は始めは聞き取り辛いところもあった。
しかし、慣れなのかカツゼツが良くなるのか、段々聞こえるようになる。
しかし、ベテランは最初から大丈夫だった。やはり、カツゼツか。
<個人感想>
*Fleuret(フルーレ) ☆Sabre(サーブル)ジ9ョエルジョエル
ジョエル
*荒木健太朗
狂気が見える荒木ジョエル。
それは目の表情からなのだろうか。前回のロミオにはなかったけれど、「銀のキス」のクリストファーにはあった表情だと思う。
目で語れる荒木さん。本当にうまくなったと感心する。
自分の世界に入ってしまい、その中で信念を持っているようだ。
そう、ジョエルは自分がその年代の時に考えていたことと同じで、だから今はその時の思いを発散していると、トークショーの時に言っていた。
思いは同じでも、行動には出られなかったということだと思う。それが普通。
そしてそれは、きちんとした育てられ方をしたからだろうと思うのだが。
☆関戸博一
狂気よりも悲しみが見える関戸ジョエル。
エリックを思う気持ちがちょっとした動作に見て取れて、可哀想になる。
それはトークショーの時に、ジョエルはホモで、自分でもその事に気が付いていた、と聞いたことにもよるのだが、
そう聞くと見方が変わった。
そして、その思いは関戸ジョエルの方に強く現れていた。
狂気は振り。
だから、物語の世界に入って行こうとしたのは、解っていながら現実逃避の様な気がする。
関戸ジョエルが悩んでいるのは、自分がホモだということと、エリックとの関係なのかも知れないと思えた。
エリック
*松本慎也
ちょっと大人しいエリックで、ジョエルに引っ張られ合わせようと頑張っている感じ。
一人だと何も出来なくて、小心な感じもよく出ていた。
何となく幼くて、ルイーズがかなりお姉さんに見えて、つり合っていないような。
ルイーズがスケリーに行ったのは解ると言ったら、いけないかな。
☆三上俊
ジョエルと一緒になって騒ぎの要因になっているのがわかる、腕白な男の子。
ジョエルと対等な位置で付き合っている。
ルイーズとも対等に感じられる。
自分の弱さやちょっと卑怯なところはまだ意識はしていなのだと思う。
三上さんがフェンシングのポーズが一番綺麗だったと思う。
ルイーズ
*吉田隆太
いつも可愛い女の子なのに、今回はあまり可愛く見えなかった。何故だろう。
感情を爆発させるところは迫力がある。
今の所は守ってもらう必要のなさそうな、しっかりタイプ。
裏表のない、性格だけれど、悩んで育ってきたのが解る。
育った過程までしっかり見せてくれたルイーズだった。
☆青木隆敏
青木さんの方が実年齢も大きいし、お姉さんの感じだった。
でも、素の感じで普通に女の子に見えるところが凄い。青木さん、線が細いからね。
それどもエリックとはつり合っていた。
守ってあげると言われたが、しっかり守ってもらう存在になれそう。
お姉さんの分、怒りを爆発させるところも押さえが利いていてそれが迫力に現れる感じ。
吉田ルイーズはその場が怖く、青木ルイーズは奥深い所で軽蔑されそうな怖さ。
スケリー
*大沼亮吉
もう、大沼さんのイメージそのままのスケリー。
見た目も強そうで、怖そうで、ちょっと悪そうで。
でも、自分の負けや悪い所はちゃんと認める潔さがある。
好きな女の子には意地悪するし、弱い男の子はからかって苛めるという典型的な悪がきタイプ。
でも、世の中で生活していく常識は持っている、当たり前の男の子。
本当の大沼さんはどんな人なんだろう。
とても真面目な硬いタイプに見えるけれど。
☆仲原裕之
大沼さんとは正反対で、イメージがスケリーとはかけ離れた仲原さん。
髪も短く立てて、迫力出して頑張っていた。
こういうキャスティングを見るのも楽しい。
頑張っていると見るのはこちらの先入観だけれど、大沼さんと比べるとやはり線が細いように感じられた。
お笑いを取るのも頑張っていた、とまた「頑張る」が浮かぶ。
ソープ先生
*石飛幸治
こういう先生いると思う。
石飛さんはキャラクターからか、厳しいことを言っても愛情が感じられる。
ソープ先生の言っていることは納得出来る。
☆藤原啓児
石飛さんと比べるとやはりちょっと冷たい厳しさを感じてしまう。
それに体育系クラブの顧問にも見えなかった。
普通のオバサンだった。
