しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「最悪」奥田英朗 

2006年06月05日 | 読書
「川谷鉄工所」の川谷信次郎は、地道に仕事を進めてきたが、生活は厳しい。
そんな中、隣に立ったマンションの住民から、騒音の苦情を持ち込まれる。
そして、従業員や不良品の問題もあり、落ち着けない日々になって行く。
「かもめ銀行」に勤める藤崎みどりは、新入社員歓迎キャンプで、支店長にセクハラされ、銀行を辞めることを考えていた。
野村和也は定職に付かず、パチンコやカツアゲで生活していた。
パチンコ店で知り合ったタカオと泥棒をするが、タカオがやくざと関わりがあった為、やくざに脅される事になる。
タイトル通りに、ある事がきっかけにどんどん状況が悪くなって行ったこの3人が出会い、さらに悪い方向に進んで行く。


タイトルにあるので、読んでいても、「最悪だよ」と何度も思ってしまう展開。
そして、この最悪に向かって行く過程は、物語の中だけではなく、結構何処にでもありそうだ。
和也の場合は、始めから犯罪行為をしていたから、同情出来ない点もない訳ではないが、
川谷とみどりの場合はやり切れなくなるほど、気の毒に思える。
みんな自分のことしか考えていない。
最後はどう決着をつけるのだろうと思っていたら、外部からの力が働いての結末だった。
あのまま、4人で計画したことも上手くいくとは思えなかったけれど。
それにしても、自分も悪い事しているのに、和也の人を信じてしまう姿は・・・・人間の本質には優しさがあると思わせてくれるような、存在だった。
主役の3人は3人ともそんな面を持っているのが救いの話。
そんな面、持っていなそうな人が多いから。

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