前回の「孤児のミューズたち」は家族のあり方を見せてくれた。
今回はまだ成長する前の、不確かな存在の危うさを見せてくれた。
どちらもスタジオライフらしいテーマだったと思う。
次回はあの手塚治虫氏の「アドルフに告ぐ」
これも結構長い原作になるが、どんな舞台になるか、楽しみにしたい。
<ストーリー>
高校のフェンシング部に属するジョエルとエリック。
空想家で今の時代や大人たちに強い憤りと不信感を持っているジョエル。
1年前の父親の自殺以来、心に大きな秘密を抱え人が変わってしまったようなエリック。
様々なことに悩み怒り傷ついている2人は、共にフェンシングをしている時だけ生きる実感を感じていた。
「僕たちは剣を通して話をするんです。言葉なんかいらない。剣がものを言ってくれる。その他のものは何もいらない。剣だけが僕たちなんです」。
あまりにも繊細で感受性豊かな2人は、それゆえに惹かれあい友情を深めて、やがてお互いが抱える心の闇と秘密を明かしあう。
ある日、そんな2人の日常にある事件が起こる。やがてそれが、残酷な運命へと2人をいざなっていく・・・。
<チラシの粗筋より>
<感想>
「若さ」が前面に出た物語。
しかし、若いっていい事だと素直には思えない物語だった。
若いというより、幼いと感じられる部分もあった。
他人に迷惑をかけない、というのはもっと小さな時から身に付くルールだと思う。
自分のルールを持つのもいいけれど、それが他人に危害を加えることになってはならないのではないか。
社会のルールではなく、自分のルールに従いたという思いはあってもいいけれど。
社会の中で生きていくなら、他人を傷つけないのは最低限のルール。
これは小さい時に教育されなければならない大事なことなのだが。
それを自由と思い違いしている。
そのように育てられなかった、回りにいる大人の問題でもあるのだが。
ソープ先生の考え方に自分は近い。それは年のせいだろうか。
そして、若さゆえの残酷さ。
それは相手の気持ちを思いやれなくて、言わなくてもいい事まで言ってしまう。
ルイーズの心に、ジョエルが言っていたようなこと-エリックを試している-などがあったかも知れないが、
それはルイーズ自身が意識していないことだろうし、ルイーズはそう自分では思っていた。
しかし、そのことを言葉にすることで、そんな思いがあったかも知れないと思わせてしまう。
なんでも言葉にすればいいということではない。
そんなジョエルにいらいらさせられるのだが、
ジョエルは本当は「いい人間関係」を作りたかったのだろうか。
だからうまくいかないことに対して、何もかもに反発を覚えてしまう。
今、大人しいと思われていた子が信じられない残酷な事件を起こす。
その子たちには、人間はあまり関係なかったのではないだろうか。
もがき苦しんでいる方が人間としていい方向が見つかってくるのかも知れない。
そして、エリックはまだ自分のことしか考えられない、トラブルメーカー。
ジョエルとの決闘を通して、やっと自分以外の人の気持ちに目を向けることが出来るようになったのかも知れない。
最近のWはかなり違いが見られて楽しいが、今回も2チームでかなり違いが見られた。
フルーレは荒木ジョエルの狂気が中心にあり、それに振り回される。
ルイーズに迫るところも、若さならではの残酷さが際立っていた。
何ゆえにあんなに激しくなってしまうのかは、はっきり解らないが、両親との係わりかもと思わせる。
だから、エリックの父親の葬儀の時にあった話を聞いた時も、何となく温かい関係を羨ましく思っていたような感じがする。
サーブルのジョエルが悩んでいたのは自分の心の問題とエリックへの思い。
だから本気の狂気ではなく、それを装っているように見えた。
関戸ジョエルは理性的だった。周りの人たちとの力関係も対等でまとまって感じられた。
5人だけの舞台で、一人一人の台詞も多い。
若手は始めは聞き取り辛いところもあった。
しかし、慣れなのかカツゼツが良くなるのか、段々聞こえるようになる。
しかし、ベテランは最初から大丈夫だった。やはり、カツゼツか。
<個人感想>
*Fleuret(フルーレ) ☆Sabre(サーブル)ジ9ョエルジョエル
ジョエル
*荒木健太朗
狂気が見える荒木ジョエル。
それは目の表情からなのだろうか。前回のロミオにはなかったけれど、「銀のキス」のクリストファーにはあった表情だと思う。
目で語れる荒木さん。本当にうまくなったと感心する。
自分の世界に入ってしまい、その中で信念を持っているようだ。
そう、ジョエルは自分がその年代の時に考えていたことと同じで、だから今はその時の思いを発散していると、トークショーの時に言っていた。
思いは同じでも、行動には出られなかったということだと思う。それが普通。
そしてそれは、きちんとした育てられ方をしたからだろうと思うのだが。
☆関戸博一
狂気よりも悲しみが見える関戸ジョエル。
エリックを思う気持ちがちょっとした動作に見て取れて、可哀想になる。
それはトークショーの時に、ジョエルはホモで、自分でもその事に気が付いていた、と聞いたことにもよるのだが、
そう聞くと見方が変わった。
そして、その思いは関戸ジョエルの方に強く現れていた。
狂気は振り。
だから、物語の世界に入って行こうとしたのは、解っていながら現実逃避の様な気がする。
関戸ジョエルが悩んでいるのは、自分がホモだということと、エリックとの関係なのかも知れないと思えた。
エリック
*松本慎也
ちょっと大人しいエリックで、ジョエルに引っ張られ合わせようと頑張っている感じ。
一人だと何も出来なくて、小心な感じもよく出ていた。
何となく幼くて、ルイーズがかなりお姉さんに見えて、つり合っていないような。
ルイーズがスケリーに行ったのは解ると言ったら、いけないかな。
☆三上俊
ジョエルと一緒になって騒ぎの要因になっているのがわかる、腕白な男の子。
ジョエルと対等な位置で付き合っている。
ルイーズとも対等に感じられる。
自分の弱さやちょっと卑怯なところはまだ意識はしていなのだと思う。
三上さんがフェンシングのポーズが一番綺麗だったと思う。
ルイーズ
*吉田隆太
いつも可愛い女の子なのに、今回はあまり可愛く見えなかった。何故だろう。
感情を爆発させるところは迫力がある。
今の所は守ってもらう必要のなさそうな、しっかりタイプ。
裏表のない、性格だけれど、悩んで育ってきたのが解る。
育った過程までしっかり見せてくれたルイーズだった。
☆青木隆敏
青木さんの方が実年齢も大きいし、お姉さんの感じだった。
でも、素の感じで普通に女の子に見えるところが凄い。青木さん、線が細いからね。
それどもエリックとはつり合っていた。
守ってあげると言われたが、しっかり守ってもらう存在になれそう。
お姉さんの分、怒りを爆発させるところも押さえが利いていてそれが迫力に現れる感じ。
吉田ルイーズはその場が怖く、青木ルイーズは奥深い所で軽蔑されそうな怖さ。
スケリー
*大沼亮吉
もう、大沼さんのイメージそのままのスケリー。
見た目も強そうで、怖そうで、ちょっと悪そうで。
でも、自分の負けや悪い所はちゃんと認める潔さがある。
好きな女の子には意地悪するし、弱い男の子はからかって苛めるという典型的な悪がきタイプ。
でも、世の中で生活していく常識は持っている、当たり前の男の子。
本当の大沼さんはどんな人なんだろう。
とても真面目な硬いタイプに見えるけれど。
☆仲原裕之
大沼さんとは正反対で、イメージがスケリーとはかけ離れた仲原さん。
髪も短く立てて、迫力出して頑張っていた。
こういうキャスティングを見るのも楽しい。
頑張っていると見るのはこちらの先入観だけれど、大沼さんと比べるとやはり線が細いように感じられた。
お笑いを取るのも頑張っていた、とまた「頑張る」が浮かぶ。
ソープ先生
*石飛幸治
こういう先生いると思う。
石飛さんはキャラクターからか、厳しいことを言っても愛情が感じられる。
ソープ先生の言っていることは納得出来る。
☆藤原啓児
石飛さんと比べるとやはりちょっと冷たい厳しさを感じてしまう。
それに体育系クラブの顧問にも見えなかった。
普通のオバサンだった。
前回の「孤児のミューズたち」は家族のあり方を見せてくれた。
今回はまだ成長する前の、不確かな存在の危うさを見せてくれた。
どちらもスタジオライフらしいテーマだったと思う。
次回はあの手塚治虫氏の「アドルフに告ぐ」
これも結構長い原作になるが、どんな舞台になるか、楽しみにしたい。
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